2020年に発売されたオープンワールドRPG『サイバーパンク2077』(以下、『CP2077』)。その拡張パック“仮初めの自由”の配信日である2023年9月26日が迫ってまいりました。
本拡張パックの対応機種はプレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、PC(※)となっています。
※本拡張パックは、プレイステーション4(PS4)版とXbox One版には非対応。
“仮初めの自由”では、シナリオのメイン舞台がナイトシティの端にある“ドッグタウン”へ。いままで侵入することができなかったパシフィカの一部分が新マップとして開放されます。
新キャラクターとしては、『パシフィック・リム』や『アベンジャーズ』シリーズでおなじみのイドリス・エルバ氏が演じるエージェント“ソロモン・リード”(日本語版声優:斉藤次郎)や、凄腕ネットランナーの“ソングバード”(日本語版声優:青木瑠璃子)などが登場。彼らが織りなすストーリーも見どころのひとつとなっています。
ほかにも新アクティビティや一新されたパークなど、新要素が盛りだくさん。そんな拡張パックのレビューをお届けします。
『サイバーパンク2077』の関連商品はこちら (Amazon.co.jp)拡張パック“仮初めの自由”とは
『CP2077』待望の拡張パックとなった“仮初めの自由”。スパイスリラーをテーマとし、本編ではあまり描かれていなかった新アメリカ合衆国がフィーチャーされています。
“仮初めの自由”をプレイするには、以下のふたつの方法があります。
- メインストーリーを“TRANSMISSION/伝達”まで終える
- ニューゲームから“仮初めの自由”を選択する
仮初めの自由はメインシナリオの後半に食い込むストーリー。そのため、主人公・VのRelicに対する焦りや、ジョニーとの関係性が表れた内容となっていました。ですので、まっさらな状態から始める場合はストーリーを順番に進めていったほうがより理解が深まりますが、「どうしても“仮初めの自由”から遊びたい!」という人は序盤をスキップすることもできます。
序盤スキップの場合は自動的にレベル20からスタートし、サイバーウェアと能力値は規定の設定が適用されます。
また、“仮初めの自由”のエンディングに到達することで、メインストーリーのマルチエンディングにも新たなルートが追加。もしかするとRelicの治療法を巡って、新たな展開があるのかもしれません。
あらすじ
VのRelicを治療できるというネットランナー“ソングバード”こと“ソン・ソミ”から連絡が来るところから“仮初めの自由”はスタート。ソングバードはドッグタウンに不時着する予定の飛行機に乗っており、同乗している新アメリカ合衆国大統領“ロザリンド・マイヤーズ”を助けてくれればVのRelicを治療する、という取引を持ちかけてきます。
ソングバードに導かれてドッグタウンへ侵入したVですが、謎の地対空ミサイルによりソングバードとマイヤーズの乗る飛行機が墜落。Vが救助に向かう過程でマイヤーズとは合流できるものの、ソングバードとは連絡が取れなくなってしまいます。
音信不通となってしまったソングバードを探すため、新アメリカ合衆国のFIA“ソロモン・リード”を頼ります。彼は“冬眠中”のエージェントとして、数年間ドッグタウンで暮らしていました。
消息不明になったソングバードはマイヤーズの腹心で、VにとってもRelicの治療を持ちかけた命綱となる相手です。マイヤーズの号令のもと、リードはエージェントとして復帰。今回限りの特例措置でFIAのエージェントとなったVとともに、ソングバードを追います。
バーゲストの根城で“ナイトシティの盲腸”ことドッグタウン
本拡張パックのメイン舞台となるドッグタウンは、カート・ハンセン大佐が率いる私設集団(ギャング)“バーゲスト”の根城となっています。ドッグタウンは企業や政府の支配が届かない無法地帯で、ハンセン大佐が独裁を敷く独裁国家のような位置づけです。“鎖国”状態に近く、ナイトシティの一部とは言えど独自の生態系を築いているといっても過言ではありません。
ハンセン大佐は筋骨隆々な強面の男で、ギャングのボスということもあり脳筋に見えがちですが、じつはプロパガンダや心理操作が得意な頭脳派。その巧みな話術で、独裁国家“ドッグタウン”をまとめ上げています。
企業から逃れて自由になりたい、もうどこにも行き場所がない人々を受け入れるドッグタウン。しかしながらドッグタウンもナイトシティの一部。出入りするにはきびしい審査が行われます。この囲いのなかは楽園ではなく、秩序と暴力に支配された小さな地獄でもあるのです。
新スキル“Relicパークツリー”でマンティスブレードやゴリラアームを強化
“仮初めの自由”では、新たなスキルとして“Relicパークツリー”が追加。ストーリーの序盤でソングバードから、ミリテク製戦闘ソフトウェアとしてもらえます。
Relicパークツリーでは、以下のインプラントに対する新アビリティが追加。
- マンティスブレード
- ゴリラアーム
- プロジェクタイルランチャー
- モノワイヤー
筆者はマンティスブレードのパークを選択。身体切断するかフィニッシャーを決めるとつぎの跳躍攻撃がチャージされ、より強力な一撃をくり出すせるというものです。しかも、この強化攻撃は身体切断をするため、理論的にはスタミナが続く限りコンボが続きます。
つまり、場合によっては人を斬っては瞬間移動するように跳躍してまた人を斬る、なんてサイバーサイコのような動きが可能となるわけです。こわい。
また、モノワイヤーのパークツリーはネットランナームーヴに特化。チャージした強攻撃で、RAMを消費することなく敵にクイックハックを直接アップロードできるようになります。ミリテクの技術恐るべし。
プレイヤーそれぞれの戦闘スタイルに合わせて強化が可能となっていますので、ぜひいろいろとお試しください。
カート・ハンセン大佐がバーゲストへ投下した物資を横からかっさらう
ドッグタウンのギャング“バーゲスト”は、空から投下するという形で外部から物資を得ています。そんなバーゲストの物資を横取りできてしまうのが、“仮初めの自由”で追加されるアクティビティ“投下物資”です。
ドッグタウン内でゲームをプレイしていると、ときおり大きな音とともに赤い煙が立ち上がります。これが物資が投下された合図です。バーゲストたちが投下物資を回収するのはもちろんのこと、ドッグタウンの住人も投下物資を横取りするために虎視眈々と狙っています。
その物資強奪へVが参戦する際、以下のランダムイベントが発生します。
- 奪取:数人の敵と小規模戦闘が発生。
- 銃撃戦:敵が先に投下地点に集まっており、全員を倒さないと物資が手に入らない。
- 待ち伏せ:投下地点には誰もいないように見えるが、貨物を回収した途端に敵が出現する。
- 早い者勝ち:とくに障害が発生しないラッキーなパターン。
- 特殊:ドッグタウン住人にまつわるストーリーに関連した投下物資。
筆者が遭遇したのは“銃撃戦”のパターンでした。
赤い投下物資を開ければ、豪華なアイテムが。投下物資イベントはお金稼ぎにもよさそうですし、ドッグタウンにまつわる小話が聞ける特殊イベントも楽しそうです。
ドッグタウンのランドマークを回る
『CP2077』を心から楽しむために、ナイトシティの散歩を大事にしているプレイヤーも多いと思います。筆者も新たに追加されたドッグタウン内を歩いてみたので、気になったランドマークの紹介をさせてください。
スタジアム
Vがドッグタウンに足を踏み入れて、最初に訪れる場所です。
スタジアムはドッグタウンの心臓部でもあり、ドッグタウン全体のエネルギーを供給する老朽化した原子炉があります。また、スタジアム内にはブラックマーケットも存在。銃弾から戦車まで、ありとあらゆる武器が手に入るとか。
スタジアム内に存在するせいか、どこか球場の売店のような雰囲気もありました。それより数十倍は雑然としているし売っているものも物騒なんですけれども……。
死者に想いを捧げる木
ドッグタウン内で唯一といっていいかもしれない癒やしスポット。死者に手向けられたロウソクが揺らめき、夜は幻想的な雰囲気となっています。
もしドッグタウンに住むならここの近くがいいです。いや、できれば住むのは遠慮したいところですが。
ヘビー・ハーツ
フィクサーのひとり、ミスター・ハンズが拠点にしているというクラブ。ピラミッド型の造形と青いネオンが特徴的な建物です。
『CP2077』本編では顔出しNGなミスター・ハンズでしたが、この“仮初めの自由”では対面することが叶うのでしょうか。彼はドッグタウンに拠点(非公式だけど)を構えているので、本拡張パックでもっとも世話になるフィクサーのひとりです。
なんと! 猫ちゃんと! 触れ合えます!
『CP2077』の癒やし枠と言えば猫のニブルズ。なんと、ドッグタウン内でニブルズに似た何匹かの猫ちゃんに遭遇することができました!
しかも、“なでる”コマンドが出て猫ちゃんにタッチできる。これは神仕様。
筆者は「ニブルズがいたからウチのVは人間性を保てたんや」と思っているクチなので、撫でられる猫がいるとなればドッグタウン内でのVの精神面も安定するでしょう。
タロットカードに小アルカナが追加
ナイトシティにはタロットカードをモチーフにしたサイバーパンクな落書きが存在しましたが、ドッグタウン内で新しいものを発見しました!
こちらは愚者、吊された男などの大アルカナではなく、小アルカナをモチーフにしているようです。小アルカナは全部で56枚存在するのですが、まさか全部実装されているんでしょうか……? だとしたらさらにナイトシティの散歩がはかどってしまいますね。
自由と責任、をさらに煮詰めたようなシナリオ
『CP2077』をプレイしてみて、自由を得るということは自分の選択に責任を持つということ、というのを嫌というほど味わってきたのですが、“仮初めの自由”はさらにその気配が強い印象を抱きました。実際、本拡張パックで追加されたサイドクエストの選択で、「救えたかもしれないのに」とすでに何回か後悔しています。ナイトシティに救いはないと思いますけれども。
さらに、本シナリオは、ジョニーが“ジョニー・シルヴァーハンド”になる前の過去を掘り下げることがテーマとしてあるように思えます。戦争、軍隊、裏切りと、ジョニーの口からぽつぽつと過去が語られるシーンがありました。シニカルでひねくれたジョニー節は健在なのですが、ちょっとナイーヴになっているシーンも多く、それを含め筆者の情緒が振り回された気がします。
“仮初めの自由”は全13編によるメインストーリーに、多くのサイドクエスト、新マップに新アクティビティ、新たなパークツリーなどなど、かなり盛りだくさんな拡張パックとなっています。感覚的なボリュームとしては、まるで続編を遊んでいるようでした。
新たに追加されたエンディングが楽しみなので、どうか誰も裏切らないでくれよと願いつつ、配信日を楽しみに待ちたいと思います。
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