2023年秋、「見せたいものがある」と言われ、ファミ通.comのミス・ユースケはカプコンにやってきた。いきなりの呼び出しである。
※この記事は関家具のゲーミングギアブランド『Contieaks-コンティークス-』の提供でお送りします。
『ストリートファイター6』で重要なものをご存じですか？
プレゼンの初速が速すぎる。
サビから入るJポップみたいなスピード感でプレゼンが始まった。僕を呼び出したのはカプコン ライセンスチームの上田隆之さんと関家具 eスポーツプロジェクト担当の後藤優人さん。
『ストリートファイター6』（以下、スト6）は2023年6月2日発売の格闘ゲーム。ここから格闘ゲームの世界に足を踏み入れた人も多いと聞く。
格闘ゲームにとって重要というと何だろう。アーケードスティック（アケコン）やゲームパッドだろうか。
イスなんですよ。
そんな気はしていました。関家具さんがいるので。
関家具さんは『Contieaks-コンティークス-』というゲーミングギア（ゲーム関連商品）ブランドを展開している。ゲーミングチェアは主力商品のひとつだ。
なんでも『スト6』とContieaksゲーミングチェアのコラボモデルを作ったとのこと。それはすごい。売れそう。
でしょ！ 座っている様子をしっかり見てほしいので専属モデルもご用意しました。
『スト6』プロデューサーの松本脩平と申します。ゲームの話をするもんだと思って来たらモデルだと言われて困惑しています。
プロデューサーもたいへんですね。
……何かすみません。
ほら、後藤さんの第一声から切なさがあふれちゃったじゃん。
関家具の後藤さんは入社3年目。松本さんは「自分の意思ではどうにもならないときがある。後藤さんにもいつかこういう日が来るから」と慰めなんだか脅しなんだかよくわからない助言をしていた。
ゲーミングチェア『スト6』コラボモデル概要
気を取り直して、製品担当の後藤さんから詳細を説明してもらう。
これが『ストリートファイター6 ルークモデル ゲーミングチェア』です！
松本さん、まずは製品単体で見てほしいからどいてもらえます？
自分がモデルやってくれって言うたんやろ。
全体的に少し大きめ。ゆったり座れるモデルとなっています。
一般的なゲーミングチェアとはちょっと見た目が違いますね。
アケコンを膝の上に置きやすい形にしてるんですよ。
座面をフラットにして広く使えるようにしました。これならアケコンの取り回しがしやすい。
そういうことか。アケコンの横幅はものによって異なり、だいたい35cm～43cmほど。大きいものを使う場合、たしかにゆとりがあったほうがよさそう。
実際のアケコン使用イメージを見たいので、松本さんに座ってもらうことになった。今日がモデル松本脩平の誕生日である。
声が出た。
え、うわ、思ってたより座り心地が一段階いい！ これは落ち着くわー。
ふっかふかやないですか。ソファーみたいに柔らかいわけちゃうけど。これはめっちゃ座りやすいわ。
そう！ 分厚いフルモールドウレタンが中に入っているのでクッション性が抜群なんです。
素材がファブリック（布）なんもいいですね。
ゲーミングチェアは合皮が主流なんですけど、ずっと座ってるとペタペタするのが気になるかなと思って。
肘置きもええなあ。位置を細かく調整できるんですね。
アームレストは新型の4Dタイプ。上下、左右、前後の位置を調整できて、左右の角度も変えられます。
急にテレビショッピングが始まったのかと思った。座り心地が想像以上だったようで、演技を疑うほど驚く松本さん。製品画像は確認していたが、実際に座ったのはこの日が初めてとのこと。
台本通りみたいな展開だが、現場ではほんとにこのテンションだったのだ。嘘じゃないよ。
関家具の後藤さんがたまたまアケコンを持っていたので使わせてもらった。過去にサンプルとして作った非売品の木製レバーレスアケコンをたまたま持ってることってあるんですね。
このアケコンの横幅はおよそ42cm。ゲーミングデバイスとしては大型の部類に入るが、窮屈さは感じない。
アケコンの宣材写真？
アケコンよりもチェアの下、シリンダーを見てほしいんですけど。
膝の上にアケコンを置くじゃないですか。座面が高いとかかとが浮いてしまうので、初期サンプルから高さ調整用のシリンダーを変えました。45 - 53cmから44cm - 52cmに。
たった1cm？
日本人の成人男性の平均身長は171cmくらい。個人差はあるんですけど、座面高の適性は42cm - 44cmと言われています。1cm下げた方が多くの人に恩恵があるかなって。
「この1cmは譲れませんでした」と、後藤さん。高めを好む人もいるため、一概にはこれがベストと言えないが、少しでも広くリーチしたい。
この話を聞いて以前のゲーミングデスク取材を思い出した。そのときは価格を下げるために幅を1cm削る決断をしたらしい。家具の専門家たちはほんの数センチ、ほんの数ミリの世界で戦っている。
それと重要なポイントがあります。
「あぐらをかきやすいんです」
あぐらという言葉をこんなに大事に言う人、なかなかいないな。
ゲーミングチェアによくあるサイドフレームをなくしているんです。
めちゃくちゃいい！ 僕、ゲーミングチェアにあぐらをかいて座るんですよ。横が出っ張っていると脚に当たるんですよね。
あぐらをかくのも楽ですね。その上にアケコンを乗せるのもよさそう。
ランバーサポート（腰クッション）があるので、力を抜いて背もたれに寄りかかるとこういう姿勢になる。でも、ふしぎとずり落ちない。
ゲームやデスクワークなどで長時間座っていると腰に負担がかかる。また、人間の背骨は直線ではなくS字なので、背筋をピンと伸ばすのは逆に不自然。ランバーサポートですき間を埋めると疲れにくいのだ。
ランバーサポートはしっかりめのサイズにしました。腰のポジションはほんとに大事なんですよ。
めっちゃわかります。デスクワーカーもずっと座ってると腰いわしますからね。
それに加えて、前傾姿勢になったときも腰の1点が支えられていると楽なのである。腰が痛いとゲームにも仕事にも集中できない。ゲーマーの命は腰。社会人の命も腰。
ちょっと待って！
どうしました？
やっぱりそうや。いいネジ使ってるわ。このネジ、少し値段は張るけど安定するんですよ。
あ、すみません。松本は元ネジ屋の営業マンなんです。
新商品より気になる情報を出すのやめてもらっていいですか？
突然のおもしろ情報はさておき、この後はいかに楽な姿勢で座れるかという話題で盛り上がった。
ゲームパッドで遊ぶとしたらどんな姿勢が楽ですか？
ちょっとリクライニングを倒して腕をダラっと。RPGなんかをゆっくり遊ぶときはこれですね。
『スト6』はゲームパッド勢も多いですから。ゲームパッドでも楽な姿勢ができるのはいいなあ。
僕なんかはね、こうしたいんですよ。
美少女キャラのイメージビジュアルでしか許されない姿勢よ？
製品紹介なんだからちゃんと座ってください。
いいんです。
家具業界の川平慈英が来ちゃったな。
同じ姿勢が続くと疲れますからね。たまには身体をひねるのもいいと思います。
変な座り方をされたら作った側は困りそうなものだが許されてしまった。この『ストリートファイター6 ルークモデル ゲーミングチェア』は座面が広めなので姿勢を変えやすいのである。
身体をひねった状態で座り続けるのは推奨されないが、たまに美少女キャラのイメージビジュアルみたいな座り方をしたい人は安心してほしい。
「しー……。遊び疲れて寝ちゃったみたい」的な写真もありました。
何？
ゲーミングチェアはパイオニア的ブランドが自動車分野から参入したこともあり、多くが車のシート風デザインになっている。この製品はそれらとは違う構造を採用していた。
まったく違うかというとそうでもなく、左右から包み込んで身体をホールドする機構は踏襲。長所をうまいこと取り入れている。
『ストリートファイター6 ルークモデル ゲーミングチェア』は2023年11月17日（金）～12月11日（月）にイーカプコン（カプコン公式通販サイト）で先行受注スタート。その後、関家具の公式通販でも取り扱われる予定だ。
『ストリートファイター6 ルークモデル ゲーミングチェア』の予約はこちら『ストリートファイター6 ルークモデル ゲーミングチェア』商品概要
- 価格：49500円［税込］
- 本体サイズ：幅72cm×奥行74cm×高さ128-136cm
- 座面高：44-52cm
- リクライニング角度：175度
- 耐荷重：150kg
- 本体重量：23kg
関家具の社長は『ストリートファイター』勢
ひとしきりはしゃいだところで話を聞くターンに入る。そもそも、どういう流れでコラボが決まったのだろう。きっかけから教えてもらうことにした。
大分でeスポーツ施設をやってる知人がいるんですよ。その人がたまたま松本さんと知り合いだったんですね。
いいイスを作るところがあるって話は前から聞いてました。ゲーミングチェアを作りたいとは『スト6』が出る前から思っていて。縁があってお話をいただいたので「じゃあ作るぞ！」って感じで。
なるほど、松本さんと接点があったから『スト6』なのか。だって後藤さん、格ゲー勢じゃないですよね。
後藤さんはもともと大分県のeスポーツチーム“花天月地”に所属。僕は花天月地と交流があり、FPS好きメンバーが関家具に入社した、という話は何となく知っていた。
話したことはなかったがオフラインイベントで何度もニアミス。そんな若者がカプコンとのコラボという一大プロジェクトを担当している。「こんなに大きくなって……」と親戚のおじさん気分である。
前はずっとFPS。いまは『スト6』しかやってないです。社長が『ストリートファイター』好きなので一石二鳥。
松本さんの元ネジ屋情報に続き、おもしろ情報がアクセルべた踏みで突っ込んできた。
社長と『スト6』やったりするんですか？
そうですね。ゲームの話もけっこうします。最初は「最近『スト6』にハマってるんですよ。社長はやらないんですか？」って誘いました。
それは誘いではなく煽っているのでは。
「プレイステーションネットワークにつなぐのはちょっとなあ……」って言ってたんですけど、最近つないでオンライン対戦も始めたみたいです。
あとデバイス論争もあって。いま僕はレバーレス派で、社長はレバーありのアケコン派なんですよ。
社長から「レバーの方が入力しやすいじゃん」って言われるんですけど、僕は「いや、理論的にはレバーレスが最速なんです」。そんな言い合いをしてます。
なんつー微笑ましい会社やねん。
すごい大企業なのに、社長と若手がゲームの話で冷静に言い合いしてるのおもしろすぎるな。
作家性を重視したデザイン
『スト6』のゲーミングチェアを作ることになって、カプコンさん側の内部の反応はどうでしたか？
グッズが世に出ていちばんうれしいのは開発メンバーなんです。自分たちの作ったゲームから「イスができました」なんて聞いたら単純にうれしい。クオリティもばっちりやし。
関家具さんっていうと、家具業界で日本トップクラスの会社さんなわけです。コラボできるのが夢みたいな話。最初は「え、ほんとに？」という話から始まって。
仮に知らないにしても、ググったらびびりますよね。こんなにすごいの？（※）って。あんまり褒めると記事がうさんくさくなるから言いたくないんですけど。
※関家具は創業以来55年間赤字なし。家具卸売業界で売上高日本一の会社なのである。
もっと褒めてください。
関家具さんの福岡県の本社にこの前お邪魔しまして。すごいんですよ。もうね、おしゃれだしエグい。
デザインにも表われてますよね。「あ、そういうデザインでいくんや」って思いましたもん。よくあるゲーミングチェアの形じゃない。
関家具さんの作業場って、世界に1枚にしかないような木（家具の素材となる板）が置いてあるんですよ。職人さんが素材にこだわっていて、それは1枚で何千万円もするようなやつ。
手前味噌ですけど、『スト6』も職人が作っています。ここにいる松本もそうですし、ディレクターの中山（貴之）も、ほかの開発メンバーも職人気質。こだわっているもの同士のコラボが決まったとき、世に出るのがすごく楽しみでした。
どういう感情？
「ええ感じに言うたろ」っていう欲が出ましたね。職人の話、欲張ったなー。
話してるときに「（エモさを）狙い過ぎか……？」っていう不安はあった。
関家具に職人魂があるのはわかる。一方、気になるのは本件担当の後藤さんだ。彼はまだ入社3年目。けっこうな規模のビジネスだと思うのだが、それをまとめるなんてすごすぎないか。
これには関家具の社風も影響しているのだと思う。なんと事業計画にNGが出ない会社なのだ。一生懸命やったら大丈夫。責任は社長が取る。だから自由にものづくりができる。
僕、こういう大きな案件は初めてなんです。
まじか！
最初に上田さんとオンライン打ち合わせしたとき、
「怖かった……」
ちょいちょい！ 感じが悪いしきっとそんなことはなかった！
……！
松本さん、笑いすぎて声になってない。
丸投げされてるというか。
言い方！
…………！
笑ってないでフォローして。
好きなようにしていいですよ、みたいな。試されている気がしました。
「あ、そういうこと。僕らはそうなんですよ」
お相手のやりたいことと作家性を重視してるんです。コラボとかは全部。
コラボの件を松本に相談すると、決まって「好きにやったらええやん」って言うんです。その後で出てくるのが「でも、スベらんでね（スベらないでね）」。
このニュアンスはけっこう深いですよ。おもしろい・おもしろくないという話でもあるし、ビジネスで考えると、せっかくコラボした商品が『スト6』ファンに受け入れられないのが“スベる”ということ。
そういう意味も含めて、何をやってもいいと後藤さんに伝えたのだという。要するに、いいものであれば（カプコンの許可を得たうえで）自由に作っていい。後藤さんは面食らったかもしれないが、大事なことだと思う。
「細かく指定しなくても御社ならファンが喜ぶものを作ってくれるでしょ？」という期待であり、同時にプレッシャーでもある。信頼がなければ言えない言葉だ。
いい話でしょ？
自分でオチをつけなければもっと感動できるのに。
ちなみに、これは関家具さんから僕への広告発注のやり方に似ている。今回で4回目になるのだが、「おもしろくしてください」以外のオーダーがないのだ。
信頼されているのはうれしい。でも、もっとかまってほしい。愛してほしい。
何台作るかの決定も任されていたんですよ。どれだけ売れるかわからないから、本当に怖かった。
関家具さんの上の方も十分スパルタですよね。みんなそうなんだなあ。
上司に「これくらい作りましょう」と提案したら「もっといける」と言ってくれたので、いまは安心してます。
大丈夫です。30台くらいは松本が買いますから。
てことは、上田さん30、松本さん30で60台売れましたね。ひとまず安泰だ。
座ってもらう場があるといいですね。“ゲーミングチェア”のことは知っていても、実物を見たことない人もいっぱいいるはずやから。
そうそう。僕もゲーミングチェアを使って長いですけど、座った瞬間は松本さんと同じ感じでしたよ。「おっ？ 何かよくない？」って。
夏に座ってほしいですよね。ファブリックだからペタってならへん。これがいいんです。ファブリーズもしやすい。
だからファブリックって言うんですかね。
逆じゃないかな。ファブリックの方からファブリーズが来てるのでは。
……穴、ありませんか？ いったん入りますんで。
そうね。自分らで「スベらんといて」って言ってるんやから、スベったらアカンよ。
大丈夫です。激スベりしても戻ってきます。メンタル強いので。
何の話？
急に特典の企画会議が始まる
ここまでやっていただけたんやから、売れてほしいですよねえ。イーカプコンで買ったら何か特典付けられへん？ あ、それはうちの話か。
モデル松本脩平のカレンダー付けましょうか。写真いっぱい撮ったし。
そういうのいらんのよ。
やりますよ、おれ。ひとつひとつ印刷します。やらせてください！
きれいな目をして訴えかけんな。
わかりました。
「カレンダーが余ったら何かのイベントに僕と上田さんでブース出展して手売りしましょう」
その決意いらんからね。
そうですよ。ちゃんとプランを考えましょう。
そうそう。後藤さんからも言ってあげて。
合言葉を言った人にあげるってどうですか？
おい収集付かんぞ。
※松本さんのカレンダーは付属しません。
刺繍で細かいデザインを再現する技術力
ゲーミングチェアはおもにFPS/TPSなどのPCゲーム界隈で広まってきたアイテムだ。格闘ゲームとのコラボによって、新しい客層にリーチすることになる。
マイファーストゲーミングチェアがこの『ストリートファイター6 ルークモデル ゲーミングチェア』という人もたくさん出てくると思うのだ。
『スト6』をプレイする方々も多いですけど、一方で“観る専”の方も増えている。ライフスタイルの中に組み込んでもらいたいですね。おうちのリラックスした環境で『スト6』の試合を観るのもいい。
最近はもうゲーミングチェアって呼び方で損してると思うんですよ。ゲーミングだからゲーム専用なのかって言うとそんなことはない。要するに高機能チェアですもんね。
たしかに。高いオフィスチェアは10万円とかしますけど、そういうモデルと近い機能も付いているわけで。
日常生活に便利な機能がいっぱいあるわけです。リクライニングして寝れるし（座面が）深いからあぐらもかける。もっと世に出ていくべきアイテムだと思います。
デザイン面だと刺繍がいいんですよ。プリントだと絵柄が剥がれるけど、刺繡ならボロボロになりにくい。ファブリック生地に細かく刺繍できるメーカーってそうそうないんじゃないかな。
絵は合皮素材にプリントしたほうが製造コストは抑えられるんですけど、こだわったほうがきれいなので。
『ストリートファイター』の文字の右上にTMマークあるじゃないですか。これ（デザイン上で）つぶれがちなんです。でも、ちゃんと刺繍されてる。
うまいことやってもらいました。
「うまいことやって」で対応できる工場すごくない？
その工場がいちばんすごい説ありますね。
格闘ゲーム好きが作る新しい未来
こういうコラボって、ライセンス担当同士で話して進むことが多いんですよ。でもこのプロジェクトは松本や開発担当も巻き込んで進行しています。
関家具さんなんて社長にも出てきていただいて。
社長がもともと『ストリートファイター』勢の大手家具メーカー。“世界で一つだけの花”って関家具さんのことを歌ってるんじゃないかな。
ちょっと前にですね、出勤の30分くらい前かな、関家具さんの社長からスマホにショートメッセージが届いたんですね。
「いま東京にいるんだけど、行っていい？」って。
友だちじゃん。
その後、本当に東京のカプコン社屋にやってきた関家具社長。仕事の話をほぼせず、90分くらい『スト6』を楽しんだそうな。
もう、ダチよ。
ミーティングルームの時間が終わった後は受付前のモニターで（開発スタッフも含めて）みんなで遊んで、「そろそろ時間だから」って帰っていきました。
ご迷惑をおかけしてしまったみたいで、何かすみません。
後藤さんがお母さんみたいになってしまった。
関家具には、社長に加えてほかのお偉いさんにも『ストリートファイター』プレイヤーがいるそうだ。社長のメインキャラは『スーパーストリートファイターIV』のときは豪鬼で、いまはケン使い。
「メインキャラは何ですか？」と聞かれて『スパIV』までさかのぼれるところから、ガチさが伝わってくる。上田さんによると「社長が『ストリートファイター』好きというのが大きくて」。
社長が来られたときに「ストリートファイターリーグに協賛してもらえませんか？」って聞いたら、即「うん、いいよ」って返ってきました。
これは後藤さんも知らなかったらしく、「ほんとですか？」と目をぱちくりさせていた。トレーニングモードを遊びながら「オッケーオッケー」くらいのノリ。用意していた提案書を見せる前に決まってしまった。
適当なことを言っているわけではなく、根底に「カプコンさんならおかしなことはしない」という信頼があるのだと思う。とにかくスピードと判断力がすさまじい。
このバランス感覚も格闘ゲームで培われたものに違いない（適当なことを言いました）。
関家具さんって社内でゲームを遊べるようになってるんですよ。新しいゲームもあれば、プレイステーション3とか少し古めのハードも置いてあったり、アケコンとゲームパッドも。
社長が若いときはこういうところでもゲームに触れていたのかなと。個人としてもゲームを楽しまれてきた歴史から今回のコラボにつながっている。
ひとつの時代の集大成なのかもしれないですね。『スト6』とコラボしたゲーミングチェアが。ここからまた新しい未来を作っていくんだと思います。
ずっと冗談を言い続けてきた上田さんがきれいにまとめたことに若干の違和感はあるものの、たしかにその通りだと思う。
ゲーミングチェアの未来と言うと別モデルだろうか。
『スト6』によって格闘ゲーム業界は新しいプレイヤー層を獲得し、観る専のファンも増えた。もともとキャラクターゲームとしての側面もある。自分の好きなキャラだけでなく、プロ選手やストリーマーのメインキャラへの愛着も強まっているはずだ。
パーツを取り外せるじゃないですか。好きなキャラの色に変えたり、そういう使い方もあるかもしれない。
ここだけの話、自分の中でジュリと春麗は考えてました。デザインが難しそうなんですけど。
これ（ルークモデル）作れるんやったらいけると思いません？ （キャライメージに）寄り過ぎたら使いにくいかもしれないけど、ポイントを押さえつつ普段使いしやすいように。
関家具さんに入ろうと思ってるの？
ネジに詳しいから製造部門もいける。
それは冗談として。
今回発売となるルークモデルは部屋になじむ色合いだ。対して、ジュリと春麗のイメージカラーはそれぞれマゼンタ（紫）と青。主張が強いかもしれないが、部屋の一角に設けたゲーミングスペースだけすごく派手というパターンもある。
以前のゲーミングチェア取材で聞いた話がある。家具屋さんは大人しい色の製品を作りがちだが、ほしいゲーミングチェアの色でアンケートを取ったら濃くて派手なピンクがいちばん人気だったらしい。
ジュリモデル、需要ありそう。
タンスみたいに大きい家具だと壁紙に合わせる人も多いですよね。でも、イスならワンポイントの差し色としてお部屋にあってもいい。
どのキャラのモデルがほしいか、アンケートを取ってもええね。
ここで出た話題は半分冗談。でも半分は本気だ。別モデルの開発が確定しているわけではないが、両社ともにやぶさかではない感じ。多くの希望が集まったら、ほんとに発売される可能性もゼロではない。
格闘ゲーム好きな人が、ファンといっしょに新しい製品を作っていく。そういう未来もまた楽しそうである。最後に、『ストリートファイター6 ルークモデル ゲーミングチェア』のスペックをおさらい。
『ストリートファイター6 ルークモデル ゲーミングチェア』商品概要
- 価格：49500円［税込］
- 本体サイズ：幅72cm×奥行74cm×高さ128-136cm
- 座面高：44-52cm
- リクライニング角度：175度
- 耐荷重：150kg
- 本体重量：23kg
記事の締めとして、松本さん写真集をどうぞ。
このコーナー、絶対いらんやろ。
いります。
