THQ Nordicより、『スポンジ・ボブ:ザ コズミック シェイク』のNintendo Switch、プレイステーション4向けパッケージ・ダウンロード版が2023年2月28日に発売される(Xbox One版は1月31日、PC版は2月1日に配信)。
本作は、2003年に発売されたゲームのリメイク版である『スポンジ・ボブ:Battle for Bikini Bottom - Rehydrated』を手掛けたデベロッパーPurple Lampが開発を担当する完全新作。ジャンルは前作と同じく3Dアクション・アドベンチャーだ。『スポンジ・ボブ:Battle for Bikini Bottom - Rehydrated』の操作性やゲームシステムに、さらに新要素を加えて遊びやすくなっている。
本記事では、そんな『スポンジ・ボブ:ザ コズミック シェイク』のプレイレビューをお届けしよう。
『スポンジ・ボブ:ザ コズミック シェイク』(Switch)の購入はこちら (Amazon.co.jp) 『スポンジ・ボブ:ザ コズミック シェイク』(PS4)の購入はこちら (Amazon.co.jp)悪気なくビキニタウンを壊滅させるスポンジ・ボブの大冒険
日本でも放送されていた『スポンジ・ボブ』は、海底都市ビキニタウンを舞台に、海に住む生物や、そこに似つかわしくないキャラたちが巻き起こす出来事を描いていくギャグアニメだ。キャラクターグッズやコラボ商品などで、スポンジ・ボブのビジュアルを見たことがある人も多いはず。
常人には理解できないぶっ飛んだ発想をする、尖りまくった性格のキャラクターたちの会話劇を見ているだけでおもしろい奇妙な世界観は、本作でもしっかり表現されている。
毎度スポンジ・ボブと親友のパトリックがお騒がせな事件を起こすのが『スポンジ・ボブ』ではお決まりだが、今回はマダム・カサンドラという人物に夢を現実にする石鹸をもらうことでストーリーが始まっていく。登場時から怪しさ全開だが、人を疑うことを知らないスポンジ・ボブは当然のようにこのアイテムを使いまくってしまい、案の定大事件が勃発してしまうのだ。
魔法の石鹸の多用により時空に穴が開き、“ゼリーバース”にビキニタウンが住民ごと巻き込まれて序盤から壊滅状態に。昨今さまざまな作品で登場するマルチバース風の設定で、ウエスタンや紀元前、パイレーツな世界にスポンジ・ボブの友人たちは飲まれてしまう。
後に残ったのは建物や地形がボロボロになったビキニタウンと、数少ない住民たち。一見すると絶望的すぎる状況だ。
一般的なゲームの主人公ならここで一度自責の念に駆られて落ち込みそうなものだが、本作の主人公はスポンジ・ボブなので、こんな状況でも笑顔は絶やさない。持ち前のポジティブ思考で風船になったパトリックの姿にはしゃぎつつ、ゼリーバースに飲まれてしまった友人たちを救うために数多の世界で大冒険をくり広げることをふわっと決意。マダム・カサンドラの力を借り、それぞれの世界を冒険するのにふさわしいコスチュームに着替えて旅に出ることになる。
冒険の途中に立ちはだかる敵役としては、ゼリーの怪物たちが登場。紫色のゼリーがユニークな外見で襲い掛かってくるのだが、何とも奇妙でどこか憎めない雰囲気を醸し出している。
そんなストーリーの見どころは、ウエスタンやハロウィン、パイレーツとさまざまなゼリーバースのビジュアルと世界観だ。どのステージもポップな見た目と独自の世界観を展開しており、先に進むのが楽しみになる。
最初に訪れるウエスタンの世界では馬の鳴き声をするタツノオトシゴに乗って列車を追いかけたりと、それぞれの世界の特徴を活かしたアクションを堪能できるのもポイントだ。
マルチバース風の設定にふさわしい展開として、各世界では同じ外見をした別人物たちが味方、あるいは敵として登場するのも見どころだ。どう見てもサンディな保安官や、性格も見た目もイカルドそっくりな映画監督、カーニとうりふたつの欲深い海賊と、個性的なキャラたちがストーリーを盛り上げてくれる。
時にはスポンジ・ボブが奇妙な姿に変えられたりと、訪れる世界それぞれで出会いや異なる体験が待ち受けているので、退屈する暇がまったくない。『スポンジ・ボブ』をよく知っている人ならニヤリとする場面も多いため、ファンならとくに楽しめるだろう。
空中でのアクションが爽快感を与えてくれるテンポのいいバトル
アクションや3Dアドベンチャーとしてのクオリティは、『スポンジ・ボブ:Battle for Bikini Bottom - Rehydrated』から正統進化している印象を受けた。基本的な操作は同じだが多彩なアクションが追加され、面倒な操作や切り換えが要求されないためストレスフリーでプレイできる。
遊びかたは3Dアドベンチャーでは定番のもので、ステージ内のギミックを解きつつ先に進んだり、道中現れる敵を倒すのが基本的な流れ。回避やジャンプ、スピンアタック(攻撃)を駆使してさまざまな敵と戦っていくことになる。
スポンジ・ボブのもっとも基本的な攻撃は、ぐるっと一回りしながらスティックを振り回すスピンアタック。移動やジャンプをしながらでも使用でき、弱い敵なら走りながら振り回すだけで大抵は一掃できる。この動作は前作とほぼ変わらない、安定したアクションだ。
遠距離攻撃として、シャボン玉を打つアクションも最初から使用可能。こちらはダメージは与えられないが、弱い敵をシャボン玉の中に封じ込めて一時的に動きを止めてくれる。ふだんは遠くにあるスイッチを押すギミック解除で使うことが多いが、大量の敵が出現する場面では数を減らすのに重宝した。
また、個人的にうれしかったのは最初から空中でグライド(滑空)のアクションが使えたこと。本作では小さな足場を飛んで移動する場面も多々あるが、グライドのおかげで微調整が簡単で足場から落ちる心配がほぼない。ブロックを踏み外して落ちて最初からやり直し、というのはありがちだがくり返し失敗するとテンポが悪くなるため、グライドを使って安定して進めるのがありがたかった。
そしてこれらのアクションに加え、進行に応じて新たなスキルも追加されていく。このアクションの追加ペースが早く、つぎつぎと新しい操作が試せるテンポのよさが素晴らしい。ひとつの操作になれたタイミングで新しいことを試せるので、飽きることなく長時間プレイすることができた。
これらのアクションの中でとくにおもしろいのが、早い段階で習得できる空手キック。空手キックは敵や一部のオブジェクトに使用できるアクションで、狙った相手に向かって一直線に飛んでいきキックをお見舞いする攻撃アクションだ。ステージによっては、足場のない場所で空手キックを連続使用して進むようなギミックが登場することもある。
空手キックを習得すると、バトルもスピーディーに進むようになり、爽快感が増していく。ある程度遠くの敵でも空手キックが狙えて、ふつうに走るよりもハイスピードで突撃してくれるのでテンポが圧倒的に良くなるのだ。慣れてくると、戦闘中は地上にいるより空中にいる時間のほうが長くなるほど空手キックは使い勝手がいい。
弱い敵をつぎつぎと蹴って一方的に倒したり、高所にいる敵も一直線に狙えるので非常に快適だ。離れた位置にいる敵のところまで走って向かい、一発殴って倒すという消化試合を回避できるこのアクションが、バトルのクオリティーを飛躍的に上げている。
また、基本のアクションだけでなく乗り物を使ってのチェイスシーンや、ビキニタウンでのハンバーガー作りなどストーリー中にはさまざまなミニゲームも用意されていた。新しい世界に行くたびにミニゲームやアクションで出迎えてくれるため、ずっと新鮮な気持ちで楽しめるのも好印象だ。
アドベンチャーとしてのバランスも理想的だ。本作はストーリーだけを追いかけるなら、そこまで時間をかけずに1ステージを攻略できる。ただ、ステージ内にはストーリーでは立ち寄らない場所や隠し要素がたくさん盛り込まれており、やり込みたい人はじっくり遊べるボリューム。ストーリーだけやりたい人はサクッと終わり、やり込みプレイヤー向けの要素も充実しているといった感じだ。
新たなアクションを習得することで初めて進める場所もあるため、ある程度ストーリーを進めて最初からステージを見て回れば新たな発見もあるだろう。
やり込み要素としてはダブロンなどのアイテム集めや、サイドクエストがメイン。一度クリアーしたステージももう一度探索すると、意外なところにアイテムが落ちている。とくに集めるのが難しいダブロン(金のコイン)は、所持枚数によって新たなコスチュームもアンロックできる仕組み。コスチューム自体に能力があるわけではないが、スポンジ・ボブの見た目を好きなように決められるので、ファンにはうれしい要素だ。
ストーリーや世界観は『スポンジ・ボブ』らしいものが存分に堪能でき、3Dアドベンチャーとしてもハイクオリティーな『スポンジ・ボブ:ザ コズミック シェイク』。アクションを習得するペースの早さ、バトルや操作の快適さなど全体的なバランスが絶妙で、最後までマンネリや退屈とは無縁で楽しむことができた。3Dアクション・アドベンチャーとして質の高いゲームになっているので、原作ファンはもちろん、同ジャンルが好きな人も注目してほしい一作だ。
『スポンジ・ボブ:ザ コズミック シェイク』
- プラットフォーム:Nintendo Switch、プレイステーション4、Xbox One、PC
- 発売日:
- Nintendo Switch、プレイステーション4/2023年2月28日発売
- Xbox One/2023年1月31日配信
- PC/2023年2月1日配信
- 発売元:THQ Nordic
- 開発元:Purple Lamp
- 価格:
- Nintendo Switch、プレイステーション4、PC/5170円[税込]
- Xbox One/5150円[税込]
- ジャンル:アクション
- CERO:全年齢対象