アットホームな前説からスタート

2013年8月27日(火)、スクウェア・エニックスのプレイステーション3、PC用MMORPG『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』(以下、『新生FFXIV』が発売されたことを記念して、東京・渋谷ヒカリエにて発売記念イベントが開催された。ここでは、メディア向けの第1部とは趣を変え、事前に募集をかけ、抽選で招待された一般プレイヤーが来場した第2部の模様をお届けしよう。

開始前に、ファンにはおなじみのコミュニティーチーム室内氏と望月氏が登壇し、アットホームな雰囲気の前説がスタート。遠方からの来場者がいないかを尋ね、宮城、新潟、広島、高知、山口などから来ているプレイヤーがいることが判明した。ついで拍手の練習とともに吉田直樹プロデューサー兼ディレクターも登壇。前日の夜、gamescomが催されていたドイツ・ケルンから帰国し、8月28日からは、PAXのためにアメリカ・シアトルへ向かう吉田氏の質問で、来場者の中には、8月24日のアーリーアクセス開始からゲームをスタートし、メインクラスがゼロからレベル43を超えたプレイヤーが数名いることもわかった。

パッチ2.1は2013年内? 『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』発売記念イベント第2部リポート_01
▲左から、プロデューサーレターLIVEでおなじみの室内氏(Morbol氏)、吉田プロデューサー兼ディレクター、もっちーこと望月氏。

いよいよイベント開始

いざイベントが開始されると、まずは第1部でも観られたプロモーションムービー、通称“ローンチトレーラー”が流され、その余韻も醒めぬなか、スクウェア・エニックス代表取締役社長の松田洋佑氏が登壇。「『新生FFXIV』は『FF』本編の最新作であり、ユーザーの皆さまに支えられて大きく再生した稀有なタイトル。いままでのご支援に対して心よりお礼を申し上げます。開発陣は“すべてはお客さまのために”という信念のもと、この日のために誠心誠意、一丸となって開発を進めて参りました。開発陣が一生懸命がんばったのもお客さまの支えが合ったからこそ。本日よりPS3とWindows PCでサービスが開始され、今後はPS4でも開始を予定しています。『新生FFXIV』の世界を心ゆくまでお楽しみいただければと思います」と語った。

続いて吉田氏が登壇。松田氏に向かって「めっちゃ緊張してますよね。噛みましたよね」と場を和らげる発言の後、「皆さんのおかげで、今日この日を迎えられ、この調子でしゃべっていると泣きそうなので挨拶は最後に」と続けた。その後、室内氏と吉田氏による開会宣言を経て、第1部と同様に渋谷ヒカリエを中心に実施されている、エオルゼアミラー(全長13メートル)を始めとする交通広告が動画で紹介された。

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▲松田氏はゲームでのスタートダッシュをすべく、スクウェア・エニックスのショッピングサイトe-STOREで『新生FFXIV』予約購入をしたと明かした。

コアメンバーによるトークショウ開催

続いて、開発スタッフの中心的な役割を担うスタッフたち、通称“コアメンバー”をステージに招き、プレイヤーからの質問に答えてもらうトークショウが開催された。

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▲名付けて“直樹の部屋”。

最初に現れたのは、リードUIアーティストの皆川裕史(以下、皆川)氏とリードゲームデザイナーの河本信昭(以下、河本)氏。最初のグループということもあり、ここでは吉田氏も質問をされる側に回ることになった。
以下の問い部分(Q.)は、事前に募集されたプレイヤーからの質問の要約だ。

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▲男3人、非常に窮屈な3ショットが見られた。

Q.『FFXIV』を作り直すという話を聞いたとき、最初に思ったことは何ですか?

皆川氏はこの質問に対し、「ぶっちゃけ本当にたいへんなことになったなあと。プレイヤーの信頼を取り戻すというたいへんさと、吉田氏からもらったスケジュールのたいへんさです」と回答。告げられたときのように頭を抱えるジェスチャーを見せ、会場を沸かしていた。

Q.とくに苦しかった時期は? また乗り越えた際は、どのような心境だったか?

この質問に回答したのは吉田氏。「いろいろな計画を裏で進めていた2011年の6月ごろがいちばん精神的にしんどかった。新体制になったものの大きなパッチが出て来ず、この時期、パーティの人数上限を15人から8人に変更したり、ケアルガの連打でプレイヤーのMPが枯渇しない状況で、まずこれを改修したときに、フォーラムで「ケアルガを連打したら、MPが0になった」という反応がありました。もちろんプレイヤーの皆さんはそのときの環境に慣れていくもの。あそこからが大激変のスタートだったので、そういう意味でしんどかったです」と当時の心情を吐露した。

Q.あと3ヵ月、時間を使えるとしたら、調整したいところはありますか?

これには河本氏が「この2~3ヵ月は調整とバグ修正のくり返し。昨晩ドイツから帰ってきた吉田氏からも修正指示が出て。新しいコンテンツを作りたいですね」と回答。ここで吉田氏は河本氏の仕事を説明。GMレポートのバグ報告やプレイヤーから届く意見を毎日吸い上げ、仕分けして開発にフィードバック。プレイヤーが毎日楽しく遊べるように、いまではバグ大臣と呼ばれるほど、プレイを支える裏方となっている。そういう人物だと語った。

続いては、一転して軽い質問に。
Q.開発チームの中で、もっとも異性にモテるのは誰ですか? 同様に同性から人気があるのは誰ですか?

これに対し、吉田氏と河本氏揃って皆川氏を指し示したところ、皆川氏は「何で俺はそういうキャラにされたんですか?」と照れた様子。「同性からは?」という室内氏の質問に対し、「2丁目でも皆川さんですね」と河本氏が回答。

橋本氏は裏から支援

ついで登壇したのは、テクニカルディレクターの橋本善久(以下、橋本)氏。

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▲渋谷ヒカリエでの登壇は、2012年のシリーズ25周年イベント以来となる橋本氏。

Q.最近、橋本さんが表舞台にあまり出ていないような気がします。お元気ですか?

橋本氏は、「すごく元気にやっていて、こっそり裏から支援しています。今日触れておきたいのが、この場には来られませんでしたが、メインプログラマーの春日(秀之)さんについてです」と回答。イベントのかたわらで、サービス初日の現場でメンテナンスのために待機する春日氏のことを、会社が引越したのに合わせ、ご本人も引越すほどの気構えの功労者だと、橋本氏と吉田氏が口を揃えて絶賛していた。

Q.DirectX11に対応することで、大きく変わる部分を詳しく、わかりやすく教えてください!

橋本氏は「パフォーマンスから見るとサクサクに、映像から見るとクオリティが上がります。ライティングもフォワードプラスと呼ばれる技術に変わり、立体感や皮膚、水の表現などが向上します。後は、優先すべきこと、できることを吉田氏と相談しながら進めます」と回答。プレイを変える部分とグラフィックを向上させる部分の択一などの例を示し、最終的には、三者択一だった効果をプログラマーの努力により、ふたつクリアできたと語った。

Q.ちまたでは、プログラマーは魔法使いだと表現されることもしばしばあります。「さすがにこれは魔法使わないと無理だわ」と感じた無茶振りエピソードを教えてください!

これには、「『新生FFXIV』という試み自体が」と軽く笑いを誘ってから、「覚悟をして進めていたので無茶振りではないけど、無茶でした」と橋本氏は続け、ハイスペック機、PS3などを含めた幅広い環境に対して、ソニー・コンピュータエンタテインメントのエンジニアの助力などを得て、MMO最高のスペックに仕上がったと語り、室内氏が「ぜひHDMIケーブルでお楽しみください」と付け加えていた。

第十八霊災以降は……

デザインアート部門からは、エフェクトなどを監修したアシスタントディレクター髙井浩(以下、髙井)氏とリードデザイナー鈴木健夫(以下、鈴木)氏が登壇。

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▲左の髙井氏の代表作は『ラスト レムナント』など。鈴木氏は『FFXII』など。

Q.装備品やエフェクト、モーションなどのデザインで、こだわりや気をつけけていることを教えてください。

これに対し鈴木氏は、『新生FFXIV』からはゲーム体験に連動してデザインをしてほしいと要望がありました。直樹さんは派手めなのが好きなので、モーションにもケレン味を持たせました」と回答。吉田氏を“直樹さん”と呼ぶことに対して、開発スタッフには吉田姓が多く、最盛期に6人はいた、と室内氏。

Q.さまざまなエフェクトにもコンセプトアートは存在しているのでしょうか?

高井氏いわく、「絵的なのもはありません。プランナーからのオーダーを聞いたり、威力や効果を元に発注されます。実際に見たことのないものばかり作っています(笑)」。吉田氏も、キャラクターのアニメーションや技の仕様を確認を確認して、作ったエフェクトをプランナーに見せにいくと、「そうなったんだ?」と返される確率はエフェクトチームとサウンドチームがいちばん多い、最後まで調整しているのもエフェクトチームだと補足していた。

Q.キャラに身長の「cm」が表記されるようになりました。キャラクリ中にバストをカップ別、数字表記したりはしませんか?

これには鈴木氏が、「身長はβテストでの要望があり入れましたが、ここは見た目で選んでもらったほうがいいのかなと」と回答。吉田氏も皆さんの想像力におまかせします、とフォローした。

Q.装備品は、デザインが先に決まりますか? 性能が先に決まり、そこからイメージを作るのでしょうか?

髙井氏は、「『FF』はクラスやジョブのイメージがすでにあるので、それに沿ってという部分ありますが、使用するレベル帯をイメージしてデザインします」と回答。ただ、がんばって作ったのに使われないなどは、おうおうにしてあるとも語った。

Q.正直、吉田Pに「メテオ落ちろ!」と何回くらい思っちゃいましたか?

この質問に対して髙井氏は、「第十八霊災くらいまでは覚えていますが、それ以降はさすがに忙しくて……」と機転の効いた返し。「ということはその以上あると?」と尋ねる吉田氏に、その可能性は高い、とも答えていた。これは、開発の後半のプロモーションムービーは、ほとんど髙井氏がひとりで編集していたため、編集にこだわる吉田氏の要望に対しての“メテオ”だろうと吉田氏は推測。髙井氏のカメラワークは、開発チーム内で“高井カメラ”と呼ばれていることも明かされた。

アラミゴを奪還……できるはず

続いては、アシスタントディレクター新納一哉(以下、新納)氏とメインシナリオライターの前廣和豊(以下、前廣)氏のシナリオ担当チームが登場。

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▲左の前廣氏の首もとには、ゲームで見覚えのあるシャーレアンのタトゥーが。

Q.ネタばれにならない程度でイチ押しのクエストを教えてください!

この質問を受け、新納氏は、「格闘士のクラスクエストですかね。おじいちゃんの話がやりたくて。無理を言ってヒルディブランド担当の女の子にお願いしたら、いい感じにまとめてくれて、それを観たバトル、エフェクト、SEチームも凝り始めて……イチ押しです」と太鼓判。

Q.我々はアラミゴを奪還できるのですか?

吉田氏が、アラミゴは世界を構成するひとつの都市国家であり、現在ガレマール帝国によって占領されていると解説を述べた後、前廣氏は「アラミゴ奪還はエオルゼアの民の悲願なので、もう少し時間はかかるけど必ず奪還できるように、なんとかがんばりたい……と勝手に言っています。なんとかなるんじゃないかな?」とおどけて回答。メインシナリオライターによる大胆な発言に吉田氏がツッコミを入れると、「帝国の一大拠点があるので、たいへん激しい戦いがくり広げられる……んじゃないかなぁと勝手に言っています」と再びおどけていた。

Q.『新生FFXIV』に登場するキャラクターの中で、誰がいちばん好き、または思い入れが強いですか?

新納氏いわく、「いろいろ思い入れはありますが、新しいという意味でいうとイシュガルドの四大名家のオルシュファンなどが自分は気に入っています。もともと設定がありましたが、今回初めてチャンスがあったので自由に書かせてもらい、いろいろピーキーな人々を用意できました」と回答。吉田氏は、「レベル30台後半から行くイシュガルドは、一段と話が重くなります」と補足。新納氏が前廣氏のイチ押しは「タタルですよね」と水を向けると、「あの歌はがんばって作りました」と返していた。

Q.『旧FFXIV』グリダニアの錬金術のギルドスタンドにいたムムコさんはどこに行ってしまったのでしょうか? 「四の五の言わず見ていくのです!」がもう一度聞きたいです。

これに対し、新納氏は「じつは人口を調整したときに、ちょっと外れて……。また見たいと言うことであれば、前廣さんにお願いしてどこかに復活させるかもしれません。また、ドライボーンにいたゴハンを食べているミコッテが消えたのが悲しいという声を聞いたので、どこか片隅に置こうかなと思っています」と返答。ドライボーンのNPCは企画段階で多すぎたので、現在はその4分の1ほどになっているとのことだ。

Q 「それは言っちゃダメだー!!」と思ったいちばん痛いポロリは?

これは前廣氏が回答。βテスト期間中に吉田氏がゲームに入ってプレイヤーたちの質問にチャットで答えているとき、エキセントリックな挿話を持つエッダというキャラクターのその後について触れたことを挙げていた。これを受けて吉田氏は、開発中、エッダが開発チームでも大人気となったエピソードを披露した。

トリはご存知……

直樹の部屋の最後には、サウンドディレクターの祖堅正慶(以下、祖堅)氏が登場。

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▲独特の間で会場を沸かせる祖堅氏。

Q.いままでで100曲以上作曲していると思いますが、そのなかでもっともお気に入りの曲は?

「去年の25周年イベントで流したリミットブレイクトレーラーです。『旧FFXIV』と『新生FFXIV』がWラインで走っているさなかで、開発の中でも切り替え時期にあり、鼓舞する感じで作りました」と祖堅氏。吉田氏も「ベンチマークのトレーラーにもなるものだったので、『新生FFXIV』の第一歩だった」と述懐していた。重ねるように祖堅氏は、「『プレリュード』の旋律を入れたいなと思い、スマートフォンに鼻歌で吹き込んだ50曲近くの候補から選抜された曲です」と語り、笑いを取っていた。

Q.ゲーム内の効果音で、じつはこんなものを使っているなどあれば教えてください!

こちらの質問でも祖堅氏は「コスタ・デルソルでシャカシャカ鳴っている楽器は、マラカスではなく、爪楊枝と砕いたタブレット菓子をカップ麺の容器に入れ、A4用紙でフタをしたものです」と衝撃の告白。吉田氏から「その場所ではそれしか思い浮かばなくなる」とツッコミが入ると、「海の家と言えばラーメンですから」ととぼけた回答をしていた。さらに「古城アムダプールのパーカッションは、目の前にあったタバコの空き箱をポンスカポンと叩いた」と披露。「アーティストとしてグルーブ感を(笑)」と語った。

Q.吉田Pに秘密でこっそり仕込んだネタやギミックはありませんか。

これに対し、「秘密はありませんが、じつはタイタン戦のBGMに、最初は仮のものを一回入れたとき、歌詞がないので完全に放送禁止用語を並べてマイケル(ローカライズなどを担当するスタッフ)と録った。それをとりあえず実装したので、怒られるだろうなと思っていたら、アメリカの品質管理スタッフから「発売できなくなります」と言われ、マイケルが青ざめていた。吉田さんは「いやー、タイタンの曲いいわー」と言っていたんですが」と反撃。吉田氏は「聞こえにくく言っていたでしょう」と笑い、タイタンの最終フェーズで聞こえる打撃音や声のテンションの上がり具合を絶賛していた。

あの人もビデオレターで登場

発表会のフィナーレを前に、ここで隠しゲストとして、和田洋一スクウェア・エニックス前社長がビデオレターで登場。話はプレイヤーへの感謝や思いを語る内容だったが、話がまとまりそうでまとまらない巧妙な映像の作りになっており、会場の笑いを誘っていた。関連してハウジングに関する映像も流れたが、吉田氏から「ハウジングが実装されるパッチ2.1は、年内にはくると思います」と時期に関する新たな情報も突然飛び出した。

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▲経営はタンク(盾役)と語る和田氏。

吉田氏の感慨

続いて東京ゲームショウ2013へ『新生FFXIV』の参加決定が告知されると、発表会はフィナーレへ。コアメンバーが再登壇し、ひとりひとり最後にプレイヤーへのひと言を述べた。

皆川氏「やっとロンチを迎えられました。ですがここがスタートラインだと思っています。これからもっと使いやすいインターフェイスをプレイヤーの皆さんと作っていきたいと思います」。

河本氏「ここまでご迷惑やご心配をおかけしましたが、ようやく皆さまにお届けでき、これ以上うれしいことはありません。この後も励まし、お叱りをいただき育てていくのが『新生FFXIV』だと思います」。

橋本氏「感無量です。実質2年半ちょっとでここまで来られたは何百人の関係者の力の結集です。これからも引き続きエンジニアを含め、いろいろな職種スタッフががんばっていきます」。

髙井氏「3年前は正直どうなるのかというスタートでしたが、過ぎてしまえば一瞬でした。楽しんでもらえるものになっていると思います。これからもいいものにしていきます」。

鈴木氏「ゲームとしてもおもしろいものになっています。キャラクター、アニメ、背景、エフェクト、カットシーンなども、すべてに力が入っています。自分としても自信をもって出せるものができたと思っています。皆さん堪能してください」。

新納氏「『旧FFXIV』ではいちユーザーとして「ああしたい、こうしたい」という思いを持って『新生FFXIV』に参加し、楽しくもつらく、充実した日々でした。まだ冒険は始まったばかりで、シナリオ・クエスト班はこれからたくさん世界やお話を作っていかなければなりません。じつはキャラクターをすでに6000人ほど置いていて、ここから世界が広がると、何万人という規模になるのでしょう。皆さんといっしょに作って楽しんでいけたらと思います」。

前廣氏「MMOという枠にとらわれず、『FF』新作として引けを取らないシナリオを書いたつもりです。まずは『FF』として楽しんでいただいて、それからMMOとして幅広いプレイヤーの皆さんと絆をつくっていただければと思います」。

祖堅氏「ふだんはおちゃらけていますが、じつは開発はストイックに最先端の技術や根性を入れてサウンドでできることを果たしたつもりです。毎日が地獄であり楽しい日々でしたが、皆さんの応援もあって乗り越えてこられたかなと思います。これからも楽しいゲームにしていきます。皆さんに楽しんでいただければ」。

最後に吉田氏がまとめに入る。「アーリーアクセスを3日やってきましたが、北米、ヨーロッパの皆さんはメンテナンスが入ってしまってすいません。これから長い旅が始まるので、その中で挽回していけたらと思います」。

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▲言葉に詰まり会場に背を向ける吉田氏。会場からも声がかかる。

「『FFXIV』を引き継ぐことになってもうすぐ3年になります。当初は、そこまでゲームに深く触れていたわけでもなかったですし、なんとかできるだろうと。あとはやっぱり自分自身、『FF』が好きで、MMOが好きで……」。

「もう一度作り直すとスタッフを全員集めて発表したのが、対外的に発表する2日前の2010年12月1日でした。いまでも覚えていますが、ミキサー室で祖堅がガッツポーズをしていたのが印象的でした。当時の開発はプレイヤーの皆さんと同じ気持ちで、「どうにかなるの? これ」という雰囲気もあるなかで、MMOの開発はふつうは4、5年かかるところを本当にひとつひとつ皆さまに応援をしていただきながら、何とか一刻も早くお届けするために、そのために焦らず計画するタイミングも必要でした」。

「和田も言っていたように、タンク(盾役)のつもりで前面に立ってここまでやってきました。『新生FFXIV』を作ったのはべつに僕ではなく、世界中のプレイヤーの皆さんとここにいるコアスタッフ、ここに来られていない何百人ものスタッフのおかげで、今日ここがあります。『FFXIV』はやっと今日、新生に向かって第一歩を踏み出しただけです。正直、感極まってる暇はなく、僕らは先のパッチやエクスパンションに向かって走り出しています。プレイヤーの皆さんは、とくに『旧FFXIV』からプレイされている皆さんは、コミュニティーのーメンバーが途中で離脱していったり、外野からいろいろなことを言われていたんじゃないかと。自分もMMOプレイヤーとして、それがどんなにキツイことかはよくわかるつもりです。僕らにとってはとても短い3年でしたが、プレイヤーの皆さんにとって長い期間をかけて応援していだきましたし、待っていただきました。スクウェア・エニックス一丸となって『FF』の名に恥じないだけのゲームをリリースできたと自負しています。MMORPGには完成はありません。皆さんといっしょに作ってきた『FF』なので、これからも皆さんとともに作っていく『FF』として5年、10年、もっとそれ以上、今日この場所の所信を忘れず運営を続けていこうと思います。これからもよろしくお願いいたします」。

最後にコアメンバー全員で手を繋ぎ、会場に感謝を示しイベントは終了。その直後から精力的に来場者と触れ合う吉田氏の姿が印象的だった。

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▲数百人の来場者を相手に、ひとりひとりに丁寧に対応する吉田氏。
▲来場者には、大判のイラストカードが配られていた。