IMAGICA GROUPというグループ会社をご存知だろうか。
映像の企画制作、配信を主業としており、これまで数多くの映画やドラマ、アニメ、CMなど映像分野で事業を行っている。
さらに、同グループはじつはゲーム業界にも深く関わっている。
近年では『ファイナルファンタジーXVI』や『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』など、ゲームファンなら誰しもが聞いたことのあるであろう日本が誇るビッグタイトルにも協力し、開発現場の支えとなっていたのだ。
一般のゲームファンにとってはそこまで有名な会社ではないかもしれないが、ゲーム開発に携わる方や、ゲームクリアー後のスタッフロールをじっくり眺める趣味のある方には有名な会社かもしれない
そんなIMAGICA GROUPが、2023年4月、ゲーム事業をグループ成長事業のひとつに掲げ、株式会社 IMAGICA GEEQ(イマジカ ジーク)をゲーム事業に特化した会社として独立させた。
IMAGICA GEEQの社員はさまざまな開発会社の制作プロジェクトに参画し、会社の枠にとらわれない制作集団として存在している。いわばゲーム映像制作において“縁の下の力持ち”、“頼りになる助っ人選手”的な存在がIMAGICA GEEQだ。
IMAGICA GEEQは発足後1年足らずして、イギリスに本社を置くUniversally Speaking社との業務提携を実現。IMAGICA GEEQの掲げる目標や業務提携の狙い、現在求めている人材などを、代表取締役社長の森田正和氏に訊いた。
※本記事は世界に羽ばたくIMAGICA GROUPの提供でお送りします。
森田正和 氏(もりた まさかず)
IMAGICA GEEQの代表取締役社長(文中は森田)。
IMAGICAがゲーム事業に特化したIMAGICA GEEQを設立
――まずは、IMAGICA GROUPとIMAGICA GEEQがどのような会社なのか、読者に向けてご紹介をお願いします。
森田2023年4月に、IMAGICA GROUPの中でゲーム事業に特化したIMAGICA GEEQを設立しました。IMAGICA GEEQが目指しているのは、グローバルゲーミングサービスカンパニー。パブリッシャーの方々のご要望にお応えする、E2E(エンド・ツー・エンド)――ゲーム制作業務の始まりから終わりまで――のサービスが提供できる会社になることです。
IMAGICA GEEQがすでに事業を運営している分野が3Dや2DのCG制作。ならびにQA(クオリティアシュアランス。品質保証)なのですが、そのなかでも我々のひとつの特徴と言いますか、強みにしているのが3D制作の事業分野です。
――御社がこれまで手掛けた作品をいくつか挙げつつ、どのような仕事をしてきたのか、どのような点に強みのある会社なのか教えてください。
森田直近では『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(発売:任天堂/2023年5月12日)、『ファイナルファンタジーXVI』(発売:スクウェア・エニックス/2023年6月22日)、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(発売:ポケモン/2022年11月18日発売)、あとは『プロ野球スピリッツ』シリーズ(KONAMI)などにも携わっていて、詳しくはGEEQの公式サイトをご確認いただければ、制作実績を掲載しています。おもにキャラクターやモーション、背景などの一部を制作させていただいています。
――多数のビッグタイトルに関わっているのですね!
森田そして弊社の強みとしては、“品質と規模感”があります。
3D制作部門の従業員を300人ほど抱えておりまして、3DCG分野において日本の中でも大きな事業をさせていただいているのかなと思っています。また、我々がもっとも大切にしているのが、“高品質で信頼のサービスを提供する”ということです。これは弊社のミッションとしても掲げていて、お客様の期待を超える顧客価値を創造し、提供していきたいという理念がございます。
――量と質の両取りといいますか、人員数だけでなくそのクオリティーも大切にしているということですね。
森田さらに、3DCG分野の特徴としましては、社内での教育をしっかり行っているということが挙げられます。画力はあるが3DCG制作経験の少ない方でも、入社後しっかり研修を受けてから各プロジェクトに参加していただき、活躍してもらっています。
――社内での育成がきっちり行われる。
森田IMAGICA GEEQに分社される前の会社に3DCGのデザインスタジオがありまして、この立ち上げメンバーのひとりがこれまでに培ってきた長年にわたるノウハウを教科書のような形にまとめていて、それを受け継ぐ形で新人の教育に使っています。
デザインの才能があるメンバーをみずから教育することによって、一定のレベルのアートを手掛けられるスタッフを多数抱えているのは、弊社の強みであり特徴であると考えています。育成した優秀な人材は、弊社のオフィスで進めているプロジェクトに参加してもらうこともできますし、お客様の会社にチームごと常駐することもできます。
そのほかにも、お客様にオーダーをいただいて、社外にアウトソーシング(業務の一部を外部に委託すること)し、マネージングするといった業務も行っています。
つまり、お客様のご要望に応じていろいろな対応ができるということが弊社の大きな特徴ではないかなと思います。
――一般的なプレイヤーからは見えづらいかもしれませんが、数多くの開発現場に外部スタッフの存在があり、IMAGICA GEEQのクリエイティブスタッフはそういったいわば“助っ人部隊”として活躍されているのですね。
森田そうなんです。ひとりひとりの名前はスタッフロールにしか出てきませんが、制作においてはそれぞれ誇りを持って業務にあたっているスタッフが多いと感じています。
――冒頭にIMAGICA GEEQの説明がありました。会社を設立した狙いや意図について改めてご説明いただけますでしょうか。
森田「2025年にIMAGICA GROUPをどのような会社にしたいのか」という中期ビジョンを策定するにあたって、ゲーム市場が今後ますます成長していくのではないかと考えました。
ですが、これまでのIMAGICA GROUPのゲーム開発への関わりかたというのは、ゲーム制作の一部を受託したりスタッフを派遣したりするのが柱となっていました。
ゲーム業界の成長性を見て、これまでそういった実績がある我々としてはどうするかを考えたときに、いまある強みを伸ばす、ゲーム制作のバリューチェーンを広げる、さらにはグローバルに展開していく……という大きな方針を立てました。
その方針をもとに会社を分割してゲームに特化したIMAGICA GEEQを設立しました。今後は、3Dや2DのCG制作はもちろん、ローカライズ事業へ領域を広げるなど、ゲーム事業をグローバルに展開していきたいと考えています。
――ゲーム市場のどういったところに、成長性を感じたのですか?
森田国内のゲーム市場の規模は2兆円を超えていますし、世界では20兆円を超えると言われています。しかも成長は止まっていないし、これからも続くだろう……という考えですね。
というのは、IMAGICA GROUPはもともとグループ全体の中期経営計画として、4つの基本戦略を掲げていました。ひとつ目は全世界で公開・配信される映画やドラマ作品の字幕/吹替と配信向けの事業を大きく拡大させる、ふたつ目がエンタテイメント分野の新しい映像体験を提供するライブエンタメ事業の確立、3つ目が映像のシステム分野の事業で新しい価値を創造する。4つ目は独自IP創出などにより映像制作事業を高収益に変革していくというものでした。
このうちとくに映画とドラマの字幕/吹替と配信向けの事業は近年の巣ごもり需要もあって伸長しましたが、現在は安定成長へシフトしつつあります。またライブエンタテインメント事業は、コロナ禍の中でオンラインライブ配信を提供するなど成長しましたが、コロナによる経済活動の制限が解除されると、実際のイベントやライブが再び可能になっており市場環境が変化してきています。
2025年に向けて大きく成長させようとしていた事業の成長が中計策定時の想定から変化してきたこともあり、弊社グル-プの映像に関する事業領域の中で「つぎの成長分野は何か」を探したときに、ゲーム市場の伸びに注目したというわけです。
とはいえ、将来的にはともかく、自社タイトルを開発して発売(パブリッシング)しようということではありません。
まずは、いますでに事業をしているバリューチェーンの中で、できることがあるのではないかと考えています。ゲームに関しては3Dや2Dの制作がメインですが、映像の分野ではローカライズやグローバル展開を行ってきたノウハウもあるので、ゲーム事業にそういった経験をうまく応用できるのではないかと。
――これまでいろいろな会社に提供してきた企画制作スタッフの力を自社内で使ったり、ゲーム事業以外で培ってきた知見を自社内でゲーム分野へうまく活用したりできるだろうという見込みがあるのですね。
森田はい。もともとは制作現場における、クリエイターの人材派遣や人材紹介ビジネスが中心だったのですが、ゲーム制作の受託業務も行うようになって一定の評価をいただけるようになりました。今後は制作事業分野に力を入れることで、自社で制作を行いながら、他社に人材を派遣できる会社にも成長していくことができます。
――会社が持っているクリエイターの力を、制作とサービスの両面作戦、二刀流で使っていこうと。
森田そうした会社はあまりないですから弊社の大きな特徴になると思います。
また、人材派遣ビジネスを行っていることで、開発現場ではどういった人材がいま必要とされているのか、プロジェクトにはどういった状況があるのかといった情報も得られ、業界の気運をつかみやすい位置にいるのかなと感じています。
これらの情報を活用することでお客様のご要望に応えやすくなりますし、大きな強みになると考えていて、今後はIMAGICA GEEQをIMAGICA GROUPの成長エンジンにしたいという思いで活動を続けています。
イギリスに本社を置くUniversally Speaking社との業務提携が実現
――2023年はUniversally Speaking社(以下、US社)と業務提携契約を行いましたが、この狙いを教えてください。
森田US社はイギリスに本社を置く会社で、QAやローカライズ、オーディオサービスも行っており、我々が目指しているエンド・ツー・エンドの仕事をグローバルに展開しています。
US社と弊社が提携して可能になる分野というのは、我々がまだ自前で持っていないローカライズとグローバルの部分ですね。これらをいっしょに手掛けていけますし、US社が海外のクライアントから受けた仕事を、彼らがカバーしきれていないアジア圏に向けて、弊社を通じてお届けすることができるのではないか。
そういった可能性を我々だけではなく、US社も魅力に感じているようです。いずれにせよ、エンド・ツー・エンドでゲームのパブリッシャーが求める、川上から川下までのサービスを提供するということは一致しています。
お互いの目的はもちろん、バリューチェーンのエリアも同じですし、品質を大事にするという理念も共通しています。
「まずは品質ありき」ということ。品質を確実にしながら仕事を伸ばしていく。最初から売り上げや数字のボリュームを求めていくのではなく、品質を求めてクライアントの信頼を得て、結果としてボリュームにつながればいいという考えが我々と完全に一致しています。
さらに、エリアごとにいろいろな業務分野をシェアできるといいますか、補完し合えるということで、今回、包括的な業務提携ができたと考えています。
――US社とはどのような経緯で業務提携を結ぶことになったんですか?
森田じつは運命的な出会いがありまして。IMAGICA GEEQを設立するにあたって、2023年3月にアメリカ・サンフランシスコで開催されたGDC(Game Developers Conference。世界最大のゲーム開発者カンファレンス)に参加しました。そこで我々は、いまのバリューチェーンを補完しあえるパートナーを探していたのですが、GDCのマッチングシステムでUS社をご紹介いただき、現地で会うことになったんです。
そこで意気投合して、まずはお互いの会社を知るところから初めましょうということで、できるところからごいっしょしてきたのですが、その後も話がトントン拍子に進み、8月にドイツ・ケルンで開催されたgamescom2023(ヨーロッパ最大級のゲーム見本市)で再会して包括的に業務提携を行うことで基本的に合意しました。
――両社の出会いが2023年3月からと考えると、今回の業務提携は、かなりスピーディーに決まったのですね。
森田US社が業務提携に積極的だったのもありますね。彼らは急成長しているグローバル企業なので、まだ足もとの規模はそれほど大きくないのですが、いろいろなお客様から声が掛かっていて、大きなファンディングさえあればなんでもできるポジションにありました。
そして彼らがいちばん求めていたのが、日本のクライアントやアジアでの拠点だったのも業務提携がスムーズに決まった要因です。我々としても、グローバルでいっしょに仕事ができる企業を探していたので、お互いに目的が合致しました。
あとは、発足して間もないという共通点もあります。US社は、2002年に創業された会社なのですが、2年前にオーナーが代わって現在の経営者はファンドのメンバーが新たに採用した方たちです。
我々と同じく、動き出したばかりということで、お互いにパートナーを探していたというのも業務提携を進めるうえでプラスに働きました。
――将来的には、IMAGICA GEEQが手掛けたオリジナルのタイトルを、US社がグローバル展開するということもあるのでしょうか。
森田IMAGICA GROUPの中では、ここ数年でオリジナルのIP(知的財産)も生まれてきていますので、将来的にはIMAGICA GEEQが企画・開発も含めすべてを担当して、US社を通じて全世界にお届けしたいという思いはあります。
――他社から依頼があれば、他社のタイトルでもUS社を通じてグローバル展開を行う考えはありますか?
森田もちろんです。パブリッシャーの方やファーストベンダーの方に対して、我々がUS社を通じてグローバル展開できるのは、業務提携を行うメリットのひとつですから。
――ゲーム開発やローカライズなど、今後進出していきたい分野などを含めて、少し広めに事業戦略についての展望を教えてください。
森田一部くり返しにはなってしまいますが、最終的にはゲームのパブリッシングからマーケティングの分野については、我々が一貫して担当できる可能性はあると思っています。とくにいま展開できている3DCGや2DCG、ならびにQAに加えて、ローカライズとマーケティング。ここまではUS社と連携しながら事業ができると考えています。
そのほかに我々がやらないといけないことは、いわゆるデベロップメント(開発)のところで、業務提携なり資本提携を含めて、規模はともかくバリューチェーン全体を広げていきたいなというところで進めています。
というのも、付加価値という意味でも、バリューチェーン全体の中でいちばん大きいのはリスクもありますがパブリッシングだと思います。パブリッシャーは大きな投資をされていて、それがヒットすれば付加価値が高いですよね。そのつぎは開発分野だと思っていまして、開発分野からお仕事をいただく3DCG、アートになっています。そういった川上の制作分野に軸を置きながら、事業を展開していきたいと考えています。
――なるほど。
森田また、いわゆるローカライズやQAに関わるサービス分野は、お客様との接点、あるいは事業をグローバルに展開するトリガーだと捉えています。そこを通じて、グローバルにお客様と接点を持つことができるので、いろいろなクライアントさんからお声がけいただく機会が増えるのではないかと期待しています。
とはいえ、今後AIがさらに進化して行くと、ローカライズやQAのサービス分野での付加価値は、コスト競争力の強いところが有利になるはず。かなりきびしくなるのではないかと予想をしています。サービス分野とお客様に付加価値を認めてもらえる制作分野の2軸で考えていて、制作分野に軸足を置きながら、サービス分野でグローバルに展開していきたいというのが現在の戦略になります。
ゲーム事業の拡大に伴い、IMAGICA GEEQでは人材を募集中!
――現在、IMAGICA GEEQではゲーム開発事業にまつわる人材を募集されているとのことですが、どのような人に来てほしいのか教えてください。
森田ゲーム業界では当たり前といえば当たり前なのですが、大前提としましてゲームが好きな方。もしくはゲームに関心がある方。さらには、チャレンジ精神のある方で、なおかつ忍耐強いと言いますか、持続力のある方に来てほしいですね。
CG制作って、皆さんが想像している以上に地味な作業ですからね(笑)。3Dでも2Dでも、地道に描き続けるにはとにかく忍耐が必要なんです。ゲーム好きでチャレンジャーな方はたくさんいらっしゃると思いますが、継続してずっと続けられる方は少ない気がします。
――まとめると、ゲーム好きのチャレンジャーで、できれば忍耐強い方。
森田そういった方が弊社には合っていると思います。また、IMAGICA GEEQを設立するにあたってバリュー、いわゆる行動指針を作りました(下記参照)。
IMAGICA GEEQのバリュー
- 常に感謝の気持ちを持とう!/Have Gratitude!
- チームで最高の仕事をしよう!/Enhance your team’s abilities!
- 活き活き楽しく働こう!/Enjoy your work!
- 新しい何かを求めよう!/Quest for something new!
GEEQという社名の頭文字とも関係していますが、これら4つのバリューに共感していただける方といっしょに仕事がしたいですね。
先ほどお話しした通り、興味ややる気さえあれば、3ヵ月の教育期間を経て一定のレベルには到達できると思います。そこはこれまでの実績がありますから。あとは実際にプロジェクトに入ってみて通じるかどうか。さらにチャレンジできるかどうか、粘り強く継続できるかどうかが重要になると思います。
――3Dや2Dのデザイナーのほかに募集される職種はありますか?
森田一般的に“プロデューサー”と呼ばれる人材も募集しています。
理想はビジネスプロデューサー……お客様のご要望をお聞きして、それを事業に反映したり、自分たちやアウトソーシングのリソースを使ったりして、クライアント様に期待を超えるような価値を提供できる人材がほしいですね。あとはグローバルの仕事がしたい人材。こういった方たちがいちばん必要だと思っています。
――デザイナーに関しては、社内育成システムがあるので新人の方でも大丈夫だと思いますが、プロデューサーに関しては業務経験者のほうが合っていそうですね。
森田デザイナーに関してもできればマネジメントを任せられる人材がほしいですね。社内にも成長してプロジェクトリーダーを任せられるスタッフもいるのですが、クリエイティブなことは大好きだけど、部下の面倒をみるのは苦手という方も多いですから(苦笑)。
――編集者も似たような面があり、よくわかります(笑)。
森田即戦力として活躍してくれるとプロジェクトリーダーや、プロデューサーの経験がある方にきていただけると非常にうれしいですが、立ち上げたばかりの会社ですので人材は幅広く募集しています。お話した通り今後はローカライズにも力を入れていきますので、「海外で活躍したい」と考えている人にも応募してもらいたいですね。
IMAGICA GEEQが掲げる今後の長期的なビジョン
――今後長期で見たときのIMAGICA GEEQが目指しているビジョンを教えてください。
森田ビジョンと言えるかどうかはわかりませんが、冒頭申し上げましたように、ゲームという事業をグローバルに川上から川下まで行うことを我々は“エンド・ツー・エンド”と呼んでいますが、この事業領域にわたってお客様の期待を超える価値を提供していきたいと思っています。
そしてIMAGICA GROUPのIP(知的財産)を使った横展開……そこからゲームを開発し、アートを制作し、ローカライズし、QAして自社グループでグローバルに展開できるようになったら最高ですよね。
――自社のアニメを自社でゲーム化するというようなことでしょうか?
森田そうですね。いろんなコンセンサスを得て、実力もつけた上で求められる時がくるなら、リスクも考え小さなものからとなるでしょうね。
ですが、それを実現するためには、プロバイダーとしてのサービス分野でお客様との関係や、我々と海外のクライアントとの関係、制作サービスのバリュエーションをきちんと確立したうえでの展望になります。「地に足をつけつつ、新しいことにチャレンジしていきたい」というのが、中長期的に見たときのビジョンになります。
弊社にはゲーム好きの人間が集まっていますので、「自分のタイトルを作りたい」と考えているメンバーはけっこう多いと思っています。
ただ、いまは、まだまだ実力はありませんので、お客様の開発のお手伝いをさせていただきながら、事業領域を広げてグローバル展開の基盤を成熟させていきたいですね。
――確かに、IMAGICA GROUPは人気IPを持っているので、自社グループでそのIPのゲームを開発できたら強いですよね。
森田とてもありがたいことに最近ですと、グループが原作を持つ『薬屋のひとりごと』や『オッドタクシー』などのテレビアニメも好評で、今後はこのようなグループIPをよりうまく活用できるように、力を蓄えていきたいなと考えています。
これまで、映画やドラマ、アニメ、CMなどの映像を主軸に手掛けてきたIMAGICA GROUPが、ゲーム事業に特化したIMAGICA GEEQを設立したことを多くの業界関係者やゲームファンに認知していただき、まずはお客様のご要望に対して、グローバルも含めて、ゲームの制作・サービスにおけるフルのバリューチェーンで対応していきたいと思います。
IMAGICA GEEQと業務提携したUniversally Speaking社の狙いとは?
最後に、IMAGICA GEEQと業務提携したUniversally Speaking社のCEOである、Andrew Brown氏のコメントをお届けする。
Andrew Brown もともと弊社は、北米と欧州を中心に家庭用ゲーム分野での仕事をしてきました。一方、IMAGICA GEEQはアジアを中心に仕事をしていますし、家庭用ゲームはもちろん、モバイルゲームにも強いです。お互いに補い合うことができますし、個別のクライアントを抱えているので、IMAGICA GEEQと業務提携することで力になれる関係が築けると思いました。
あとは、実際に提供しているサービスも少しだけ異なるところがあり、IMAGICA GEEQはアートを提供していて、私たちはローカライズがメインなので、お互い助け合う関係になります。とてもいい補完関係、相互関係が築けるということですね。
そこで重要なのは、お互いが高い評価を得ているということです。高い評価を得ているからこそ、強い信頼関係が築けますし、クライアントのニーズに応えられると思います。弊社とIMAGICA GEEQはパーフェクトにフィットしている関係なので、今後の取り組みにぜひご期待ください。