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【VIPインタビュー】コーエーテクモ 鯉沼久史社長が語る世界No.1に向けたグループ戦略。開発ライン数の増設に取り組み、5000人規模の組織を目指す

【VIPインタビュー】コーエーテクモ 鯉沼久史社長が語る世界No.1に向けたグループ戦略。開発ライン数の増設に取り組み、5000人規模の組織を目指す
 2025年6月に、創業者である襟川陽一氏からコーエーテクモホールディングスの社長を引き継いだ鯉沼久史氏。“世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニー”をビジョンに掲げる同社の現状や今後の展望に加え、ファミ通との思い出についても語っていただいた。
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※このインタビューは2026年4月下旬に実施したものです。

鯉沼久史氏こいぬま ひさし

『戦国無双』シリーズをはじめとした数々のタイトルの制作、プロデュースを担当。2021年4月よりコーエーテクモゲームス代表取締役社長、2025年6月よりコーエーテクモホールディングス代表取締役 社長執行役員CEOとしてグループ全体を統括する。

コーエーテクモグループは営業利益で世界トップ10に入るカンパニーを目指す

――鯉沼さんは昨年の6月にコーエーテクモホールディングスの社長に就任されましたが、この一年ほどでお仕事にどのような変化がありましたか。

鯉沼
 事業会社の社長はずっとやってきましたが、コーエーテクモホールディングス全体としての仕事では、まずはプライム市場上場維持の対応をしていました。

 当社の株式流動比率がプライム市場の上場を維持するための基準を満たせていない部分があったので、就任して早々に自己株式処分及び売出しといったこともやりまして、あまり慣れない仕事にも取り組んでいました。

 また、ホールディングスにはグループ全体をみる管理本部があり、コーポレート部門の業務といういままでの経験になかった仕事についてもいろいろと勉強しながらやってきました。

――もちろん、社長就任以前もホールディングスのお仕事はされていたとは思うのですが、これまではコーエーテクモゲームスでのお仕事の比率が高かったということでしょうか。

鯉沼
 そうですね。コーエーテクモゲームス以外の仕事も担当してきましたが、基本はゲームを作るのが好きですし、メインの事業であるゲーム分野の業績をどう伸ばすかが重要なので、それにしっかりと取り組んできました。開発に割ける時間も限られているのですが、できる限りのことをしながら時間を捻出してゲームも作っています。

――鯉沼さんにとってゲーム作りは欠かせないお仕事なのですね。

鯉沼
 いまだに自分で仕事を持ってきたり作ったりもしています。現場への関わりかたはだいぶ薄くはなりましたが、そこはずっと変わらないところですね。『ぽこ あ ポケモン』に開発として入ったのも、私が最初にゲームフリーク様やポケモン様とご相談させていただいたところからのスタートだったので。

――それでは、まずコーエーテクモグループ全体の方針についてお聞きします。 “世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニー”になるという目標を公式サイト等で掲げられていますが、そこへいたるまでのロードマップを改めてお聞かせいただけますでしょうか。

鯉沼
 当社は3年間の中期経営計画を打ち出していまして、ちょうどいまは第4次中期計画の2年目にあたります。第6次が終わるのが、第4次スタートからだいたい10年後の2035年になるのですが、その段階で、デジタルエンタテインメント企業としての営業利益が世界トップ10に入ることをマイルストーンにしています。

――それが、“世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニー”になることにつながっていくと?

鯉沼
 お客様にたくさんゲームを買っていただけることで会社の営業利益は上がります。その営業利益で世界一になることは、もっとも多くのお客様に選ばれ、楽しんでいただけた結果であると考えているため、世界ナンバーワン=ゲーム事業での営業利益ナンバーワンになることが目標です。そのために、まずは2035年までに世界でトップ10に入ることを目指しています。

――その目標達成に向けて、定期的なタイトルの投下が必要になってくると思いますが、現在取り組んでいるものでとくに手応えを感じているものや、課題だと感じたものはありますか。

鯉沼
 いまは開発ラインの数を上げていくため、人材の拡充を行っています。昨年ではグループ全体で2850人強の規模まできていて、今年は国内だけで新卒社員が193名入社してくれたので、3000人ほどの規模になりました。

 将来的には5000人規模に向けて、順調に拡充していきたいと思っています。同時に社内教育を行い、人材の質の向上にも取り組んでいるところです。また、現在は6つのブランドとひとつのスタジオがあるので、そこからもコンスタントに出せる体制を整えています。

――ブランド制を立ち上げたのも鯉沼さんでしたよね。当初は5つのブランドだったと思うのですが、新たにブランドが増えたりスタジオが設立されたりもしています。これからもブランドの再編や、さらに増やすといったことも視野に入れているのでしょうか。

鯉沼
 そうですね。増えるといいなとは思っています。もともとブランド制を始めたのは、各チームの持つ特徴やスタイルを保ちつつ、さらに伸ばそうと考えたからです。

 もしそれらの特徴には当てはまらないようなゲームを作りたいとなれば、新たなブランドとして立ち上げていきたい。AAAスタジオは、現段階ではブランドではありませんが、IPをしっかりと作れるようになって伸びていけば、将来的にはブランド化させて多方面に展開できればいいな、と考えています。

――では、スタッフの皆さんから「こういうブランドが作りたい」といった声は上がっているのでしょうか?

鯉沼
 すみません、まだそこは内緒です(笑)。ですが、新しいものをやりたいというスタッフも当然います。その受け皿が必要な場合は、新しいブランドを作ることでチャレンジしやすい状況になるとは思っていますので、今後の動きにご期待ください。

――楽しみにしています。いま従業員数が3000人を突破して、将来的には5000人規模を目指して拡大中とのことですが、やはり拡大とともに課題も出てくるかと思います。オフィス増床ですとか。

鯉沼
 昨年に横浜シンフォステージ(横浜・みなとみらい21地区)を取得して、今年の4月から稼働しています。最終的には900人ほどがそこに入る予定なので、増えた人員はそちらに移っていくようになると思います。

――日吉や市ヶ谷のオフィスに加え、みなとみらいのオフィスを足しても足りないと。

鯉沼
 そうですね。あとは京都にもオフィスがあるのですが、じつはそこもいっぱいになりつつあります。オフィス計画に関しては、当社の不動産部門でも検討してもらおうかと考えているところです。

――なるほど。もしかしたら新しいオフィスビルができる可能性もあるのですね。

鯉沼
 このまま順調に社員が増えていくといっぱいになってしまうのはわかっているので、もう少し考えないといけないですね。

――同じ横浜地区周辺などでしょうか。

鯉沼
 そこも考えながら進めていきます。そのほかで言うと、新しい社員寮や社宅も作りました。従業員の開発環境だけでなく、住環境の整備も変わらず継続しています。

――加えて、開発費用の高騰化や開発の長期化といった問題もある中で、タイトルのスケジュール調整は難しくなっているのではないでしょうか。

鯉沼
 そうですね。とくに2025年度は、第4四半期にものすごくタイトルが重なってしまいました。それはやはり我々の開発ライン数が少なかったゆえだと思っています。

 おっしゃる通り、開発規模が大きくなると、1タイトルにかける時間がどうしても長くなります。1年のあいだに、複数のタイトルを適切なタイミングで展開していくには、開発規模の拡大とともにライン数の確保が必要です。やはり5000人くらいの規模でないと、なかなか期待されるようにはできないということで、計画を進めているところです。

――以前、襟川陽一さんを取材させていただいた際に、一般的に納期と品質が相反しがちで、その両立は簡単ではないというお話がありました。鯉沼さんはそれらを両立されてきたと思うのですが、そのあたりの感覚はどのように鍛えてきたのでしょうか。

鯉沼
 ゲームプランナー的な話ですが、以前は納期を守るために、ゲームの仕様を作るうえで実装の優先度を考えながら組んでいました。ですが、いまはどちらかというと“作り込んだゲームを長く売る”という販売スタイルに変わってきましたし、求められる品質も昔に比べてかなり高くなりました。

 品質管理を行うグループ会社としてコーエーテクモクオリティアシュアランスを2020年に設立したのも、製品の品質や満足度を上げるうえで精査するためです。それによって適宜、予算とスケジュールを見直していくことで、クオリティーと予算が両立できているのだと思います。

 昔は最初に決めたことを「とにかく守れ」でやっていたのですが、近年では開発途中のバージョンをいろいろと検討しながら作っていて、「問題なく作り上げられる」と見えてきたところでスケジュールや予算を調整し直して、品質・納期・予算を守ってもらっています。

――なるほど。人員の拡大や品質管理の強化などで、ナンバーワンのデジタルエンタテインメントカンパニーへの道筋を作っているところなのですね。

鯉沼
 はい。とくに品質の担保は絶対に必要なところです。なお、コーエーテクモクオリティアシュアランスの前身は、コーエーテクモゲームスの品質管理部だったのですが、同じ会社だと、言いたいことが言いづらい状況になってしまっていました。そこで会社として独立させ、レポートを軸に品質改善を促す形にしています。

――なるほど。そんな経緯があったのですね。

鯉沼
 藤田(藤田一巳氏。これまでにmidasブランドのブランド長などを担当)にコーエーテクモクオリティアシュアランスの社長をやってもらっていますが、会社として対等な立場とすることで言いたいことを言える環境にしています。

――確かにグループのことを考えると、言いづらいことも言う必要がありますよね。

鯉沼
 同じ会社内だとちょっときびしかったかなと。

グローバル展開を自社でまかなえる体制作りへ。さらに協業によるヒット作も

――直近のゲーム事業についてうかがいます。最近では『仁王3』や、『真・三國無双 ORIGINS』の大型DLCなどが展開されました。とくに鯉沼さんが手応えを感じたものや、新たな領域を切り開いたと思うようなものを教えてください。

鯉沼
 『真・三國無双 ORIGINS』はおかげさまですごく好評でした。これまであまりやってこなかった大型DLCもユーザーさんには評判がよかったので、『無双』シリーズの原点となるタイトルが復活したように感じられたのは非常にうれしかったです。
【VIPインタビュー】コーエーテクモ 鯉沼久史社長が語る世界No.1に向けたグループ戦略。開発ライン数の増設に取り組み、5000人規模の組織を目指す
『真・三國無双 ORIGINS』DLC“夢幻の四英傑”より
 『仁王3』もシリーズ最速で累計販売本数が100万本を超え、シリーズ全体では1000万本を突破しました。『仁王』、『仁王2』の海外展開はソニー・インタラクティブエンタテインメント様に行っていただいたのですが、『仁王3』ではグローバル展開も自社で行いました。そこでプレイステーション5版とPC版を同時発売、といった新しい動きもできたと思います。さらに『ぽこ あ ポケモン』も想定以上にヒットしてくれたので、そういったところもよかったです。
【VIPインタビュー】コーエーテクモ 鯉沼久史社長が語る世界No.1に向けたグループ戦略。開発ライン数の増設に取り組み、5000人規模の組織を目指す
『仁王3』
――『真・三國無双 ORIGINS』の大型DLCを展開したのは、やはり近年、ひとつのタイトルが長く遊ばれるようになったことを受けてのものですか?

鯉沼
 そうですね。とくに『仁王』シリーズや『Rise of the Ronin』、『Wo Long: Fallen Dynasty(ウォーロン フォールン ダイナスティ)』などの、Team NINJAブランドのタイトルは長く売れています。タイトルを長期間遊ばれるお客様も増えてきているので、今後もずっと遊んでいただけるような取り組みができればと思っています。

 加えて、デジタル販売も大きく影響しています。店頭ではどうしても一定期間ごとに陳列商品の入れ換えがありますが、デジタル販売ではずっと置くことができます。また、デジタル販売では適宜セールを行うといったような、販促活動・運営もできるので、長期的な売れ行きが見込めます。それらによってDLCにもお客様がついてきてくれるので非常にありがたいです。

――とくにここ数年で、デジタル販売が浸透しましたね。

鯉沼
 コロナの影響もありましたが、それ以降もデジタルで買っていただいているのと、PC版もより遊ばれるようになってきたので、お客様の層が幅広くなりました。ゲーム業界を含むコンテンツ産業が、日本のみならずグローバルで成長曲線に入っているというのは肌で感じます。

――自社で『仁王3』のグローバル展開を行ったのは、デジタル販売を含めたノウハウが社内に蓄積されてきたからなのでしょうか。

鯉沼
 先ほど申し上げた、“世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニー”を目指すうえで、自社でできることはやっていこうと考えました。

 もちろんリスクもありますし、ノウハウの点からも自社でやるより他社様と組んでやったほうが売れる、といった場合もあるのですが、世界ナンバーワンを目指すのであれば、基本的には自社ですべてまかなえる体制作りをしなければならないと思っています。そこでまずは『仁王3』からチャレンジしたというのが経緯です。

――一方で『ぽこ あ ポケモン』や『ゼルダ無双』シリーズなど、他社との協業においてもすばらしいクオリティーのタイトルを生み出されていると思います。長いあいだ協業でうまくやり続けるコツなどはあるのでしょうか。

鯉沼
 まわりの役員や若いスタッフたちに伝えているのは、「長く続けるということは、両社がいい思いをしなければいけない」ということです。メリットが片方だけに寄ってしまうのはよくないので、そこがポイントだと思います。お互いに譲れない部分もいろいろとあるので、私がその調整に入らせてもらうこともあります。これだったらお互いに気持ちよくやれるよね、という部分を担保しながら進めることが大切だと考えています。

――近年の協業体制の中でも、とくに手応えを感じたタイトルになったのではないでしょうか。

鯉沼
 スピンオフ作品の中ではかなり手応えを感じました。派生形タイトルの中ではいちばん売れるタイトルにしようという目標を持って取り組んでいましたが、発売前まではあまり期待されていませんでした(笑)。ただ、直前になっていろいろな海外のメディアにプレイしていただいたところ、とても評判がよく、そこから広がっていった感じです。
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『ぽこ あ ポケモン』
――社内にいろいろなブランドやチームがいるからこそ、個性豊かなスピンオフ作品を作れる土壌があるということにもなりますよね。

鯉沼
 そうですね。過去に『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』でスクウェア・エニックス様とごいっしょさせていただいた際に、当社で作れるクラフト要素をゲーム内にうまく入れ込めないか試行錯誤していたこともありました。

 そういった経験があったので、ω-Forceブランドでは『無双』シリーズ以外にも、クラフトゲームが得意分野にできたかなと思っています。ω-Forceとしては、『無双』シリーズとクラフト系の2本立てで今後の戦略を考えられるようになったのが本当によかったです。

――新しいクラフトゲームが今後も生まれるのか楽しみです。

鯉沼
 いろいろとやってみたいとは思っています。

――ここまでコンシューマーゲームを中心にうかがいましたが、モバイルゲームについてはどのような手応えがありますか?

鯉沼
 モバイルについてはまだ大ヒットタイトルの創出にはいたっていないものの、いまはテーマを持ってチャレンジし続けています。レッドオーシャンとは言われていますが、やはり市場としてはいちばん大きいので、当社としても諦める気はありません。とはいえ大きなリスクをとってチャレンジするには、当社はもう少し実力をつける必要があるというのも認識しているので、徐々に力をつけながら新作を制作しています。

 midasブランドの『
信長の野望 出陣』は長く運営できていますし、昨年10月には、他社IPとコラボした初のモバイルゲームとなる『キングダム 覇道』をリリースさせていただきました。そういった協業ができるぐらいの実績もついてきたので、大ヒットが生まれるまでがんばろうと思っています。

――『覇道』を冠するシリーズはほかにもありますが、『覇道』がひとつのブランドになったという手応えはありますか。

鯉沼
 『覇道』はシリーズ化したほうがお客様も遊びやすいと思っていました。とはいえ、各作品をプレイしてみると、じつはいろいろ変わっている部分もあります。MMO的な遊びかたをいろいろな方向性で展開することでユーザー層の拡大もできますので、これもしっかりと続けていきたいと考えています。

――モバイル系タイトルに関してはアジア地域でライセンスアウトをしている例も多いですよね。『三國志』シリーズのアジアでの活用についてはいかがでしょうか。

鯉沼
 中国のLingxi Games様が手掛けている『三国志・戦略版』を筆頭に、当社の『三國志』を使ったモバイルゲームが中国大陸でリリースされていて、非常に好調です。引き続き、中国をはじめとしたアジアでのビジネスは続けていきたいと思っています。

――『信長の野望』シリーズもアジアで配信されていますよね。

鯉沼
 そうですね。ありがたいことにいろいろな中国のメーカーさんから「『信長の野望』シリーズを使ったタイトルを、アジアと日本でリリースしたい」とご提案いただきます。『信長の野望』シリーズや『三國志』シリーズなどを長年遊ばれていた方たちなので、ニーズを理解されていますし、「自分だったらこういうのが作りたい」という思いが皆さんにあって、うまく作っていただいていますね。

――海外の方は、ゲームがきっかけで織田信長を知るのでしょうか?

鯉沼
 中国でゲーム産業が発展する前は、海外産のゲームが広く遊ばれていました。その中で、“三国志”をテーマにした光栄のゲームが人気を集めたこともあり、「あの光栄から織田信長のゲームが出たのでやってみよう」と思われた方が多いのかもしれません。

 そして、いまでは中国が世界でいちばんの市場になっています。中国でいち早く当社のゲームを遊んでくださった方たちが現在の中国市場を支えてくださっているのだと思います。そしていまも中国で当社のゲームが人気になっていることは、とてもうれしく思います。

――それは中国へ出張されたときに、肌で感じられますか?

鯉沼
 中国の経営者の方は、『三國志』や『信長の野望』を生み出した当社の襟川(陽一氏)のことも知っていますし、リスペクトも感じています。それもあって、とてもよい関係の中でビジネスができていると思っています。
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今後も既存、新規タイトル含めて積極的に展開予定。ゲーム雑誌との思い出も

――近々発売されるタイトルの中では、やはり『真・三國無双2 with 猛将伝 Remastered』に期待が寄せられていますが、オリジナル版には鯉沼さんも関わられていましたよね。

鯉沼
 『真・三國無双2 猛将伝』ではディレクターを担当していました。いわゆる『猛将伝』シリーズをはじめるきっかけにもなった作品なので、そういう意味でも思い出深いです。
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『真・三國無双2 with 猛将伝 Remastered』
――6月にはさまざまな新作や、『ぽこ あ ポケモン』のDLC情報が発表されました。2026年度の展望や、注目タイトルを教えてください。

鯉沼
 『仁王3』は今後DLCを出しますし、『ぽこ あ ポケモン』も2027年までのエキスパンションパスの展開の発表も行っています。注目タイトルで言うと、今冬リリース予定の『信長の野望・飛翔』や『進撃の巨人3』の発表を行いました。さらに、2027年初頭には『Wo Long 2: Wings of Ember(ウォーロンツー ウィングス オブ エンバー)』、『カリアのアトリエ ~夜の王国と追憶の道標~』の発売も予定しています。
【VIPインタビュー】コーエーテクモ 鯉沼久史社長が語る世界No.1に向けたグループ戦略。開発ライン数の増設に取り組み、5000人規模の組織を目指す
『Wo Long 2: Wings of Ember(ウォーロンツー ウィングス オブ エンバー)』
――ファミ通は6月に40周年を迎えました。ファミ通が創刊された1986年ごろの鯉沼さんはどんな風にお過ごしでしたか?

鯉沼
 中学3年生でした。受験期ということもあり、家でゲームばかりやっていると怒られる家庭だったので、ちょいちょいゲームセンターに逃げていましたね(笑)。

――(笑)。当時、ゲーム雑誌などは読んでいましたか?

鯉沼
 ファミ通(当時はファミコン通信)はもちろんですが、『マル勝ファミコン』『ファミリーコンピュータMagazine』などはだいたい読んでいました。

 そして、
『マイコンBASICマガジン』『ログイン』も好きでしたね。というのも、もともとプログラマーになりたいという思いがあったので、そういったいろいろなプログラムが掲載されていた雑誌をよく読んでいたんです。

 『マイコンBASICマガジン』にはプログラムが投稿されていて、投稿されたプログラムや、ゲームを動かせる方法が載っていたのですが、そういったものを見るのが好きでした。もちろんゲームも好きだったので、ゲーム情報も含めて見ていましたね。

――中学生のころからプログラマーになりたかったのですね。

鯉沼
 そうですね。ただ、なかなかゲームは買ってもらえなかったので、友だちの家で遊ばせてもらうといった状況が中学、高校まで続くことになりました。

 また、当時はぴゅう太というプログラムができるゲーム機があったのですが、それを持っている友だちのところで実際にプログラムを打たせてもらう、といったこともけっこうやっていました。

――イチ読者としてファミ通を読んでいただいていたと思うのですが、その後コーエーテクモゲームス(当時は光栄)に入社され、ゲームクリエイターとしてファミ通に関わる中で、印象に残っていることや取材はありますか?

鯉沼
 『決戦 -KESSEN-』を作っていたときにはメインプログラマーとして私も外に登壇するようになっていたので、ファミ通さんとのお付き合いとなるとそのあたりになるかと思います。そして、シブサワ・コウが初めて顔出ししたのもこのころです(笑)。

――当初シブサワ・コウさんは顔出しされていませんでしたよね。実在しない説もあったとか(笑)。

鯉沼
 フクザワ・エイジとシブサワ・コウとふたつの名義があるのですが、両方とも当時社長だった襟川なんです。フクザワ・エイジは“リコエイションゲーム”でのプロデューサー名義で、シブサワ・コウはシミュレーションゲームでの名義、というのは社内では当然のように知られていたので、顔出しするだけで「こんなに驚かれるのか」と当時思っていました。

――まさにその『決戦 -KESSEN-』について、以前、陽一さんにお話をうかがった際に、当時の鯉沼さんのゲーム作りへの執念が非常に印象に残っているとおっしゃっていました。やはり鯉沼さんにとっても、思い出深いタイトルなのでしょうか。

鯉沼
 初めてプログラムのトップを任されたタイトルで、当時は3Ⅾのプログラムをできる人が少なかったこともあり、けっこうな範囲を自分で作っていました。

 また、襟川(陽一)会長とも長い時間いっしょにいたので、そういう意味でも思い出深いです。さらに、当社としては初となるハードのローンチタイトルでもあったので、意地でも間に合わせるべく、ほとんど寝ずにやっていましたね。

コーエーテクモには本当にゲームを好きな人が集まっている

――現在では鯉沼さんは社長として、約3000人のスタッフを見られていますが、その中でスタッフの働きに驚かされたことはありますか?

鯉沼
 どのタイトルでも、マスター前はみんな執念を持ってやってくれているのでとても頼もしいです。私は開発現場にそこまで関われなくなってきたので、うらやましいとも思っています(笑)。当社は本当にゲーム好きな人が集まっているので、将来が非常に楽しみでもあります。

――「ゲーム好きが集まっている」というのは陽一さんもおっしゃっていました。

鯉沼
 新卒の採用面接でも当社のタイトルを遊んでいるかどうかは見ています。はっきり言ってしまうと、当社に対するロイヤリティーがない人とはいっしょにやっていくのが難しいです。

 やはりコーエーテクモゲームスのゲームが好きで、ここでゲームを作りたいという人に入ってもらい、一人前になっていただきたいと思います。そういう基準で採用しているからこそ、社員はみんな同じ目線で仲もよいと感じますし、長く勤めてもらえるのかな、と思っています。

――コーエーテクモゲームスのゲームを一度も遊んだことがない場合は、どんなに優秀そうな方でも見送りになるかもしれないと。

鯉沼
 中途採用であればまた話が変わってくるのですが、新卒採用となると当社のゲームをやらずに入社した人はほとんどいないと思います。

――ちなみに、いまの新卒採用に応募してくる方は、どのようなタイトルを遊んできているのですか?

鯉沼
 近年は、『ゼルダ無双』シリーズや『Fate/Samurai Remnant』を挙げてくれる方が多かったと思います。もともと『Fate』シリーズが好きでゲームにも触れ、そこでコーエーテクモゲームスを見つけた、というのはあると思います。

 多様なIPとコラボしたことで、そのIPのファンの方が当社のゲームに触れるきっかけにもなりました。そして当社に興味を持って「入社エントリーをしてみようかな」と思ってもらえる循環を生み出せたので、いろいろなコラボレーションをやっていてよかったと思います。

――数十年後には「『ぽこ あ ポケモン』でコーエーテクモゲームスを知りました」という学生さんも来そうですよね。

鯉沼
 当社で開発しました、というのは絶対にアピールします(笑)。

――さまざまなコラボレーションや、個性を活かしたブランド展開が、会社の発展にもつながっている、というのを改めて感じるお話でした。

鯉沼
 ブランドの話で言うと、当社には、社員がみずから申請することで、ブランド間の異動ができるシステムがあります。社内で人材募集のようなものもやっていまして、社内異動はけっこう活発にしています。

 「新しいチャレンジをしたいな」と思ったとき、会社を辞めずに、違うブランドに移って違うゲームを作ることが可能なので、ブランドに分けたのはよかった。それぞれのブランドを別会社にしてしまうと管理も難しくなるうえに、従業員も動きづらくなってしまうのですが、当社の場合はひとつの会社の下に複数のブランド、としているので動きやすいのかなと思っています。

――なるほど。その軽やかさもコーエーテクモゲームスのパワーのひとつのように感じます。それでは最後の質問となりますが、鯉沼さんの近況と、今後やりたいことを教えてください。

鯉沼
 ゲーム作りの近況としては、『キングダム 覇道』や『ぽこ あ ポケモン』に関わっていました。発表済みのものでは『進撃の巨人3』にも携わっております。今後は、ホールディングスの社長としてグループ全体をどう成長させるべきか考えていくのはもちろんですが、職場環境を整えてよりよいクリエイティブが生まれるように変えていきたいと思っています。私自身も、時間が許される限りはクリエイターとしてがんばっていきたいですね。
【VIPインタビュー】コーエーテクモ 鯉沼久史社長が語る世界No.1に向けたグループ戦略。開発ライン数の増設に取り組み、5000人規模の組織を目指す
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