Blizzard Entertainmentより、2023年発売予定のアクションRPG『ディアブロ IV』。本作では、広大なオープンワールドを冒険して、止めどなく襲いかかる魔物どもを倒し、悪夢のようなダンジョンを攻略していくことになる。対応プラットフォームは、プレイステーション5/4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC。

 本作に関して、今回メディア向けにグループインタビューが実施。アソシエイト・ゲームディレクターのJoseph Piepiora氏とリード・ゲームデザイナーのZaven Haroutunian氏に話を聞くことができたので、その内容をお届けする。オープンワールドでのマルチプレイの仕様や、クラスごとのスキル/ビルドの詳細も明らかとなったので、ぜひチェックしてほしい。

Joseph Piepiora

『ディアブロ4』アソシエイト・ゲームディレクター。

Zaven Haroutunian

『ディアブロ4』リード・ゲームデザイナー。

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前作から長い歳月を経て誕生した『ディアブロ4』。新規ユーザーでも入りやすいように設計

――『ディアブロ3』から長い年月を経て『ディアブロ4』となります。開発する上でこれまでの伝統を踏襲するのか、まったく新しいものを中心に開発したのかを教えてください。

Josephディアブロ』シリーズを開発するには、過去作のことも考えないといけませんし、本作はオープンワールドという大きな軸となる要素があります。そこで過去作でプレイヤーからいただいたフィードバックを新しいオープンワールドに当てはめた場合、どのように変化していくのかをおもに考えました。

 『ディアブロ2』はカスタム性やスキルについてのフィードバックが多く、プレイヤー自身で遊びやすいキャラクターを作っていくことが好まれていました。『ディアブロ3』ではアクション性やモンスターを倒す手応え、爽快感の反響がよかったです。そこで『ディアブロ4』では、このふたつを合わせてオープンワールドにうまく落とし込むようにすることを考えました。

Zaven本作はシェアワールドで、ほかのプレイヤーも入ってくる世界となっています。このシェアワールドにオープンワールドなどの要素を加えたときにどのように見えてくるべきなのかが、いちばんのコンセプトになります。

――UIや操作回りの開発は、どのような点を意識されたのでしょうか。

ZavenUIはチームがいい仕事をしてくれたと思っています。本来、『ディアブロ』シリーズはキーボードとマウスを使ったプレイでしたが、今回は最初からキーボードとマウスのほか、パッドでもプレイできるようにスタートしました。そして、どちらでプレイしても違いを感じられないように設計しています。

 また、説明の部分をかなり大事にしました。カーソルを合わせることで説明文が出てきたり、その説明をわかりやすくするなど、新規プレイヤーでも理解しやすいように作っています。

――新規プレイヤーを取り込むための施策などはありますでしょうか?

Josephおもに2点あります。ひとつめは、『ディアブロ3』で評価が高かったアクションと戦闘部分をもっと磨いて、新規プレイヤーでもすぐに楽しいと感じるように設計しました。また、敵キャラがどのように攻撃してくるかなどもわかりやすくしています。このようなゲームをプレイしたことがない人でもすぐに理解できるようにしていますし、世界観や環境をわかりやすくしてとっつきやすくもしています。

 ふたつめは、プレイヤーがどのようにストーリーを展開していくかにも注力しました。おもに没入感になりますね。いかにプレイヤーがこの世界に入って、人々と接するのかなどをプレイヤーに感じさせるように設計しています。新規プレイヤーは、その世界にいるんだなと感じられるはずです。

――敵としてフィーチャーしているリリスはどのように抜擢されたのでしょうか。

Zaven本作でいちばんフォーカスを当てたかったのは“サンクチュアリ”という世界でした。このサンクチュアリにスポットを当てて、いかに見せていくかというときに、この世界を作ったリリスとイナリウスをピックアップすることにしました。

 絶妙な世界のサンクチュアリに住んでいる人々がどういった人生を歩んでいるかも、このオープンワールドで描きたかったというのもあります。

――『ディアブロイモータル』のように、コントローラーの右スティックでスキルのエイムをする操作はないのでしょうか?

Joseph現状、右スティックでエイムをすることは入れていません。理由は、ただでさえ右手でボタンを押すことが多いため、そこにスティック操作を加えると大変だと考え、避けました。

 ただ、左スティックを押し込むことでモンスターをターゲットできる操作設定を入れています。

『ディアブロIV』ディレクター&リードデザイナーへインタビュー。『D2』と『D3』のいいところをオープンワールドに落とし込んだ作品に

ゲームプレイについて深掘り。オープンワールドでのマルチ仕様やクラスのビルドなどに迫る

――『ディアブロ4』ではかなり細かくプレイスタイルや、ビルドを自由にプレイヤーが作れる状態になっていると思いますが、現状のシステムで十分にプレイヤーが思う“ファンタジーの自由度”を感じられる作りになっていると思いますか?

Josephプレイヤーがクラスごとに特色を持たせるというのは、現時点の『ディアブロ4』でできていると思います。“ファンタジーの自由度”を楽しませるというのはもちろんですが、それにフォーカスしてしまうと新規プレイヤ―に受け入れてもらえない可能性があります。そのためクラスごとの“ファンタジーの自由度”は、ストーリーを展開していく上で徐々に広げていくという仕組みにしました。

 過去作からプレイしているコアなプレイヤーが求めるようなクラスビルドの深さなどはありつつも、最初からガッツリ入っているわけではなく、プレイしていくことでその特色がでてくるように設計しています。

――オープンワールドでの敵レベルのスケーリングについて教えてください。ベースレベルと上限レベルがあり、そのあいだは基本的にはプレイヤーに合わせてスケールする形なのでしょうか?

Joseph本作ではほかのプレイヤーも同じワールドに入ってくることができますが、プレイにあわせてレベルを変えるというのは大きな問題になっていました。

 たとえば、レベル5のプレイヤーが狩りをしているとき、そこにレベル45のプレイヤーが通ってしまうと、レベル45のプレイヤーにモンスターのレベルもひっぱられたり、逆にモンスターたちがレベル5に合わせられると、レベル45のプレイヤーのパッシブなどで簡単に倒されてしまうことが考えられました。こうなると両プレイヤーがまったく楽しめない状況になってしまいます。

 そのため、プレイヤー個々に合わせてそのエリアのモンスターのレベルが変化します。レベル5のプレイヤーがいればモンスターはレベル5になり、レベル45のプレイヤー視点だと同じモンスターでもレベルは45で強さもそれ相応になります。そのため、与えるダメージなどはパーセンテージで縛られ、見た目は同じように見えます。データ内部での数値では、けた違いの数値で計算されています。

 もうひとつストロングホールドというエリアでは、挑戦する事前にエリアのレベルを決めることができるので、いっしょにプレイする人とあわせて選択できるシステムを想定しています。

――ダンジョンでかなり強力なブッチャーが出てきました。あれはデモ版のイースターエッグなのでしょうか。それとも製品版でも登場するのでしょうか?

Zavenシリーズを通して登場しているブッチャーで、『ディアブロ4』でも登場します。『ディアブロ3』では、稀に出現するトレジャーゴブリンがいましたが、それに近いものです。トレジャーゴブリンは本作でも登場し、プレイヤーから逃げていきますが、ブッチャーはプレイヤーを殺しにきます。

 ブッチャーはどのレベルのダンジョンでもランダムで出現するモンスターで、ブッチャーを倒すか、プレイヤーがやられるかしか消える方法はありません。反撃してくるトレジャーゴブリンのようなモンスターを入れてみたらおもしろいと考え、実装しました。

『ディアブロIV』ディレクター&リードデザイナーへインタビュー。『D2』と『D3』のいいところをオープンワールドに落とし込んだ作品に

――バーバリアンはWeapon Expertise、ローグはSpecialization、ソーサラーはEnchantmentなど、クラスごとに固有強化がありました。ドルイドにも異なる固有強化は用意されているのでしょうか?

Josephはい。ドルイドにもほかのクラスと同様、特別なユニーククラスメカニックスがあります。

――ファイアボールのEnchantmentについて、レベル20時点でファイアーボールをEnchantmentしたところ、Enchantmentのエフェクトも出ましたが、アクションスキルとしても使えました。Enchantment自体はスロットを犠牲にするということだったと思いますが、これはバグでしょうか?

Josephいいえ、これはバグではなく仕様になっています。具体的には変更点です。スロットの犠牲を払わせることがゲームプレイの楽しさを下げると感じたため、Enchantmentとアクションスキルとして双方で使えるようにしました。

――報酬について、プレイする内容によって変化するルートテーブルなどは存在しますか?

Josephある特定のアイテムは、このモンスターたちからよく出てくるといったモンスターテーブルのようなものが存在します。たとえば、ゾンビ系モンスターからは宝石がよく出てくるなどです。なので、特定のアイテムが出ることを理解していれば、このモンスターはこの場所に多く生息しているので、特定のアイテムをほしいときの参考になると思います。

 そのアイテムを手に入れたい場合は、その地域に行って、対象のモンスターを倒していれば入手できる確率が上がる仕様もあります。その上で本来のルートテーブルも存在しています。さらにハーブやモンスターの部位などの合成アイテムも存在するので、その場所を覚えると効率も上がると思います。

――『ディアブロ2』ではピンドルランが採用されていましたが、『ディアブロ4』はどのようになるのでしょうか。

Joseph私も『ディアブロ2』でピンドルランはおもしろいと思っていましたが、『ディアブロ4』ではあまり取り入れないように考えました。オープンワールドになるので、倒すべきモンスターは無数にいたほうがいいと思っていました。特定のアイテムを手に入れるために、同じモンスターを倒し続けていくようには設計していません。もちろん、同じ敵を倒し続ける要素はところどころにはあります。

『ディアブロIV』ディレクター&リードデザイナーへインタビュー。『D2』と『D3』のいいところをオープンワールドに落とし込んだ作品に

――『ディアブロイモータル』のヘル以降だと、複数人プレイとなり、ほかプレイヤーを待つことがありました。本作でも複数人プレイ推奨のコンテンツはありますか?

Zaven基本的にストーリーにフォーカスを当てているので、あらゆるコンテンツはソロでプレイできます。ワールドボスなどは複数人でプレイしていくことになります。

――『ディアブロ2』では特定の狩場、『ディアブロ3』ではリフトをまわるようなエンドコンテンツがありました。本作のエンドコンテンツはどのようなものになるのでしょうか?

Zaven本作では3つのエンドコンテンツがあります。ひとつは“死者の囁き”で、ある程度ゲームを進めていくと解放され、各地にあるクエストをこなしていくことでレジェンダリー装備などが入手できるといったものです。

 ふたつめは“ナイトメア・ダンジョン”で、紋章(Sigil)を集めることで挑戦できるようになり、アクセサリーをアップグレードできるようになります。最後は“ヘルタイド”で全世界の難度が上がるコンテンツで、いいアイテムを入手できるようになるかわりにリスクも大きくなります。

『ディアブロ4』エンドゲームの詳細はこちら

――運営型でサービスを続けるとのことですが、新マップやエンディング後のストーリーの追加は考えていますか? 過去作のキャラクターが登場するイベントなどの予定もあれば言える範囲で教えてください。

Josephシーズンの更新は年に3、4回予定しています。毎シーズンで新しいキャラクターや過去作に登場したキャラクターの再登場など、盛りだくさんのコンテンツを用意しようと考えています。サンクチュアリの人々にフォーカスを当てて、物語を展開したいです。

 『ディアブロ』シリーズをいままで作ってきて、シーズンというのは開発も重要な要素だと思っていて、今後も続けていきたい要素です。詳細は近いうちにお話しできる機会があると思います。

『ディアブロIV』ディレクター&リードデザイナーへインタビュー。『D2』と『D3』のいいところをオープンワールドに落とし込んだ作品に