なぜRed Bull 5Gは関係者が皆驚く、唯一無二のカッコよさを持った大会なのか

12月15日に都内で行われた、レッドブルジャパン主催のゲーム大会“Red Bull 5G Finals”。その熱気の理由をお伝えする。

▲すでにお伝えしているように、2年目となる今年の5Gは最終戦の『ぷよぷよ!!』までもつれ込む展開を制し、東軍が2年連続の優勝。

 「松井さん、今日、来て良かった!」
 12月15日に行われたRedBull 5Gの大会終了後、ステージからハケてきた松井悠プロジェクトアドバイザーに、思わずこう声をかけた。

 記者は初回となる昨年、そしてその成功を踏まえて行われた今年の2回、松井氏に大会の目的や見どころについてインタビューを行ってきたが、実は昨年の初回大会は海外出張でタイミングが合わず、大会を見るのは今大会が初めて。「これがあの時言いたかったことなのか」と、2回のインタビューのことを思い出すと、感慨深い。

 “日本のゲーマーに翼をさずける”というコンセプトが、確かにそこで形になっていた。取材を行った各社の記者陣をはじめ、関係者諸氏が口を揃えて「現場に来ればわかる。あれはスゴい」と言っていた意味もようやくわかった。

●ゲーム大会を知り尽くした男と、スポーツの新たな見せ方を追求するRedBull

 「Red Bullがゲーム大会をやる」と聞いた時から、「面白くなるかも」という期待はあった。F1レースからエクストリームスポーツまで、Red Bullはサポートすると決めたら「なんでそこまで?」という異常なクオリティで実現しようとする。
 例えば1on1ストリートバスケの大会“King of the Rock”では、大会のコラムも“ガチ”な内容だし、しまいには日本大会を勝ち抜いて世界大会に進出した選手のドキュメンタリーを作ってしまうほど(部活などでスポーツを辞めたり諦めた経験がある人間なら涙なしには観られない)。

 しかし一方で、「なんでまた?」という疑念があったのも事実。正直この業界、ゲームの人気を利用したいだけのオジサンたちも多い。Red Bullはどれだけ本気なのか?
 それにそもそも、Red Bull本体には“eスポーツ”の後援経験はあるが、レッドブルジャパン自体にゲーム大会の主催経験がなく、海外でのノウハウを入れるにしても、“5ジャンル5ゲームの東西戦”というユニークなコンセプトには当てはめにくい。

 いい兆候は、長年eスポーツ界隈やオンラインゲームの大会などに関わってきた松井悠氏がプロジェクトアドバイザーとして関わっているということ。シーンの裏まで知り尽くした同氏が本当に関わっているのなら、“複数ジャンルにまたがった東西対決”という挑戦的なテーマをうまく料理して、今まで見たことがないゲーム大会を見せてくれるかもしれない……。

▲「Haloプレイヤー来てますか?」という呼びかけに応えるHalo勢。コミュニティの尊重は過去のインタビューでも重要視されていた部分だ。

 インタビュー内容については先の記事を直接読んでもらうのが一番だが、とにかくプレイヤーコミュニティを尊重しているのが印象的だった。これは、ゲームメーカーが直接主催する大会のようにゲームのプロモーションを目的にするわけではなく、また高額の賞金がかかったりする最高峰の大会というわけでもない5Gでは、もっとも求められることだろう。

 そしてインタビューに同席したレッドブル・ジャパンの関係者とも話したことで、思った以上に本気であるのもわかった。
 実際今回の大会にも、欧米でeスポーツに関わっているRedBull関係者が視察に訪れており、これまでにないタイプの大会に高い関心を示していた。

●これまでにないパッケージング――単なる最強決定戦ではないということ

 そして話は冒頭に戻る。大会リポートについては既に別の記者が書いているので、ここでは試合展開などの詳細は省き、大会そのものについてのインプレッションをお届けしたい。

 個人的に最もグッと来たのは、“タイトルの垣根を超えてチームとして戦う姿”だ。試合に臨むプレイヤーの周囲には必ず両軍のチームメイトがいて、勝利すれば喜びをわかちあい、負ければ慰め、ともに悔しがる姿を間近に見ることができた。
 あくまでも5Gは西対東のチーム戦であり、最終目標はチームとして勝つことにある。5Gは単なる各タイトルの最強決定戦ではないのだ。

 もちろん、そのゲームのトップクラスのプレイヤーが勝利を目指して戦うことに違いはないのだが、これがもし単なる最強決定戦なら、多くの場合、すでにもっと歴史や蓄積のある大会が存在するわけで、“そこから一段落ちる新しい大会”にしかならない。
 そうではなく、本来接点のない“別ゲー”のトッププレイヤー同士がタッグを組んで、それぞれの専門領域で戦うという、バトル漫画だったら終盤のような展開が見られるのは5Gならでは。

▲最終戦に臨む選手を見守る仲間たち。タイトルの壁を超えてチームとなり、応援する姿は5Gの宝と言えるだろう。

●チーム戦だから可能な試合間の興味の持続

▲転換の間にテンションを持続させるという点で、DJが担う役割は大きい。これはRed Bullがゲーム以外のイベントで培った手法でもあるだろう。

 これはまた、観客の興味の持続という点でも、いい効果を生み出している。いくらゲーマーでも、採用タイトルすべてを、それぞれの対戦のシーンやコミュニティまで含めて把握している人はそうそういないだろう。
 複数タイトル採用の大会では、必然的にお目当ての種目以外はメシ行ったりトイレ行ったり、友達とダベって過ごすだけの待ちタイムになりがちだ。

 しかし5Gでは、お目当てのタイトルは全体の一部でしかない。自分たちの好きなタイトルでの戦いの結果がどんな結末繋がっていくのか、自然とその後の行方も気になるような作りになっている。

 これで待つのが単純にダルいとか、見たところで試合展開がさっぱりわからないとなれば、やっぱりトイレタイムになってしまうと思うのだが、まず前者については、とにかく転換が早い上、試合と試合の転換の間もDJがダンスミュージックをかけて場のテンションを繋いでいて、ダレさせることがない(喫煙所に行って戻ってくると、もう次の試合が始まりかけていたほど)。
 そして後者についても、実況・解説陣が可能な限り初見に近いプレイヤーでも最低限の状況が伝わるように努力していたと思うし、これは狙ったものかわからないが、そもそもの採用タイトル(及びゲームモード)が、パッと見でなんとなく状況がわかるものが多かったのも良かった。

▲第一戦のレースでは4台のシートを設置。その後方には次の種目であるFPS用のシートがすでにスタンバイしてある。5種目で毎度のようにハードウェアの交換を伴う大きな転換をやっているにも関わらず、大会トータルで3時間程度に収めているというのはスゴい。

●「5Gだから観る」が成立する

▲今大会のレイアウトでは、選手との距離の近さも特徴的だった。壇上←→客席と二分せずに、近い目線で観戦できる。

 異なるジャンルをチーム戦という一本の線で繋ぎ、運営面でも5つの試合が一体となって見えるよう工夫を凝らす。かくして5Gはゲーム大会に慣れていなくても観戦に耐えうるパッケージとしてまとまっているのだ。

 もちろん、その上で試合はあくまで真剣勝負。コンセプトが選手にも浸透しているのか、勝利して会場を煽る姿なども映える。

▲スポーツ部門(FIFA14)で勝利し会場を煽るマイキー選手。この試合、中盤の攻防が続くも、試合を決めたのはセットプレイとカウンターという、サッカーらしい展開だった。

▲FPS部門『Halo 4』の前説代わりにプレイを披露した、5Gのスピンオフ企画“RED BULL GAMING U”の勝利チーム。さらなる広がりを期待したい。

 と、ここまで書いておいてナンだが、5Gのパッケージングの巧みさは説明できても、あの雰囲気のすべてを文章で伝えるのは、記者の技量的にもちょっと難しい。
 しかし、疑い半分で構わないので、興味があるなら騙されたと思ってぜひ来年の決勝を見てみてほしい。そこには絶対に、ほかのゲーム大会にはないカッコよさがあるのは自信を持って保証する。(文・取材・写真:ミル☆吉村)