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ゲームと舞台の一体感! 『スリーピングドッグス 香港秘密警察』プレイインプレッション
公開日時:2012-09-27 00:00:00
本日2012年9月27日に発売されるプレイステーション3、Xbox 360、およびPC用ソフト『スリーピングドッグス 香港秘密警察』。本作は、香港を舞台に、アクション映画さながらのド派手な格闘戦や銃撃戦を体験できるオープンワールドアクションゲームだ。今回は前回に引き続き、より中身に踏み込んだプレイインプレッションをお届けしよう。
■これまでのあらすじ†
潜入捜査官として、生まれ故郷でもある香港へと戻った主人公のウェイ。彼の目的は、香港の裏社会組織である"トライアド"への潜入だった。下部組織のリーダー、ウィンストンのもとで下働きを始めたウェイは、さまざまな仕事をこなし徐々にそこでの信頼を積み重ねていく……。
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一方、海外にロクに行ったこともないボンクラ中年ライターは、「あ、これ映画で見た香港と同じだ!」と、キャッキャと遊ぶのだった……。
■気がつけば大量のメモ†
ということで、先週お届けした序盤までのプレイインプレッションに続き、今回はもう少し先まで遊んだ感想を書こうと思います。前回同様、ストーリーの流れを紹介しつつ、書き連ねていこう……と、最初は思っていたのですが、あきらめました!
というのも、今回この記事を書くということで、メモを取りながらプレイしていたのですが、ある程度経ってから見返してみたら、あまりにも量は多いし、一見ぶつ切りの言葉の羅列だし、おまけに字は汚いしで、もう何が何だかなのです。
たとえばこんな感じです。
・クルマのハンドリングはゲーム的でスピード感ヤバイ!
・突然のファイトクラブ!
・街中の至る場所で物集めまくり!
・西洋圏はアジアンビューティー好きだな!
・カンフー師匠がイイ味!
・コロコロ変わる天気! 雨が汚くてカッコイイ!
・また迷子! また発見!
・銃撃戦がジョン・ウー!
・カッパライに次ぐカッパライ!
こんな言葉が、ストーリーを追ったメモの合間に、いっぱい書かれているのです。自分で書いていて、あまりに雑然としていて、そこから流れを再現できなくなってしまいました。もちろん、メインとなるストーリーはあるので、それを追って紹介することはできるのですが、どうもそれでは本作の魅力の一部しか伝えられない気がするのです。
さてどうしたものかと、汚い字を眺めていたら、ハタと気がつきました。むしろ、この雑然としたメモこそが、本作の魅力そのものではないかと。
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■混沌とした街の魅力†
本作の魅力は、オープンワールドタイプの自由なシステムや、映画顔負けのド派手なアクションなど、挙げればキリがありません。ですが、最大の魅力は何かと聞かれたら、自分はやはり香港という街の再現そのものだと思うのです。
前回も書きましたが、自分は香港に行ったことはありません。だけど、映画やマンガの香港は知っていましたし、いまはなき高層スラム街、九龍城の写真集なんかも持っていたりして、魅力的に感じている街でした。
で、どこに惹かれているのかとあらためて考えてみると、やっぱりその雑多な雰囲気なんですよ。中国とイギリスの文化が混じった、ハイブリッドな建築物。近代的な商業都市でありながら、古い思想的な物も同居している時間的な不定感。それらを根底に敷いた、住人たちの匂い立つような生活臭。
たとえは少し悪いですが、それは廃墟に感じるような汚さや、そうでありながらもキレイと感じてしまう感覚にすごく近い気がします。生と死が渾然としているような、目を背けたくも目が離せない魅力というか。
雑然としたメモを眺めているうちに、それとすごく似た感覚を覚えたのです。
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■詰め込まれたゲーム性の魅力†
ゲームの話に戻しますと、本作は本当にいろんな要素が入っています。格闘、レース、物集め、シューティング、カラオケ、闘鶏。これらに加え、暗号解読やピッキングなど、ミニゲーム的な要素もてんこ盛り。
要素を大量に詰め込むということは、ともするとゲーム全体を散漫にさせてしまうリスクがあると思うのですが、本作ではそれを感じさせません。それは、これらの要素がつぎつぎに展開し、ゲーム全体の流れの中にスムーズに組み込まれているからです。つまり、ゲーム要素が切り替わったときにブツ切れ感がなく、ひとつの流れとして体感することができる。
もちろんオープンワールドタイプのゲームであるならば、そこがもっとも重要なキモだと思うのですが、本作はそれがとてもうまくいっている気がするのです。そしてそれを成立させるのにひと役買っているのが、香港という街そのものではないかと。
雑多な香港の街が、さまざまなゲーム要素を埋め込むのに適していて、さらに生命力と死を同時に感じさせる空気感が、クライムアクションという設定をより盛り上げている。要するに、ゲーム内容と舞台が非常にマッチしているのです。
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■香港ノワールとしての魅力†
そしてもうひとつ。本作の魅力を語るのに、香港の街と同じぐらい外せないのが香港映画の影響です。
香港映画もやはり文化的土壌からか、単純に西洋東洋と割り切れない、独特な作品が多くあります。本作で言うと、いわゆる香港ノワールと呼ばれる作品群、ジョン・ウー監督作品などの影響は疑いようがありません。
明確な定義はありませんが、香港ノワールというのは裏社会におけるギャングと警察の対立や、そこでくり広げられる友情の物語を、銃やカンフーが入り乱れるアクションで彩りつつ展開していく映画、といったものです。
もう、本作そのままですよね。
警察とトライアド、ふたつの視点から描かれる香港の裏社会。そこでくり広げられる対立と抗争、友情と裏切り。やがて見えてくる警察の抱える闇。そして、黒社会の中で芽生える絆。白と黒が混然とした物語は、これもまた香港の街に似た雑然さを持っています。
アクションも見事に香港ノワールを再現しています。香港ノワールは、ダークな世界を描きつつも、アクションはしっかりエンターテインメントしているのも、大きな魅力のひとつなのです。
たとえば殺陣をつけたかのように、美しく流れるように展開するカンフーの攻防。これらをシンプルなボタン操作だけで出すことができます。前回も書きましたが、とくに気持ちいいのはカウンターからの反撃。それこそブルース・リー並の動きを簡単に出せ、気分は達人。周囲のギミックを利用した攻撃は、どちらかというとジャッキー・チェンのアクションっぽいですね。
無限と思えるほどの弾を放ちつつ、スタイリッシュに描かれる銃撃戦。これも香港ノワールの代名詞です。銃を使えるようになるのは、ミッションをある程度進めてからなのですが、そこでまたゲームとしてひとつ質が変わった印象を受けました。
特筆すべきは、遮蔽物などから飛び出したときにスローモーション状態になり、敵に狙いを定めやすくなるシステム。これはゲームとして気持ちよさを作るだけでなく、それこそジョン・ウー映画のような演出ともつながり、よりプレイヤーを戦いに没頭させます。
カーアクションも見逃せません。クルマやバイクを使った要素には、レースなどのシンプルなものから逃亡や追跡。さらには運転しながらの攻撃や、飛び降りてからの攻撃。もっとすごいのでは、走っているクルマからクルマに飛び移り、相手の車を奪うといったダイナミックなものも登場。
映画のようなアクションを、自分の手で再現できるというのは、なんとも言えない気持ちよさがありますよ。
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■見たかった香港の世界へ†
もうお分かりいただけたかと思いますが、香港の街や香港映画が好きな方に、本作は手放しでオススメです。見たかった風景、見たかったアクション、見たかった物語を、主人公になって自由に楽しむことができるゲームです。
オープンワールドタイプのゲームと、こうも噛み合う有名な実在の街って、そうないのではないでしょうか。そういう意味では、本作は舞台を香港にすると決めた時点で、ある程度の成功は約束されていたという気すらします。
もちろん、それをより成功させるには、その魅力を存分に体感させるためのシステムや、街の空気感をも感じさせるグラフィックが必要です。それらをしっかりクリアーしている本作は、コアなゲームファンにも安心して勧められる一本でもあります。
最後にひとつ付け加えておくこととして、本作がZ指定のゲームで、一部過激な表現があることがあります。それらの要素は、自分は本作の自由度を増すためのひとつの要素だと捉えています。
たとえば関係のない一般人を攻撃したり、無軌道にクルマを暴走させたりして、トライアドとしての評価を高くするといった遊びかたも可能です。どちらが正しいかではなく、どの道を選ぶかどうかは、あくまでプレイヤー自身に委ねられています。
前回も書きましたが、それはゲーム的なおもしろさを増すだけでなく、黒社会の物語だというのを強く意識させるための、重要な要素のひとつです。その部分を海外版とほぼ変えることなく発売されるのは、制作者側への敬意という意味も含めて、間違っていないと自分は考えています。
ということで、そろそろ自分もあの香港に帰ります。まだまだやることはいっぱいでして、今日は縄張りを増やしつつ、ちょっと海岸でレースを楽しんだら、カンフーの新技を教えてもらって、そのあとおねーちゃんとカラオケでもしようかと。では再見!
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■著者紹介 ババダイチ
週刊ファミ通でクロスレビュアーも務めるフリーライター。ゲームは全般的に遊ぶが、うまいというわけではない。ジャッキー・チェン、ジョン・ウーは直撃世代だが、香港には行ったことがない。
※スリーピングドッグス 香港秘密警察の公式サイトはこちら
Sleeping Dogs (C) 2012 Square Enix Ltd. Published by Square Enix Co., Ltd. 2012. Developed by UNITED FRONT GAMES. SQUARE ENIX and the SQUARE ENIX logo are registered trademarks or trademarks of Square Enix Holdings Co., Ltd. SLEEPING DOGS and the SLEEPING DOGS logo are registered trademarks or trademarks of Square Enix Ltd. Sleeping Dogs uses Havok TM: (C) Copyright 1999-2012. Havok.com Inc. Dolby and the double-D symbol are trademarks of Dolby Laboratories. This software product includes Autodesk(R) Scaleform(R) software, (C) 2012 Autodesk, Inc. All other trademarks are the property of their respective owners. All rights reserved.
※本ソフトはCEROにより18歳以上のみ対象の指定を受けておりますが、掲載にあたっては、ファミ通.comの掲載基準に従い考慮しております。
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