コーエーテクモゲームス ガストブランドを代表するRPG『アトリエ』シリーズ。その最新作となる『カリアのアトリエ ~夜の王国と追憶の道標~』が、2027年初頭発売予定であると発表された。 同作は、2025年に発売された『ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~』に続く、“追憶”シリーズ第2弾。主人公のカリアは、記憶喪失の冒険者で、あらゆるものを食べられる能力を持っている。謎めいたカリアと仲間たち、そして前作の主人公のユミアらが、未知の地下世界を探索する……というのが本作のあらすじだ。
本記事では、本作のプロデューサーを務める細井順三氏と、ディレクターの福井大暉氏のインタビューをお届け。新主人公を採用した理由や、前作から変化・進化したポイントなどをうかがった。
※『カリアのアトリエ ~夜の王国と追憶の道標~』の対応機種はNintendo Switch 2、プレイステーション5(PS5)、XBOX Series X|S、PC(Steam)。
なんでも食べちゃう新主人公、カリアが誕生した理由
――ついに新作『カリアのアトリエ』が発表となりました。新作について詳しくうかがう前に、前作『ユミアのアトリエ』について、ユーザーからの反響や、手応えなどを教えていただけますか?
細井
『ユミアのアトリエ』は、当社のゲームエンジン“KATANA ENGINE”をフル活用して開発したタイトルで、システム面も過去作から大きく刷新しました。広大なオープンフィールドや、新しい戦闘システムなど、チャレンジした部分は一定の評価をいただいたと思っています。採取したアイテムで、調合だけでなくハウジングも楽しめるようにしたことで、採取の価値が高まった点も好評でした。ですが、ユーザーの皆さんからもさまざまなご意見やご感想をいただいたり、力不足だったところもあり、反省点もあるタイトルです。
――具体的には、どんなところに力不足を感じたのでしょうか。
細井
演出をリッチにしようとした結果、ユーザビリティを落としてしまったところがあります。また、調合の間口を広げるため、わかりやすくとっつきやすいシステムにしたのですが、長年の『アトリエ』ファンの方から「やり込み要素が少ない」という声をいただいたりと、ゲーム全体のバランスのチューニングが十分ではなかったと反省しています。
――そういった点も踏まえて、今回の新作『カリアのアトリエ』を開発されているのですね。本作は、『ユミアのアトリエ』に続く“追憶”シリーズの第2弾となりますが、主人公を変えることは最初から決めていたのですか?
細井
もともと、『ユミアのアトリエ』に続く“追憶”シリーズはぜひ作りたいと思っていて、それならば主人公は変えよう、と思っていました。今回の物語やゲーム性を考えると、新主人公の視点で新しく描かれる物語があることによって、世界やゲームをより楽しんでいただけると思ったんです。
――では、その“今回のゲーム性”について詳しく教えていただけますか?
細井
本作を作るうえで、コンセプトとして決めたのは、“これまで以上に調合をゲームの中心に置く”ということです。もちろんこれまでも、調合したアイテムをバトルで使ったり、クエストで納品したりと、調合はゲームのメインではありましたが、「よりいっそう、調合が中心になるように」と検討していきました。そうして、調合アイテムがフィールド探索や主人公の成長や見た目にも影響を与えるように設計することになりました。
福井
本作では、私が調合システムも担当しているのですが、概要が固まるまでにはかなり苦労しました。今回は錬金釜が登場するということで、前作とは違う、新しい調合システムを考えることになり……それに合わせて、アイテムの性能や効果などもすべて作り直しています。
細井
ちなみに、カリアが錬金釜を使う理由はストーリーの中でしっかり描かれますので、ぜひ本編をご覧ください。
――調合がコアとなるゲームの中で活躍する新主人公として、カリアが生まれたのですね。そのカリアですが、“なんでも食べられる”のが特徴だとか?
細井
調合アイテムを活用する仕組みを考えたときに、「主人公が、なんでも食べて成長できたらいいな」と思いました。調合を行うきっかけとして、「戦闘で役立つから」という理由以外に、「この子に、こういうものを食べさせてあげたいな」と思ってもらえたらいいな、という発想から、カリアのキャラクターが出来ていきました。

――本当に、なんでも食べられるんですか? 爆弾とか回復薬でも?
細井
草でも、“うに”でも。なんでも食べる、元気な主人公です。
福井
カリアが“アイテムを食べる”というところが、本作の重要なファクターです。アイテムを食べることで、カリアに変化があり、フィールド探索にも影響があります。素材だけでも400種類はあって、調合アイテムもかなりの数がありますから、正直なところ、仕様を考えるのはけっこうたいへんだったのですが……ユーザーの皆さんに楽しんでいただきたいので、そこはがんばりました。
――「これを食べると、どうなるんだろう?」という調査が楽しくなりますね。
福井
それと、一部のアイテムについては、アイテム図鑑に“味”に関する記載があります。カリアや仲間たちが味について紹介していますので、そういった細かい部分も楽しんでいただきたいです。
――図鑑を見ると食リポが書いてあるということですね!
福井
そうですね。フラムの味などが書いてあります。
――では、食べることで、具体的にどんなことが起こるんでしょうか。
福井
まず、フィールド探索中に採取物を食べた場合、カリアの見た目に変化が生じます。たとえば動物素材を食べると、獣の耳や尻尾が生えたり。その見た目の変化が起きているあいだにしか使えない能力が発現したりします。
調合アイテムを食べた場合は、カリアの能力アップにつながります。たとえばフラムを食べたら、火属性の能力が上がったり、攻撃力が上がったり。どのアイテムを食べさせるか、はプレイヤーがある程度自由に選べますので、カリアを攻撃力に特化したキャラクターにもできますし、バランスタイプに育てたりもできます。

――調合アイテムを食べた場合の能力アップは、永続するのですか?
福井
永続しますが、途中で「カリアの育成の方針を変えたい」と思うこともあるかと思うので、一度リセットして、また別の能力を得ることも可能になっています。
――なるほど。やり込み派のプレイヤーは、カリアに序盤からいいアイテムを食べさせまくって、超強いカリアを作ることもできるんですね。
福井
序盤から強敵にチャレンジして、いい素材をゲットして、強いアイテムを作ることができれば、早い段階でカリアを強くすることも可能です。
謎はあるけど明るいキャラクターたち。今回はキャラクター別エンドを用意!
――採取物を食べた際のカリアの変化には、どのくらいのバリエーションがあるのですか?
福井
細かい差分も含めれば、100種類以上あります。
――それだけの変化に対応できるキャラクターをデザインにするのは、なかなか難しそうです。
細井
キャラクターデザイン担当のべにたまさんには、なんでも食べるわんぱくさを表現してほしい、とお願いしましたね。それと、身体の変化がわかるデザインにしてほしいと。ただそれって、衣装デザインに制限が出てくるということなんですよね。耳や尻尾が生えても対応できる衣装にしないといけない、でも魅力的なデザインの衣装にしたい。そこのバランス調整はけっこう苦労しましたね。
――カリアの立ち絵では、何かをもぐもぐ食べているところが描かれていて、食欲旺盛な性格が表れているように見えます。

細井
ポイントは、スカートのホックを外しているところなんです。食べすぎてお腹がふくらんでも大丈夫なように、と(笑)。ちなみにいま、開発スタッフ間では「カリアが食べすぎたときに、カリアの体型に変化を出すかどうか」を議論しているところなんです。
――3Dモデルに変更を加えよう、ということですか? お腹周りとか。
細井
そのほうが、食事の影響をよりダイレクトに感じられて、楽しいかなと思いまして。もしかしたら、ユーザーの皆さんにもご意見をうかがうかもしれません。
――ところでカリアは“開拓団”に所属しているそうですが、開拓団の仕事とは?
細井
前作のユミアたちの活躍で、アラディス大陸の調査はある程度終わりました。そこでつぎは、人が住めるように、この大地を整備することになったんですね。それが開拓団の仕事です。ただそんな中で、”マナ枯れ”が起こり、大地のマナが減少してしまいます。マナ枯れの原因を探るため、開拓団が動き出す……というのが本作の物語の始まりです。
――カリアはすでに開拓団に参加しているところから物語が始まるんですね。そして前作の主人公ユミアも、やがて調査に合流すると。
細井
まず、物語の根底には、錬金術の存在があります。ユミアが使っていた錬金術と、カリアが釜で行う錬金術は異なるものですが、彼女たちの錬金術が人々にどう影響を与えていくのか……ということが描かれていきます。

――今回公開されたフィナとセルヴィオは、カリアとともに開拓団に所属しているとのことですが、彼らは前作にはいなかったキャラクターですね。
細井
今回は、キャラクターみんなにそれぞれ謎がありつつも、従来の『アトリエ』のような明るい雰囲気にしたいと思ったんです。ですので、カリアはもちろん、フィナにもセルヴィオにも謎がありますが、それをマジメに語ることはなかなかない。会話はコミカルなテイストのものがけっこう多いですね。ただし、物語の核心に迫る場面や、それぞれが抱える過去や想いと向き合う場面では、しっかりとシリアスなドラマも描いています。明るさと重厚さ、その両方のバランスを意識して制作しています。


――フィナにはどんな謎があるのですか?
細井
フィナは格闘が得意な女の子で、カリアをとても慕っています。なぜカリアにそんな想いを抱いているのか……というのが彼女の謎です。
――セルヴィオは……『ユミアのアトリエ』をプレイした身からすると、なんだか気になる見た目ですね。
細井
そうですね。前作をクリアした方は、彼の外見に思うことがあるかもしれません。
――そんな謎めいたキャラクターたちですが、会話はけっこう明るいと。
細井
これまでの『アトリエ』作品にあったような、ほんわかとあたたかいストーリーと、シリアスなストーリーを融和させることを意識してシナリオを作っています。キャラクターの物語も作り込んでいて、キャラクター別エンドも用意しています。
フィールドでは調合アイテムや“うに”を投げる! 探索や採取がさらに楽しく
――本作のシステムについて、もう少し詳しくお聞かせください。食事が各要素に大きな影響を与えることはわかりましたが、そのほかに、前作から変化している部分は?
福井
探索に関しては、調合アイテムを活用できるようになったことが大きいです。たとえば、火属性や氷属性のアイテムに対応するギミックがありますので、フラムやレヘルンを投げることで道が開けるとか。フィールドにいる敵に投げるとダメージを与えられます。強力なアイテムを作って投げて、戦闘をスキップすることも可能です。
――前作では銃を撃つことで作動するギミックがありましたが、今回、カリアは銃は使いませんよね?
福井
今回は、銃ではなくて、“うに”を投げます。
――えっ、“うに”を?
※『アトリエ』シリーズにおける“うに”は、海産物ではない。木になる、栗のような存在。福井
カリアはですね。“うに”を無限に投げることができるんです。シリーズではおなじみのうにですが、本作では探索中に気軽に使えるアクションのひとつとして取り入れています。どうしてそういうことができるのかについては、ゲーム内でも触れられる部分がありますので、ぜひプレイして確かめていただければと思います。とはいえ、“うに”専門というわけではなくて、ほかのアイテムもちゃんと投げられますのでご安心ください(笑)。
――何でも食べられるうえ、“うに”を無限に投げる主人公、斬新すぎますね……。続いて、バトルについてはいかがでしょうか?
福井
アクション性を強化していて、パリィのシステムを追加しています。タイミングよくガードをすればパリィができて、連続で成功するとカウンターが発動するという形ですね。ただ、パリィは難しいと感じる方もいると思うので、アイテムでパリィの受付時間を長くしたり、味方に代わりに攻撃を受けてもらったりするシステムを実装しています。アクションがそこまで得意ではないユーザーの方でも楽しんでいただけるかと。
さらに、戦略面では、コマンドバトルの要素を入れています。戦闘中に時間を止めて状況を確認し、スキルやアイテムを選択できるので、敵の行動や味方の状態を見ながらじっくり考えて立ち回ることができます。アクションの爽快感と、コマンドバトルならではの戦略性の両方を味わえるような設計を目指しました。

それと、戦闘に関する大きな新要素が、超巨大敵とのバトルです。今回、パーティーメンバーが前作より多く登場するのですが、通常の戦闘では、全員を活躍させるのはなかなか難しいですよね。そこで、強大な敵にパーティーメンバー全員で立ち向かう、超巨大敵戦を用意しています。この敵に打ち勝つためにも、ぜひ全員をしっかり育てていただければと。

――前作よりもプレイアブルメンバー数は多いんですね。そのほか、ハウジングや調合についてはいかがですか?
福井
ハウジングは、ベースのシステムは前作と同じですが、探索や調合により紐づくような形で設計しています。ゲームを進めるうえでは、ひとつの拠点を強化していけば問題ない作りにしていますが、あちこちでハウジングを楽しみたい方向けに、ロケーションも複数用意しています。ハウジング専用のカメラも用意したので、やり込みたい方はぜひ楽しんでください。
細井
調合は、先ほどお話しした通り、本作のゲームの中心にあるシステムです。ですので、第一に、わかりやすく、とっつきやすい必要があります。それが大前提ですが、その先に、やり込みたくなる発展性も必要です。それと、「やってみたい」と思える見た目になっているか。そこを重視して設計を進めてもらいました。
――見た目も意識した結果、“マナピース”を当てはめていく調合システムが生まれたのですね。
福井
前作では、同じランクの同じ素材は、ほぼ同じ性能を持っていました。そのため、「もっと採取したい」というモチベーションを抱きづらいところがあったかと思いまして……そこで今回は、素材それぞれが、異なる形の“ピース”と、異なる特性を持つようにしました。自分が作りたいアイテムに合うピースを探して、調合を楽しんでいただければと思っています。


進化の度合いがかなり大きい『カリアのアトリエ』に期待してほしい
――カリアたちは、新たに発見した地下世界を探索していくということですが、前作で探索した地上にも行くことができる?
福井
はい。ただ、地上にも大きな変化が起こっているので、新鮮な気持ちで探索していただけると思います。採れる素材も変わっていますし、アイテムを使うことでさらに変化があります。
――となると、探索できるフィールドの範囲は、前作よりも広いですね?
福井
そうですね。地上と地下を合わせると、前作以上のボリュームです。

――バトル参加メンバーも増えているということで、開発はかなりたいへんそうですが……。
福井
前作の経験を活かせるところもありますので、順調に進んでいると思います。また、前作ではSteamへの最適化が遅れてしまいましたが、今回はしっかりと取り組んでいます。
――福井さんは本作が初ディレクター作品とのことですが、開発を担当してみて、いかがですか?
福井
『ユミアのアトリエ』でもリードプランナーをしていたのですが、ディレクターになると最初はもう、やることが多くて、本当にたいへんで……ですが、だんだんと慣れてきて、最近は楽しくなってきました。できることの幅が広がりましたし、サブディレクターやチームリーダーのみんなも協力してくれて。
細井
開発チーム内は若いメンバーが多くなりました。福井は30代前半ですが、チームリーダーの中には20代もいますし。
――次世代の『アトリエ』を、新たな世代の開発者が担っていくというのは頼もしいですね。
細井
『アトリエ』のおもしろさをグローバルで受け入れていただくために、ユーザーの皆さんからいただいたご意見やご感想も拝見させていただき、開発一同で真摯に開発と向き合って、『カリアのアトリエ』を作っています。
近年で言うと、『ライザのアトリエ2』と『ライザのアトリエ3』のあいだでは、技術やシステム面で大きな進化がありましたが、今回はそれ以上の進化を感じていただけるんじゃないかと思っています。きっと驚いていただけるはずですので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。
