2023年4月28日公開予定の映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』。本作は任天堂と『ミニオンズ』などを手掛けたイルミネーションが共同で制作している3DCGアニメ映画。
そんな同作の日本語吹き替え版のマリオ役・宮野真守さん、ルイージ役・畠中祐さんにインタビューを実施。作品の見どころやアフレコ時のエピソードのほか、『スーパーマリオ』に関するゲームの思い出なども語ってもらった。
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映画『スーパーマリオ』マリオ役・宮野真守さん、ルイージ役・畠中祐さんにインタビュー。マリオ&ルイージのボイスで語る演技のこだわりや好きなゲームの思い出
宮野真守(みやのまもる)
声優や俳優、歌手としても活躍している。イベント出演時や宮野さん自身が出演しているような場面ではとても明るいキャラクターで、周囲を楽しませる姿も印象的。アニメではもちろんのこと、ゲームファンにもおなじみ。おもな出演作は『機動戦士ガンダム00』(刹那・F・セイエイ役)、『キングダム ハーツ』(リク役)、『シュタインズ・ゲート』(岡部倫太郎役)、『DEATH NOTE』(夜神月役)など。(文中は宮野)
畠中祐(はたなかたすく)
声優や俳優、歌手としても活躍している。アニメやゲームだけでなく幼少期から吹き替え声優としても活動しており、『ナルニア国物語』のエドマンド・ペベンシー役などでおなじみ。おもな出演作は『遊☆戯☆王ZEXAL』(九十九遊馬役)、『僕のヒーローアカデミア』(上鳴電気役)、『ウルトラマンZ』(ウルトラマンゼットの声)、『ファイアーエムブレム無双 風化雪月』(シェズ/主人公役)など。(文中は畠中)
――ゲームの『スーパーマリオ』シリーズを遊ばれたことはありますか?
畠中もちろんです。
宮野誰もが遊んだことがあるんじゃないですかね。
――とくにお気に入りの作品はありますか?
宮野ぼくはファミコン(※ファミリーコンピュータ)のころからゲームを遊んでいるので、『スーパーマリオブラザーズ』で衝撃を受けました。でも、さすがにディスクシステムは買えず『スーパーマリオブラザーズ2』は遊べなくて、『スーパーマリオブラザーズ3』を自分のお金で買ったという記憶がめちゃくちゃ残っています。ソフトに自分の名前を書いて宝物にしていましたね。だから、『スーパーマリオブラザーズ3』に思い入れが強いかもしれないです。
――『スーパーマリオブラザーズ3』は、さまざまなマリオの変身が登場するのも特徴ですが、とくに好きなものはありますか?
宮野タヌキが出てきたときは衝撃でした。ファミコンの時代にあのクオリティーはすごいですよね。ゲームシステムの多様さにすごく驚きましたね。だから、映画の中でタヌキが出てきたのは非常に感動しました。
――『スーパーマリオブラザーズ3』はグラフィックも一新されていたので、衝撃が大きかったですよね。
宮野そうですよね。キャラクターの頭身も、いまのマリオに近くなっていて。そのつぎの『スーパーマリオワールド』も遊びました。スーパーファミコンになって格段に表現力がパワーアップして、ヨッシーも出てきたり、世界観がどんどん広がっていったことをすごく覚えています。
――畠中さんはいかがですか?
畠中ぼくは親父から譲り受けたスーパーファミコンで……。
宮野伝統の!
畠中畠中家伝統のじゃないんですけど(笑)。タンスの中にしまってあったスーパーファミコンをもらって、タイトルは忘れてしまったんですけど、たぶん宮野さんがさっき言っていた……。
宮野『スーパーマリオワールド』がスーパーファミコンの1作目だから、たぶんそうだと思うよ。
畠中それをカセットに「ふー」っと息を吹きかけてからセットして遊んでいましたね。
宮野マント着けたマリオが登場するんですよ。
畠中それです! それを遊んでいました。
――おふたりにとっても思い入れのある作品ということで、そんな『スーパーマリオ』シリーズの映画でマリオとルイージを演じると聞いたときはいかがでしたか?
宮野それはそれは驚きました。これから自分が「マリオです」と名乗れるというのが不思議で不思議でしょうがないです(笑)。先ほど小さいころから触れてきたとお話ししましたが、いまもずっと触れ続けてきていて、マリオも進化していっている中で、ついに映画になり、その日本語版のマリオを演じさせていただけるというのは、いまだに信じられないです。でも、本編の収録を終えて、自分なりにマリオとして信じるものをぶつけられたので、やっと実感が湧いたと言いますか、あの世界でマリオとして生きられたなというのが、いまのぼくの中にはあるので感慨深いです。
畠中スケジュールがネット管理で、“〇月〇日〇〇の収録”というように確認できるようになっているのですが、そこに“〇月〇日 ルイージの収録”といきなり書いてあって「なんだこれは? ルイージであのルイージじゃないよな?」と思っていたら、本当にぼくが知っている『スーパーマリオ』のルイージだったので、ビックリしましたね。
――皆さんはご存じだと思いますが、映画ならではの部分もありますので、おふたりが演じられているマリオとルイージがどんなキャラクターなのか教えていただけますか?
宮野やっぱりみんなが大好きな『スーパーマリオ』ということで、皆さんはゲームを通じて、マリオの活躍、強さ、カッコよさなどをいままで味わってきたと思いますが、映画の中ではそんなマリオがブルックリンに住んでいて、そこでの日常も描かれるんですよね。そこがけっこう衝撃的と言いますか、見たことない姿だったりするんじゃないかなと思います。なぜなら、マリオはまだまだ若い青年で、自分の人生にも悩んでいるというか、うまくいなかったりすることも多くて。そんな中、家族に認めてもらいたくてがんばるとか、自分の目指すものを見つけたくて切磋琢磨するみたいな人間味のある姿が描かれるので、その日常感は見どころですね。
畠中ルイージのことは『ルイージマンション』とかでも知っているんじゃないですかね。めちゃくちゃ怖がりです(笑)。小心者というわけではないですが、お兄ちゃん(マリオ)がいないとどうしても不安に思っちゃったりとか。その代わり、お兄ちゃんのことを信じているという、お兄ちゃんのことが大好きで、お兄ちゃんにヒーローであってほしいなというところでかんばれる子なので、ルイージのまっすぐな気持ちを映画で感じてもらえるとうれしいですね。
――兄弟愛は見どころのひとつですね。その流れからお伺いしたいのですが、宮野さんは畠中さんがルイージを、畠中さんは宮野さんがマリオを演じると聞いたときのお気持ちはいかがでしたか?
宮野マリオを演じるにあたって、最初に「どういう風なアプローチをしようかな?」と考えていたときに、音響監督さんが、「ゲームの掛け声とかは再現するときもあるけど、マリオがどう生きているかは、自分の声で思うことを柔軟に表現してみてほしい」と言ってくださったので、迷わず収録することができました。そんな中、畠中くんが弟(ルイージ)となったときにすごくしっくりきて。「ぼくの弟は……あっ、畠中くんか」と。いままでもいろいろと関係性のある役を演じさせていただていたので、すごく想像がついたと言いますか。あわあわ慌てている畠中(笑)。
畠中(笑)。
宮野何を言っているのかわからない畠中(笑)。声が裏返っている畠中。でも、慕ってくれる畠中とか。いろいろ想像できたというので、不安要素がなかったです。
畠中それはぼくも同じで、ぼくの中でも宮野さんは小さいころからずっと見てきた役者さんですし、宮野さんとの掛け合いが何よりも楽しみだなと。
宮野それはあったね。
畠中こんなにうれしいことはないなと思いました。あとは、宮野さんはぼくの中でもやっぱりヒーローなんですよね。もちろん、いままで演じてきた役のこともありますが、ヒーローの心を演じてくれる人だなと思うので、そういう意味でどんな生きざまのカッコいいマリオが見られるんだろうと楽しみでした。
――そんなマリオとルイージを演じるにあたり、意識した点や気を付けたところなどありましたら、教えていただけますか?
宮野イルミネーションの作品ということで、とにかく動きが激しいんですよ。めちゃくちゃかわいくありつつも、アクションも多くて。日本語版では、アクションひとつひとつに対しても「(声を)入れてください」と言われたので、細かくリアクションを入れています。それは日本語版ならではになっていると思います。自分なりにアクションにあわせて、マリオの印象的な「ヤッフー!」のような掛け声を勝手にやっていたら、「それやりましょう」と言ってもらえたりして、かなり日本語版としてのおもしろさは構築できているんじゃないのかなと。
畠中そういう意味では、小さいころからゲームに触れていてよかったです。ルイージだったら「あややややや」、「あわあわあわわ」というようなものや、原音(英語版)にはなかったものとかもガンガン入れていいよと言われて、本当にすごく自由にやらせていただいたので、そのノビノビさが……(※声が少し裏返る)
宮野(※畠中さんを真似して)そのノビノビさが……。
一同 (笑)。
畠中これはルイージをやっているわけではないですからね(笑)。これは畠中なので。そのノビノビさが映像に乗ってくれると、楽しい映画になると思って、思いっ切りやりました。
宮野ぼくたちは、任天堂さんから音声を都度聞かせていただいて、ずっと練習していましたから。
畠中あれほかのキャストはどう思っていたんでしょうね?
宮野(笑)。チャールズ(※マーティネー氏。ゲーム版マリオの声優)さんの声を聴かせていただきながら、ずっとやっていて。
畠中にぎやかで楽しかったですね。
――いまアフレコの話題が出ましたが、アフレコ中で思い出に残っている出来事はありましたか?
畠中みんなで収録できたのですが、ほかのキャストも超パワフルで。
宮野クッパがかわいかったね。
一同 (笑)。
宮野三宅(健太)さんのクッパが憎めないところがめちゃくちゃあって。しかも、三宅さんも血管がぶち切れるんじゃないかと思うくらい全力でやられていて、全力のクッパがなんかかわいいなと思えるんですよね。
畠中そうですねよね。かわいいんですよね。
宮野全力でピーチ姫のことが好きなんだなと。
畠中クッパのピーチ姫への気持ちもいいんですよね。
――すごく一途ですよね。
畠中そうなんですよ。
宮野いまはコロナ禍で、アフレコも分散だったりするのですが、今回はいっしょに集まって収録できたので、それはすごくよかったです。ぼくたちが楽しんでアフレコした空気感というのは、必ず映画の中に反映されているし、魅力のひとつになっていると思うので、ご覧いただく方も楽しんでもらえるんじゃないのかなと思います。
――それは楽しみです。では、劇中のお気に入りのシーンを教えてください。
宮野やっぱり、カートのシーンは感動しましたね。ぼくがいちばん親しんだのはスーパーファミコンの『マリオカート』なんですけど、そこからどんどん進化していって、カートをカスタマイズできるようにもなっていますが、そこもちゃんと出てきて、「アツい!」と思いましたね。憧れのレインボーロードを走っている自分を感じて、すごく感慨深いものがありました。
畠中ぼくはドンキーコングのところですね。ドンキーコングのゲームも遊んでいたので、どことなく「このシーンは(ゲームの)あそこなんじゃないのかな?」と思うようなところがあったりして、ドンキーコングの活躍にも感動しましたね。
宮野ファミコンの『ドンキーコング』は知ってる? こういうやつ(※『ドンキーコング3』のドンキーコングの動きの真似をする)。
畠中それ動きは知らないです。
宮野知らないでしょ? ファミコンもめちゃくちゃやっていたな。
畠中ファミコンのほうですよね? ぼくはスーパーファミコンからしか触れていないんですよね。
宮野ドンキーコングもスーパーファミコンで出ていましたよね。「ドゥルルルルー、ドゥルルルルー(※『スーパードンキーコング』のメインテーマ)」って。
宮野・畠中「ドゥルルルルルルル」(笑)。
畠中全部やってくれるじゃないですか。そのドンキーコングはやっていたので、すごくワクワクしました。
――せっかくの兄弟役ということで、宮野さんはルイージ、畠中さんはマリオのおすすめシーンも聞かせてください。
宮野ルイージはしょうがないやつなのではぐれるんですよ。畠中みたいに迷惑を掛けて……。
一同 (笑)。
畠中そんなにふだんはぐれる人じゃないですよ。ついて行くときはついていきますから。
宮野ルイージがひとりになってしまうのが、とてもかわいそうなんですけど、その姿にはかわいらしさもあって、ビビッて逃げ回るシーンは見所かなと思います。カロンに追いかけられて、畠中くんがずっと叫んでいますから。
畠中それは本当にそうですね。うるさいぞくらいの勢いでやりましたから。マリオのお気に入りシーンはいっぱいあって、ネタバレになるので詳しくは言えませんが、ラストは必見です。それ以外だと、ピーチ姫との特訓シーンですね。見ていて、すごく楽しかったです。宮野さんも思いっ切りやってくださっていましたし。
宮野そうだ。あのシーンはパンパンパンパンとつぎつぎに場面が切り替わるので、畠中君と「きっとひとつひとつ止めて録るよね?」と話していたら、実際の収録では、一度も止めないので通しで録ったんですよ。あれはよくがんばったよね?
畠中本当にすごい。ふつうはひとつひとつ止めて録るはずなんですけど。だから、スローモーションとかも……。
宮野スローモーションもやったもんね。
――そうなんですね!?
畠中ふつうは機械でやったりするんですけど、宮野さんがスローモーションをやっていて「リアルタイムで全部やるんだ!?」と驚きました(笑)。
宮野自分で言うのもなんですが、そこは日本の声優のすごいところだなと思いました。
畠中あれは見ていてめちゃくちゃ楽しかったですね。
――作中にはさまざまなキャラクターが登場するのも魅力だと思いますが、お気に入りのキャラクターはいますか?
畠中ぼくはアフレコ現場で顔をニッコニコにして笑ってしまったのは、カメックですね。
宮野カメックね。
畠中おもしろかったですよね。
宮野お声も素晴らしいし、ちょっと舌足らずになるところとか。
畠中アドリブと芝居の境界線がわからなくなってしまうくらい、カメックがいきいきしていて大好きですね。
宮野わかる! ぼくはなんだろう。本当にいっぱい出てくるんですよね。ボムへいやヘイホー、キラーとかも出てくるし。そういう意味では敵キャラにワクワクしましたね。プクプクに顔に張り付かれたり、知っているキャラクターたちが襲い掛かってきてくるので楽しかったですね。
――最後に公開を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
畠中映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、ワクワクやいろいろなものが非常に詰まった、世代や国境を越えて、みんなが楽しめる作品になっていると思いますので、ぜひ劇場に足を運んでいただければうれしいです。よろしくお願いします。
宮野本作に携わらせていただいて、さらに“世界のマリオ”なんだなということを非常に感じています。世界中の誰もが好きなマリオを演じさせていただきました。だからこそ、みんながどこかできっと触れたマリオが出てくると思います。マリオの「フゥー」という動きひとつをとってもそうですし、先ほどお話しした『マリオカート』もそうですし、ネコになったり、タヌキになったり……そういう姿が出てきて、「あっ、あのとき触れたマリオだ!」と童心もくすぐってもらえるのではないかと。そんな自分の懐かしさを感じながらも、マリオたちが立ち向かう姿に勇気をもらって、そして最後に感動をもらえるようなエンタメ映画になっているので、ぜひ劇場でご覧ください。