『バットマン:アーカム』シリーズを手掛けてきたRocksteady Studioが、『バットマン:アーカム・ナイト』の続編となる『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』を、2024年2月2日にプレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、PC向けにリリースする。

 これまで拳で分からせてきた『バットマン:アーカム』シリーズとは違い、サードパーソンアクションシューターでゴリゴリに銃を撃つゲームとなっている。

 そんな『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』のデモ版体験会が、アメリカ・ロサンゼルスのワーナー・ブラザース本社でメディア向けに開催された。実際にプレイできたので本作の魅力をお届けしよう。

 なお、プレイ動画も公開中。合わせてチェックしてほしい。

『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』プレイ動画。極悪ヴィランたちが正義のヒーローを撃って! 殴って! 駆け抜ける!

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“悪役が主役”で“主役が悪役”のアベコベな世界

 『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』は『バットマン:アーカムナイト』から5年後のメトロポリスが舞台となる。

 主人公はこれまでヴィランとして登場してきたハーレイ・クイン、デッドショット、キャプテン・ブーメラン、キング・シャークの4人がチームを組んだ“スーサイド・スクワッド”だ。

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 そして敵対する悪役はバットマン、スーパーマン、フラッシュ、グリーンランタンたち正義の味方“ジャスティス・リーグ”。つまりこのゲームは悪役として街を破壊し、人類を守る正義の味方を倒すゲーム……というわけではない。

 本作のジャスティス・リーグは全員“ブレイニアック”という異星人に洗脳され人類の敵となっている。不殺を信条としているバットマンですら一般人を殺害してしまうほどの洗脳っぷりだ。

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 こんなイカれた状況を打破するために、“アマンダ・ウォラー”はジャスティス・リーグ殺害を条件にヴィラン4人をアーカム・アサイラム(精神病院)から解放した。まさに『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』というゲームタイトルの通りとなっている。

 なお4人にはしっかり服従用の爆弾が取り付けられており、逆らえば命はない。人権がない。

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バットマンのガジェットをハーレイ・クインが使う、目には目を歯には歯を戦法。ハイテクを駆使して超人に抗え

 ジャスティス・リーグのメンバーはバットマンを除く全員が超能力を持つ超人“メタヒューマン”たち。一方でスーサイド・スクワッドはキング・シャーク以外の3名はただの人間のため対等に戦えるわけがない。

 そこで本作では4名それぞれに銃火器と特別なガジェットを渡すことで、メタヒューマンたちと戦える特殊能力を持たせている。まとめると各キャラごとに特殊攻撃と移動手段“トラバーサル”に特徴があり、装備できる銃の種類も決まっている。それぞれの特徴は以下の通り。

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ハーレイ・クイン

  • 装備:SMG、ピストル、ヘビーガン
  • 近接武器:バット
  • 特殊能力:バットマンのガジェットを使ってグラップリングで移動できる

デッドショット

  • 装備:ピストル、スナイパーライフル、アサルトライフル
  • 近接武器:腕についた銃
  • 特殊能力:ジェットパックを使って空を飛べる

キャプテン・ブーメラン

  • 装備:ショットガン、SMG、スナイパーライフル
  • 近接武器:ブーメラン
  • 特殊能力:フラッシュのスピードフォースを再現したガントレットによるテレポートができる

キング・シャーク

  • 装備:ショットガン、ヘビーガン、アサルトライフルを装備。
  • 近接武器:ナイフ
  • 特殊能力:元々が超人みたいなものなのでガジェットはないが大ジャンプや叩きつけなどができる

 そのほかに全員共通で“グレネード”、防御力の“シールドMOD”、移動用の“トラバーサルMOD”を装備できる。

 なお、チャプター4以降に解禁されるMOD枠があとふたつあるが、今回のデモプレイでは試せなかったが、それぞれのキャラクターの特徴をさらに強化するものらしい。

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 キャラクターにはそれぞれスキルツリーも用意されている。ツリーは大きく3種類に分かれており、レベルアップするともらえるポイントでスキルを解禁していく。

 各スキルには効果説明のほかにどのようなプレイスタイルやビルドと相性がいいかも記載されている。初心者にはありがたい作りだ。

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スキルを駆使して巨大都市を駆けろ

 デモプレイでは真っ先に驚いたのがメトロポリスの広大さ。しかし、正直な話をいうと横の広さだけならメトロポリスはそんなに大きくはないと思う。それでもなぜ広大と感じたかというと高低差だ。

 本作は移動ギミックのトラバーサルに力を入れている。建物のひとつひとつがでかいので、高所からのジャンプやトラバーサルアビリティを使った三次元的な移動が肝になっており、マップの見た目以上の大きさを感じた。

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 各キャラクターのトラバーサルアビリティは全然違うので慣れが必要だ。筆者はおもに使ったのはキャプテン・ブーメラン。 ブーメランによるテレポートとスピードフォースの高速ダッシュでトリッキーな動きができるお調子者だ。操作は少しクセがあるが慣れやすいと感じた。

 デッドショットのジェットパックは操作方法が直感的でいちばん初心者向け。キング・シャークはその巨体とは裏腹に大ジャンプなどの挙動が素直に感じ、扱いやすい印象だ。

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 それに比べてハーレイ・クインのトラバーサルのグラップリングはとにかく難しかった。ほかメディアの方々も口を揃えてハーレイがいちばん難しいとこぼしていたほど。

 しかし、開発者の操作を見せてもらうとまったく別次元の動きをしており、プロデューサーのJack Hackett氏自身もいちばん奥が深いキャラクターと語っていた。上級者向けのキャラクターなのだろう。

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お飾りではない近接攻撃

 メトロポリスにはブレイニアックの手下が徘徊している。もとは人間だった者たちが作り変えられてしまったのだ。正義の味方なら討伐に葛藤するところだろうがスースクはヴィランなので関係ない。

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 ここで本作のちょっと独特な戦闘を解説しよう。

 三人称視点のTPS。敵の弱点を攻撃してクリティカルダメージ。プレイヤーにはHPとアーマー。ここまではふつうなのだが、戦闘中はアーマーが時間経過で回復しない

 アーマーを回復するには敵の足に銃弾を当ててから近接攻撃を当てないといけない。TPSアクションゲームでは危なくなったら隠れて回復するのが一般的だが、本作では真逆のアプローチを図っているのだ。

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 これはアマンダの「お前らは戦わせるために解放したんだ、隠れるなら爆弾を起爆するぞ」という説得力がありすぎる脅迫セリフで説明される。やはり人権はないのである。

 また、近接攻撃はザコ敵なら空中に打ち上げて銃で追撃できるほか、中ボスだと強力な攻撃をキャンセルさせることもできるなど、積極的に使っていきたい有用性もある。

 各キャラには超強力な”スーサイドストライク”という技もある。専用カットイン付きの特殊攻撃で、雑魚的なら確殺、ボス級なら大ダメージを与えるのだが、この攻撃も近接攻撃の派生という扱いだ。範囲内の敵全員に大ダメージを与える”トラバーサルアタック”もあり、状況に応じて使い分けるのも大事だ。

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 TPSゲームの多くは近接攻撃はオマケみたいなものだが本作では重要な意味を持たせている。『バットマン:アーカム』シリーズの戦闘と繋がりを感じられるおもしろいアプローチと言える。

マルチプレイ要素

 本作はチャプターごとにメインストーリーが進んでいく方式を取っている。最初から最後までマルチプレイで協力して進められるので、フレンドと一緒にストーリーを駆け抜けられる。

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 各チャプターにはメインミッションが用意されているが、メトロポリスにサイドミッションやミニイベントなども点在。

 一度クリアしたミッションは何度でもプレイできる。 ミッションはソロでプレイするか、フレンドやオンラインユーザーを招待してプレイも可能だ。ソロの場合は自分が選択していないキャラはAIが管理してくれる。キャラクターはいつでも切り替えできて、マルチではキャラ被りも可能らしいが、デモ版では確認できなかった。

 マルチプレイ中はつねにダメージスコアのランキングが画面横に表示されている。人によってはイヤな要素かもしれない。

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 また、プレイヤーがオフラインの間もキャラデータはオンラインで他ユーザーとプレイできて、再びオンラインになった際にデータが集めてきた報酬を受け取ることもできる。

 ミッションをクリアすると武器や防具などの装備品がランダムでドロップ。じつはこのゲームはハクスラ要素も持っていて、各装備にはレアリティやパークなどが付与されているおだ。これこそ何度もミッションをくり返す原動力。装備はドロップ品の他にクラフトや購入、アップグレードなども可能だ。

 筆者が個人的に気に入ったポイントは、装備にロードアウトプリセット保存や、アイテムのお気に入り登録や解体といったハクスラゲーで必須項目がちゃんとあったこと。ハクスラゲーなのに発売時にこの部分をキチンと守れているゲームは意外と少ない。

 装備画面では武器を付け替えるたびにキャラが喋ったりアニメーションが流れる。キャプテン・ブーメランにスナイパーライフルを持たせたら無邪気さが限界突破して笑ってしまった。

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 なお、メインストーリーを全てクリアするとエンドコンテンツが解放されるとのこと。

イカれたこだわり

 『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』には時間の概念がある。そのため、明るいうちにミッションを開始しても、終わった頃には外は真っ暗ということもある。

 ここでちょっと信じられない話を開発スタッフから聞かされた。ミッション中の時刻は開発側ではとくに設定していないらしい。つまり、同じミッションでも朝もあれば夜もある。ここまではとくにおかしいところではない。

 しかし、本作のメインミッションにはムービーシーンがガンガン導入される。ほとんどのゲームのムービーシーンは時刻が固定されている。ところが本作ではミッションの時刻が指定されていない。つまり、夜のミッション中に朝のムービーが流れる可能性もあるわけだ。これでは没入感が薄まってしまう。

 そこでRocksteadyは狂気の発想に辿り着いた。

「ムービーシーンを各時刻ごとに作ろう」

 つまり、ミッションが朝なら朝のムービー。昼なら昼のムービー。夜なら夜のムービーが流れる。本来ならムービーがひとつあれば済むところを、あえて自ら作業を増やしたのである。

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 スタッフによると担当者が「ムービーの素材は変わらないからライティングやエフェクトを時刻ごとに変えるだけさ」と言っていたとのこと。そんな簡単に言うが実際の作業は簡単ではない。アートへのとんでもないこだわりだ。

ジャスティス・リーグを倒せ

 デモプレイの最後ではついに”フラッシュ”とのボス戦を体験できた。ジャスティス・リーグを倒すという、スーサイド・スクワッドの創設意義を果たすときが来たのだ。

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 コミックでのフラッシュはスピードフォースの力によって誰よりも早く行動できる。その速さを活かして竜巻を起こしたり、電撃を飛ばしてきたり、分身したり。さらには過去に戻って歴史改変もできる。

 ゲーム内でもその強さはしっかりと再現されている。やはり一般人ではメタヒューマンと戦うのはかなり厳しいと言わざるをえない。

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 しかし、このフラッシュは戦闘が始まる前に弱体化を受けており、一般人に毛が生えたどころかフッサフサのぶっとい剛毛が生えたスーサイド・スクワッドのメンツなら戦える。それでもフラッシュは強い。さすがジャスティス・リーグだ。

 フラッシュとの戦闘は3パートに分かれており、パートが進むほどフラッシュが激昂して竜巻がさらに大きくなってくる。 最終的には戦闘エリアのほとんどが竜巻に埋め尽くされ、さながら大災害だ。

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 苦労してフラッシュを倒したところでデモプレイは終了した。筆者のグループは何度かダウンしながらもお互いを蘇生しあってクリアできたが、全滅させられたグループもいくつかいた。それほどフラッシュ戦は激しいものだったのだ。

 これでもまだジャスティス・リーグは4人中ひとりを倒しただけ。「ククク…やつは四天王の中でも最弱…」というような状態。 いったいほかのジャスティス・リーグとの戦闘はどうなるのだろう。いまから楽しみで仕方ない。

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 なお、現時点で判明しているジャスティス・リーグはバットマン、スーパーマン、ワンダーウーマン、フラッシュ、グリーンランタンの5名だが、ワンダーウーマンも洗脳されて敵対するかは分からない。 また、”アクアマン”や”マーシャン・マンハンター”が登場するかも不明だ。

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 本作はリリース後に無料DLCなどで追加ストーリー配信を予定しているそうだ。もしかしたらそこで残りのジャスティス・リーグや”デスストローク”のようなスーサイド・スクワッドのメンバー加入があるかもしれない。

 余談だが、英語版ではアニメ版バットマンの声を長年務めて、2022年にこの世を去ったKevin Conroy氏が声を当てた遺作となっている。ファンには日本語版だけでなく英語版もプレイしてもらいたい。

 フラッシュとの戦闘を経て、映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』で、スーパーマンとゾッド将軍の戦いを目の当たりにし、スーパーマンを排除しないといけないという思想に至ったブルース・ウェインの気持ちが理解できる。 メタヒューマンが人類を守っているうちはいいが、その力の矛先が人類に向いたらいったいどれほど危険なのだろうか。本作ではそのイフをしっかりと表現して楽しませてくれる。

 2月2日の発売まで残り約3週間、今のうちに『アーカム』シリーズを復習したり、映画やドラマなどのDC作品を鑑賞しておけばゲームをより楽しめるはずだ。ジャスティス・リーグを倒す準備をしておこう。

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