谷川流による小説『涼宮ハルヒの憂鬱』と、美水かがみが描く4コマ漫画『らき☆すた』が、2023年にそれぞれ連載開始20周年を迎えたことを記念する合同イベント“SOS☆感謝祭”が、2024年3月9日(土)より3月24日(日)まで埼玉・ところざわサクラタウンにて開催中だ。

 期間中は毎週末にゲストを招いてのイベントも行われている中で、本記事では3月10日に開催された“SOS☆感謝祭プレミアムステージイベント”<夜の部:涼宮ハルヒの憂鬱>の内容をお届けする。

 なお、あわせて<昼の部:らき☆すた>ついても下記より参照いただきたい。

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 『涼宮ハルヒの憂鬱』は第8回スニーカー大賞の大賞受賞作品。“ザ・スニーカー2003年6月号”にて受賞が発表され、そのまま同誌での連載がスタートした。

 物語はありきたりで退屈な日常を好まず、“学校一の変人”の座をほしいままにする強烈な性格の美少女・涼宮ハルヒと、なぜか彼女に見込まれたごく普通の高校生であり主人公・キョンを中心に描く“微妙に非日常系”な学園ストーリー。

 さらに寡黙な文学少女……その実態はいわゆる宇宙人な長門有希、ハルヒを監視するために未来からやってきたという気弱美人な上級生・朝比奈みくる、超能力者が組織する“機関”に属する物腰柔らかな美男子・古泉一樹たちを交えた“世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団”(SOS団)のメンバーをはじめとした魅力あふれる登場人物たちも人気となり、彼女たちの繰り広げる大小さまざまな騒動が現在までに全12冊のシリーズ作品として刊行されている。

 2006年には『らき☆すた』に先駆けて京都アニメーションによりアニメ化。細部までこだわった描写や全体的なクオリティの高さがアニメファンに支持され、いわゆる“ハルヒダンス”などさまざまなブームを巻き起こしつつ、一気に大ヒット作品となった。そして現在では2000年代を代表するアニメとして、アニメブームのきっかけとなった転換点のひとつとも評価されるレジェンドタイトルなのだ。

ハルヒたちとともに20年を振り返る“涼宮ハルヒの足跡”

 そんな『ハルヒ』のプレミアムイベントは、涼宮ハルヒ役:平野綾、長門有希役:茅原実里、朝比奈みくる役:後藤邑子の3人によるオープニングトークで幕を開けた。

 20年という期間に改めて驚愕しつつ、まずはシリーズの時系列と、20年の歩みを振り返る“涼宮ハルヒの足跡”のコーナーへ。

 まず初期のタイトル案や、キャラクターのラフスケッチなどの紹介に続いて、初代の文庫担当編集である坂本氏からのメッセージを紹介。

「(もともと寡黙な谷川さんの)雑誌4ページのインタビューを取るのに3時間カラオケボックスでのカンヅメは、なかなかの地獄でした。いまにして思えば谷川さんがしゃべらない分、キョンが饒舌に語ってくれているのだろうと納得感しかありません」

 と、谷川流の人柄を交えたエピソードが披露されると、3人は作品の礎を作った担当編集ならではの話に感心しきりの様子だった。

『涼宮ハルヒの憂鬱』イベントに杉田智和がサプライズ出演。“ワンダリング・シャドウ”の熱演が響く『ハルヒ』への愛情がたっぷりこもった一夜
『涼宮ハルヒの憂鬱』イベントに杉田智和がサプライズ出演。“ワンダリング・シャドウ”の熱演が響く『ハルヒ』への愛情がたっぷりこもった一夜

 続いて年表を確認しつつ、物語全体の時系列を追っていく。

 『憂鬱』や『消失』などアニメ化にまつわる部分では、アニメプロデューサーの伊藤氏のメッセージを紹介。その後も、歴代担当者や書籍営業担当からの熱いメッセージが届けられた。

 そして最後を飾る形でいとうのいぢからのイラストメッセージが公開。

 ハルヒ、長門、みくるの愛らしい姿に会場全体が癒やされると、現在制作進行中という待望の新作『涼宮ハルヒの劇場』描きおろしビジュアルも紹介され、未来へ続く足跡も残しつつコーナーを締めくくった。

『涼宮ハルヒの憂鬱』イベントに杉田智和がサプライズ出演。“ワンダリング・シャドウ”の熱演が響く『ハルヒ』への愛情がたっぷりこもった一夜

そして待望の朗読劇はハルヒらしいサプライズの連続!?

 事前のアンケートに記入されたファンからのメッセージをもとにした特別ミーティングのコーナーを挟んで、イベントはいよいよ待望の朗読劇のコーナーへ。

 その前に本日はあいにく駆けつけることができなかった古泉一樹役・小野大輔からのビデオメッセージがスクリーンに映されると、そのまま朗読劇のAパートに突入……と思いきや、会場のファンのためにある男を派遣したとのコメントが……!?

 なんと、ここでサプライズでキョン役の杉田智和が登場し、朗読に参加したのだ。

 会場がザワつき、歓声が上がる中、杉田が着席するとそのまま朗読劇のAパートが開始された。

『涼宮ハルヒの憂鬱』イベントに杉田智和がサプライズ出演。“ワンダリング・シャドウ”の熱演が響く『ハルヒ』への愛情がたっぷりこもった一夜
『涼宮ハルヒの憂鬱』イベントに杉田智和がサプライズ出演。“ワンダリング・シャドウ”の熱演が響く『ハルヒ』への愛情がたっぷりこもった一夜

 今回演じられた“ワンダリング・シャドウ”は小説第8巻、『涼宮ハルヒの憤慨』に収録されている中編エピソード。

 ハルヒたちの入学から1年が経とうとしていた3月、クラスメイトの阪中さんから持ちかけられたある不思議な相談。ハルヒはそれを幽霊の仕業と期待したようで……というもの。

 ドラマCDなどを含めてもこれまで演じられたことはなく、キャスト陣による新たなエピソードが聴けることとなった。

 Aパートが終了すると、杉田の挨拶も終わらないうちに舞台が暗転し、再度のサプライズ。ジョー伊藤こと、アニメプロデューサー・伊藤氏が影ナレにより原作者・谷川流からのメッセージを代読したのだ。

「皆さまには各キャラの声をこの上なく見事、かつイメージ通りに演じていただき心から感謝しています」

 と谷川流からの感謝の思いを述べ、

 平野綾には結婚のお祝いをしつつ「どうか我が道を勢いよく」、後藤邑子には「『恋のミクル伝説』を初めて聴いたときの衝撃は筆舌に尽くし難く、どうにも忘れることができません」、茅原実里には「甲子園で始球式をされたこと、うらやましい限りです」、杉田智和には「(モノローグなども含め)キョンがいて物語がはじめて成立するというキャラを演じきった技量に、感嘆を禁じえません」とそれぞれに対するメッセージを贈った。

 これは杉田以外は知らされていなかった、キャストにとってもサプライズな仕掛けだったようで、驚きながらも「見守っていてくれたんだな」と感謝を口にしていた。

 一方で、メッセージがほとんど甲子園球場のことに終止してしまっていた茅原は「またお会いする機会を作りたい」と決意を新たにしていた様子だった。

 そしてここで改めて杉田が客席へご挨拶。

 当初はスケジュールが厳しく参加ができなさそうだったというが、

「ハルヒ(平野)に呼ばれたのと、キョンならこういうときどうするだろうと考えて、その結果が、今です」

 と無理を押して駆けつけたことを打ち明けると、会場からは大きな拍手が送られていた。

『涼宮ハルヒの憂鬱』イベントに杉田智和がサプライズ出演。“ワンダリング・シャドウ”の熱演が響く『ハルヒ』への愛情がたっぷりこもった一夜

 そんな一幕も二幕もはさみつつ、朗読劇は後半へ。

 見事事件が解決しBパートが終わると、生の朗読劇ならではのハプニングについて明かしたり、「こうしてSOS団のみんなが揃ってるとすぐ昔に戻って演じられる」感慨深そうに感想を語り合ったりしていた。

 朗読劇のために駆けつけた杉田智和はここで退場。録音での参加となった小野大輔、阪中さん役の相沢舞たちへの感謝を述べ、去り際に「みんなはこの後もイベントを楽しんでくれ。じゃあな!」と言い残し、会場から大いに喝采を浴びていた。

フィナーレでは画面越しの谷川流に、いとうのいぢに花束贈呈

 かくして劇は盛況のうちに幕を閉じ、あっという間にエンディングのお時間へ。

 “SOS☆感謝祭”についてやコラボアイテムの紹介、相互コラボの『らき☆すた』の情報などの告知を終えると、20周年を記念して作られたという特製のケーキが登場。

 5人のSOS団員全員のイラストが描かれたプレートがあしらわれたにぎやかなケーキに3人は口々に「かわいい~」と声を上げていた。

 そしてお祝いということで、谷川流といとうのいぢに向け、花束とキャストからの寄せ書き色紙の贈呈とともに、会場のファンとの記念撮影も行われた。

 キャスト、ファンが一体となった「おめでとうございます!」という思いは、きっと画面越しに見ていた2人にも届いたことだろう。

 そしていよいよ、3人のキャストが今日のステージを振り返りつつ、最後の挨拶を述べる。

  • 後藤「20周年を迎えた今も先生が作品を書き続けて、続きをみんなが待ち続けているということが、いち関係者として、こんなに胸がいっぱいになるくらい嬉しいんだなということを改めて思いました」
  • 茅原「またこうして集まれるように応援していただけたら、とてもとても嬉しいです。いつハルヒに呼ばれても、歌って、踊って、有希にいつでもなれるようにこれからも頑張っていきますので、よろしくお願いします」
  • 平野「私たちがハルヒを演じた18年、谷川先生が書き続けた20年間というのは、他とは比べられないすごく特別なものがあるなとこのイベントを通して改めて感じました。また元気に5人揃ってみなさんの前に姿を表すことができたらと思っていますので、今後とも応援よろしくお願いします」

 と、それぞれから語られたメッセージは、作品に対する深い想いが感じられるものとなっていた。

『涼宮ハルヒの憂鬱』イベントに杉田智和がサプライズ出演。“ワンダリング・シャドウ”の熱演が響く『ハルヒ』への愛情がたっぷりこもった一夜

さながら同窓会な事後番組も必見!

 さらに配信では本編のあとに限定のスペシャル映像が事後番組として公開。

 “SOS団・20周年(はたち)の集い”と題して行われたこの番組では、本編で出演が叶わなかった小野大輔を交えてSOS団5人全員が顔を揃えての同窓会的な内容となっていたのだ。

 今回のステージや朗読劇にまつわる秘話から、アニメ放送当時の思い出、『涼宮ハルヒの憂鬱』に対する想いまで、30分の大ボリュームでお届け。こちらも必見の内容となっている。
 
 本編の模様と合わせて、配信アーカイブは3月17日(日)23:59まで“Streaming+”、“ニコニコ生放送”にて視聴することができるので、ぜひそちらもチェックしてみよう。

 ハルヒたちのプレミアムな勇姿を何度でも楽しもう!

『涼宮ハルヒの憂鬱』イベントに杉田智和がサプライズ出演。“ワンダリング・シャドウ”の熱演が響く『ハルヒ』への愛情がたっぷりこもった一夜

<配信チケット販売サイト>

券売スケジュール
2024年3月17日(日) 21:00

アーカイブ視聴期間
2024年3月10日(日)各公演終了後~2024年3月17日(日)23:59

※公演終了後、アーカイブ視聴開始までに処理でお時間をいただく場合がございます。

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