2023年8月23日~27日の5日間、ヨーロッパ最大級のゲームイベントgamescom 2023がドイツ・ケルンにて開催。

 BTSや、TOMORROW X TOGETHER、ENHYPENなど、名だたるアーティストが所属する韓国の総合エンターテインメント企業HYBE。同社では、ゲームに注力しており、PC向け新作RPG『星になれ-ヴェーダの騎士たち』を近日配信予定だ。

 『星になれ-ヴェーダの騎士たち』は、2014年にFLINTが開発し、世界累計2000万ダウンロードを記録した『ドラゴンスラッシュ』の続編。1980~90年代に人気を博したベルトスクロールアクションゲームのおもしろさを現代的に再解釈した1作となっているとのことだ。HYBEのゲーム事業子会社である、HYBE IMによるゲームパブリッシング事業の第1作目となっている。『星になれ-ヴェーダの騎士たち』の開発はFLINTが担当している。

 そんな『星になれ-ヴェーダの騎士たち』の開発経緯や、なぜHYBEがゲーム事業に注力するのかに対して、コメントをいただいたので、以下にご紹介する。あわせて、会場で実施された、海外メディアとのQ&Aのやり取りもお届け。『星になれ-ヴェーダの騎士たち』やHYBEに対する理解を膨らませてほしい。

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FLINT 代表取締役 キム・ヨンモ氏(左)とHYBE IM キム・ミンギュ氏(右)。

キム・ヨンモ氏

FLINT 代表取締役

キム・ミンギュ氏

HYBE IM

『星になれ-ヴェーダの騎士たち』は自由自在なコントロールの楽しさを強調したアクションRPGを目指す

――韓国で前作『ドラゴンスラッシュ』が爆発的な人気を博しているとのことですが、人気を集めた要因を教えてください。

ヨンモ『ドラゴンスラッシュ』は2014年2月にサービスを開始し、リリース直後に韓国Google Playストアで売上とダウンロードランキングが10位圏、App Storeでストア売上ランキング5位圏を記録しました。

 また、リリース2年後に最高売上を更新し、大規模アップデートごとに各ストアの売上ランキングチャートを独走していることから、収集型モバイルRPGの独走アイコンと呼ばれることもありました。

 『ドラゴンスラッシュ』が多くのプレイヤーに愛された秘訣は、PCでRPGを作っていた時代のノウハウを最大限に生かし、RPG本来のおもしろさと感性を刺激するストーリー、個性的なキャラクターをモバイルでもうまく盛り込んだ開発者の努力をプレイヤーの皆様が理解してくださったおかげだと思います。

――今回続編がリリースされるとのことですが、前作との違いや『2』ならではの魅力をお教えください。

ヨンモ『ドラゴンスラッシュ』はカジュアルな印象があるかと思いますが、じつはダークな要素を盛り込んだストーリー性のあるゲームを目指していました。しかし、モバイルゲームの特性や当時の開発環境上、深さを伝えることに限界があるタイトルでした。

 『星になれ-ヴェーダの騎士たち』では、前作の物足りなさを克服するため、グローバル2Dのアイコンとなる作品を生み出すことを目標に、200カット以上のフルボイスで壮大な世界観とストーリーを表現しました。

 また、ゲームのおもしろさだけにこだわるのではなく、クオリティー面でも妥協しない覚悟で開発に挑んでおり、PCやモバイルが連動するクロスプラットフォームとして、優れたコントロール性を持つアクションゲームになるよう設計しました。

 『ドラゴンスラッシュ』の前編に当たるストーリーや世界観を引き継ぎながら、英雄のひとりひとりをきめ細かくデザインし、前作で不足していた自由自在なコントロールの楽しさを強調したアクションRPG。 これが『星になれ-ヴェーダの騎士たち』の魅力です。

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――タイトルにもある“星になれ”にはどのような意味が込められているのですか?

ヨンモ“星”はそれぞれのキャラクターが最高の星だと考えて選んだ単語です。

 プレイヤーひとりひとりが星になって自分の限界を突破し、最高の英雄になれるゲームという想いから『星になれ-ヴェーダの騎士たち』というタイトルが生み出されました。

――本作は、スマホやPCで配信予定とのことですが、家庭用ゲーム機向けでの配信予定はありますか?

ヨンモ現在検討中です。

――本作を楽しみにしているゲームファンにメッセージをお願いします。

ヨンモ日本では『ドラゴンスラッシュ』という名前で長いあいだサービスを行っており、多くのプレイヤーに愛されてきましたが、今回は韓国のタイトルをそのまま生かして『星になれ-ヴェーダの騎士たち』というタイトルでサービスを展開します。

 過去のタイトル名を変えてリリースすることに、残念な気持ちを表す方もいらっしゃいました。しかし、『ドラゴンスラッシュ』の前編となる重厚で広大なストーリーを新しい遊びかたで楽しんでいただけるよう、きめ細かく丁寧に作っておりますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。

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ゲームはエンターテインメントに関連するすべての要素が合わさった、とても魅力的なコンテンツ

――HYBEがゲーム事業に注力する理由を教えてください。

ミンギュ総合エンターテインメント事業を営む会社の観点から、ゲームはエンターテインメントに関連するすべての要素が合わさった、とても魅力的なコンテンツだと思います。

 顧客の時間を価値あるものにしていくことがプラットフォーム企業の宿命であり、“グローバルライフスタイルプラットフォーム企業”というビジョンを持つHYBEだからこそ、ゲーム事業を通じてより新しく楽しい色とりどりな時間を皆様に提供できると考えています。

――ゲーム事業に注力するにあたっての方針を教えてください。

ミンギュ私たちが開発・配信するゲームが、プレイヤーの方々に愛されることが目標です。
 特定の地域ではなく、世界中のすべての国でクオリティーの高いサービスを行うことを目指しています。とくに日本はたいへん重要なゲーム市場であると考えているため、高い品質のサービス提供ができるようつねに努力します。

――今後、どのようなタイトルをリリースしていく予定ですか?

ミンギュひとつのジャンルに限らず、多様なおもしろさを持ったいろいろなタイトルをサービスしていく予定です。

――とくに重視している国・地域などはありますか?

ミンギュすべての国と地域が重要ですが、韓国と日本、北米、ヨーロッパ、台湾を重要拠点と考えています。

――今回、ゲーム事業にさらに力を入れていくにあたり、『星になれ-ヴェーダの騎士たち』を選んだ理由を教えてください。

ミンギュ『星になれ-ヴェーダの騎士たち』は、敵のくり出す強力な攻撃を避けながら戦ったり、自分のプレイ限界に挑戦したりするなど、ゲーム本来のおもしろさに優れたゲームであります。

ミンギュどこかで見たような流行についていくのではなく、『星になれ-ヴェーダの騎士たち』だけが見せることができるクラシカルで優雅な世界観とグラフィック、異なる魅力を持ったキャラクターやコンソールゲームに劣らない重厚なストーリーラインなど、高い水準のクオリティーを兼ね備えたゲーム性で、グローバル市場で幅広くプレイヤーに愛されるゲームになると考えタッグを組むことになりました。

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『星になれ-ヴェーダの騎士たち』海外メディアQ&Aより

――海外ゲームショウには初参加とのことですが、gamescomに参加した感想は?

A. 国内最大のゲームショウ“G-STAR”を含め、gamescomなどプレイヤーに直接会うイベントは、いつもわくわくして震える気持ちです。 プレイヤーが『星になれ-ヴェーダの騎士たち』をプレイする姿に立ち会えること、ゲームに対する意見が直接聞けることが非常に有意義な時間になると思います。

 とくに、今回のgamescomは『星になれ-ヴェーダの騎士たち』が世界への第一歩を踏み出す意味のあるイベントです。世界中のプレイヤーに『星になれ-ヴェーダの騎士たち』のおもしろさをより深くご覧いただき、gamescomで受け取ったフィードバックを取り入れ、より改善したうえで正式サービスを開始できるよう最善を尽くすつもりです。

――『星になれ-ヴェーダの騎士たち』のgamescom参加はかなり意外なニュースでした。 どのような目標で今回のgamescomに参加したのですか?

A. 『星になれ-ヴェーダの騎士たち』はグローバルヒットを目指しています。 G-STAR 2022公開以後、多くの海外ファンの熱い声援を体感することができ、全世界プレイヤーに本格的に『星になれ-ヴェーダの騎士たち』の存在を伝えたいという熱い気持ちでヨーロッパ最大ゲームショウであるgamescomに参加することになりました。

――昨年のG-STARのときにプレイヤーに公開したバージョンと今回のgamescomで披露するバージョンはどの程度変化があるのですか?

A. 昨年のG-STAR 2022に続き、今年6月には日本と台湾などでグローバルユーザーを対象にFGT(フォーカスグループテスト)を実施し、幅広いプレイヤーの方からのフィードバックを積極的に取り入れて完成度を引き上げています。 G-STAR 2022バージョンと比較し戦闘速度をよりテンポよくしたり、各キャラクターの特性もより鮮明になりました。

――gamescomのほか、東京ゲームショウ、G-STARなど、ほかのゲームショウも参加予定がありますか?

A. gamescom以外にはまだ計画がありません。

――ブースのコンセプトを教えてください。

A. ゲームのシグネチャーカラーであるブラックとパープルをメインに、イベント会場を訪れる参加者に『星になれ-ヴェーダの騎士たち』を試遊してもらえる空間にしました。 とくに、サムスンディスプレイとWAYCOS など、最高の会社との協業して体験ブースを構成し、参加者が直接ゲームをプレイして楽しめるプレイヤー親和型コンセプトで構成しているのが特徴です。

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[発売日程関連]

――発売時期は、以前のお話だと2023年Q3とのことでしたが、現時点で予定している発売日は?

A. 今年中に発売を目指しています。 今後のスケジュールは順次公開する予定です。

――すでにゲーム開発が完成段階に達したと聞いています。ゲーム発売時期が遅れた特別な理由があるのですか?

A. 何をもって完成とするか、だと思います。 日本と台湾のFGT、gamescomなどを通してプレイヤーと開発会社の両方が満足できるデキになったときに発売するのが正しいと思っています。 ただ、今年発売を目標にした分、残り時間で完成度を引き上げることに最善を尽くしており、ボリュームも妥協をせず十分に準備しようと思います。

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[ゲームコンテンツ関連]

――ゲームの制作費用、制作期間、制作のために投入された人員はどのくらいの規模なのでしょうか?

A. FLINTという中小開発会社の基準で本当に多くの費用がかりました。 正確には申し上げにくいですが、大型開発会社のメジャープロジェクトに劣らない費用がかかり、費用に対するコミットと責任はもう少し重いと思います。 人員は現在120人くらいです。

――『星になれ-ヴェーダの騎士たち』が 前作とどのような関係にあるのか説明をお願いしたいです。

A. 『ドラゴンスラッシュ』開始時点より遠い過去のストーリーを扱っています。 おもな内容は、世界観の誕生とともに『ドラゴンスラッシュ』の主要人物の誕生記です。

――各プラットフォーム別に特化した部分はあるのですが?

A. PCとモバイルの両方で同水準のクオリティーを提供することが目標です。 両プラットフォームの楽しさと操作感を損なわない範囲で、UIやグラフィックに変化をつけています。 手動コントロール要素が多い戦闘特性上、PCでプレイすることをお勧めしますが、モバイルでも十分快適なプレイができるようプラットフォーム最適化に力を入れています。

――『星になれ-ヴェーダの騎士たち』でもっともインパクトのある部分はどんな部分ですか?  何をもっとも重点的に楽しむべきでしょうか?

A. ゲームの本質であるおもしろさを追求するために、アクションゲームの基本となるアクションの完成度にもっとも力を入れ、世界観とストーリーにも力を入れています。アクションゲームでもっとも重要なバランスの取れた難易度と、クリアーしながら成長するときの楽しさを感じられるようにデザインする部分に力を入れました。

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――『ドラゴンスラッシュ』 はターン制ゲームであり、『星になれ-ヴェーダの騎士たち』は直接コントロールが強調されたクロスプレイゲームを志向しています。 完全な新作で新しいIPではなく、『星になれ』の名前を引き継ぐ理由は何ですか?

A. 本作は奇しくも『星になれ』シリーズの10周年記念作となる見込みです。前作は、私にとって大変意味のある作品でした。『星になれ』は弊社の重要IPでもあるため、より意味のある姿に進化させたいと思いました。前作は開発当時、すべてにおいて弊社メンバーが全力を尽くして作り上げたゲームでした。本作にかけられる開発人員やコストは少なかったものの、ジャンルを越えて最上のものを制作するために全力を尽くしました。『星になれ-ヴェーダの騎士たち』でも、あらゆるものを飛び越えて、いまの私たちにできる最上のものをお見せしたいです。

 そして今回の『星になれ-ヴェーダの騎士』は、アクションが強化されたクロスプレイゲーム。これがいまの私たちがお見せしたい『星になれ』の形です。

――ストーリーが非常に重要なゲームのように見えました。 分量はどのくらい準備できたのですか?  発売後のアップデートに対するマスタープランはありますか?

A. 現在、ストーリーのためのシネマティックリソースとカットシーンだけで3時間分を超えています。 発売後に3週間単位で新規キャラを公開し、6週間単位で小さなエピソードを公開する予定です。 そして、大規模アップデートを通じたストーリー追加は6ヵ月から8ヵ月程度を予定しています。

――『星になれ-ヴェーダの騎士』の期待される成果はどの程度ですか?

A. 長いあいだグローバルプレイヤーの方々に愛される、楽しいゲームをサービスすることが目標です。

――最後に、ブースに訪れたプレイヤーに伝えたいひと言は?

A. グローバルを見据えたクオリティー水準を保てるよう最善を尽くして作りました。 たくさん楽しんでいただきたいと思います。

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