2026年7月16日、『プロ野球スピリッツ2026』が発売日を迎えた。
『プロ野球スピリッツ2026』開発チーム スペシャルインタビュー
圧倒的なボリュームとリアルな野球体験が楽しめる本作。その開発チームへのインタビューをお届けする。各セクションで活躍するキーマンに、本作の魅力や注目ポイントを訊いた。
寺元靖人(てらもと やすひと)
『eBaseball: PRO SPIRIT』のプランナーを務める。フェンスを駆け登るホームランキャッチが憧れのプレイ。
堀井崇伊(ほりい たかよし)
前作に引き続き、ゲームの基礎設計などを決めるメインプランナーを担当。外角低めで奪う見逃し三振が好き。
山口剛(やまぐち つよし)
『プロ野球スピリッツ2026』では統括ディレクターとして制作全般を管理する。好きなプレイは6-4-3の併殺。
吉田和史(よしだ まさふみ)
ゲーム内の3Dグラフィックのデザインマネージャーを務める。相手を揺さぶるヒット・エンド・ランが得意。
柿崎良幸(かきざき よしゆき)
本作のプロジェクトマネージャーとして、全体の進行管理を担当。ダイビングキャッチなど派手なプレイが好み。
世界へ広がった『プロ野球スピリッツ』

――前作『プロ野球スピリッツ2024-2025』はいわゆるハイエンド機への初対応となりましたが、発売後の反響はどうでしたか?
山口
前作はシリーズ初のプレイステーション5とPCのタイトルで、“eBaseball Engine”搭載タイトル第1弾でした。グラフィックや演出面についてはこれまで同様に高い評価をいただくことができ、安心しました。PC(Steam)版は国内だけでなく、アジア地域のお客様にも非常に好評をいただきました。
――日本のプロ野球選手がメインですが、アジア地域でのセールスがいい結果に?
山口
そうなんです。以前、台湾に行ったときに、日本プロ野球のファンの多さに驚きました。台湾はそもそも野球熱も高く、台湾リーグを始め、日本プロ野球やメジャーリーグへの関心も非常に高いんですよね。そういう背景もあり数字にも表れたかと思います。
――台湾出身選手の活躍もあり、日本の試合が台湾で放送されるらしいですね。
山口
そういったことが本作でのローカライズの強化や、日本以外の地域での販売強化へのきっかけにもなっているんです。
――過去作と比べて、制作面ではどんな変化があったのでしょうか。
山口
ゲーム機の性能が上がったことで、できることがかなり広がりました。グラフィックはもちろんですが、選手の仕草なども、ハイエンド機だからこそ実現できる制作手法を取り入れています。
とくに選手のモーション数には力を入れていて、『プロスピ2021』以前の作品と比較して、モーション数は分岐バリエーションも含めると10倍になっています。
――10倍! 作るのもたいへんそうですね。本作でも、選手によるモーションキャプチャーは実施しているのでしょうか。
山口
引き続き対応しています。前作からの新しい取り組みとして独立リーグの選手など現役選手にもご協力いただき、専属のノッカーも起用して、実際にノックをしてもらいながら撮影するなど、リアルなモーションを取り入れて開発しています。
吉田
モーションで言うと、本作ではWBCが目玉ということもあり、“お茶立てパフォーマンス”など、時事性のある部分もしっかり押さえながら作れました。
―― ありましたね(笑)。あれもモーションキャプチャーを行って収録を?
吉田
WBCを観ていたら、急に日本選手がやりだして「これは入れないとまずい!」と思い、さすがに間に合わないかなと思いましたが、制作担当ががんばってくれて急遽モーションキャプチャーを実施し、即ゲームに反映しました。
――WBCが3月だったことを思うと、よく発売に間に合ったというタイミングですよね。WBC関連では新球場のローンデポ・パークの収録も新しい魅力のひとつかなと思います。
吉田
スケジュールの都合もありローンデポ・パークの現地取材はできなかったのですが、資料や中継映像などをもとに探り探りで形状を把握して制作しました。
―― これは『eBaseball: MLB PRO SPIRIT』のデータをベースにしているのでしょうか。
吉田
そうです。それからよりクオリティーアップすることで、NPBライセンス球場にも負けないクオリティーにできたと思います。
――「これが入るならドジャー・スタジアムも入れてほしい!」、という希望も出そうですが。
吉田
できるできないで言えば、できると思います。ただ、ユーザーの皆さんからの声がたくさん届くと我々も応えやすくなりますから、ぜひご意見をいただければと思います。
――個人的にはファーム球場も入っていたらおもしろいなと思うのですが。戸田とか(※)。
※埼玉県戸田市にある東京ヤクルトスワローズののどかなファーム施設。吉田
ファーム球場も「欲しい」という声が多く集まれば、実装しやすくなると思います。

――ちなみに、ファンからはどういった意見が多いのでしょうか。
柿崎
OB選手の追加、ファーム球場の実装、WBCモードの復活はよくいただきました。
―― ああ、なるほど。
柿崎
今回WBCモードを入れられてよかったです。最近では、海外ローカライズのご要望がかなり増えています。本作では海外ローカライズを実現できまして、英語・中国語(繁体字)・韓国語の3言語を追加して、より多くの国・地域の方が楽しみやすいゲームになっていると思います。
――前作のSteam版でも一部ローカライズされていましたが、さらに幅広く?
柿崎
前作はモードの選択メニューや試合の一部表記などは対応していたのですが、ゲーム内テキストは翻訳できていませんでした。本作では、それらも含めて対応しています。

繁体字表示。
――実況も英語対応されているというのは、海外ファンから喜ばれそうですね。
柿崎
メジャーリーグ的な派手な実況が入っているので、日本のプレイヤーの方も気分を変えて楽しんでいただけるとうれしいです。
WBCモードを英語表示かつ英語音声でプレイすると、本当にメジャーリーグのゲームをプレイしているような感覚で楽しめますよ。
――WBCのモードはじつに17年ぶりの復活となりますが、前回の実装と比べて、ボリュームはどのくらい変わったのでしょうか。
山口
まず2009年の大会と比較するとチーム数が16から20チームに増えました。選手数で言うと400名以上が収録、前回と比較してもより多くの選手が再現されています。
前回と比較して新しいエンジンになりましたから、選手のグラフィックの再現度も高くなっていますよ。
――海外選手の顔のグラフィックも、かなりクオリティーが高い印象です。
吉田
海外選手もライセンサーから提供いただいた写真や映像を参考に、エディット機能を使って再現している選手もいます。
―― ゲームの機能を使って、手作りで?
吉田
エディットも細かく調整できる機能を搭載しておりますので、資料と見比べながら手付けしていました。これはもう、制作チーム全体に協力してもらい、本当に人海戦術でした。
――気の遠くなるような作業ですよね。本作では過去の日本代表チームが入っているのも、ファンには注目ポイントだと思います。
山口
そうですね。優勝チームどうしを戦わせたりと、“if”を楽しんでいただきたいです。歴代日本チームはどのチームも強いですよ。
試行錯誤の連続だった海外選手の能力値

――海外選手、とくに情報が少ない国・地域の選手の能力は、決めるのが難しそうですね。
堀井
これが本当に苦労した点のひとつでした。情報がまったく取れない選手がいたりするんです。
そういう場合は各リーグなどの成績を調べたり、SNSで選手が自分の動画を配信している場合はその動画を観たりして、「こういうスタイルの選手なんだな」と判断するようなことをしています。でも、選手名で検索したら、同姓同名の選手が別の国・地域のリーグにもいて、「これはどっちの選手だ?」となるケースもありました。
――(笑)。顔写真があっても、そもそもの顔を知らないとわからないですしね。
堀井
間違えるわけにはいかないので、本当にたいへんでした。最終的な能力は、日本プロ野球の選手と比較してバランスを取るような方針にしています。新外国人選手の能力決めに近い感覚かもしれないですね。
――2026年大会で予想以上の活躍をして、「やばい。この成績だったら、能力値も直さないと!」なんてことも?
堀井
ありますあります(笑)。「あれ、この能力で大丈夫かな」となることがありました。また、基本的に海外選手はWBCでの成績がベースになっているので、ふだんの活躍を知る方からすると、ちょっとギャップがあるかもしれませんね。
――本作では“現代野球のルール変更”へもいろいろと対応されていますね。
堀井
そうですね、ペナントレースモードに現役ドラフトが追加されていたり、白球のキセキに高校野球でのDH制が導入されたりと、現行ルールに合わせている部分もあります。
――そういえばWBCモードではピッチクロック(投球時の時間制限)が入っていませんでしたが、入れようという意見は出ず?
堀井
う~ん、ゲームに採用するかの議論はしたのですが、今回はプレイの快適さを重視して、実装は見送りました。
――まあ、ひとりプレイだと15秒も掛けずサクサク投球しちゃいますしね。3月から無料配信が始まり、本作にも実装されている『eBaseball: PRO SPIRIT』についてのお話もお聞かせください。
寺元
『プロ野球スピリッツ』の魅力を、世界中の人に楽しんでいただきたいという想いから、無料での展開を実施しています。
――そもそもなのですが、世界中のプレイヤーと本格的な『プロスピ』で対戦できるゲームが無料でプレイできるというのは……すごくないでしょうか。
山口
かなりがんばっています(笑)。
――『eBaseball: PRO SPIRIT』は、サービス終了した『WBSC eBASEBALLパワフルプロ野球』の後継タイトルという位置づけに?
寺元
そうですね。リリース後には、各国・地域のプロ野球連盟から、かなり多くのお問い合わせをいただけてうれしかったです。
――ワールドワイドでネット対戦ができる野球ゲームというのは、じつは固有の強みになるかもしれないですね。
山口
野球で、eスポーツで、ワールドワイドでというのは、『WBSC eBASEBALLパワフルプロ野球』が一強だったと思うので、『eBaseball: PRO SPIRIT』では、さらにプレイヤーの層を広げられたら、と考えています。
――通常の『プロ野球スピリッツ』、WBCモードと合わせて楽しみたいですね。ちなみに、次回のWBCモードの実装はまた17年後に?
山口
どうでしょう。いまはなんとも(笑)。
――プレイヤーとしては、もう少しコンスタントに楽しみたいという人が多そうですね。
山口
前向きに検討したいと思います。だって、つぎが17年後になったら我々はいったい何歳だって話ですよ(笑)。
――(笑)。次回の実装も楽しみに待ちます。ありがとうございました!


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週刊ファミ通で発売記念特集を掲載!
また、週刊ファミ通2026年7月30日号(7月16日発売)では、本作の発売記念特集を掲載。開発インタビューや特別企画で本作と野球の魅力をまとめてお伝えしている。
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