ファミ通.comの編集者&ライターがゴールデンウィークのおすすめゲームをひたすら紹介する連載企画。ライターのオクドス熊田がおすすめするタイトルは、PC(Steam)にて配信中のゲーム『ローション侍』です。

【こういう人におすすめ】

  • 爽快感のあるアクションが楽しみたい
  • タイムアタックなど突き詰める要素が好き
  • 体中からローションが流れ出している

オクドス熊田のおすすめゲーム

『ローション侍』

『ローション侍』を購入する(Steam) Switch版『ローション侍』を購入する(マイニンテンドーストア)

“信長×ローション×脱出”つまり……何?

 このゲーム、主人公はかの織田信長公である。

 しかもただの信長公じゃあない。なんと“身体改造により全身からローションが溢れ出るようになってしまった”信長公である。
 
 本作は、そんな信長公が“ローションで体を滑らせながら激突することで敵や遮蔽物を薙ぎ倒し、城からの脱出を目指す”というゲームとなっている。

ローション侍
ホントなんです。そういうゲームなんです。チュートリアルからこんな感じなんです。

 ……大丈夫? ついて来られてる? あ、無理そう?

 もしかしたら筆者の説明が悪かったかもしれない。いったん公式のストアページから説明文を引用してくるので、まずはそれを読んで落ち着いてほしい。

 捕らえられ、身体改造の末、全身からローションが出続ける体になってしまった信長。そこに脱出の好機が訪れる!しかし、ローションのヌメりにより歩くこともできない... 壁を蹴ることで逆にヌメりを活かして滑り、敵の攻撃をかいくぐり、出口へ向かえ!
出典:Steam:ローション侍

 以上である。一応引用はしたものの、結局のところ公式の説明すらも異常である。

ローション侍
タイトル画面からも伝わるこの異様な雰囲気よ。よく真顔で佇んでいられるな信長公。ちなみにこの信長公、タイトル画面で拡大縮小を繰り返している。なんだそれは。

 「じゃあ結局このゲーム、ただの出オチなバカゲーなんでしょ?」

 そう思われる方もいるだろう。しかしこの『ローション侍』、ただものではない。出オチだけでは終わらない“独自かつ確かなゲーム性”もしっかりと持った作品となっているのだ。

爽快かつ大胆に滑走せよ。ぬるりと突き刺すスリップアクション

 『ローション侍』のジャンルを定義するにあたって、ローションアクション……だと、なんかションとションが被って気持ち悪いので、ここはスリップアクションと呼ばせてもらおう。そんな言葉ないけど。

 スリップアクションである本作は、とにかく操作が単純。必要なのは壁を蹴るためのクリックと、滑りたい方向にカーソルを持っていくだけである。

ローション侍
壁に面した状態でクリックをすると、カーソルの方向へ滑り出す。壁を蹴る際には「フンッ!」と猛々しい掛け声も発してくれる。

 壁を蹴ると、ビュッともの凄い勢いで織田信長が滑り出す。全身からローションが流れ出ているからだ。

 壁を蹴った反作用とローションにより摩擦係数の下がった屈強な肉体が、すさまじい勢いで城の廊下を滑っていく。この壁キックを繰り返すことで、高速移動をしながらステージをズンズンヌルヌルと進んでいくワケである。

ローション侍
本能寺の変でもそうやって逃げ出したらしい。知らんけど。

 城の道中にはこちらを捉えようと、数多の忍者が立ち塞がる。しかしこちらもただの一般人ではない。なんといっても“侍”であり、“Japanese KATANA”を持った一騎当千の兵なのである。

 侍の脚力×ローションの潤滑により、廊下を疾走する速度はまさに音速。眼前に構えた日本刀にその速度を乗せてしまえば、忍者といえど耐えられるものではない。

 つまるところ、激突すれば敵は倒せちゃうのである。わーいらくちん。

ローション侍
そういえば主人公はただの侍ではなく、織田信長であったはず。ということは、持っている刀はあのへし切なアレ……?

 ちなみに敵をぶった斬る際には「アァタッ!」というこれまた謎の掛け声を発する。

「フンッ!」「アァタッ!」
「フンッッ!!」「アァタアァタッッ!!」
「墳ッ!!!!」「アァタアァタッッ!!」「奮ッッ!!!!」「アァタァッッッ!!!!」

 と、奇声を発しながら敵を薙ぎ倒していくさまはかなーり爽快。連続で敵を斬り刻めたときなんかは、やみつきになる気持ちよさがある。

ローション侍
こんなのはもはやフィーバータイム。滑って斬って薙ぎ払い、廊下中に赤い花を咲かせてやろう。
ローション侍
突き破れる壁もある。この壁を突破するときの音も非常に気持ちいい。

目指すは天下! 世界中の侍たちとクリアタイムで競い合え

 滑走による高いスピード感と、敵を薙ぎ倒す爽快感。なんとなくこのゲームの趣旨は分かっていただけただろうか。

 ではここからは、このゲームの深淵である“タイムアタック”について、すこしだけ触れさせていただこう。

 『ローション侍』は、全6ステージ(+エクストラステージ)で構成されたゲームだ。ステージごとに階層があり、全階層を突破することでクリアーとなる。

ローション侍
触ると即死するトラップやこちらへ攻撃を仕掛けてくる敵など、ステージごとに違ったギミックが用意されている。

 ステージのプレイ中はタイムが計測されており、早くクリアーすることで評価が上がるようになっている。

 そのため、高い評価を得るためには“どうステージを滑れば効率よくゴールできるか”を突き詰める必要があるのだ。

ローション侍
クリアー時の評価は5段階。☆1~☆5のあいだで評価される。

 さらに評価とは別で、ステージごとには自身の“ベストレコード”も掲載される。

 このゲーム、ただクリアするだけならそこまで苦労はしないのだが……このベストレコードを更新するためにタイムアタックに挑むとなると、突然その難しさが牙を剥く。

 記録を作るためには設置されたギミックを理解しておくだけではなく、“どのタイミングでどの壁を蹴るか”を最適化しなければならない。一度蹴る方向を間違えるだけでも大きなロスだ。もちろん、即死するギミックを踏んで階層をやり直すなんてことはあってはならない。

ローション侍
即死ギミックとは言ったが、このゲームのダメージ源はすべてが即死。俗に言うオワタ式である。

 しかも前述の通り、このゲームはとにかく“速い”。なんたってローションと侍である。速くないわけがない。

 つまり一瞬の油断が命取りとなるのだ。スピードに目が着いていかず、焦って壁を蹴ったらトゲに向かって一直線、なんていうことは日常茶飯事である。

 そんな刹那にも近い命のやり取りを制し、自身の記録を新たに塗り替え続けた者こそ、真の『ローション侍』たりえるのであろう。

ローション侍
リトライもすごく簡単にできるので、タイムアタックに挑むこと自体はらくちん。“地獄への道は善意で舗装されている”とはよく言ったものである。

 クリアーした際のタイムで、ステージごとにランキングが形成される。上位には10秒台とか0秒台とか、とんでもない記録を引っさげた修羅がゴロゴロいる。

 世界に記録を残すため、あなたも天下布武へ向けてひと滑りしてみてはいかがだろうか。

ローション侍
執筆時現在におけるステージ1のランキング。Top10は“『ローション侍』十本刀”と呼ばれているとかいないとか。
ローション侍
真の『ローション侍』たりえるとか何とか偉そうに言っていた筆者であるが、正直☆5評価を取るのがやっと。難しすぎるぞ『ローション侍』。

 出オチ感満載の『ローション侍』ではあるが、そのゲーム性は独創性に富み、少し遊ぶだけでも本作ならではの楽しさを存分に味わうことができるだろう。

 そして一皮めくれば、待っているのは修羅の道。険しくもおもしろいタイムアタックという名のローション・アスリートとしての侍坂がそびえ立っている。登り始めるなら、ゴールデンウィークであるいましかない。ゴールってついているから縁起もいいはずだ。多分。

ローション侍

 紹介したのは『ローション侍』だが、続編である『真・ローション侍』も配信中。

 ローション水泳やビッグ聖徳太子、安倍晴明といった多彩な敵やギミックが全15ステージにて待ち受ける。

 もちろん織田信長も進化しており、なんと尻から砲弾が放てるように。さらにパワーアップした『真・ローション侍』もあわせて楽しんでほしい。

ローション侍
こちらは『真・ローション侍』。アクションはもちろん、グラフィックも大幅に進化している。ちなみに砲弾が尻に装填されると「チャキッ」っというSEが流れる。かっけえ……。

 『ローション侍』は235円、『真・ローション侍』は350円でSteamにて発売中。2作セットの“ローション侍バンドル”は526円となっている。自分で買うのもよし。他人に送り付けて “ローション-1 グランプリ”を開催するもよしだ。

 作者様のTwitterによると、なんとSwitchにも近日移植予定とのこと。執筆段階では詳細な発売日までは発表されていないので、ぜひともTwitterをフォローして、続報を確認していただきたい。

オクドス熊田
AAが好きな新人ライター。インディーゲームを中心に、ジャンルを問わずいろいろ遊ぶ。“PCの前に座っていたい”という一心だけでこの仕事を生業にしたズボラ人間。
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