“G4”は、文化庁が展開する、日本の文化芸術の未来を担うクリエイターやアーティストを、国が腰を据えてバックアップするために日本芸術文化振興会に設置された“文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター支援基金)”の一環として提供されているプログラムだ。

国のコンテンツ産業への支援と言うと、クリエイターやスタートアップ企業を支援する、経済産業省のアクセラレーションプログラムの“創風”や、こちらもクリエイター支援基金によりCESAが実施する次世代ゲームクリエイター育成プログラム“トップゲームクリエイターズ・アカデミー(TGCA)”などがあるが、“G4”がとても興味深いのは、ゲーム会社の海外販売やマーケティング担当者を対象にしていること。
ぶっちゃけて言えば、日本のゲーム(おもにPC、Steam)を海外で売るためのノウハウを伝授するのが“G4”だ。「国のコンテンツ産業に対する支援も幅が広がってきたなあ」というのが、“G4”のプログラムを知ったときの率直な感想だが、それだけ国がゲームを始めとするコンテンツ産業に将来性を感じている証だとも言えるし、日本のゲームメーカーに対して、“もっと世界に打って出てほしい”という期待の現れとも言える。
昨年2025年9月に参加者が募集された“G4”は、11月に育成対象者となる10名が決定。この1月からプログラムがスタートしている。プログラムの期間は3年間で、その内容はなかなかに濃い。
- オンライン講義……海外ゲームマーケティングの専門家によるオンライン講義を2028年3月までに合計26回実施予定。
- 海外イベント視察……主要な海外イベントへの視察を実施。現地のゲーム会社やPR会社、メディアなどへの企業訪問も併せて実施予定。
- ゲームストアでの共同展示……本プログラムに参加しているゲーム会社のゲーム作品を海外に向けてプロモーションする実践の場として、ゲームストアでの共同展示を予定。
会社の業務をこなしながらこれだけのプログラムを履修するのはけっこうなパワーが要求されそうだが、3年間のプログラムで得るものは多そうだ。
そんなことを考えていたところに、今回ご縁があって “G4”に関してお話をうかがうことができた。対応してくれたのは、文化庁 参事官(芸術文化担当)付参事官補佐の是永寛志氏、独立行政法人日本芸術文化振興会 沼下佳子氏、IGDA日本(国際ゲーム開発者協会日本) SIG-Growth正世話人 佐藤翔氏だ。お三方に “G4”の目指すものや今後の展望などを聞いた。

是永寛志氏(これながひろし)
文化庁 参事官(芸術文化担当)付 参事官補佐 (文中は是永・写真中央)
佐藤翔氏(さとうしょう)
IGDA日本 SIG-Growth正世話人 (文中は佐藤・写真右)
沼下桂子氏(ぬましたけいこ)
日本芸術文化振興会 企画部 基金・助成事務局 基盤強化事業課 メディア芸術係 専門職員 (文中は沼下・写真左)
- 日本のコンテンツをもっと世界に届けたいとの思いから“クリエイター支援基金”を設立
- 業界全体でインディーゲームのパブリッシングに強い人材を育てたい
- “G4”に対して46社からの応募があり、大きな手応え
- “オンライン講義”や“海外イベント視察”などできっちりノウハウを学んでもらう
- 参加者からは高い評価。欧米圏のトップレベルのマーケターとつないでいくことが課題
- セルフパブリッシングをしているゲームスタジオを支援する取り組みも計画中
- 【G4参加メンバーの感想】
日本のコンテンツをもっと世界に届けたいとの思いから“クリエイター支援基金”を設立
――せっかくの機会なので、ゲーム歴などもうかがってよろしいでしょうか。
好きだったのは、『熱血硬派くにおくん』シリーズですが、メジャーなタイトルはひと通り遊んできたかなと思います。『女神転生』シリーズや『天誅』シリーズも好きでしたね。
――相当なゲーム好きですね。
現職に従事する前は、文化庁の参事官(芸術文化担当)付のメディア芸術発信係というところで、メディア芸術祭やメディア芸術クリエイター育成支援事業に関わる研究補佐員として、5年間働かせていただいておりました。当時は是永さんが上司で、とてもお世話になっていました。在職中に基金の計画などが始まったのですが、そのご縁もあって、また人材育成関係の仕事をしたいなと思い、現職に転職しました。
――沼下さんのゲーム歴はいかがですか?
――アートとゲームも近しいものになってきていますね。
ゲーム歴は、もういろいろと遊び過ぎていてよくわかりませんが(笑)、最近いちばん気になっているのは『I am Jesus Christ』や『こふんは生きている』でしょうか。もちろん大規模で制作されている大作も好きですが、やはりゲーム業界が発展していくためには、小規模の、尖ったゲームも重要だと思っています。我々としてもそういったところを応援していきたいですね。
――今回の主題である“G4”についてお聞きする前に、そのもととなった文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター支援基金)について教えてください。
加えて、ゲームを始めとする日本の文化は、世界中で親しまれています。たとえば、東京オリンピックのときには選手入場時にゲーム音楽が使用されていましたが、それぐらいゲームが日本の文化として世界で認知されています。
私自身ゲームミュージックが好きなのですが、小学校のときは教室にあったオルガンで、男子たちが競ってゲームミュージックを弾いていたんですよ。みんな片手で。そのゲーム音楽がオリンピックという場で流れたのは感慨深かったです。

令和6年度の補正予算事業では、社会人のリスキリング、専門人材の育成、教育機関におけるカリキュラム見直しなどによって、業界が必要としているスキルを持った人材を、いかに学校機関で育てていただくか、という点に焦点を当てています。学生向けの部分では日本電子専門学校さんや立命館大学さん、電気通信大学さん、社会人向けとしてはIGDA日本さんやDeNAさんなどの取り組みが採択されています。
DeNAさんはモバイルゲームに特化した取り組みをされているんですよ。プロデューサー、ディレクター、マーケター、エンジニア、デザイナーなど、職能ごとの違いを明文化して、グローバル展開に貢献できる人材をどのように育てられるか、これをまず自社の中で整理していただき、そのノウハウを他社さんにもご共有していただくようなことに取り組んでいただいています。
――ゲームコンテンツ産業振興の動きが、クリエイターからそのまわりの人材にまで広がっていったわけですね。
CNC(セーエヌセー。フランス国立映画映像センター)も最近はインディーゲームにも力を入れていますし、東京ゲームショウでも東南アジアのブースがあったりして、各国が本腰を入れて動きだしているんです。だからこそ、日本としてもゲームクリエイターを始めとして、ゲームという分野自体を支援していくべきだろう、と判断したのです。
たとえば、伝統文化の世界でも、放っておくとなくなりそうだから行政の支援が必要というものもあれば、人気があってなくなる心配はないけど、行政がさらに支援して強化する必要があるというものもあるんです。ゲームはそちらに近い考えかたですね。
産業としての直接的な支援に関しては経産省が、海外に展開するビジネスへの補助金を出されていますが、文部科学省の外局である文化庁としては、やはり人を育てる、というのが根っこにあります。ですので、人材育成という形で支援を行っています。
――ゲームの作り手を支援するところから、そのまわりの販売者などにも支援が広がっているということで、予算は年々増加しているのでしょうか。
コンテンツに関連する分野として、映画や音楽、マンガやアニメはこれまでにも扱われていましたが、5年前、10年前はそこにゲームがほとんど含まれていなかったのではないかと思います。ここ最近になって文化庁や日本芸術文化振興会がゲームも重要である、と考えてくれるようになったので、その変化はすごく大きいと思います。

業界全体でインディーゲームのパブリッシングに強い人材を育てたい
ただ、海外で展開していくためには、開発者だけでなく、海外で販売するための戦略も練っていく必要があります。日本のインディーゲーム開発者がまず頼りにするのは、日本のパブリッシャーですよね。もちろん大手であれば海外で販売するノウハウもあると思いますが、大手の会社でインディーゲームのパブリッシングレーベルを持っている会社はそう多くないと思うんです。
そうなると、セルフパブリッシングで成功している事例がいくつかあるとは言え、基本的にはインディーゲームのパブリッシャー、最近であれば講談社さんや集英社ゲームズさん、Playismさんなどの力を借りないと、海外で売っていくことは簡単ではありません。その背景として、日本はSteamのマーケットがとても小さいというのもあります。
――家庭用ゲーム機が人気ですし、モバイルゲームの市場も大きいですね。
ところが、Steamのハードウェア調査を見てみると、日本のマーケット規模は3%以下なんです。いちばん大きいのが中華圏と英語圏で、この地域が6割以上を占めています。ですので、パブリッシャーが海外に売っていくノウハウを持っていてくれないと、日本のパブリッシャーを頼りにする多くの日本のインディーゲーム開発者はマーケットの大部分にものを届けることができないんです。
――セルフパブリッシングの場合はいかがでしょうか。

――だからこそ、業界全体でインディーゲームのパブリッシングに強い人材を育てていこうということなのですね。
――いまのお話にもあったかと思いますが、“G4”が目指すものについて、もう少し教えてください。
Steamにおけるマーケティングのノウハウは、すごく急激に変わっていきます。2025年には20000本以上のゲームが出ていて、その中でユーザーに興味を持ってもらうためのノウハウは、すごく変化が激しいんです。
――GDCやCEDECといったゲーム関連のカンファレンスでも、Steamにおける販売戦略を解説する講演は多いですね。
とはいえ話を聞いていると、意外と同じような施策を打っていたり、似た失敗をしていたりもするんです。そういう意味で、横のつながりをしっかりと作ることは、すごく大事だと思うんです。欧米ではそういったつながりが強くて、GDCなどでもマーケティングの専門家が集まって交流したりしているんですよね。日本にはそういうものがなかった、ということに気付いたんです。
――イベントなどで開発者どうしが仲よくしているイメージはありますが、売る立場の人たちはそういったつながりがまだ弱いのですね。
――開発者どうしに比べると、販売者どうしというのはライバルとしての感覚が強くなりそうな気がしますが、そのあたりはいかがですか?
いいタイトルを自分たちが販売したい、という点ではライバルになりますが、海外のマーケットを取れていないという現状は同じなので、そこはみんなで協力できるポイントになります。日本のインディーゲームでもワールドワイドで100万本、200万本を売り上げるタイトルが出てきましたが、さらに上を目指すには、お互いのノウハウや知見を共有していかないといけない。そういうフェーズに入ってきているのかなと思います。

“G4”に対して46社からの応募があり、大きな手応え
――46社というのは確かに驚きですね。1社につき1名のみの応募、としたのはなぜですか?
――46社の応募から10名を選抜するにあたり、審査基準はどういったものだったのでしょうか。
そのうえで評価の基準となったのは、語学力と開発者への意欲、そして交流の意思です。海外との具体的なコミュニケーションスキルや現地での経験は、言うまでもなく重要です。そのうえで、開発者の作品が世界に届かないと意味がないので、開発者の作品を売っていく意欲がどれだけあるのか、それを示す実績がどれだけあるかも基準とさせていただきました。
先ほどもお話ししたように、このプログラムはノウハウを業界全体に広げるためのものです。ですので、他社を含めてほかの方々とつながって、交流していく意思を持たれているか、そこも評価の対象になりました。
育成対象者となる方々にお会いしてお話をする機会もあるのですが、やはり皆さん業務を担当されている方なので、実務的に学ぶ意欲がすごいんです。オンライン講義でも皆さん積極的に質問をされていて、明日の業務にどう活かそうか、という意欲をとても強く感じます。
――選抜にあたっては、所属している会社だけでなく個々人のパーソナリティーなども見られたのでしょうか。
意識的にバランスがよくなるようにしたわけではないのですが、結果的に沼下さんがおっしゃったように、偏りのない方々を選ぶ形になりました。パブリッシング事業を始められたばかりの会社から、ファミコン時代からゲームの販売を続けられているコトブキソリューションさんのような会社まで、幅広い会社が揃っています。ミッドナイトカップケーキさんのように、個人のゲームスタジオの方もいらっしゃいます。ちなみにバランスという点で言えば、男女比もちょうど5:5になっていますね。
じつは日本の社会人って、世界でいちばん勉強していないと言われているんですよ。自主的に学んでも会社で評価してもらえないなら、学ばないのも無理はないかもしれません。そのため、日本ではリスキリング(※)はあまり成功しないケースが多いのですが、リスキリングを進めるうえで大事なことのひとつがコミュニティー作りなんです。そこで盛り上がりを作って、ある種、正の同調圧力を生むことで成功につながっていく面があるんです。そういう意味で、今回のように大きな座組を作って実施していただけるのは、非常によいことだと思います。
欧米のインディーゲームパブリッシャーと張り合えるくらいの販売力を持っている日本のインディーゲームパブリッシャーって、そんなにいないんですよ。そういった方々がノウハウを学ぶ場として“G4”を役立てていただいて、それによって日本の作品が海外にちゃんと届くようにする、それが大事なのかなと思います。
――“G4”の公式サイトにあるスケジュールでは、3年目までのプログラム内容が記載されています。いったん3年がひと区切りとなるイメージなのでしょうか。

“オンライン講義”や“海外イベント視察”などできっちりノウハウを学んでもらう
参加していらっしゃる皆さんは、企業の規模も成り立ちもバラバラですし、他業種から入られた方もいれば、職種もそれぞれに異なるので、ある程度足並みを揃える必要があります。そのために、まずはオンライン講義で基礎知識、応用知識を身につけていただくことが大事だと考えています。
――オンライン講義は全26回と、けっこうな数が予定されていますね。
実際に実施した公開講演の中では、欧州のゲームイベントでマーケティング系のサイドイベントを主催されているジュリア・ケニーさんをご招待しました。どの分野でもそうだと思うのですが、欧米の専門家はクローズドサークルを作りがちです。そこに入っていかないとノウハウが手に入らないので、そういったクローズドサークルにいる人たちとガッツリつないでいく、というのもオンライン講義の目的になっています。
――個人でも企業でも、日本人が欧州のクローズドサークルに入っていく、というのはなかなかに難度が高く感じられてしまいますからね。
それに加えて、いまお話ししたようなクローズドサークルにいるトップの方々と、直接コネクションを作っていただく、というのも目的にしています。実例で言えば、今年のGDCでは、毎年Steamマーケティングの第一人者として登壇しているクリス・ズコスキーさんや、『Among Us』のコミュニティーマネージャーを務めるビクトリア・トランさんなど、世界トップクラスの方々とお会いできています。そういった関係性を築いていくことも重要ですね。
――海外パブリッシャーとも会っているのですか?
ところが実際にお願いしてみると、意外と関心を持っていただけたんです。向こうは向こうで、日本やアジアがどういうふうに取り組んでいるか、知りたかったようなんです。そういう意味でも、パブリッシャーどうしライバルではありますが、協力し合える関係なんです。
――国内のパブリッシャーに言えることが、世界を通じても同じだったということですね。


現時点ではまだイベントでのブース展示などは予定していませんが、そのあたりは適宜、状況に応じて変化していく部分かなと思います。イベント視察についても、世界情勢などを考えて計画は柔軟に変更できるようになっています。そういった変更を許容できる仕組みになっているのも、本プログラムのありがたいところかと思います。

参加者からは高い評価。欧米圏のトップレベルのマーケターとつないでいくことが課題
ただ、欧米圏のトップレベルのマーケターとつないでいく、という部分はまだまだだと思います。販売の世界はものすごく幅が広いです。マーケティングには“プロダクト”、“プレイス”、“プライス”、“プロモーション”というマーケティングの4Pというものがありますが、分野ごとにいろいろな専門家がいらっしゃいますから。ここにつないでいくことに関しては、これからも工夫していきます。

もちろん、そういった付き合いに慣れていない方もいらっしゃいます。たとえば、もともとアニメや映画のディレクターをされていた方などもいらっしゃるのですが、少し入っていきにくいですよね。そういう場合は、こちらから前職の分野ではどうマーケティングを行っていたか、ゲームと比べてどんな違いがあるか、みたいなことをお聞きして、皆さんとつながりやすくなるようにしています。
世界中の専門家とのネットワークを機関としても蓄積していただきつつ、各社にもそのつながりを共有していただくことを、今後も引き続き行っていただきたいです。

セルフパブリッシングをしているゲームスタジオを支援する取り組みも計画中
――今回お話しいただいたもの以外では、クリエイター支援基金の事業として採択されているプロジェクトにはどのようなものがあるのでしょうか。
教育機関への支援という点で言えば、釧路工業高等専門学校さんでは、高専では唯一の採択校ですが、“高専の実践力に基づいたクリエイティブ・イノベーター育成プログラム”としてゲーム・デザインを中心とした取り組みを始められています。東京音楽大学さんでは“ミュージック・イノベーション特別課程”というプロジェクトで、ゲーム音楽も作れるような新しい教育をしよう、という動きもあります。
今後、もっと初等中等教育機関にアプローチして、子どもたちに「ゲームってこうやって作るんだよ」とか、「ゲーム業界はブラックな環境ではないよ」、という周知をして、若い世代からすそ野を広げていくようなプロジェクトも始めていきたいと考えています。
東京藝術大学はDeNAさんとも連携されていて、東京藝術大学出身でDeNAさんに就職された方が、東京藝術大学でワークショップの開発をされているんです。そういった感じで、今回のプログラムで採択されている団体が、ほかの方々とも協力しながら、積極的にいろいろなことを試してくださっているというのは、担当者としても感じています。
――最後に、今後の抱負を含め、本インタビューを読んでいる読者へのメッセージをお願いします。
ユーザーがゲームの中でインタラクティブに世界とつながっていく、ゲームそのものが人と人をつなぐものになっています。文化芸術の基本的な性質って、人と人をつなぐものなんですよね。文化庁として今後も“ゲーム”という文化には力を入れていきたいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。
日本芸術文化振興会のような立場にある人間ができるのは、そういったつながりを生み出すことなのではないかと思っています。クリエイター支援基金という枠組みがあるからこそ、分野を越えて課題を共有できて、それによって可視化されることが出てくる、それがおもしろい。今後もプログラムに参加していただいている方々に、確実に前へと進んでいるという実感を持っていただけるよう、がんばっていきたいです。
先ほどお話ししたように、開発者としてセルフパブリッシングを目指しているような方にも、ノウハウを届けるための仕組みを計画しています。そういった意味で、日本のゲーム業界全体が海外に打って出やすくなるような仕組みを作っていきたいです。その仕組みを通して、読者の方々が好きなゲームが世界中にもっと広がり、異なる国の人と日本のゲームを共通の話題にして盛り上がれるような、いい結果につなげていければと考えています。

【G4参加メンバーの感想】
東映 岩川日和氏「参加者が新参者も温かく迎え入れてくれるのは感謝しかない」

岩川 私は、東映としてゲーム事業の立ち上げ準備が本格化し始めた昨年10月に現部署に異動しきたのですが、異動したその日に、上長から「G4というものがあって…応募してみないか」と打診をもらい(締め切りは2025年10月3日だったと記憶しています)、東映としてゲームビジネスの知見がほとんどない中、これ以上の機会はないと思い飛び込ませていただきました。
Q.実際に参加してみての感想を教えてください。
岩川 ほかのG4採択者の皆様はゲーム業界の歴戦の猛者の方ばかりで、講師の方ももちろんなのですが、参加者の皆様の現在進行形でのご経験や困りごとをリアルタイムで聞けるのがたいへん貴重だなと感じています。
Q.ほかメーカーの参加者との、印象的なやり取りを教えてください。
岩川 G4の講義は基本的にオンラインなのですが、海外ゲームショウのアフターパーティでG4メンバーにたまたまお会いしたりすると、我々はもちろん知り合いがほとんどいない状態の中、「この人が来てるから紹介するよ!」という風に、皆様の人脈を惜しみなく紹介していただける方がたくさんいて……。我々のような新参者を温かく迎え入れてくださって感謝しかないです。
Q.国がこういった取り組みをすることに対する感想を教えてください。
岩川 ありがたい限りです…! とくに、まだスタートしたばかりで手の届かない地域(北米や欧米など)の知見をいただけたり、実際に視察に行かせていただけるのがものすごくありがたいです。
Q.今後G4で取り組んでみたいことを教えてください。
岩川 7月から10月にかけて、複数の海外視察に行かせていただけることになっているので、現地の温度感を肌で感じて、現地の企業の方と積極的にコミュニケーションしていきたいです。
集英社ゲームズ 福田匠氏「これまで会社が蓄積してきた海外販売に関する知見をさらに深められるチャンスだと感じた」

福田 まずひとつめに、純粋に海外販売の知見を深めたかったというのが大きいです。
私は昨年(2025年)2月に発売した『都市伝説解体センター』というタイトルを担当していたのですが、このゲームは海外でも一定の反響をいただけた一方で、日本の強い反響を鑑みると、もっと多くの国に、もっと多くの方々に届けられる伸びしろを感じました。そういったことを考えていた中でG4の募集が始まり、これまで会社が蓄積してきた海外販売に関する知見をさらに深められるチャンスだと感じました。
ふたつめに、ともに高めあえる、年代の近い仲間を見つけたかったというのもありました。業界で名前が出てくるようなベテランの方々は、作品を通して年月をかけてつながっている印象を受けています。私も同様に、今後この業界を牽引していくであろうほかの会社の同世代の方々とつながることで、組織の枠組みを超えて切磋琢磨する仲間が見つけられるのではないかと思いました。
Q.実際に参加してみての感想を教えてください。
福田 まず大きな点として、前述の目的は達成されたように感じました。
メンターの方々は、欧米・中華圏といった主要市場に非常に強い知見を持っており、かつ第一線でいまもSteamでビジネスをしていらっしゃる方々で、講義内容はいつも非常にためになり、すぐ業務に活かせるような実践的知識ばかりでした。
また、私のほかに参加されている方々も、非常に高いモチベーションを持っておられて、日々自分の勉強不足や語学力の不足を感じ、勉強や仕事により一層励むきっかけにもなりました。G4を通じ、こういったすばらしい方々と出会えたというのもとてもうれしかったです。
加えて、参加するまで想定していなかったうれしいこととしては、こういったプログラムを通じてでないと出会いにくいような業界の第一人者の方々とたくさんお会いできた点です。タイトルスカウト、マーケティング、コミュニティー育成、いずれも目から鱗のノウハウを聞くことができ、またそういった方々とのつながりもできました。
Q.ほかメーカーの参加者との、印象的なやり取りを教えてください。
福田 G4でGDCに行かせていただいた際、前述の通り業界の第一人者の方々と多数お会いすることができたのですが、ここで教えていただいた知見に関し、サンフランシスコのおいしいご飯をいただきながらほかメンバーとざっくばらんに議論できたのは非常に楽しく、意義深い時間でした。
Q.国がこういった取り組みをすることに対する感想を教えてください。
福田 本当にありがたいことだと感じています。
本記事内でも触れられている通り、日本のSteam市場のシェアはまだとても小さく、ここで戦うためには確実にグローバルマーケットを取りに行かなくてはいけないビジネスであると体感しています。近年、日本でもSteam市場は注目されてきてはいるものの、作り手側としては言語の壁やノウハウ不足もあり、海外展開に苦戦している印象を持っています。一方で、日本にはゲーム開発者の数が多く、届けることさえできれば世界中に広がりうるおもしろいゲームが規模の大小を問わずたくさんあると感じています。この“届ける”という厚い壁を、このプログラムを通じた知見によって突破させていただき、ノウハウを浸透させることができれば、ゲーム市場、ひいては日本のゲーム業界全体にも貢献できるはずだと信じています。
加えて、このような特別な機会をいただいている以上、成果でお返ししなくてはという私自身の責任感も感じています。
このすばらしいプログラムを継続させるためには、参加したメンバーが力を合わせて成功し、取り組みに正当性を与える必要があるのではないかと考えています。私の立場としては、G4で得た知見を活かし、みずからがプロデュースを担当するゲームを成功させることでG4に報い、さらにそこで得た知見を日本の業界全体にも浸透させていきたいと考えています。
Q.今後G4で取り組んでみたいことを教えてください。
福田 講義やイベント視察を通じ、ノウハウや知見をたくさん共有していただいたので、つぎはそれを実践させていただく機会があればと考えています。
たとえばゲームイベントに出展したり、実際にコミュニティー運用や各種マーケティング活動をしながら、お互いにその成果を報告し合い、議論し、改善するサイクルができれば、ノウハウを実践的知識に変えることができるのではないかと感じています。やはりノウハウをお聞きしただけでは、実際にやってみるとうまくいかないケースも多々あると思いますので、実践の機会をいただければより成果につなげられるのではないかと考えています。
松竹 吉岡佐和子氏「参加している皆さんのモチベーションが非常に高く、私も刺激を受けながら高い意欲を持って取り組めている」

吉岡 弊社として今後グローバルパブリッシングタイトルが増えるため、海外での販売方法を体系的に学びたいと考えていたところ、まさにこのG4がぴったりのプログラムでした。
また私個人としても、もともとは別業種でマーケティング業務に従事していたため、ゲーム市場への理解をさらに深め、専門的な知識やノウハウを習得したいと思い応募いたしました 。
Q.実際に参加してみての感想を教えてください。
吉岡 これまでは講義とイベントへの参加がメインでしたが、講義内容が非常に具体的でたいへん参考になっています。
ゲームマーケティングの基礎知識から、Steamページの最適化、海外メディアとの向き合いかたといった実践的なTipsまで幅広く網羅されており、日々変化するゲーム市場の最新トレンドをキャッチできる点も魅力です。
また、ともに参加している皆さんのモチベーションが非常に高く、私も刺激を受けながら高い意欲を持って取り組めています。
Q.ほかメーカーの参加者の方との、印象的なやり取りをお教えください。
吉岡 G4の講師陣や参加者の皆さんが集まるDiscordのグループチャットがあるのですが、あるとき、私がわからないことがあり、過去事例を質問したことがありました。
その際、皆さんがご自身の実際の経験を惜しみなく教えてくださったことが非常に印象に残っています。垣根を越えて、お互いに協力し合える関係性が築けていることに深く感謝しています。
Q.国がこういった取り組みをすることに対する感想を教えてください。
吉岡 今後も世界のゲーム市場はさらなる成長が見込まれるため、国が主導して次世代のゲーム人材を育成する取り組みは非常にすばらしいことだと思います。私個人としても、このプログラムに参加させていただき学びが本当に多く、感謝の気持ちでいっぱいです。
今後は一期生としてしっかりと成果を出し、このすばらしいプログラムが続いていったらうれしいです。
Q.今後G4で取り組んでみたいことを教えてください。
吉岡 今後はこれまでに学んだ知識を活かし、実際にアウトプットする場として“共同出展”などに挑戦してみたいです。実践を通じて学びをしっかりと自分の身につけたいですし、成果を報告することで少しでも自分が学んだことを還元していきたいです。












