かつて諦めた要素を詰め込んだゾンビゲーム!

夜はゾンビが超やべぇ! 新規ゾンビアクション『ダイイングライト』体験リポート_08
▲プロデューサーを務めるTymon Smektala氏。『本当にあった怖い話』で有名な中田秀夫監督のファンだとか。

 2013年9月18日、ワーナー エンターテイメント ジャパンにて、2014年に発売予定のゾンビアクション『ダイイングライト』のプレゼンが行われた。プラットフォームはプレイステーション3、プレイステーション4、Xbox 360、Xbox Oneを予定している。

 新規IPである本タイトル、開発を手がけるのは『デッドアイランド』で名を馳せたTechland。今回は東京ゲームショウに合わせてプロデューサーであるTymon Smektala氏が来日、本作の概要や魅力を実プレイで紹介してくれた。

 さて、Techlandといえば同様のゾンビゲーム『デッドアイランド』が有名。だが、なぜ『デッドアイランド』の続編ではなく新規IPを開発したのか? Tymon氏に伺ったところ、「我々はゾンビジャンルが大好きだから」という簡潔な答えが返ってきた。そもそもゲームを開発するときは、さまざまなアイデアが出される。だが予算や時間の関係で、できることは限られているそうだ。そんな、「これまでは実現できなかったアイデアをもとにして新規IPを制作した」と語るTymon氏。『デッドアイランド』の続編も作ってほしいところだが、現在は『ダイイングライト』に全力投球中とのこと。「ゾンビゲーム、果てはFPSすべての常識を変える可能性を秘めている」と、本作のポテンシャルに絶大な自信を持っていた。では、そんな『ダイイングライト』の魅力を見ていくことにしよう。

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▲本プレゼンはワーナー エンターテイメント ジャパンにて行われた。巨大なスクリーンでゾンビの迫力も倍増!

かつてない自由度にヤミツキ!?

 本作は、ゲームジャンルでいうとサバイバルアクションFPS。架空の街ハランでゾンビアウトブレイクが発生、軍によってハランは閉鎖されてしまった。プレイヤーは生き残りのひとりとなり、生存を目指すのだ。

 本作の大きな特長は、その自由度の高さ。オープンワールドの舞台は、「行こうと思えばどこへでも行ける」とTymon氏。屋根のヘリなど手が届く場所ならばつかめるし、そのまま登ることも可能。ジャンプやスライディングといった多彩なアクションで、広大な世界を自由に走り回れるのだ。ちなみに、本作の自由度の高さにハマって「もうほかのFPSに戻れない」と愚痴をこぼす人も多いと語るTymon氏。

 また「没入度を高めるためにFPSを採用した」ともTymon氏は語る。たとえばゾンビに噛みつかれると、本当に自分が噛みつかれたかのように思えるし、高いところから落下したときは地面が目の前に迫ってくる。このような演出と、戦術の自由度の高さが相まって、ゲームの世界に入り込めることこそ本作の大きな魅力なのだ。

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▲本作は一人称視点で進行。FPSならではの、主人公との一体感が魅力のひとつだ。

ゾンビの怖さはゲーム業界随一!?

 続いて、ゾンビとの戦いについて触れていこう。本作はゾンビジャンルの基本に戻り、「危険なゾンビを表現した」とTymon氏。ほかのゲームのゾンビ軍と戦った場合、きっと本作のゾンビが勝つだろうと、その強さに自信を見せていた。

 そんなゾンビに主人公たちはどうやって立ち向かうか。本作では、ハンマーや斧など、さまざまな武器が登場する。武器は12カテゴリ前後、計100種類以上登場するという。当然、武器のタイプによって攻撃方法が異なり、さらにスキルを覚えると特殊な攻撃も使用可能になると、成長要素もあることを教えてくれた。

 特殊攻撃の例として、スレッジハンマーを使った攻撃を見せてくれた。通常はハンマーを振り下ろして攻撃するが、スキルを取得すると、屋根からジャンプして力いっぱい地面に叩きつけ、周囲のゾンビすべてに大ダメージを与える攻撃を繰り出せるのだ。

 また、ステージ上にあるオブジェクトを利用しての攻撃も行える。たとえばトゲがたくさん出た板を発見した場合、マーシャルアーツを利用してゾンビを投げ、串刺しにする、なんて戦いかたもできるのだ。

 またゾンビも単純なものばかりではない。遠くから毒のつばを飛ばしてくるヤツ、毒の煙を出すヤツなどバリエーションは豊富。毒の煙を出すタイプは、近くで倒してしまうと数秒間視界を奪われる、なんて嫌なペナルティも発生する。

 主人公たちは強力な攻撃を備えているが、それ以上にゾンビは強力かつ大軍のため、「ときには避けることも大切」とTymon氏は語る。バトルが楽しい作品ではあるが、目的はサバイバルなのだ。

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▲さまざまなゾンビに、斧やハンマー、ナイフ、銃などの武器で立ち向かう。だがときには逃げることも重要なのだ。

ゾンビが本領を発揮する夜パートを体験!

 本作最大の特徴が、“昼夜がある”ということだ。単に世界の日が暮れるというわけではなく、夜はただでさえ強いゾンビが大幅に強化される。ゾンビの知性が向上し、ゾンビ同士で協力し合ったり、屋根に登ったりと、手に負えないレベルになるというのだ。というわけで、今回はそんな夜のパートを特別にプレイさせてもらった。

 ゲームは夕方からスタート。拠点周囲にある、さまざまなトラップを起動することが目的だ。たとえばクルマのトラップは、スイッチを入れると警報が鳴り、ゾンビがおびき寄せられる。その数秒後にクルマは大爆発、周囲のゾンビを一網打尽にできるといった仕組みだ。そのほかには、電流が流れる金網、周囲を明るく照らしてゾンビをひるませるものなど、多彩なタイプが存在する。暗くなるまえにこれらを起動し、夜に備えようというワケだ。

 さっそく拠点から冒険に出たものの、ゾンビが強い! こちらの攻撃1発では倒せず、こいつはヤバイと少し下がったら別のゾンビに後ろから噛みつかれるなど、なかなかにデンジャラス。視野が狭いFPSだけに、周囲の状況をすべて把握できない恐怖も味わえるのだ。

 ここなら大丈夫だろう、と屋根に登って進んでいたら、遠くから毒液を飛ばしてくるゾンビと遭遇。屋根の上なのに!と意表を突かれ、アタフタしているうちに倒されてしまった。なるほど、逃げるが勝ちだな!と思ったらTymon氏が「あいつは早く倒したほうがいいね!」とアドバイス。うむ、逃げるにはまだ早いようだ。

 そんなこんなでゾンビを倒したり避けたりしながら、数個目のトラップを起動したところ、急に周囲から明かりが消えた。この地域一帯が停電したようで、今度は発電所へ向かうことに。ゾンビとの交戦を避け、山道を駆け抜けてなんとかたどり着き、スイッチを入れてホッとしたのもつかの間、周囲はすっかり日が暮れてしまっていた。ついに恐るべき夜がやってきたのだ!

 今度の目標は、拠点へ帰還すること。まあ夜は怖い怖いって言っていても、なんとかなるっしょ!と軽い気持ちで帰路についた。が、道路の上にはあふれんばかりのゾンビの群れ。こいつら、強化されるだけでなく数も増えているのか……!

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▲昼夜の概念がある本作。実際の時間経過によって変化するそうだ。
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 これはちょっと不利ッスね、ということでゾンビを避けてダッシュで逃げる。……が、ヤツらも猛烈なスピードで追いかけて来る。幸い、追いかけてきたのは数体だったので、これは倒すしかない!と思い攻撃。だが昼間とは異なり、多少殴っただけではビクともせず、そればかりかだだっ子パンチのような攻撃でガンガンに殴ってくる。ヤバイ、と思ったのもつかの間、すぐにゾンビは2体、3体と増えていく。焦っているせいか、屋根に飛び移ることも失敗してしまう。どんどん赤く染まっていく画面、死を覚悟した筆者にTymon氏が「もうダッシュで逃げまくらないと!」と再びアドバイスを投げる。

 そこから筆者は走りに走った。ダッシュを続け、そのままジャンプして屋根に飛び移り、そこから飛び降りて階下の小屋をつぶしつつまたもやダッシュ。たまにクルマのトラップを発動させたりしながら、眼前のゾンビをジャンプで飛び越える。まるで『ミラーズエッジ』のように休む間もなく走り続け、命からがら拠点に逃げ込むことに成功したのだ。よ、夜コエー!

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▲ダッシュで町中を駆け抜けるのは、ゾンビを倒しまくるのとはまた違った爽快感! 写真は昼間のモノだけど。

 という感じで、デモプレイは(体感的に)あっという間に終了。強烈すぎるゾンビに追いつかれるかもしれないという緊張感を味わいながらの、流れるように世界を走り続けられるその自由度の高さが、最高に素晴らしい体験だった。

 最後に、気になるマルチプレイについて伺ったところ、「最大4人でプレイ可能」という答えが返ってきた。ひとりがゾンビをおびき寄せて、ほかの3人がゾンビを背後から倒す、といったマルチプレイならでは戦略を楽しめるようだ。また自由度の高さはマルチプレイにも表れており、それぞれが別々なことをプレイすることも可能だとか。

 さらに、まったく新しいモード“Be the Zombie”もあると明かされた。なんでも、プレイヤーがゾンビになってほかのワールドに攻め込めるモードだそうで、「『ダークソウル』のマルチプレイに近いかも」とTymon氏。さらにゾンビを強化したり、メガゾンビになることも可能だとか。

 今回は非常にアグレッシブな内容であったが、ゆっくり歩いたり、建物に隠れたりと、ステルス的な楽しみかたもできるようだ。さまざまな楽しみかたができる本作から、本当にゾンビゲームの歴史を変えてしまいそうなポテンシャルを感じた、そんなひとときであった。

(取材・文:ライター/喫茶板東)