協力プレイが楽しめる“4E ミッション”
2013年9月5日に発売された、ユービーアイソフトのWii U/プレイステーション3/Xbox 360用ソフト『スプリンターセル ブラックリスト』。前回のインプレッション(⇒記事はこちら)に引き続き、今回はオンラインプレイにスポットを当ててプレイしていこうと思う。
本作のオンラインプレイは大まかに分けて、協力プレイの“4E ミッション”と、対戦プレイの“スパイvs傭兵”のふたつ。まずは協力プレイから見ていこう。
“4E ミッション”は、いわゆるサイドミッション。本編に登場するサブキャラクターの、グリム、チャーリー、ブリッグス、コビンから依頼される任務だ。ひとりでも楽しめるが、オン/オフラインでの協力プレイも可能で、その場合はサムとブリッグスが任務に赴くことになる。なお、ブリッグスのミッションのみ協力プレイ専用となっており、ひとりではプレイできないため注意したい。というわけで、今回は筆者のフレンドであるY氏と任務にチャレンジしてみた。
共闘感をタップリ味わえるのが大きな魅力!
最初に選んだのは、ブリッグスの任務である“密輸組織のアジト”。核兵器の輸送を計画しているという組織を調査する内容だ。ちなみに4E ミッションは依頼される人物によってミッション内容が大きく異なり、たとえばグリムの場合は敵に発見されないように任務を遂行するという、シビアなステルスミッションが楽しめる。今回のブリッグスミッションは、進行に合わせて目標が変わっていくという、本編に近い内容だ。
このミッションは協力プレイ専用ということもあり、共闘の醍醐味が味わえる仕掛けが満載。ひとりでは登れないほどの高い崖を、片方が足場となって突破したり、強固なドアをふたりでぶち破る、といった具合だ。
また敵の対処でも、共闘プレイならではの楽しさが味わえる。敵をマークすると相手側にも表示されるため、片方が索敵してもう片方が対処、なんて力を合わせた突破を楽しめるのだ。また“マーク&エクスキュート”をふたり同時に発動させる“ダブルエクスキュート”も有用かつおもしろい。ヘルメットをかぶっている敵は、通常ならばヘッドショット1発では倒せない。だが“ダブルエクスキュート”を使えば、片方がヘルメットをはじき飛ばし、もう片方がヘッドショットで仕留める、という神業のようなアクションを簡単に実現できるのだ。
倒された場合のリカバリーが行えるのも協力プレイならでは。シングルプレイの場合、体力がなくなる=ゲームオーバーだが、協力プレイだといったんダウンする。その後、徐々に出血ゲージが減少していくが、このゲージがなくなる前に味方に救出されると復活できる。
そんなこんなでいくつかのミッションをプレイしてみたのだが、一番気に入ったのはチャーリーのミッション。『ギアーズ オブ ウォー』のHordeに代表される、敵の波状攻撃を撃退するという内容だ。とにかく大量の敵が襲ってくるため、バトルは必然的に激化。多くの敵がまとまっている場所に攘夷弾を投げ込んだりと、『スプリンターセル』とは思えぬほどの爽快感あふれる戦いが楽しめるのだ。爆発する小型ラジコンを放ってくるヤツや犬、スナイパーなど敵のバリエーションも多く、さまざまなガジェットを試すいいきっかけにもなった。
ちなみに4E ミッションをクリアーすると、新しい装備が解禁されることも。できるだけ早めにクリアーしておけば、より有利にキャンペーンミッションを進められることだろう。
スパイvs傭兵はFPSvsTPSでもある!
続いて、対戦プレイである“スパイvs傭兵”について触れていこう。こちらは完全に独立しているモードで、本モード専用のスパイ/傭兵キャラクターで戦うことになる。装備や特殊能力も、サムとは異なる専用のものが用意されているのだ。またランクの概念もあり、プレイを通じて経験値を稼ぐとランクが上昇し、新しいルールが解禁される仕組みだ。唯一、資金だけがシングルプレイと共通している。
本モードで最初にプレイできるのは“スパイvs傭兵CLASSIC”と“訓練場”というルール。“訓練場”は“スパイvs傭兵BLACKLIST”というルールを新規プレイヤー同士で楽しめるプレイリストで、いわば初心者向け。また“スパイvs傭兵CLASSIC”と“スパイvs傭兵BLACKLIST”の違いは選べるクラスが固定されているかどうかというぐらいで、基本ルールは同一だ。というわけで、まずはざっくりと共通ルールを解説していこう。
“スパイvs傭兵BLACKLIST”は、スパイ側と傭兵側に分かれて戦うチーム戦。マップにあるステーションをハッキングしたスパイは“ハッカー”となり、データ転送が終了するまで一定エリア内で生き延びる必要がある。ほかのスパイは、ハッカーを守るのだ。対する傭兵はスパイを倒してハッキング阻止を目指す。ラウンドが変わると攻守が交代し、より多くハッキングできたチームが勝者となる。
本作の対戦でおもしろいのは、スパイと傭兵で能力がまったく異なるポイントだ。スパイはサムに近い能力で、壁のパイプを伝って移動したり、ゴーグルを使用できたりと、ステルスに特化した能力を持つ。ただし耐久力は低い。
傭兵は、なんと一人称視点でゲームが進行するという、ゲームシステムすら大きく変わるほどの違いがある。スパイほどアクティブなアクションを行えず、移動速度もあまり早くないが、耐久力と攻撃力に長けているという特長があるのだ。
プレイしていて感じたのは、このルールは“かくれんぼ”の感覚に似ている、ということ。ハッカーとなったスパイは、データ転送が終了するまで壁の上に登ったり、パイプにしがみついて、なんとか生存を目指す。発見されたらほぼ確実に倒されてしまう、緊張感あふれる逃走劇が楽しめるのだ。ただし、かくれんぼと違うところは、こちらから反撃できること。下にいる敵をドロップアタックで倒したり、背後から近づいてステルスキルしたりと、窮地を一瞬で逆転する興奮も味わえるのだ。
一方の傭兵は、TPSであるスパイよりも視界が悪く、また行動範囲も狭いため、なかなか厳しい戦いを強いられる。そのぶん、ハッカーを発見できたときの興奮はかなりのもの。ガジェットのトライローターを飛ばして捜索、なんて奇手も楽しめるのが嬉しい。
ほかにも、シンプルなチームデスマッチや、情報を自陣に持ち帰る“エクストラクション”など、多彩なルールをプレイ可能。勝手ながら『スプリンターセル』シリーズはシングルプレイメインというイメージがあったが、対戦モードも長時間遊べる仕上がりになっていた。
“Uplay”に登録してマルチプレイを堪能!
対戦あり、協力プレイありと、マルチプレイも充実している本作。ただし、注意点がひとつあるため、最後にそれを述べておきたい。本作はユービーアイソフトのロイヤリティプログラム“Uplay”に対応しているのだが、これに登録しないと“スパイvs傭兵”のランクは5までしか成長できないのだ。“Uplay”に登録してポイントを溜めると、新たな装備を入手できるといったメリットもあるため、対戦モードに興味がなくとも登録しておきたいところだ。
シングルプレイと同じくらいにマルチプレイが充実している本作。個人的には協力プレイが最高におもしろかったので、未体験の人はぜひともフレンドを誘って、その魅力を堪能していただきたい。
筆者紹介 喫茶板東
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当していたフリーライター。どちらかといえば対戦より協力プレイが好きなので、チャーリーミッションには大満足。攘夷弾もオススメ!
スプリンターセル ブラックリスト
メーカー | ユービーアイソフト |
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対応機種 | X360Xbox 360 / PS3プレイステーション3 / Wii UWii U |
発売日 | 2013年09月05日 |
価格 | 各7770円[税込] |
ジャンル | アクションアドベンチャー / アクション / 諜報 |
備考 | 開発:トロントスタジオ |