昨日ゲームプレイ映像を公開し、そのリアルすぎる映像が世界的に話題を呼んだFPS『Unrecord』。その一方で数多く寄せられた疑問の声に対して、開発元のDRAMAが映像やコメントを公開した。

 まず「これは本当にゲームプレイ映像で、それっぽく見せた実写フェイクではないのか」という事に対しては、クリエイティブディレクター兼リードプログラマーのAlexandre Spindler氏がUnreal Engine 5のエディター上で動かしてみせる映像を公開。

 この映像のポイントはふたつある。まずひとつは、ステージが実写ではなく3Dゲーム空間として構成されているということ。壁などをすり抜けてみせたり、元映像とは違う動き方をしている様子がそれだ。

 そしてもうひとつは操作メカニズムに対する疑問への回答。具体的には、プレイヤーの視界と銃を狙って撃つ手がそれぞれ個別に動いているように見える部分だ(一般的なFPSでは両者が連動する事が多い)。これについてもランダムに動いて発砲してみせることで、実際にそういう設計になっていることを示している。

 このデモで実際どう操作しているのかはともかく、銃で狙う際はプレイヤーキャラや視界の移動の挙動を切り替えるといった設計のゲームがないわけではないので、恐らくそのたぐいの仕組みが入っているのだろう。

 また「(移動が固定された)レールシューターではないのか」といった疑問に対しても、あくまで自由移動が可能なFPSであることが明かされている(ついでに、本誌記事のコメントでもその映像の生々しさからかVRゲームと勘違いしている人が多く見受けられたが、VRゲームではない)。

 一方、海外での警察による誤射事件や過剰な制圧による死亡事故などを背景にした倫理的な懸念に対する回答や、今後の予定などについてもSteamで投稿されている。こちらを簡単にまとめると以下の通り。

  • 1. フェイクか本当のゲームプレイ映像か?
    • Unreal Engine 5で開発中であり、キーボードとマウスで実際にプレイした映像を使っている
    • VRゲームではない
    • 信用がかかるようなことをこんなに予算をかけてやらない
    • 実写映像やエンジン外で別にレンダリングした映像などは使っていない
  • 2. 警察テーマであることについて
    • 国際的なマーケットに発信するフランスのゲームスタジオとして、海外での事情に踏み入らないし、実際の事件に影響されているわけでもない
    • 女性やマイノリティに対する暴力や人種差別などの望ましくないトピックは避けている
    • 犯罪と警察の暴力に対するバイアスや善悪二元論的な扱いはしない
    • 不快に思うだろう人がいることは理解しているし尊重している。解釈を否定することはできない
    • まだ見せていない部分について正当化することはネタバレになってしまうが、テーマの方向性はいずれ自分で判断してもらえるだろう
    • 探偵やギャングや警察モノの映画やドラマや小説では作り手の知性がある程度信頼されるように、ゲームもそうあってほしいと思う
  • 3. リリース時期について
    • 2022年のプロトタイプ映像の段階で大きな反響を受けたが、現状では自己資金で運営しているインディースタジオでしかない
    • プリプロダクション段階でこれだけ熱狂的に受け入れられるということは稀なので、この機会を活かすために早めにゲームとしての正式発表をすることにした
    • 従って発売日どころか想定する発売年についてすら現時点では決まっていない
  • 4. どれぐらいのスペックのPCまで最適化するか
    • 現時点では最終的にどう最適化するか話すのは難しいが、他のゲームと同様に最適化することを考えている
    • リアルな映像効果はテクスチャーやポリゴン数に依存しているわけではないので、少しパワフルではないマシンでも没入感を体感することは可能だろう
    • 完璧な最適化を保証することはできないが、ゲーマーの期待に応えるものを提供するつもり
    • ただし旧世代のマシンではUnreal Engine 5の次世代ゲームとして十分なパフォーマンスを発揮できないことはありえる
  • 5. 移植について
    • 現時点ではキーボードでもコントローラーでもゲームはスムーズに動いており、家庭用ゲーム機への移植は問題ないと見ている
    • どのプラットフォームに出すかはまだ決めていないが、開発が進むに連れてアップデートしていく。だがVRゲームではない
    • 世界的なローカライズを検討している。少なくとも主要な言語の字幕対応はしたいと考えている
  • βテストについては聞かないで欲しい。それをやる時には言う

 本作は、警察が記録保全のために身につけるボディカメラ映像視点でプレイするタクティカルFPS。プレイヤーは警察の特殊部隊員として犯罪現場に踏み込み、事件の解決を目指す。上で紹介したFAQでも書かれている通り、PCと家庭用ゲーム機への展開が予定されている。