『龍が如く 維新！ 極』は幕末のifを描いた新たな大河ドラマ。歴史を知るとさらにおもしろい！【治安が悪いのはペリー来航が原因か】

　2023年2月22日（水）に発売されたプレイステーション5、プレイステーション 4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC（Steam）用ソフト『龍が如く 維新！ 極』（以下、『維新！ 極』）。

　幕末を題材にした本作は幕末を題材にしており、『龍が如く』シリーズの人気キャラクターが歴史上の偉人として登場。シリーズおなじみの爽快なアクションも健在で、『龍が如く』好きはもちろん、歴史好きな人、剣戟アクションが好きな人など、幅広い層が夢中になれる作品となっている。

　少しでも『維新！ 極』が気になっている人に向けて、注目してほしいポイントや楽しみ方を紹介しよう。

『龍が如く 維新！ 極』とは

　本作は2014年にPS4とPS3で発売された、『龍が如く』シリーズの歴史スピンオフ『龍が如く 維新！』のフルリメイク作品。主人公の“坂本龍馬”を軸に据え、激動の時代を生きた偉人たちの生き様が織り成す、熱いオリジナルストーリーを描いている。

　『維新！ 極』ではUnreal Engine 4を採用し、これによってグラフィックが向上。キャラクターの肌の質感はよりリアルになっており、鮮明に映える建物の細部や街の風景が印象的だ。

　バトルは刀、短銃、乱舞の4つのスタイルを切り替えて戦うシステムを継承。オリジナル版から各スタイルの挙動や敵の強さを新しく見直し、より爽快で手ごたえのあるバトルへと進化した。もちろん好きなスタイルを極めて戦うこともできるが、敵にあわせたスタイル切り替えの重要度は増し、攻略の幅が大きく広がっている。

　さらに戦闘を奥深くするのが“隊士能力”の存在だ。オリジナル版ではやり込みコンテンツ“バトルダンジョン”専用の要素だったが、本作では通常の戦闘でも使えるようになったのだ。

　その効果は時間の流れを緩やかにしたり、豪快に衝撃波を放てたりさまざま。リメイクに伴い、ナンバリング最新作『龍が如く7 光と闇の行方』の春日一番や石尾田礼二たちがモデルとなった新隊士カードも追加されている。コケ太郎や熊など、ナンバリングシリーズをプレイしているならクスっとさせられる動物たちで編成することも可能とか……。

圧倒的大河ドラマ感！ 『龍が如く』オールスターで描かれる重厚な物語

物語のあらすじ

　主人公の坂本龍馬は、1年に渡る江戸での剣術修行を終え、久しぶりに故郷である土佐に帰ってきた。そこで土佐の苛烈な階級社会に苦しめられる母娘の姿を目にする。

　母娘への理不尽な扱いに憤り、助けに入る龍馬だが、重罪人として投獄されてしまう事になる。そこへ現れたのが土佐藩の最重要人物であり、育ての親でもある吉田東洋だった。

　その後龍馬は、東洋の元で共に育った兄弟分の武市半平太と再会し、世を変えるべく打ち合わせをするため、東洋に会いに高知城へと向かう。しかし会合の最中、謎の覆面の男が突然現れ、東洋は殺害されてしまう。

　東洋暗殺の濡れ衣を着せられたまま、恩師の仇を追い土佐を去る龍馬。恩師の仇を討つべく、覆面の男が“天念理心流”の使い手であるということを手がかりに、“斎藤一”という偽りの名で、最強の人斬り集団“新選組”に潜入していく。

『龍が如く』好きに刺さるエモいキャスティング

　本作では坂本龍馬をはじめ、歴史上の偉人が多数登場する。そんな彼らにキャスティングされているのが『龍が如く』シリーズに登場する人気キャラクターたち。もちろん龍馬に扮するのは桐生一馬だ。

　そのほかにも、真島吾朗や冴島大河、秋山駿といったシリーズの主人公格、悪敵であった郷田龍司、峯義孝といったキャラクターたちが、新選組の面々や世に影響を与えた偉人たちに配役されている。

　実際にプレイしてみると、『龍が如く』好きならキャスティングのこだわりに気付くだろう。とくに、“沖田総司”に真島吾朗、“永倉新八”に冴島大河を起用している点には胸を熱くさせられた。

　というのも、真島と冴島はナンバリングシリーズだとかなりの武闘派キャラクターであり、新選組の中でも剣豪で知られたふたりの役どころとマッチしているからだ。さらに物語を読み進めれば、東城会のために奮闘した真島と冴島、新選組を引っ張った沖田と永倉のそれぞれの関係性もどこかリンクしている感じがしてたまらなくエモい。

　また、ナンバリングシリーズでは交わらなかったキャラクターどうしの絡みが見れるのも、シリーズファンには見逃せないポイントである。

　個人的には土方歳三役の峯義孝が好きなのだが、ナンバリングシリーズでは『龍が如く3』にしか登場しない。「そんな峯がほかシリーズの登場キャラクターと会話してる！」と筆者が目を輝かせたように、シリーズファンなら間違いなく興奮する絡みが楽しめるはずだ。

　もうひとつの注目ポイントはキャスティングの刷新だ。近藤勇に足立宏一、山崎烝にハン・ジュンギ、さらには『龍が如く0 誓いの場所』の三幹部が新選組メンバーなどに配役されていたりと、「ほほ～、そう来ますか～」と感心することしきり。

　当たり前ではあるが、配役が変わるだけで同じシーンでも印象はガラリと変わる。これはオリジナル版と比較して楽しんでほしいところ。

　もちろん、物語を彩る迫力満点の映像の作り込みは、ナンバリング作品と同様に本作もすごい。『龍が如く』シリーズがハードボイルドな極道ドラマとするなら、『維新！極』は小川のように流れるいくつもの人生が徐々に集まり、やがて大きな奔流となる大河ドラマ。しかも、幕末のifを描いた、新たな大河ドラマなのである。

史実を知ってると10倍おもしろいかも！？

　「坂本龍馬が斎藤一の名で新選組に潜入」と聞くと、オリジナル要素が強いように感じると思う。だが、独自路線を突っ走りすぎているわけではない。ストーリー中では池田屋事件や大政奉還など、教科書で見たことのある出来事や、新選組などを知っていると「おやっ？」とさせられる史実が取り入れられている。

　たとえば、物語で重要になってくる剣術“天念理心流”。モチーフは近藤勇を師匠に新選組隊士たちが研鑽を積んだ“天然理心流”だ。“天然理心流”自体は剣術、柔術、棍術、合気術からなる総合武術。作中で独特な型を構えるキャラクターを見ると、作り込みの細かさに驚かされる。

　街ではチンピラが肩で風を切って歩いており、カジュアルに戦いを吹っ掛けてくる。『龍が如く』シリーズではおなじみの仕様で、本作でもならず者たちが龍馬に襲いかかってくる。ふだんプレイして「どんだけ治安が悪いんだよ！」と思わずツッコみたくなるところだが、『維新！ 極』では仕方ないと思ってしまう理由がじつはあった。

　当時は、ペリー来日による開国をきっかけに幕府が外国との貿易に関する条約を結んだのだが、その政策に反対する人々がおり、生活が困窮する民衆の不満も相まって治安がかなり悪化していた。ちなみに有名な桜田門外の変も反対派が起こした事件のひとつである。

　歴史を踏まえると、『維新！極』の京もならず者が大勢いるのはごく当たり前のこと。だからこそ、京の街の治安を守る新選組の隊士となって、治安を維持するのは至極真っ当なことであり、どこか雑魚バトルもやりがいを感じないだろうか。

　もちろん、筆者の考えたただのこじつけ的なところではあるが、史実を少しでも知っていれば、こういった楽しみ方ができるということだ。

　逆に、歴史には詳しいけど『龍が如く』に初めて触れる人は、「龍馬とおりょうは結ばれるけど、『維新！極』ではどんな関係なのだろうか？」といった想像を巡らせながら、史実とは違った展開や結末に心躍らせてほしい。

開発スタッフのおすすめポイント

　日本史で有名な坂本龍馬、新選組をベースに描かれるシリーズ屈指のストーリーは、『龍が如く』シリーズファンのみな様はもちろん、これまで『龍が如く』シリーズを一切プレイしたことがない方もお楽しみいただける内容となっております。

　好評だったオリジナル版から進化したグラフィック、ボリューム満点の街歩き要素やミニゲームはもちろん、4つのバトルスタイルの成長要素、自由度が増した武具強化、隊士カードによる新戦術により高い拡張性が組み合わさったバトルは、やりこみ甲斐バツグンです！

　街歩きで武具の素材を集めたり、田舎にあるのどかな龍馬の別宅での農業や行商のアナザーライフでお金を稼いで隊士を集めたり、強敵ひしめくバトルダンジョンの攻略をくりかえすことでプレイヤーを鍛え、本編に登場する様々な強大な敵をも倒すことができるようになるはずです。自分好みの戦い方を見つけて、ぜひ“自分だけの幕末最強”を目指してみてください！