THQ Nordicより、2024年3月15日(金)にプレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、PC(Steam)用ソフト『アウトキャスト 新たなる始まり』(Outcast - A New Beginning)が発売(ダウンロード版は3月15日23時に配信)。
本作は、惑星アデルファを救うために元海軍特殊部隊のカッター・スレイドがドロイドの侵略者に立ち向かう、オープンワールドSFアクションRPG。1999年にリリースされ、のちに“オープンワールドのさきがけ”とも言われるほどの評価を得た『Outcast』の続編となっている。
本記事では、ストーリーや世界設定、バトルシステムなど本作の見どころをレビューしていこう。
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細部まで作り込まれた世界は村人との会話も楽しい
グラフィックスやバトルシステムなど、各要素が高水準な本作だが、個人的にいちばん魅力的だと感じたのはストーリーと世界観だ。
地球とは異なる、惑星アデルファという世界がしっかりと作り込まれており、冒険しているだけで胸躍る。近未来、荒廃した地球やファンタジーな世界などオープンワールドの舞台はさまざまだが、本作は地球とも、ファンタジーともまた違った“異星”感を強く堪能させてくれた。
グラフィックやデザインだけでなく、アデルファ独特の言語や文化まで作り込まれている点が印象的だ。
ストーリー冒頭ではアデルファに住むタラン族の“レハズ”と遭遇するのだが、初手から“バケモノ指”呼ばわりされてしまう。タラン族は手に太い指が3本生えているのだが、5本指を見てバケモノ呼ばわりされることで、「この世界では人間の姿は異端なんだな」と実感させられる。
以降も地球の文化や考えかたが通じない場面が多数あり、自分が冒険しているのが未知の異星であると理解でき、その世界に没頭できた。
そんな世界を冒険する主人公、カッター・スレイドもユニークな男だ。彼は自身の記憶が断片的にしかないまま、惑星アデルファを救うために奔走していく。
スレイドの人物像や過去はゲーム開始時点だと不明な部分が多く、背景がつかみにくいのだが、それが気にならなくなるほどテンポのいいポジティブシンキングでプレイを後押ししてくれる。
誰に対しても冗談や軽口を言いつつ、基本的に頼まれたことはすべてやってくれる、おもしろい男だ。
ゲームの大きな目的は、タラン族を絶滅から救うこと。そのためにふたつのメインミッションが発生し、順番に達成していくことになる。ひとつは7つの村を救い、中止されていた儀式に必要なダロモンを集めること。侵略によって問題を抱える村を訪れて悩みを解決し、タラン族をまとめていくイメージだ。
もうひとつは侵略者に保管されたホワイト・ヘリディウムという資源を集めるミッション。こちらは巨大な基地を襲撃して集めることになるが、村を救う工程で達成できることも多い。どちらか一方を進めていくというよりは、自然と両方のミッションが達成できる形だ。
助けることになる村ではそれぞれ悩みを抱えており、また独自の文化も形成されているのが見どころ。スレイドに好意的な人物ばかりではなく、むしろ最初は警戒されがちだ。そんななか、村の変わり者と仲よくなったり、捕まったタラン族を助けていき、だんだん打ち解けていく。
本作に登場する独特な生物との交流はもちろん、登場人物も個性的なので、どの村に行ってもそれぞれ違う楽しみかたができた。向かう順番は自由なため、気になった村から手助けしていける。
クエストの中には、巨大基地の破壊などが含まれることも。村人どうしのトラブルなど些細な内容で揉めていたりもするタラン族だが、その真横では侵略者が巨大な基地を建設しており、思わず「危機感を持ったほうがいい」とツッコミたくなる場面もある。
また、アデルファの巨大生物の背に乗り空を飛ぶ護送船を襲撃するなど、SF感溢れるユニークなミッションも登場。アデルファの奇妙な生態系や、それを蹂躙する軍隊との対決はワクワクする内容が多く、ストーリーを進めるたびにどんな生物と出会えるかが楽しみになる。
生物のデザインや村の雰囲気などビジュアル面も異星らしくて魅力的だが、そのほか注目したいのがタラン族ならではの文化の違いだ。地球人のスレイドとタラン族のあいだでは言葉の使いかたに違いがあり、頻繁にすれ違いが起こるのがおもしろい。
「お互い肩を持ち合おう」という提案に対して「肩なんて触るわけないでしょ」とちょっと引き気味に言われたりと、言い回しひとつとっても理解されないことがある。言語の壁自体はとある方法で解消されるのだが、それでも地球とアデルファの言葉の違いを感じられるのがユニークだ。
巨木の下で暮らす村では、樹上に実る果物が主食であり、それを収穫するのが樹上出身の収穫者、地上に暮らすのが格式ある者(いわゆる貴族、富裕層)といった具合に、村の特色を活かした文化や考えかたが根付いているのも興味深い。
漁村では魚が主食だったりと、細かな点まで世界観を作り込んでいるため、村人と会話をするだけでも新たな発見がある。この作り込みの深さが本作をより楽しくしてくれるうえ、世界観自体が好きになっていく。
カスタマイズで最強の銃を作り出そう!
別記事でも紹介しているが、本作のバトルシステムやジェットパックでの移動についても、改めて魅力を語っていきたい。
まず、オープンワールドの移動を快適にしてくれるジェットパックについて。こちらは地上から浮いてのダッシュやブーストでの高速移動、さらには滑空まで可能な代物で、長距離でもサクサク移動できる。
もちろんファストトラベル機能もあるが、多少の距離ならジェットパックで楽に進めるため、全編を通して移動面は快適そのもの。高い崖なども回り道せずゴリ押しで登れるため、移動でムダなストレスを感じることは一切なかった。
戦闘は銃撃メインで、TPSではおなじみの操作性なので迷うことはないだろう。ハンドガン、ライフルの2種類を好きなタイミングで使い分け、野生生物やドロイド軍と戦うことになる。銃を撃ちつつシールドを展開したり、ジェットパックの横ステップ、バックステップで回避したりと、アクション性はかなり高い。
バトルにおいては、テンポのよさが魅力のひとつになっている。ジェットパックのおかげで敵との距離をすぐに詰められるため、遮蔽物に隠れてチマチマ銃を撃ち合うことにはならない。
建物の上にいようが問答無用で接近して吹き飛ばせるため、敵との戦闘はサクサク終わる。難易度を上げるとさすがに身を隠す必要も出てくるが、通常難易度(ノーマル)の場合、さほど被弾を気にせずゴリ押しできた。
大量に出てくる敵との戦闘は回避と銃撃の応酬で終わるが、ボス戦はまたひと味違ったテイストになる。ボスの場合、弱点を狙い撃つのに加えて、範囲攻撃を急いで回避するといったアクションが求められることも。
こちらもジェットパックを使っての横ステップや、空中を浮遊する重力制御で乗り切る形だ。初見でも勝てることがほとんどだが、強いボス相手なら行動パターンを把握して、被弾を避けて戦っていくことになる。
バトルを彩ってくれるのは、何といってもパーツのカスタマイズだ。ハンドガンには4つ、ライフルには6つまでパーツをセットすることができ、これによって攻撃方法が大きく変化する。
射出する弾自体を変えるものや、敵撃破時にHPを回復する補助効果など、パーツの効果はさまざま。自分で好きなパーツを組み合わせて、最強の武器を作っていくのがおもしろいところだ。パーツがひとつ手に入っただけで大きく変化することもあるため、装備集めをする瞬間もワクワクする。
パーツをセットした場合の変化についても、紹介していこう。たとえば単発でそれなりのダメージを与えるライフルに、弾を一斉掃射するマルチ・ショットと、敵を自動追尾するスマート・バレットというパーツを付けるとどうなるか。
マルチ・ショットだけだと三方向に弾が飛ぶため集弾性が悪く、至近距離でしか3発ヒットしないのだが、スマート・バレットのおかげでグイっと弾が曲がって3発とも当たるようになる。このようにパーツどうしを組み合わせた相乗効果を狙っていくと、よりカスタマイズのやり応えが増していくのだ。
個人的には
- ハンドガンに連射性を上げるマシンガン
- 弾数を増やすマルチ・ショット
- 自動追尾のスマート・バレット
- 弾に地雷を追加するスティッキー・マイン
の4パーツを付けるセットがお気に入りだ。
1回で3発発射される弾が高速で連射され、そのすべてが自動追尾&地雷付きという、敵からしたら地獄絵図な武器が完成する。大量に群がる虫系の敵や、空をちょこまかする鳥を撃ち落とすときには最高の武器だ。
ほかにもストーリーを進めるとヴェンティロープという生物に空から爆弾を落としてもらったり、巨大生物の背に乗って移動できるようになったりと、アデルファならではの攻撃、移動手段も習得できる。
アクション面は文句なしに快適で、やり込むほどに楽しみが増すストーリーやカスタマイズといった要素も豊富な『アウトキャスト 新たなる始まり』。遊ぶほどに好きになっていくゲーム性なので、オープンワールドやSF好きの人は要チェックだ。
製品概要
- タイトル:『アウトキャスト 新たなる始まり』(Outcast - A New Beginning)
- 対応予定プラットフォーム:プレイステーション5、Xbox Series X|S、PC
- 発売日:2024年3月15日発売
- 発売元:THQ Nordic
- 開発元:Appeal Studios
- 価格:プレイステーション5版とXbox Series X|S版は8800円[税込]、Steam版は7590円[税込]
- ジャンル:アクション・RPG
- 対象年齢:CERO 15歳以上対象
- 備考:Xbox Series X|S版とPC版はダウンロード専売