第二次世界大戦をきっかけにロボット技術などの最先端技術が発展した架空の1955年のソ連を舞台に、主人公であるエージェント“P-3”が特殊任務として潜入捜査に赴く物語が展開されるアクションRPG『Atomic Heart』(Xbox Series X|S、Xbox One、PC版は2023年2月21日発売、プレイステーション5、プレイステーション4版は4月13日発売)。ここでは、本作を開発したMundfishのCEO・ディレクター、Robert Bagratuni(ロベルト・バグラトゥーニ)氏へのインタビューをお届けしよう。
Robert Bagratuni(ロベルト・バグラトゥーニ)
Mundfish CEO
『Atomic Heart』ディレクター
「開発しているDLCは皆さんの期待や想像を超えるもの」
――『Atomic Heart』が、Xbox Series X|SとXbox One、PCに加えて、プレイステーション5、プレイステーション4と、予定されていたすべてのプラットフォームで発売されます。発売を迎えたいまの率直な気持ちを聞かせてください。
ロベルト『Atomic Heart』がついに日本で全プラットフォームで発売されることになり、本当に感激しています! ここまで来るのに長い道のりでしたが、ゲームの出来栄えにはこれ以上ないほど満足しています。私たちのチームにとって素晴らしい成果であり、このゲームを世界中の、とくに日本の、より多くのプレイヤーと共有する機会を得たことにとても感謝しています。本作を日本語吹替版も含めて全プラットフォームで発売できることは、私たちにとって大きな節目となります。
――『Atomic Heart』の全世界の累計プレイヤーが500万人を突破していますが、率直な感想を教えください。また、印象的なフィードバックなどありましたら教えください。
ロベルト『Atomic Heart』がこれほどまでに注目され、多くのプレイヤーにこの世界に没頭してもらえていることをたいへんうれしく思っています。私たちは自分自身がもともと熱狂的なゲーマーでもありますが、こうして世界中の多くのプレイヤーたちに楽しんでいただけている理由は、私たちチーム全員がこのプロジェクトに抱いている愛情と感性のおかげだと考えています。
私たちの主要な目標はゲームを当初の構想通りに作り上げること、そしてプレイヤーを心から楽しませ、感情を共鳴させることでした。ですから、私たちにとってもっとも印象的なフィードバックは、プレイヤーがゲームを楽しみ、感情移入して、いままさに続きを求めていることを確認できたことです。こういったフィードバックを聞くと、とてもうれしく、温かい気持ちになります。
――本作の世界観は、1955年の架空のソ連を舞台に、ロボットやミュータントとの戦いを描くというユニークな設定となっていますが、こちらの世界設定に至った経緯を教えてください。
ロベルトこのゲームのコンセプトを考えるとき、私たちが目指したのは、プレイヤーが興味をそそられるようなテーマを背景とした、個性的なものでした。フィリップ・K・ディック、アイザック・アシモフ、ジョージ・オーウェル、オルダス・ハクスリー、ストルガツキー兄弟といった著名な作家たちが、私たちの思考プロセスに影響を与え、その素晴らしい世界観を通してインスピレーションを与えてくれています。
さまざまな選択肢を検討した結果、私たちの想像力を刺激するのは“未来的なソ連”という舞台だけだという結論に達しました。設定に合意した後は、唯一無二の新しい世界を作るために、さまざまなアイデアを出し合いました。1950年代のソビエト連邦は私たちの心をすぐにとらえ、1950年代の高度な技術進歩を示す特異なデザインのロボット、そして本来は人類の未来のために行われた生物学や科学の実験から生まれたミュータントたちが共存するような、独特の状況を作り出す大きな可能性を持っていることに気づいたのです。
――本作の開発において、もっとも苦労した点をお聞かせください。
ロベルト2017年の設立以来、Mundfishは世界中に広がる優秀なチームによって年々大きく成長しています。その結果、チームは豊富な経験を積み、熟練した経験豊富なプロフェッショナル集団となりました。しかしもちろん、これは開発中にいくつかの困難に遭遇し、それを乗り越えることで達成されたものです。
たとえば、現世代機と旧世代機の両方に同じ高い水準でゲームを最適化することは、とくに難しいチャレンジでした。過去世代のメモリ、GPU、CPUを最適化するため、さまざまな最適化方法を検討する必要がありました。また、ゲームを旧世代機向けに最適化することで、すべてのプラットフォームでパフォーマンスを向上させることもできました。さらに、多くのサブシステムを非同期で動作させ、すべてのCPUコアを活用するために、エンジンの作業ルールを一部変更する必要もありました。
また、世界中に130人以上のスタッフがいる中、もうひとつ大きな困難としては、COVID-19のパンデミックが挙げられます。もちろん世界中のどの組織もこの問題に直面していましたが、さまざまなベストプラクティスから学びつつ、人材の安全を確保し、なんとか開発ペースを維持することが最優先課題でした。リモートワークを導入してからは、社員の安全を確保し、仕事量を適正化し、開発スケジュールを大幅にずらさないように最善を尽くしました。
チームの献身的な努力のおかげで、これらの試練はMundfishをより賢く、よりプロフェッショナルに成長させ、無事に『Atomic Heart』を世に送り出すことができたのです。
――本作をプレイするユーザーに向けて、もっとも注目してほしい点があったら教えてください。
ロベルト私たちはプレイヤーの皆さんに、バランスの取れたゲーム体験を提供したいと考えています。ロボットやミュータントとの激しい死闘から生還して疲れを感じたら、息抜きと頭のストレッチができる“試験場”に遊びに行ってみてください。十分な休息が取れたら、再び険しい道のりを歩み出し、ハラハラするようなストーリーを楽しんでいただけます。また、“簡単すぎる”、“難しすぎる”と感じたら、ぜひとも難易度を調整してみてください。このゲームは、誰にでもより自分らしい楽しみかたができる機会を提供してくれるのです。
――現時点で、追加DLCの実装など、本作の新たな展開の予定が明らかになっているようでしたら、話せる範囲で教えてください。
ロベルト私たちは将来的に壮大な目標を掲げています。今後のDLCについて多くの詳細を開示することはできませんが、ゲーム本編の強化とともに、現在最優先事項となっています。私たちを支えてくれているコミュニティーの皆さん、そして世界中で本作を楽しんでくれている何百万人ものプレイヤーに私たちは心から感謝しています。皆さんのフィードバックはゲーム本編の改良に役立つだけでなく、皆さんを魅了するDLCを制作する上でも非常に重要なものです。また、私たちが開発しているDLCの構成は皆さんの期待や想像を超えるものであり、プレイヤーを驚かせるものであることをお約束しておきます。
――日本ではプレイステーション5版とプレイステーション4版が4月13日に発売されました。本作を楽しみにしている日本のファンに向けて、メッセージをお願いします。
ロベルト私たちの心の中で特別な位置を占めている、愛する日本の観客の皆さんに深い感謝の念を抱いています。『Atomic Heart』とそのキャラクターへの揺るぎないサポートに感謝しています。日本のファンひとりひとりの愛と情熱に感謝したいと思います!
そしてついに4月13日からは、日本語吹き替えが追加され、より一層ゲームに没頭できるようになります。これにより、日本のファンの皆様には、より完全で魅力的な体験を提供できると確信していますし、すでにゲームをプレイされている方にとっても、大好きなキャラクターの声を母国語で聞くことができるのは待ち遠しいことだと思っています。
日本でのプレイステーション5版、プレイステーション4版のリリースが、ファンの皆さんにとって本当に思い出深い、楽しい体験になることを願っています。そして本作をよりよく、より大きくしていくために、継続的なサポートとフィードバックをどうぞよろしくお願いいたします!
※インタビューを実施したのは、プレイステーション版発売前の直前の2023年4月4日。