『メモリーズオフ6 Complete』&『メモリーズオフ ゆびきりの記憶』開発秘話インタビュー! 気になる新作情報も!?

2013年6月27日に発売予定のPS Vita・プレイステーション3用ソフト『メモリーズオフ6 Complete』&『メモリーズオフ ゆびきりの記憶』を手がけた、MAGES.の柴田太郎氏へのインタビューを掲載。

●『メモリーズオフ』シリーズプロデューサーの柴田太郎氏にインタビュー

 2013年6月27日に発売予定のPS Vita・プレイステーション3用ソフト『メモリーズオフ6 Complete』&『メモリーズオフ ゆびきりの記憶』。両タイトルを手がけた、MAGES.の柴田太郎氏へのインタビューを掲載。移植作というには開発期間をかけすぎたという両作品の見所と、気になる新作情報をお届けする。

MAGES.
プロデューサー
柴田太郎氏

■新たなプラットフォームで展開される『メモリーズオフ

――まず、『メモリーズオフ』シリーズのプレイステーション3及び、PS Vitaへの移植を決めた経緯についてお聞かせください。

柴田太郎氏(以下、柴田) 最初に移植の話が出たのはだいぶ前なんですけれど、PSP版の『メモリーズオフ ゆびきりの記憶』(以下『ゆびきりの記憶』)をリリースした後に、うちもプレイステーション3でやっていこうという話が持ち上がったんです。そのときにチョイスされたのが、今回の『メモオフ』シリーズの2タイトルなんですが、2012年の夏くらいまではほかのラインを動かしていて、企画として動き始めたのは約1年前、2012年の春ごろですね。そして、PS Vitaのアドベンチャーゲームを弊社で何作かリリースしていたこともあって、「PS Vitaもいけるよ」という声が社内で出たので、こちらにも移植することを決めました。

――移植を終えた手ごたえはいかがですか?

柴田 プレイステーション3版は、Xbox360から解像度も変えず、同じ素材で作ることができたのでスムーズに進みましたね。PS Vita版は、少し心配していたのですが、実際に作ってみたら、プレイステーション3とほぼ同じ素材を使って移植ができたというのがいい経験になりました。できるだけ、オリジナル版のクオリティーにこだわりたいと思っていたので、PS Vitaの性能に助けられました。試しに動かしたときに、ユーザーインターフェイスのデータを小さくしすぎて見えないというハプニングもありましたが(笑)。逆にいえば、ユーザーインターフェイス以外は、見た目の変化はわからないレベルに仕上がっていると思います。

――移植の際、とくにこだわったところどこでしょうか?

柴田 技術的なところでいうと、プレイステーション3とPS Vitaでセーブデータを共有する機能“クロスセーブ”ですね。これは、弊社の志倉がインタビューなどでよく提案していた、複数のプラットフォームでゲームデータを共有するという考えかたに基づいたものになっています。さすがに、ハードメーカーが変わってしまうと、技術的にできても商業的に難しいのですが、プレイステーション3とPS Vitaはともにソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンさんのハードなので、ふたつのプラットフォーム間でのデータ共有にチャレンジしました。PS Vita版のパッケージ版を購入した方には、プレイステーション3版のダウンロード版を半額で購入できるというふうに、、購入したソフトとは異なるプラットフォームのダウンロード版を安く購入できるというサービスもありますので、興味のある方はこの機会にクロスセーブを試してもらえればと思います。

――今後のタイトルにも、この"クロスセーブ"機能を導入する予定はあるのでしょうか?

柴田 今後、同時発売のタイトルには積極的に組み込んでいきたいと思っています。

――『メモリーズオフ6』については、ふたつのソフトが1本のROMに収まっていますが、容量面での苦労はなかったのでしょうか?

柴田 おっしゃるとおり、『メモリーズオフ6』については、2本のソフトがひとつになっているので、容量面の調整で苦戦しました(笑)。『メモリーズオフ6 Next Relation』(以下『メモリーズオフNR』)が、立ち絵のバリエーションが多かったことで、思ったよりも容量が大きかったんです。以前のリリースでは、ディスクも別でしたからとくに問題にならなかったのですが、今回は1枚に収めるということで、とくにPS Vitaのほうで苦労がありましたね。こちらは、4GBのROMを使っています。そして、『ゆびきりの記憶』は、2GBのロムで収める予定で作っていたんですが、微妙にオーバーしてしまったんですね。しかし、ハードメーカーさんに「2GBで進めます」と言ってある手前、変えるわけにはいかないので、いろいろと調整を加えました。ただ、データを圧縮したことで、品質が劣化しているということはないので、ご安心ください。

――クロスセーブに対応しているということは、トロフィーは共通なのでしょうか?

柴田 トロフィーはハードによって異なる仕様に、あえて設定しました。両ハードで買うというユーザーさんはそれほど多くないとは思うのですが、もし買ってくれた人がいたなら、それを少しだけ自慢できるような形にしたいと思ったんです。

――トロフィーといえば、Xbox360版の『ゆびきりの記憶』では、誕生日実績の難度が話題になりました。今回のトロフィーの全体的な難度はいかがでしょうか?

柴田 Xbox360版『ゆびきりの記憶』のヒロインの誕生日に起動することで取得できる誕生日実績のことですね。これは、1度逃したら1年待たないと取得できないため、ハードルが高すぎました(笑)。ですから今回、誕生日に関係するトロフィーはありません。その代わり、『ゆびきりの記憶』では、ヒロインと一部のサブキャラクターの誕生日に起動すると専用のメッセージを聞くことができます。こちらはおまけ要素として楽しんでください。発売日から近いのは、亨ですかね。トロフィーの難易度は低めなので、コンプリートを狙って欲しいですね。

――本作のマスターアップを終えて、今だからこそ話せるエピソードはありますか。

柴田 これは、最初にも少し話したんですが、開発の途中で、他のラインに開発スタッフをまわしたことで、発売が6月になったというところでしょうか。それが、2012年の年末くらいの話です。結果としてクオリティーを高められたので、よかったのかなと思います(笑)。2タイトル同時の移植ということはもちろんですが、ボリュームの増え方も過去の移植作よりも大きいので、大変でしたね。あとは、クロスセーブの実装がノリと勢いで決まったことだったというところでしょうか。

クロスセーブを活用すれば、ゲームを遊ぶ機会が一気に増えるはず。アドベンチャーゲームと極めて相性のいいシステムだ。

■新しい要素が満載の、『メモリーズオフ6』と『ゆびきりの記憶

――両タイトルの移植作品を、同時に発売する狙いをお聞かせください。

柴田 これから『メモリーズオフ』を続けるとなると、今後はどうしてもプレイステーション3、PS Vitaといったプラットフォームが中心になるかと思っています。それもあって既存作から、HD対応となっている2作品を同時に発売することにしたんです。『メモリーズオフ6』は、これだけナンバリングがあると、どこから始めればいいかわからないという人に向けて作った入門用のタイトルなので、多くの人のきっかけになってもらいたいという思いが込められています。そして、『ゆびきりの記憶』は、シリーズ最新作ということと、この物語の持つ“新しさ”をもっと多くの人に知ってもらいたいからですね。

――『メモリーズオフ6』は、チャリティーとしてiOS版がお手ごろな価格で提供されていました。このチャリティー版の際に、このタイトルを選んだのにはどういった経緯があったのでしょうか?

柴田 当時、自社のタイトルで自由に動かせる『メモリーズオフ6』がいちばん素早く対応できるタイトルだったんです。『メモリーズオフ』を広く知ってもらおうとかそういう意図はなく、ゲームメーカーとして、何かすぐにできることはと考えたときに、瞬発力で選んだタイトルなんですよ。ただ、結果として多くの人に、『メモリーズオフ6』を手にとってもらえましたね。

――両作品の見どころについてお聞かせください。

柴田 『メモリーズオフ6』は、1本のソフトで、ふたつの物語を一気に遊べることですね。『メモリーズオフ6』は、『メモリーズオフ6NR』も含めて、ひとつのお話なので、両方楽しんでもらいたいです。初プレイの方に、プレイする順番は、『メモリーズオフ6』からでお願いします(笑)。『ゆびきりの記憶』では、ギャルゲーでもこんなのアリなんだというところですね。『メモリーズオフ6』は、切ない描写などがプレイヤーを揺さぶるという仕掛けになっているものの、遊びやすいお話になっていると思うんです。『ゆびきりの記憶』のほうは、ガツンと来る流れの物語も入っているので、すべてのヒロインを攻略してください。また、過去にほかのプラットフォームで遊んだ経験のある方には、物語を振り返ることはもちろん、追加要素にも注目してもらいたいです。

――PS Vita版に、フォトモードを搭載することにした経緯についてお聞かせください。

柴田 もともと、スマートフォンで似たようなことができたらいいなと模索していたこともあり、PS Vita版はまたとない機会だということで、実装に踏み切りました。ヒロインひとりだけではバリエーションを出せないと思ったので、ふたりにしようかと、インカメラでもできるようにしようとか、作り始めてみると、こだわりがどんどんでてきて大変でしたね(笑)カメラを持っていって、聖地巡礼をするという遊び方はいままでにあったと思うんですが、PS Vita一台で、ゲームを遊んで、写真を撮って、SNSにアップして……と、いろいろできるのは、アドベンチャーゲームファンの方には喜んでもらえるのではないでしょうか。

――『ふたりの風流庵 ぷらす』はシナリオが2.5倍になっているとのことですが、こちらにテコいれすることになった経緯についてお聞かせください。

柴田 『メモリーズオフ6』に関しては、2作品をいっしょにすることで、ボリューム面で商品価値を出すことができるだろうと思っていたので、内容面には手をつけていません。『ゆびきりの記憶』は、ボリューム的にPSP版と同じではちょっと寂しいなと思っていたので、ふたりの風流庵を膨らませようと思っていました。最低でも2倍くらいと思っていたら、あわや3倍というところまでふくらんでしまいました(笑)。

――『ふたりの風流庵 ぷらす』のボイス収録の現場の様子はいかがでしたか?

柴田 声優の皆さんは、とにかく懐かしいという現場でしたね。PSP版の収録から約2年経っていたので。今回は、詩名が“ぺたぺた”の歌を披露するシーンがあったり、遊び心を加えた部分が多いので、収録はにぎやかでした。

――『ゆびきりの記憶』の初回限定版、ドラマCDについて、ネタバレしない範囲で魅力の紹介をお願いします。

柴田 以前にコミックマーケットで“ささやきCD”というものをリリースしたんです。これは、ヒロインたちが耳元でささやいているというシチュエーションを収録したものなんですが、好評だったんです。この好評を受けて、すぐ近くにいるヒロインの語りを聞けるというものになっています。時間もかなり長めなので、お気に入りのヒロインのものは、クリアー後に聞いてみてください。

――2作品のリリースを記念して、「メモオフラジオ」がリニューアルして放送されています。こちらは、どのような経緯で企画されたのでしょうか?

柴田 移植というには、かなり新しい要素も盛り込んだ作品ですので、盛り上げていきたいとう思いがありました。そこで、過去に何度か放送していた“メモオフラジオ”をリニューアルしようという流れになって、企画を練っていきました。いままでの破天荒な“メモオフラジオ”も面白かったんですが、今回は、新しく来てくれるユーザーさんに向けて、間口を広げるような企画を重視しました。

『メモリーズオフ6 Complete』は、ヒロインごとに2つの物語を楽しめるのが魅力。本編をクリアーすることで、作品に関連した版権絵もギャラリーに追加されるのだ。

『ゆびきりの記憶』は、ちなつと霞の物語は他の3人のヒロインのハッピーエンド見ることで解放される。物語の肝となるエピソードが語られるので、是非ともふたりのルートをクリアーしてほしい。

フォトモードは、ユーザーの工夫次第で遊び方が何倍にも膨らむ。入魂の1枚を撮影しよう!

■『メモリーズオフ』新作は鋭意製作中!?

――さきほど、これからの『メモオフ』についてのお話が少し出ましたが、ズバリ、新作は出るのでしょうか?

柴田 じつは……、企画はずっと練っていて、大方の方向性は決まりつつあります。2013年中というのはきびしいかもしれませんが、お見せできる段階になれば、一気に情報を出そうかと思います。ファンの皆様には、もう少しだけ待ってもらうことになりますが、それまでは、『メモリーズオフ6』と『ゆびきりの記憶』を楽しんでいただければと思います。

――『ゆびきりの記憶』では、タイトル名からナンバリング表記が外れました。次回作のナンバリングはどのようにお考えでしょうか?

柴田 『ゆびきりの記憶』は、ロゴデザインの中にナンバリングとしての『7』を盛り込んでいるのですが、タイトルの呼び名から外すことで“新しさ”をアピールしたんです。この流れがあったので、次の作品のタイトルをどうしようかというのも、議題になっていますね。いっそのこと、次回作は『メモリーズオフ』にするのもアリなのかなと。こうしてしまうと、初代との差別化が難しそうなので、もう少しひねらないといけないですけど。ただ、タイトルにナンバリングがあっても、なくてもファンの方が『メモオフ』だと認めてくれる作品にしたいですね。

――『メモオフ』シリーズほど、歴史の長いタイトルになると、ファンも幅広い層の方がいらっしゃるかと思います。そのファンの考える『メモオフ』らしさというのは、具体的にどういうところを指すことが多いのでしょうか?

柴田 『メモオフ』らしさって何といわれると、どの作品から始めたかによって、人によっていろいろとあると思うんです。ファンの年齢層がこれだけ広い美少女ゲームというのは、なかなかないんじゃないでしょうか。1作目から付き合ってくれている人の中には、40歳台の方もいらっしゃるんです。これが難しいところで、どの『メモオフ』から遊んだかによって、好きな作品のテイストや、重んじるところが違うんですよ。『メモオフ』を知らない人の興味をひける作品にしたい思うと同時に、ファンに届ける作品でもありたいと考えているんですが、難しいですよね。ただ、『メモオフ』シリーズのつながりをかすかに示してくれる、作品の舞台は、次回作でも変わりません。

――次回作でも、澄空や芦鹿島が登場するということでしょうか?

柴田 そうですね。それらの土地はやはり、ファンの方々にとって愛着があるものですから。『メモオフ』の中の地名が、モチーフにしたものと若干違っているのは、1作目を作ったときは、実際の地名でやっていたアニメやゲームは少なかったからなんです。当時は、実際の地名をモチーフにするにしても、ちょっと名前を変えたりすることが主流でした。リアルに、ちょっと架空の設定が溶け込んだ『メモオフ』世界を気に入ってくれているユーザーさんが多いので、大事にしていきたいですね。あ、当然、稲穂信も、出てきます。

''――さきほど、稲穂信の名前が挙がりましたが、嘉神川ノエルについてはいかがでしょう
か? 『メモリーズオフ6NR』ではサブキャラクター、『ゆびきりの記憶』では成長して中学生になったノエルが背景に描かれていたので、気になっています。''

柴田 ノエル、ヒロインとしていつか出したいですよね。ユーザーの方からの要望として挙がってくることも多いですから。『ゆびきりの記憶』では、ノエルは中学生、稲穂さんが23歳とかなんで、ノエルが高校生になるとすると、稲穂さんは26歳か27歳になってしまいます。声を担当してくれている、間島さんの年齢に少しずつ、追いついていっていますね。

――読者の皆様にメッセージをお願いします。

柴田 『メモオフ』シリーズはもう、14年間も続いているシリーズで、製作陣なども、作っているときはここまで続くタイトルに成長してくれるとは思ってもみませんでした。これは、支持してくれるファンの方々のおかげなので、それに応えられるよう、新作もしっかりと準備していきます。今回の『メモリーズオフ6』、『ゆびきりの記憶』は、ファンの皆様に喜んでもらえるような機能や要素を盛り込んだものになっていると思うので、遊びつくしてもらえればうれしいです。

『メモリーズオフ6NR』に登場するクロエの妹である嘉神川ノエル。『ゆびきりの記憶』では、藤川駅の背景に密かに登場している。

稲穂信も次回作に登場することが早々と発表された。次はどのような立場で登場するのか、今から楽しみだ。


メモリーズオフ ゆびきりの記憶
メーカー 5pb.
対応機種 PS3プレイステーション3 / PSVPlayStation Vita
発売日 2013年6月27日発売予定
価格 各7140円[税込]
ジャンル アドベンチャー / 恋愛
備考 限定版(PS3のみ)は9240円[税込]、PS Store ダウンロード版は各7140円(プロダクトコード使用時3570円[税込])


メモリーズオフ6 Complete
メーカー 5pb.
対応機種 PS3プレイステーション3 / PSVPlayStation Vita
発売日 2013年6月27日発売予定
価格 各7140円[税込]
ジャンル アドベンチャー / 恋愛
備考 限定版(PS3のみ)は9240円[税込]、PS Store ダウンロード版は各7140円(プロダクトコード使用時3570円[税込])

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