2013年5月14日、アメリカのカリフォルニア州サンタモニカで、米大手パブリッシャーのアクティビジョンのプレE3イベントが行われた。
中でも大きな注目を集めていたのが、ミリタリーFPS(一人称視点シューティング)『コール オブ デューティ』(CoD)シリーズ最新作となる『Call of Duty: Ghosts』だ。なお原稿執筆時点では、海外ではプレイステーション3とXbox 360とPCで11月5日に発売予定(次世代ゲーム機版の対応プラットフォーム・発売日については後日発表となっていた)。
アクティビジョンCEOのエリック・ヒルシュバーグ氏は本作を紹介するにあたって“NEW WORLD、NEW ENGINE、NEW EXPERIENCES”(新たな世界、新たなエンジン、新たなプレイ体験経験)のCoDであると説明。エグゼクティブプロデューサーのマーク・ルービン氏によるプレゼンテーションは、その中でも新エンジンに比重が置かれていた(もっとも、次世代Xbox発表会のためにとっておいた部分も多いのだろうが)。
今度は単独主人公? ストーリー面にもさらなる注力
とはいえ、技術ネタオンリーだったわけでもない。プレゼンテーションと、その後に行われたアクティビジョン側のシニア・プロデューサーであるイエール・ミラー氏への合同インタビューから、ストーリー面についてわかったことをお伝えしよう。
舞台設定として判明しているのは、何らかの新たな脅威によりアメリカが無政府状態に追い込まれ、ゴースト部隊がゲリラ戦で反撃していく……という程度。まぁこれだけなら「いつものCoDだな」ってなもんだが、本作の脚本にはアカデミー賞の受賞経験もある脚本家のスティーヴン・ギャガン(「シリアナ」、「トラフィック」など)が関わっており、複数のプレイヤーキャラクターを置いてきたこれまでのCoDと異なり、1つの部隊の1人のキャラクターを中心にゲームが進行していくそう。
ちなみにCoDで“ゴースト”と言えば、『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2』に登場したスカル模様のバラクラバ(目出し帽)の兵士の名として知られており、本作のイメージなども彼を連想させるものとなっているが、本作で中心的に描かれる部隊―ミラー氏によれば“ゴースト部隊(Ghost Squad)”―は、彼への敬意を表してはいるものの、根本的に新しいキャラクターたちであるという。
犬、モーション、ダイナミックマップ……。
部隊にはパートナーとして犬もおり、爆発物を発見したり、歩哨に飛びかかるといったアクションでメンバーを助けてくれる。制作にあたっては実際に特殊部隊に属する犬のモーションキャプチャーなども行なっているそう。
人間のキャラクターのアニメーションも、低い障害物を勢いを殺さずにジャンプで乗り越えるモーション、スライディングで走りこむモーションなどが追加されており、これらのアクションをどう使うかもおもしろそう。
そしてゲームプレイ面では“ダイナミックマップ”も注目の要素。マルチプレイマップに大きな変化をもたらすもので、大きな地震や洪水が発生するとか、積んである丸太を崩すといったことにより、マルチプレイの試合中にマップ構造が変化する。状況に対応して戦うことが求められるようになるだろう。
またマルチプレイキャラクターのカスタマイズも、ヘアスタイル、ヘルメット、各種ギアなどが細かくカスタマイズできるようになり、プレイヤーの個性をより表現できるようになる模様。
SubD、明/暗順応、パーティクル……次世代エンジンによるシネマティックな映像を実現
新ゲームエンジンでは、キャラクターのアニメーション、グラフィックなど、あらゆるものが次世代機クオリティーに進化する。その中でも大きなトピックとして扱われていたのがSubDと呼ばれる機能だ。
SubDを簡単に説明すると、ポリゴンモデルを滑らかにする機能。いわゆるテッセレーションとディスプレイスメントマッピングをやっているのだと思われるが、SubDではエンジンの機能として自在にコントロール可能で、パラメーターでリアルタイムに分割度合いを変化させることができるのが特徴。
これによって一体何が起こるのか? デモでは、地面に石のテクスチャーを貼っただけに見えるものが、スライダーを動かすだけで石がモリモリ立体的になっていく様子や、のっぺりしていた崖がデコボコとしていく様子などが示された。ちなみにSubDは現行機(プレイステーション3/Xbox 360)版でも使用しているとのこと。
SubD以外にも、皮膚下の光の乱反射を再現する“サブサーフェイススキャッタリング”や、明/暗順応(急に暗いところや明るいところに入った時に目がゆっくり慣れていく現象)、煙や火の粉を表現する細かなパーティクル(粒子)の擬似シミュレーションなどもやっており、細かな描写の積み重ねがかつてない没入感をプレイヤーに与えるようになっている。
例えばプレイヤーがずっと目にすることになるキャラクターの腕と銃だけを取っても、SubDにより銃のサイトの内側が多角形から完全な円になり、腕のポリゴンモデルも細かくなる。それだけでなく、新エンジンでは手に負った傷や腕の毛などの微細な部分も表現可能になっており、その違いは一目瞭然。モダンウォーフェア3版のプライスとのキャラクターモデルの比較映像も見られたのだが、MW3も十分スゴかったのに、比べて見ると確かに画面から伝わってくる迫力が違うのだ。
こうした表現技術のひとつひとつは画期的なものでこそないが、DX11世代のグラフィックを丁寧に追求しつつも、秒間60フレームのゲームプレイはキープするという明確なポリシーのもとに導入されており、まさに“次世代のCoD”を目指すために作られたエンジンであると言えるだろう。
初ゲームプレイ映像もちょっとだけ……。
ラストにはゲームプレイ映像も先出しでちょっとだけ流された。ダイビングスーツを着込んだ海中でのミッションで、静かに始まり、交戦を経て、最後はもういろんな物が崩壊してきちゃって大変、といういつものCoD節。
一応、魚がちゃんとプレイヤーを避けるようにして泳いでいるとか、水中の気泡がゆっくり上がっていくのが何か良い感じだったりするとか見所はいろいろあったのだが、まぁこれは実際に映像を見てもらう方がいいだろう。映像が公開され次第追加しておくので、お楽しみにお待ちいただきたい。