『ファイナルファンタジー』シリーズの最新作である、プレイステーション5(PS5)用タイトル『ファイナルファンタジーXVI』(以下、『FF16』)の有料DLCについての情報が“The Game Awards 2023”で公開された。
▼『FF16』攻略&解説まとめ
さらに、“The Game Awards 2023”終了直後にはDLC第一弾“Echoes of the Fallen《空の残響》”が配信開始。
そんないま話題沸騰中の『FF16』DLCについて、DLCのディレクターを担当した鯨岡武生氏、プロデューサーの吉田直樹氏、『FF16』本編のメインディレクターである高井浩氏の3名に話を伺った。DLC第一弾の詳細に深く触れるほか、第二弾に関する情報を深堀りする。そして、『FF16』発売後初のインタビューとして、世界での反響や今後の展開、PC版にも言及しているので、最後までぜひ読んでいただきたい。
※『FF16』本編の内容、DLCで出現する敵やフィールドのネタバレを含みます。プレイ前に読んでも、もちろんゲームを楽しめますが、完全に情報を入れたくない場合は、プレイ後に楽しんでください。
鯨岡武生(くじらおかたけお)
代表作は『ディシディア ファイナルファンタジー』、『ファイナルファンタジーXIII』。現在は『ファイナルファンタジーXVI』DLC版のディレクターを務める。
吉田直樹(よしだなおき)
スクウェア・エニックス 取締役執行役員 第三開発事業本部長。2010年12月に『ファイナルファンタジーXIV』のプロデューサー兼ディレクターに就任。現在、『ファイナルファンタジーXVI』のプロデューサーも兼任している。
高井浩(たかいひろし)
代表作は『ファイナルファンタジーV』、『サガ フロンティア』、『ラストレムナント』。現在は『ファイナルファンタジーXVI』のメインディレクターを務める。
※高井氏の“高”の字は、正しくははしごだかです。
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世界での発売後の反響は?
――『FF16』の発売から4ヵ月経ち、今回DLCも配信されました。まずは発売後の反響についてお伺いできればと思います。
吉田まずうれしかったこととして、宣伝チームで行った調査の結果では、ダウンロード版で遊んでくださった方の10%以上が、いままで『FF』シリーズを遊んでいないという、10代後半から20代前半でした。僕たちが目指していた「あらゆる年齢層に遊んでもらいたい」という部分はある程度達成できつつあると感じています。
やはり『FF』シリーズを遊んでくださる方は年齢層が高くなってしまう傾向にあるのですが、今回初めて遊んだという方々から「『FF』ってこんなにすごいんだ」という声もいただけており、この点はよかったなと思います。
――先日、ラテンアメリカのゲームアワード“Equinox LATAM Game Awards 2023”のいくつかの賞も受賞されたとのことで。
吉田今回、初めて中南米に訪問させていただきましたが、熱量がすさまじかったです。発売直後に東南アジアにおジャマしたときも同様の熱量を感じたのですが、最後までプレイしてくださった方々の評判はものすごく高かったと思います。また、これはリージョンを問わずですが、我々が思っている以上にキャラクター人気が高いことを感じました。
――SNSなどを見ているとファンアートなどもかなり投稿されていたり、世界設定に興味を持っている方も多かった印象です。
高井我々もX(旧Twitter)を見てファンアートや世界設定についてのポストなどを拝見していましたが、とてもうれしかったですね。
――『FF16』はナンバリング作品として初めてアクションに完全に振り切った作品ですが、そこに対しての反応はいかがでしたか?
吉田本作のターンベースからの脱却に対しての拒否反応は、意外にも北米のほうで多かったです。もちろん、ほかの地域でも拒否反応はゼロではなかったのですが、想像していたよりは少なかったかなと。ただ、逆に『FF』シリーズの発展性や将来性を願っている方々たちが、“『FF16』の『FF』らしさ”を伝えてうまくコミュニティを中和しようとしてくださる動きもありました。そのサポートのおかげでもありますが、初動が落ち着いてからは純粋に評価してくださっている方が増えた印象です。
――9月に無料アップデートという形でコスチューム変更機能などの機能が追加されましたが、これは発売前から予定されていたのでしょうか? それとも、発売後の反響、反応を受けてから追加したものなのでしょうか?
吉田開発を進めている際に、コスチューム機能は実装しようと話していたので、予定通りです。有料DLCに関しては、開発当初からDLCを前提とした作りにはしたくないという思いがありました。ただ、開発の中盤ごろから世界を拡張する余地を作るという意味で、設定面のフックは残しておき、実際にお客様が望んでいただけるようならDLCを開発できるようにしようと設計しました。最終的な判断は、初動の反応を見てからですが、発売前から少しずつ準備は進めていました。
DLCはクライヴの物語を拡張するものに
――ここからはDLCについて詳しくお伺いします。まずは、DLCのディレクターを担当された鯨岡さんが『FF16』のインタビューに初登場となりますので、改めてこれまでの経歴、『FF16』チームに入られた経緯を教えてください。
鯨岡いままで担当してきたタイトルは、『キングダム ハーツII』、『FF13』、『ディシディア ファイナルファンタジー』シリーズです。入社してから20年ほど、ずっと第一開発事業本部に所属していました。
以前から吉田には『ディシディアFF』に登場する『FF14』のキャラクター関連の相談に乗ってもらっていました。そしてその運営が終了するタイミングで挨拶の連絡をした際に、「いま『FF16』としてアクションに特化したゲームを作っているので、いっしょにやってみないか?」と返信をもらいまして。『FF』のナンバリング作品ではアクションに振り切ったものはなかったため、「すごくおもしろそうだな」と思い話を受け、20年来の部署移動をして合流しました。
――いつごろから『FF16』の開発に携わっているのでしょうか?
吉田鯨岡が合流したのは、開発中盤だったかと思います。アルファ版ができあがり、開発が本格的になったあたりから合流してもらいました。
鯨岡すでに鈴木(鈴木良太氏/『FF16』コンバットディレクター)が合流しており、バトルシステムの基礎が固まったぐらいのタイミングでしたね。
――その中で鯨岡さんのおもな担当領域は?
鯨岡バトル班に配属され、“召喚獣合戦”の取りまとめや実装などをしていました。途中まで組み上がっていたガルーダ戦の仕上げや、プラチナゲームズさんにご協力いただいたタイタン戦の実装・調整など、召喚獣を操作するほぼすべてのコンテンツに関わった形です。あとは、周回プレイの取りまとめなども担当しました。
吉田バハムートのメイン担当だよね?(笑)
鯨岡バハムートは企画からほぼ全部担当していますね。
――あの宇宙での召喚獣バトルは鯨岡さんが作られたのですね。
鯨岡そうですね。ただ、「宇宙に飛ばそう」と言ったのは須藤(須藤賢次氏/『FF14』バトルコンテンツデザイナー・『FF16』リードコンバットデザイナー)です。
吉田鯨岡も『FF14』プレイヤーなので、「バハムートの最終系といったら“金”ですよね」と言っていたのを記憶しています(笑)。
鯨岡自然と“金バハ”という開発名称になっていました(笑)。
高井じつはあれ、金色にするのがたいへんだったんですよ。宇宙空間で光源がないから、金に見えなくて……(苦笑)。
――そんな苦労話があったとは。鯨岡さんは今回のDLCの第一弾、第二弾はどちらもディレクションを担当されているのでしょうか?
鯨岡はい、どちらもディレクターとして携わっております。
――吉田さんが鯨岡さんにDLCのディレクターをお願いした経緯を教えてください。
吉田鯨岡は、スクウェア・エニックスの看板を背負いながら他社と協力してそのディレクション経験を積んできた、珍しい経歴を持っている人間です。これまでにキャリアを積んで、『FF16』の開発に加わり、彼にとってのつぎのステップを考えたときに、DLCのディレクターを任せてもいいのではないかなと考えました。実際に働きぶりを見ていても、ゲーム全体のデザインサイクルの作りかたが秀でていて、バトルコンテンツとしての遊びのおもしろさを非常に理解してくれていました。さらに、自分で「やりたいです」と手を挙げてくれたので、今回のディレクターをお願いした感じですね。
――高井さんも総合ディレクターという立場から今回のDLCを監修しているのでしょうか?
高井全体を見させてもらいながら、気になる点があれば口を出させてもらっていますが、基本的には鯨岡の方針をベースに進めてもらっています。
――続いてDLCに関する詳細な話を伺っていきます。まず、今回のDLCのコンセプトを教えてください。
鯨岡“クライヴ目線の物語で、本編の横の広がりを見せる”という点が大きなコンセプトです。先ほどの話にもありましたが、すでに本編の中に世界を拡張する余地が埋め込まれていましたので、それを使ってどういう内容にするのか吉田からの提案も踏まえつつ、僕のほうで詰めていきました。
DLC第一弾で行くことになる“賢者の塔”は、最初はもっとバトルに特化したコンテンツになる予定でした。ただ、『FF16』はクライヴの人生を描く、シナリオや世界観に特化したタイトルです。であれば、クライヴ目線での世界観の掘り下げを行うのが、もともとの『FF16』のコンセプトにも合い、プレイヤーの皆様が求めるものにもなるだろうと考え、新たな物語をしっかり描く形にしようと決めました。
SNSなどで、クライヴ以外のキャラクターを操作するコンテンツを求める声も拝見していました。それはそれで、ひとつの正解だと思うのですが、別のキャラクターにするということはバトルシステムも変わりますし、いままで操作、育成してきたクライヴを手放すことにもなります。クライヴの物語である『FF16』を拡張するなら、クライヴ操作という点は個人的に外せない要素だったんです。
――今回、DLCは第一弾、第二弾のふたつが配信されますが、ふたつに分けることは最初から決められていたのでしょうか?
高井やはりひとつの大きなDLCとしてしまうと開発にも時間がかかり、楽しみにしているお客様をお待たせしてしまうことになるので、当初から第一弾、第二弾と分けて開発を進めています。
――どちらの弾もともに、DLCの物語の範囲は、クリアー後の拡張ではなく、ラストにいたるまでのお話なんですよね。
吉田鯨岡は当初、「本編のオリジン以降、ラストにいたるまでの流れはドラマ性が強いが、ラストダンジョンのようなものがその手前にある状態なので、改めてクライヴの極限を試せる場所を作りたい」と話をしていました。まだクリアーしていない方は、本編をクリアーする前に今回のDLCをプレイするとラストダンジョンっぽくも遊べますし、クライヴのアクションの限界にも挑める。この案はいいものだと考え、いまのDLCの形になりました。
――実際にDLC第一弾を遊ばせていただきましたが、まさにクライヴ自身のアクションの限界に挑める、激しいバトルの連続だと感じました。
鯨岡もちろんDLC専用の新規の敵もいますが、いままでに登場した敵も多数登場する、いわばオールスター戦のようなバトル内容になっています。本編でステージと呼んでいるダンジョンでは、シナリオに沿った敵を出すことが基本になっていますが、DLC第一弾では、これまでの敵すべてが登場してもおかしくない設定を考えながら、シナリオやエンバイロメントの制作を進めていきました。その結果、遺物系、魔物系、蛮族系など、さまざまな敵が登場します。このバリエーションを出すことは、かなり意識していましたね。
――DLC第一弾では、“オメガ”がボスとして登場しますが、ボスとしてオメガを選んだ理由を教えてください。
鯨岡じつは、最初はオリジナルの敵を作る予定でした。
吉田いわゆるラストダンジョンチックにさまざまな種類の敵が登場するとなると、設定的には空の文明が作りやすい。ただ、やはり『FF』らしくすることを考えると、完全オリジナルの敵より、なじみのある敵のほうがいいよね、と。
鯨岡『FF』らしい敵とはどんな敵か、と考える際、みんなの意識がなんとなく、潜在的にオメガに向いていたのだと思います。『FF』のアイコニックな存在のひとつなので。
高井オメガか神龍だよねという話があったように記憶しています。これまでのシリーズ作品で培われた“強敵”というオメガが持つイメージも、今回のDLCにはピッタリだったかなと。
――古代文明である空の文明とオメガのイメージがすごくマッチしている気がします。第一弾では空の文明が物語に関わる形でしたが、第二弾では空の文明のさらなる深掘りがされていくのでしょうか?
鯨岡DLC第二弾はまた違うテーマとなるので、空の文明を掘り下げるのは一旦ここまでになっています。空の文明については、本編を遊んだ時から気になっている方も多いと思うのですが、DLC第一弾でもあえてすべてを語らないようにしています。少しずつ謎のベールが剥がれていくようにして、「こういうことがあったんじゃないか」という想像が生まれるような余地を意識的に散りばめています。
高井すべてを語ろうとすると、もう1本ゲームができるぐらいなので……(苦笑)。
――それはそれで遊んでみたいです(笑)。ちなみにオメガとのバトルでは『FF14』のレイド“次元の狭間オメガ:アルファ編3”で流れる『エスケープ』のアレンジが流れて驚きました。このアレンジ楽曲を採用した意図を教えてください。
鯨岡オメガは過去の『FF』シリーズに登場するおなじみの強敵ですが、特定の曲のイメージがついているわけではありません。今回は、メインコンポーザーである祖堅の中にある“オメガ像”を膨らませてもらった結果、いまの形に着地しました。ただ、『FF14』を遊んでいる人が喜ぶ面もあれば、人によってはそうでない場合もあるとは思いますので、『FF14』っぽさが出すぎないように配慮しています。
吉田『FF14』は我々第三開発事業本部が運営・開発しているタイトルではありますが、『FF14』の要素を『FF16』に入れるとどうしても内輪感が出てしまいます。そうなりすぎるのは嫌なので、もし『エスケープ』でいくのであればアレンジはより強くしてほしい、という話をしました。
――確かにアレンジは入っていました。
吉田『FF14』未プレイの人や、次元の狭間オメガにチャレンジしていない人は、先入観で『FF14』の曲だと思って聴かずに遊んでほしいです。空の文明の究極兵器であるボスのオリジナルの曲として聴こえる楽曲になっていると思います。
鯨岡本編ではオーケストラ楽曲が中心ですが、空の文明にフォーカスしたDLC第一弾では、曲のジャンルそのものから差別化することを意識しました。空の文明は、クライヴたちの生きる時代よりも遥かに発達していた文明なので、オメガ戦では「デジタルロックなど、未来感を感じてノリノリになれる曲」といった発注をさせてもらいました。イントロからめちゃくちゃかっこいいですよ。
DLC第一弾は約3時間、第二弾は10時間のボリューム
――DLCのタイトルは“Echoes of the Fallen《空の残響》”、“第二弾The Rising Tide《海の慟哭》”となっています。それぞれのタイトルに込められた意味を教えてください。
鯨岡英語タイトル+日本語タイトルの組み合わせにすることは最初から決めた上で、コージ(マイケル・クリストファー コージフォックス氏/ローカライゼーションディレクター)とも相談して検討しました。どちらも物語を象徴するワードをわかりやすく入れています。遊んでいただければ、よりしっくり来るのではないかと。日本語側を“空”と“海”で統一したのは、DLC第一弾のタイトルを決める中で起きた偶然なのですが、日本語ならではの表現で物語を示すことができましたし、シリーズ感も出て、個人的にはかなり気に入っています。
――DLC第一弾、第二弾は、それぞれどのぐらいのボリュームがあるのでしょうか?
鯨岡DLC第一弾は単純なストーリーのクリアーだけなら、およそ3時間程度です。本編のステージひとつ分+ストーリーといったイメージになります。ほかのタイトルでは本編発売から1年前後で、ある程度ボリューム感のあるDLCが配信されることが多いのですが、髙井の話にもあった通り、プレイヤーの皆様をお待たせしたくないという思いがありました。そうすると当然、開発期間が短くなりますが、その中でも『FF16』らしい物語や、歯応えのあるボス戦を可能な限り詰め込んだのが、DLC第一弾です。
第二弾はボリュームとしてはかなり大きく、サイドクエストなども追加されます。以前、メインクエスト、サイドクエストを通してプレイした際には8時間程度でした。それ以外にもコンテンツが追加されるので、第二弾は合計で10時間ほど遊べるものになっています。
吉田DLC第一弾はクエストと基本的なステージ構成となっていますが、第二弾は本編の1エリア程度のフィールドが用意されています。
――トレーラーでは、きれいな青空の下で戦っているシーンも確認できました。“オリジン”直前ですとヴァリスゼア全体が物々しい空に包まれるのですが、なぜ青空が広がっているのか、すごく気になります……!
高井そこは遊んでいただけると、なぜあそこが青空なのかがわかるようになっています。あとは、開発一同の「そろそろ天気のいいところで冒険したい」という思いもありました(笑)。
吉田あの設定も……詳しくはぜひ見ていただきたいですね(笑)。歴代シリーズでも使っている設定なので。
鯨岡『FF16』の中ではよりファンタジー感が強い場所かもしれませんね。
――舞台はどこになるのでしょうか?
吉田本編を遊ばれたプレイヤーの皆様の中にも「あれはなんだ?」と疑問を持っている人もいらっしゃったようですが、とあるフィールドから見えている謎の塊の先ですね。
――トレーラーでは、見覚えのない召喚獣アクションのマークも見られました。これはつまり、DLC第二弾でリヴァイアサンの召喚獣アクションが追加されるということでしょうか?
鯨岡はい、満を持しての追加となります。いま最終調整中なのですが、ほかの召喚獣とはまたガラリと変わった性能になっています。
――既存の召喚獣アクションに近いプレイ感のものはありますか?
高井いえ、近いものはないですね。既存アクションに似たようなものにならないように作ってもらっています。
吉田それぞれの召喚獣アクションに特徴があって、3つの枠にどれをセットするかで個人差が出るようにするのが『FF16』のコンセプトです。リヴァイアサンの召喚獣アクションに関しても、そのコンセプトに沿って、ユニークにするにはどうしたらいいのかを悩みながら作ってくれています。ですので、ほかの召喚獣アクションとはまったく別ものと考えていただければと。
高井召喚獣アクションが1体ぶん増えるということは、本編の楽しみかたもまた変わってくると思います。すでに本編をクリアーされた方は、リヴァイアサンの召喚獣アクションを手に入れてからまた改めて本編をプレイするといった楽しみかたもしていただきたいと思います。
――アーケードモードの攻略法も変わってきそうですね。
高井変わってくると思います。
吉田アルティマニアックチャレンジをクリアーした人も、リヴァイアサンを手に入れた状態で再びチャレンジしていただくのもおもしろいかと思います。DLC第一弾、第二弾の両方とも全難易度に対応してありますので、1回クリアーしたら終わりではなく、2周目のファイナルファンタジーチャレンジ、アルティマニアックチャレンジにもぜひ挑戦してほしいです。かなり歯応えのあるバトルが楽しめると思います。
バトルの遊びを拡張するアクセサリを追加
――今回のDLCでプレイヤーの方々に注目してもらいたいポイントを教えてください。
鯨岡ここまでシナリオ寄りの話をしてきましたが、本編の制作経験を経てパワーアップしたバトルコンテンツにも注目していただければと思います。とくにボス戦は、どれもやり応えたっぷりなので、『FF16』のバトルが好きな方にはすごく楽しんでいただけるのではないかと。
それ以外にも、DLC第一弾ではいくつかアクセサリを追加しています。本編で手に入るアクセサリは基本的には各アビリティを強化するものでしたが、今回追加したものの性能は一風変わっており、プレイヤーの戦いかたが変わる、もしくはバトル中に意識することが変わるようなものを追加しています。クリアー済みのステージにも再挑戦したくなる状態を目指して、鈴木をはじめとしたバトル班に性能を詰めてもらったので、そこもぜひ注目してほしいですね。
――アクセサリはDLC第二弾でも追加されるのでしょうか?
鯨岡はい、第二弾でも追加されます。リヴァイアサンの召喚獣アクションが増えるので、そのアビリティを強化するというオーソドックスなものや、既存の召喚獣のフィートを強化するものも用意されています。いずれも魅力的なので、実際に手に入れて、いろいろと試していただければと思います。
――DLC第一弾の時点で、“ストンプ”の最大回数が3倍になるもの、テイクダウン中のダメージ倍率が2倍まで上昇するようになるものなど、これまでにない性能のアクセサリが追加されますよね。
鯨岡新しく追加された装備を手に入れるだけでもDLCを買う価値がある、と感じられるぐらいのものにしようと、チーム内で話し合いながら性能を決めていきました。
高井本当にバトル班には苦労して新設してもらいました。宝箱を開けてうれしいものが入っていないとガッカリするので……(苦笑)。
鯨岡第二弾では、“召喚獣合戦”も見逃せません。イベントシーンの迫力ももちろんですが、とある演出はすごく派手なものになっていて、「これぞ、リヴァイアサン!」ときっと満足していただけるのではないかなと思っています。
――トレーラーでもイフリートとリヴァイアサンが対峙するシーンが見られましたが、また壮大なスケールのバトルが楽しめそうで期待しています。では、高井さんから見たDLCの注目ポイントはどこでしょうか?
高井第一弾、第二弾ともにそうなのですが、ヴァリスゼアの隠された闇の部分、歴史に埋もれた部分に触れられる物語になっています。そのあたりを読み解くことも楽しみにしてもらいたいですね。本編と同様、しっかりとストーリーを作っていますので。
――吉田さんはいかがでしょうか?
吉田第一弾は、本編で育て切ったクライヴで改めて挑む場所を作ってあげたいという鯨岡の思いが詰まっていて、ノーマルでもしっかり歯応えのあるバトルが楽しめますし、ファイナルファンタジーチャレンジ、アルティマニアックチャレンジではさらに遊び応えのあるバトルが遊べます。やり応えを求める方に、クライヴの極限を目指すという意気込みで遊んでいただければなと。
第二弾では、本編のストーリーや世界観を作っていく中で、「いつか出せる日が来たらいいね」と、作ってあった設定が回収されることになります。なぜリヴァイアサンが壁画に描かれているのか、何故この数十年存在が確認されていないのかという、謎が解明されます。そこにぜひ注目していただきたいですね。
――ようやくリヴァイアサンの物語が楽しめるというわけですね。
吉田謎の部分だけではなく、クライヴのやさしい面というか、オリジン直前のあそこまで到達したクライヴだからこその一面が見られるところもポイントです。クライヴを好きになってくださった方には、クライヴの新たな一面にも期待してほしいです。
高井DLCでは道中もクライヴとジル、ジョシュアが3人で冒険しているので、キャラクターを気に入ってもらった方たちにはあの雰囲気をぜひ楽しんでほしいですね。
吉田本編の後の物語ではありませんが、あの3人が青い空のもと、ファンタジー感のあるエリアで冒険していきます。3人のそういう姿が見たかったという声に、少しでもお応えできればと思っています。
鯨岡青空の下は、フォトモード映えするんですよ。いまでもSNSで凝った写真をアップロードしてくださっている方がたくさんいらっしゃいますが、プレイヤーの方々が青空の下でどのような魅せかたをしてくれるのか、何気に楽しみにしています(笑)。
――青年期のジョシュアと青空の下で冒険できるのがすごく楽しみです。
鯨岡本編でジョシュアといっしょに冒険するころには空が暗くなってしまっているので、そのあたりも楽しんでいただけるかなと思っています。
吉田青空が広がるエリアですが、第一弾の後に出すだけあり、第二弾のバトルもかなり遊び応えがある難度になっています。僕も最初にテストプレイをしたときに「マジでムズい!」と思ったほど(苦笑)。
鯨岡“召喚獣合戦”はもちろんですが、あるボスに関してはクライヴを操作して戦う最後のボス戦として、かなり気合の入った作りになっています。担当者からは事前に「アクション性をとことん突き詰めます!」と聞いていたのですが、その言葉のとおり、『FF16』のボスバトルの集大成とも言える内容でした。
吉田第一弾、第二弾ともに、全召喚獣アクションが揃って、クライヴが鍛えあげられた状態を意識してバトルを作っているので、やり応えはすごくあると思います。
――第一弾のオメガも強敵でしたが、それ以上の敵が出てくると……!
高井オメガもすごく強いですけどね(笑)。
鯨岡第二弾はちょっとベクトルが違います。「これ“死にゲー”だったっけ?」みたいな(笑)。
吉田あとは、すべての召喚獣を吸収したクライヴがどうなるのか……これ以上は言えないので、実際にプレイしてのお楽しみということで。
PC版や今後の展開について
――いまお話していただいているDLC第二弾は、2024年春に配信予定とのことですよね。
吉田鯨岡の話にもありましたが、昨今の規模感が大きいDLCはゲームが発売してからだいたい1年後にリリースされることが多いです。ですので、そのあたりには間に合わせたいという気持ちがあります。もちろん、PC版もじっくり開発中です。PC版でもDLCを含めて遊べる状態を作れたらなと思っていますので、それぞれの詳細な日付の発表はもう少しお待ちください。
とはいえ、これまでお話したようにかなりのボリュームのものを作っています。すでに『FF16』を遊んでくださった方々はもちろん、これからPC版を楽しみにお待ちいただいている方も、DLCも踏まえて本編と考えるとさらにボリュームがアップしますので、ぜひ楽しみにしておいていただければなと。
――PC版を楽しみにされている方もすごく多いかなと思いますが、どれぐらいのスペックのPCを用意しておけばいいでしょうか?
吉田詳細はいずれ発表させていただきます。ただ、SSDは用意していただければと思います。GPUはこちら側で調整をがんばったとしても、読み込み速度命のゲームでもある『FF16』ではHDDだとさすがにきびしいのです……。もちろん最適化は可能な限り善処しますが、ハードウェアの壁は僕らだけではどうにもできないので、SSDはマストと考えておいていただきたいです。正確な推奨スペックなどは、また別の機会で発表させていただきます。
――DLC第二弾、PC版でひと段落という形になるかと思いますが、その後の展開は予定されているのでしょうか?
吉田『FF16』の開発チームは、DLCの主力チーム以外は解散していますが、少なくとも『FF16』の続編やスピンオフを僕たちが作るということは想定していません。今回、『FF16』で多くの知見を貯めさせていただきました。その知見を活かして、ひとつのタイトルをずっと続けるというよりは、できればつぎのタイトルなど新しいチャレンジを考えたいなと。ただ、この先、『FF16』に関連したものが何もないかと言われると、それはわかりません。どうなるかはわからないので、明言は避けておきます(笑)。
――ゲーム本編の動きとしては、DLC第二弾で全力を出してそこでひと区切りという形でしょうか?
吉田そうですね。DLC第一弾の賢者の塔、DLC第二弾のリヴァイアサンは、『FF16』の開発中期に広がりの余地として残しておいた部分なので、これで「もしDLCを作るとしたら」も回収し、『FF16』本編としては全部出し切った形となります。もしかしたら空の文明の謎をもっと深掘りしてほしいというご意見もあるかもしれませんが、ここから先は皆さんの想像にお任せしたいと思っています。あと、世界設定本も出るらしいので……。
――それは非常に楽しみです! ちなみに、先日、『FF14』に『FF16』コラボが実装されるという発表が行われましたが、逆に『FF16』に『FF14』の要素を含んだコンテンツが入る可能性はあるのでしょうか?
吉田『FF14』と『FF16』は、どちらも僕たち第三開発事業本部が開発をしているため、内輪感が出てしまいますし、いまやってもPC版を心待ちにしている方々からすると疎外感を感じてしまうことになりかねません。ですので、可能性はゼロではありませんが……という感じです。
仮にPC版が発売されて盛り上がった際に、コストをかけて何か作るのだとしたらコラボではなく、シドやジルを本編中で操作できるといった遊びを追加するほうがおもしろそうだなという気がしています。これはあくまでも“たとえば”、の話ですが。
――では最後に、いままで『FF16』を楽しんでこれからDLCをプレイされる方、そしてこれから新規で『FF16』を始める方々に向けてメッセージをいただけると。
高井DLCは、いままで『FF16』を楽しんでいただいた皆様には、喜んでプレイしていただける内容になっていると思っていますし、いろいろな要素が詰め込まれているので、ぜひご期待ください。そして、これから『FF16』を遊んでみようという方にとっても、本編を進めていくうえでスムーズにDLCの要素が遊べる作りとなっています。DLCの発表を見て改めて『FF16』に興味が沸いた方がいらっしゃいましたら、これを機会に遊んでいただければなと思います。
吉田まず、『FF16』をたくさん遊んでいただいて、本当にありがとうございます。ファンアートや考察を含めてたくさんの反響をいただいて、素直にうれしいと思っています。そしてPC版を待っているという声もたくさんいただいております。いま鋭意開発中ですので、ぜひ楽しみにお待ちください。
DLCは、新しくチャレンジした部分が満載になっています。本編をクリアーしたという方にはマストで遊んでいただきたいですし、いまから『FF16』を遊ぶという人も、最初から購入しておくとスムーズにひとつのゲームとして拡大して楽しめるので、そのあたりをぜひ念頭に置いていただけるとうれしいです。
鯨岡僕は『FF16』の立ち上げからいたわけでもなく、もともと第三開発事業本部にいた人間でもないのですが、自分なりに解釈をして『FF16』に携わってきました。その本編の開発経験を踏まえて、ディレクターとしてDLCを作らせていただいております。
『FF16』として踏み外してはいけないところは守りつつ、『FF16』がより魅力的になるように、これでもかと新要素を追加したDLCにぜひご期待ください!そのぶん、開発チームにはかなり負荷をかけてしまったとは思いますが、経験も豊富で、腕のいい人たちがたくさんいるので、なんとか受け止めてもらいながら、ふたつのDLCを作ってくることができました。メンバーにはこの場を借りて感謝したいです。
DLCをきっかけに、いままで『FF16』を遊んでくださった方々、新規で始める方々がいっしょに盛り上がっていただけると、自分としてはそれに勝るものはないと思っております。ぜひ遊んでみてください!
▼『FF16』攻略&解説まとめ