2022年10月6日、サービス開始から1周年を迎えたスマートフォン用アプリ『アイドルマスター SideM GROWING STARS』( 以下、『サイスタ』)。本作は、バンダイナムコエンターテインメントが手掛ける、『アイドルマスター SideM』(以下、『SideM』)の新作アイドルプロデュース&リズムゲームだ。

 新ユニット“C.FIRST(クラスファースト)”が仲間入りした新生315プロダクションで、新たな物語が楽しめるほか、『SideM』の楽曲でリズムゲームや定期的に開催されるイベントを堪能できる。

 今回は1周年を記念して、『アイドルマスター』(以下、『アイマス』)シリーズのゲームを統括する三本昌史氏と、本作のプロデューサーを務めた石澤雪枝氏にインタビューを実施。1年の振り返りや3Dライブでこだわったポイント、2年目に挑戦したいことなどを聞いた。

※本インタビューは、9月中旬に実施しました。
※本インタビューは、2022年10月6日発売の週刊ファミ通(2022年10月20日号 No.1766)に掲載した記事に加筆、修正を行ったものです。

三本 昌史(みもと まさし)

『アイドルマスター』シリーズ ゲーム統括。
『アイマス』シリーズのゲーム統括を担当。本作ではその立場から、石澤プロデューサーを全面的にサポート。作品のコンセプト作りや制作、宣伝、コラボ、一部広報まで、多岐にわたって支援している。(文中は三本)

石澤 雪枝(いしざわ ゆきえ)

『アイドルマスター SideM GROWING STARS』プロデューサー。
『サイスタ』のプロデューサーに抜擢。プロデューサーとして、作品の立ち上げにいちから携わるのは今回が初めてのことながらも1周年を迎えた。プロデューサーとして関係各所との調整などを行っている。 (文中は石澤)

試作版はあのユニットが躍動!? 3Dライブの開発秘話を公開!

――『サイスタ』1周年おめでとうございます! 率直なお気持ちから教えてください。

三本元気に1歳の誕生日を迎えることがひとつの目標だったので、ものすごくホッとしているというのが正直な感想になります。

石澤最近は1周年に向けて、自分でも『サイスタ』の歩みを振り返る機会が非常に多くて。私としては、けっこういろいろなものを提供してきたようなつもりでしたが、改めて振り返ってみると思っていたよりも少ないなと驚きました。

――この1年でとくに印象に残っている出来事は?

三本『サイスタ』をリリースしたときに始まったお仕事コラボの取り組みが強く印象に残っています。50社以上の企業さまや団体さまとコラボできまして、私も現地に足を運んだり、SNSで反応をチェックしたりしたのですが、プロデューサーはもちろん、コラボ先のみなさまにも喜んでいただけたと認識しております。私たちにとっても、『SideM』のアイドルたちの活躍の幅が大きく広がったので、みんなにとってハッピーな取り組みができたと手応えを感じています。

石澤うれしい出来事として印象に残っているのは、3Dライブを公開したときのプロデューサーさんたちの反響です。新たな3Dライブを公開するたびにどんな反応が得られるのか楽しみなのですが、いまのところ非常に好評で。お問い合わせにもステキな応援メッセージが届いていて励みになっています。

――『サイスタ』の3Dライブは圧巻のクオリティーですよね。スマホでここまで表現できるのかと、驚いたのを覚えています。

三本ありがとうございます。『サイスタ』の3Dライブは、アイドルの新しい表現にこだわりたくてがんばりました(笑)。せっかくの機会なので裏話を披露すると、3DライブのMV(ミュージックビデオ)はとある3DCGアニメーション制作を得意とするパートナーさんにお願いしています。たまたま先方が「男性アイドルのMVを作ってみたい!」と熱望されている時期にお会いでき、お互いにニーズが合致しまして、まずは神速一魂の『バーニン・クールで輝いて』で3Dライブの試作を作ってみることになりました。3DライブはVコン(※ビデオコンテの略称。映像作品を作るときの設計図のようなもの)から絵作りが始まるのですが、徐々に命が吹き込まれていってアイドルになっていく過程を見るのが楽しくて、スクショを撮影しては石澤に見せていました(笑)。

石澤私にもデータが送られてきていたので、同じタイミングでチェックしていたんですけどね(苦笑)。三本さんって、神速一魂の担当プロデューサーだったっけと思うくらい、朱雀と玄武のスクショを撮影していました。

――それぐらい興奮していたと(笑)。

三本はい(笑)。ものすごく魅力的な3Dライブの映像ができたので、このクオリティーだったらプロデューサーの皆さんもきっと喜んでくれるに違いないという確信を得て、3Dライブを実装することを決めました。

――3Dライブを制作するうえで、とくに意識しているところや苦労しているところは?

石澤意識しているところは、最初のころと最近では変化しています。最初の数本は、振り付けがしっかり見えることを意識していたのですが、成果物が上がってくるにつれて、映像制作チームの皆さんがアイドルの表情を捉えるのが非常にうまいことに気づいて。それからは振り付けではなくアイドルの表情を意識して見せるようにしています。私自身、さまざまなアイドルの新しい表情に驚くことが多かったので、プロデューサーの皆さんもアイドルたちの新たな魅力や一面を感じていただけているのではないかと思います。

――苦労しているところはありますか?

石澤細かいところを挙げるときりがないのですが、わかりやすいところでお話しすると衣装と振り付けの兼ね合いですね。男性アイドルなので、ダンスの振り付けがけっこう激しいのですが、帽子や裾の長い衣装に干渉してしまうことが多くて……。違和感がないように1カット1カットすべてチェックして、かなり手間暇をかけて制作しています。

『We’re the one』から『はるかぜバトン』までこだわりや思い出を深掘り!

――3Dライブは2021年11月に初めて実装されました。実装後のプロデューサーさんたちの反応はいかがでしたか?

石澤最初の『We’re the one』は“アイドルマスター SideM 特別生配信 2021”で公開させていただきました。プロデューサーの皆さんの反応を見て、手応えを感じたのを覚えています。また、新たに実装する3Dライブは、プロデューサーミーティングやライブでお披露目することが多いのですが、皆さんの感動の雰囲気が感じられてうれしいです。

 以前のように、歓声を出すのは控えていただいていますが、3Dライブを発表した時に、思わず声が出てしまった感じと言いますか、驚いたり、感動したりしているリアクションが伝わってきて、私は会場の隅でニヤニヤしています(笑)。3Dライブは本当にスペシャルな動画なので、なかなか制作できないのですが、プロデューサーの皆さんに喜んでもらえるとうれしいですね。

三本アイドルたちが歌って踊る姿を映し出した3Dライブは、プロデューサーの皆さんもきっと求められるだろうからやったほうがいいよね。僕らとしてもやりたいよねという話は、以前から石澤たちとしていました。

 とはいえ、まずは『サイスタ』を遊んでもらい、世界観やアイドルたちのことを知ってもらって、そこから3Dライブを見てもらう順番のほうがいいと考えましたし、前作のライブのステージと違う魅力をどのように出していくのかという課題もあって。それで3Dライブはサービス開始後に実装することにしたのですが、スタッフのみんなががんばってくれて、非常にいいものができたので、早くプロデューサーさんたちに見せたいなっていう気持ちでいっぱいでした。皆さんの反応もよかったので、印象に残っています。

――せっかくの機会なので、現時点(※インタビューは2022年9月中旬に実施)で実装されている3Dライブに関して、こだわったポイントや制作時の思い出を教えてください。C.FIRSTの『We’re the one』からお願いします。

石澤3Dライブに関して、以前別の場所でお伝えしたことがあるので、今回はちょっとマニアックな内容に寄せて回答しますね。『We’re the one』は花園百々人がウインクするカットがありますが、あれは私の強いこだわりで入れてもらいました(笑)。早い段階でVコンが上がってくるんですが、このカットでは絶対に百々人にウインクをさせてくださいと強くお願いしました。

『サイスタ』開発者インタビュー。『アイマス』シリーズのゲームを統括する三本昌史氏とプロデューサーの石澤雪枝氏が明かす、3Dライブの開発秘話や2年目に挑戦したいことを公開!

石澤ウインクをさせるのは簡単だと思うかもしれませんが、じつは難度が高くて。というのも、C.FIRSTは『サイスタ』から新しく315プロに加入したユニットなので、ウインクしたときに彼らがどういう顔になるのか、資料がなかったんです。

 アイドルによっては、“ウインクできません”、“しようとすると両目をつぶっちゃいます”、“基本的には左目でします”といったように、ウインクひとつにもそれぞれ個性があるのですが、C.FIRSTのメンバーにはそういった情報がありませんでした。そこでアートディレクターに無理を言って、忙しい中で「資料を作ってください」とお願いして、ウインクを実現してもらった経緯があります。

ゲーム【サイスタ】「アイドルマスター SideM GROWING STARS」3Dライブ C.FIRST「We’re the one」

――百々人のウインクにそんな秘密があったとは(笑)。では、FRAMEの『Plus 1 Good Day!』のポイントは?

石澤『Plus 1 Good Day!』は、アイドルたちの目線に関して、映像の制作チームが何度かやりとりをしたのが印象に残っています。3Dライブは、ライブ中の映像というコンセプトで作っているMVなので、アイドルたちは基本的に真正面で客席を見ているんですね。

 ただ、『Plus 1 Good Day!』に関しては、よく見ると明らかに視線がカメラを追いかけているカットがあるんです。視界に動くものが入っちゃうと、ついそちらに目を向けてしまうじゃないですか。そんな自然な姿をシーンに取り入れることで、リアリティのあるライブシーンに仕上がったのではないかと手応えを感じています。以降の3Dライブではカメラパフォーマンスを積極的に取り込んでいるので、FRAMEの3Dライブはさりげないリアリティがより光る一本になったのではないかと思います。

ゲーム【サイスタ】「アイドルマスター SideM GROWING STARS」3Dライブ FRAME「Plus 1 Good Day!」【アイドルマスター】

――アイドルたちの目線もしっかり考えて作り込んでいるのですね。続いて実装されたのはCafe Paradeの『Pave Etoiles』でした。(※)

※「Cafe」の「e」、「Pave」の「e」、「Etoiles」の「E」はアキュート・アクセント(以下、同じ)

石澤『Pave Etoiles』は、『Plus 1 Good Day!』を公開してから、けっこう期間があいての実装となったので、プロデューサーの皆さんからすると十分な制作期間があったのではないかと思われたかもしれません。ですが、じつは逆に制作期間があまり取れず、スケジュールに追われながら作業をしたのを覚えています。

 完成した3Dライブは非常に華やかで、ステキな映像に仕上げていただいたのですが、制作段階では最後のほうまで演出が入らない物なので、当初おとなしめの仕上がりになってしまうのではないかという不安もありました。それが、光の演出が入って一気に印象が変わり、とても安心したことを覚えています。Cafe Paradeはユニットの人数が5人と多いぶん、ほかの3Dライブよりもチェックなどもたいへんでしたが、数が多いからこそ豪華なライブにできたと思います。

ゲーム【サイスタ】「アイドルマスター SideM GROWING STARS」3Dライブ Cafe Parade「Pave Etoiles」【アイドルマスター】

――つぎに実装されたLegendersの『Time Before Time』はいかがでしたか?

石澤『Time Before Time』は、先ほどお伝えした苦労した話と被ってしまうのですが、衣装でとにかく苦労しました。最後のほうに、3人がターンを決めているのをカメラが周囲を移動しながらかっこよく撮影してくれるシーンがあるんですね。非常にエモいんですが、古論クリスの衣装の裾が広がりすぎると、カメラが通過するときに一瞬だけ裾の中をのぞいているように見えてしまって……。

――せっかくクールでかっこいいシーンなのに台無しになってしまう。

石澤そうなんです。衣装は暗い色ですし、見えるのはほんの一瞬ではあったので、私が気にしすぎているだけなのかもしれないと思い、何人かにみてもらって相談しました。スタッフの中からは、気にならないという意見も出ましたが、やはり気になるという声もあって。それに熱心なプロデューサーさんたちは、映像が公開されたら私たちのようにコマ送りでチェックしてくれるに違いない。そうなったときに、明らかに裾の中が見えるのはアイドルにとってよくないと考えて、時間のない中で修正してもらいました。

ゲーム【サイスタ】「アイドルマスター SideM GROWING STARS」3Dライブ Legenders「Time Before Time」【アイドルマスター】

――コマ送りにしないとわからないところまで、しっかりチェックして修正されているのですね。彩の『いとをかし!~一彩×合彩~』の思い出も教えてください。

石澤『いとをかし!~一彩×合彩~』は、Vコンの段階からバッチリとハマっていて、とてもいい映像に仕上がるだろうなという期待感を持たせてくれるものでした。楽曲の楽しい雰囲気が感じられる、ステキな映像にしていただいたと思っています。

――お祭りのような楽しげでにぎやかなステージですよね。

石澤そう感じていただけたらうれしいです。ただ、そこに関してはよかったのですが、アイドルたちが着用している衣装の素材に問題がありまして……。彩のメンバーは、紗という半透明の非常に薄い布を使った衣装を着用してるんですね。この半透明っていうのがキモで、これにとにかく苦労することになりました。

――珍しい素材を選んでしまったがためにそれを再現するのが難しかったと。

石澤はい。いざ、3Dライブを作るとなったときに、映像制作チームから、「半透明の衣装は完全再現できません」と言われてしまって。選択肢としては、「半透明の部分の縁だけ残して完全に透明にしてしまうか、あるいは完全な不透明にするかどちらかにしてください」と言われたんです。

 これは仕方ないかなと思いつつも、やはり可能ならアイドルたちの衣装は正確に再現したかったので、「どうにかできませんか?」と食い下がったところ、「とにかくやってみます」とがんばってくれて。私も技術的なことはわからないのですが、映像制作チームが相当工夫してくれたおかげで半透明な衣装を実装できました。正直、今回ばかりは難しいかなと諦めかけていたのですが、実現できてビックリしましたし、感動したのを覚えています。

ゲーム【サイスタ】「アイドルマスター SideM GROWING STARS」3Dライブ 彩「いとをかし!~一彩×合彩~」【アイドルマスター】

――最後になりますが、もふもふえんの『はるかぜバトン』はいかがでしょうか?

石澤『はるかぜバトン』は、非常にかわいらしく仕上がったかなと思います。もふもふえんの3人の衣装はお尻にしっぽがついているので、最初いただいたVコンではお尻のアップカットが印象的な内容になっていたんですね。それはそれでよかったので私たちも悩んだのですが、「やはりアイドルなので、もっと顔を見せたいよね。背中やお尻のシーンが多くなるとちょっともったいないよね」と話し合った結果、正面からのアングルを増やしてもらいました。

――確かに悩みどころですね。顔を見たいけど、せっかくなら尻尾も見たいので。

石澤あとは、楽曲の終わりにもふもふえんのロゴが表示されて、3人が顔を出すサプライズ的な演出が入っています。これは私たちの依頼ではなく、映像制作チームからやりたいと希望がありました。楽曲の尺と3Dライブの尺が変わってしまうとちょっとゲーム側で苦労するのですが、プロデューサーさんが喜んでくれそうなことはやるべきだろうと考えて最後の演出を入れています。

ゲーム【サイスタ】「アイドルマスター SideM GROWING STARS」3Dライブ もふもふえん「はるかぜバトン」 【アイドルマスター】

印象的なイベントやアイドルフォト、楽曲の思い出とともに1年を振り返る

――この1年でいろいろなイベントが開催されましたが、とくに印象に残っているのは?

石澤Jupiter の活躍を描いた“GROWING SIGN@L -Inner Dignity-”ですね。Jupiterは『アイドルマスター2』に初登場したユニットで当時は961 プロに所属していましたが、『SideM』では315プロダクションへ移籍しているという経緯があります。そして『アイドルマスター2』には、Jupiterが歌唱していた楽曲に『Alice or Guilty』という楽曲があるのですが、今回『サイスタ』で新しく作った楽曲の『Inner Dignity』は同じ作曲者さんに制作を依頼しています。『SideM』では初めての試みだったのですが、試聴動画を公開してすぐに、『Alice or Guilty』のニュアンスを感じ取ってくださり、プロデューサーの皆さんの“Jupiter愛”を感じることができました。反響が大きくてとてもうれしかったですし、印象に残っています。

――狙い通りだったと。アイドルフォトで印象に残っているものも教えてください。

石澤アイドルたちがドラマの役を演じる姿をイラストにした、“街角探偵の事件簿〜闇に潜む怪人〜ガシャ”のアイドルフォトですね。制作段階から手応えを感じていて、プロデューサーの皆さんも喜んでくれるのではないかと期待していましたが、やはり反響が大きかったです。じつは公開していませんが、アイドルたちが演じた役の名前や設定などもすべて作り込んでいます。こうした機会がないとなかなか発表できないので、楽しんでもらえるとうれしいです(※下記参照)。

泉家 光之介(いずみや こうのすけ)役/東雲荘一郎

 街の片隅でひっそり探偵をしている。頭が切れ、アクティブな大立ち回りもこなす。

『サイスタ』開発者インタビュー。『アイマス』シリーズのゲームを統括する三本昌史氏とプロデューサーの石澤雪枝氏が明かす、3Dライブの開発秘話や2年目に挑戦したいことを公開!

灰咲 柊星(はいざき しゅうせい)役/北村想楽

 周りから一目置かれる優秀な刑事。正体は最近起きている難事件の真犯人。

『サイスタ』開発者インタビュー。『アイマス』シリーズのゲームを統括する三本昌史氏とプロデューサーの石澤雪枝氏が明かす、3Dライブの開発秘話や2年目に挑戦したいことを公開!

緋色 一真(ひいろ かずま)役/眉見鋭心

 熱血漢で真っ直ぐな、主人公(泉家 光之介)を尊敬している舎弟。

『サイスタ』開発者インタビュー。『アイマス』シリーズのゲームを統括する三本昌史氏とプロデューサーの石澤雪枝氏が明かす、3Dライブの開発秘話や2年目に挑戦したいことを公開!

涼月 誠(すずつき まこと)役/冬美 旬

 正義感が強く、誠実で真面目な刑事(灰咲 柊星)の部下。

『サイスタ』開発者インタビュー。『アイマス』シリーズのゲームを統括する三本昌史氏とプロデューサーの石澤雪枝氏が明かす、3Dライブの開発秘話や2年目に挑戦したいことを公開!

――詳細な設定は毎回作っているのですか?

石澤はい。『SideM』は、細かいところまでこだわるスタッフが多いというのもありますが、たとえ公開しない設定でも、そのアイドルがどういう環境に置かれているのか、どのような役を演じているのか、設定をちゃんとまとめておくことによってアイドルの表情やポーズ、ライティングなどが考えやすくなるんですよ。

――きちんと設定を考えることで、リアルなアイドルフォトが生まれているのですね。印象に残っている楽曲もお聞きしたいです。

石澤1周年を記念した『Take a StuMp!』です。新曲は、私たちのほかに複数の会社や担当スタッフが集まり、ミーティングで話し合って決めています。満場一致で決まることもあるのですが、意見が割れてしまうこともあって。『Take a StuMp!』は、もめたというわけではありませんが、楽曲の方向性を聞いたときに大丈夫かなと不安になったのを覚えています。というのも、この楽曲はアイドルたちが自己紹介ならぬ、他己紹介をラップで行うのですが、『サイスタ』に登場するアイドルは全16ユニット、49人と数が非常に多いです。『サイスタ』内のライブパートでプレイする楽曲は、2分を目安に編集していただいているのですが、「他己紹介のラップを入れたいんです」と言われたときに、何分の楽曲を作るつもりなんだろうって。

――確かに、不安になりますね。

石澤仕様上の問題はさておき、実現できたらおもしろいよねと考えてゴーサインを出しました。最終的には他己紹介ラップをキャッチコピーのようにテンポよく入れることで、きちんと他己紹介をしながらもコンパクトにまとめることができました。まさかの2曲に分割しての公開となりましたが。『Take a StuMp!』は明るく元気いっぱいで、皆が楽しんでいるのがわかる楽曲になっていて、『SideM』の世界観をうまく表現できたと思います。

【サイスタ】1周年記念PV【アイドルマスター】

――『Take a StuMp!』も大きなチャレンジだったと思いますが、2022年7月に実装された『Reason!!』でも、MVという新しいライブの演出方法に挑戦していましたよね。

石澤『Reason!!』でリリックを中心したMVライブにした理由ですが、新しい楽曲表現に挑戦したかったからです。ライブの表現のバラエティーをもう少し増やしたいなと考えていまして、C.FIRST紹介PVの後半をヒントにMVライブを思いつきました。リリックビデオの形式なので、アイドルの顔やダンスが見られるわけではないのですが、アイドルの雰囲気を伝えるのはこういった形でもありなのかなと。

アプリゲーム「アイドルマスター SideM GROWING STARS」C.FIRST紹介PV【アイドルマスター】

――なるほど。では、『サイスタ』の2年目は、ほかにどのようなことに挑戦していきたいか教えてください。

石澤日々コツコツとしたアップデートから、遊びかたに少し味変がかかるものなど、いろいろ挑戦できたらと思います。たとえば、直近ではイベントのアップデートを検討しています。『サイスタ』は、カジュアルにも遊べるタイトルですが、もっと遊びたいという方たちも満足できるように、アイドル育成の奥行きを増やすような要素を入れようとしています。それからストーリーでは現在メインストーリーの第2章が終盤に差し掛かっています。さまざまな困難に直面しながらも前向きにピンチを乗り越えていくアイドルたちを応援していただければと思います。そして第3章のストーリーも絶賛準備中ですので、楽しみにしていてください!

―― 最後に三本さんから『SideM』の今後について一言お願いします。

三本『SideM』というブランドの歴史はソーシャルゲーム版から始まりましたが、『サイスタ』をきっかけにいろいろな取り組みも生まれ、この一年でまたひとまわり『SideM』を大きく育てていただいた実感があります。7月26日には『アイドルマスター』シリーズ全体で、ゲーム領域に閉じないアイドル活動の拡大を目的とした“アイマスMRプロジェクト”も発表されました。これから『SideM』としても新しいことに挑戦していきたいと思っていますので、引き続きプロデュースをよろしくお願いします!

週刊ファミ通2022年10月20日号 No.1766では、『サイスタ』1周年記念特集を掲載

 週刊ファミ通 2022年10月20日号 (No.1766)では、『アイドルマスター SideM GROWING STARS』(『サイスタ』)1周年記念特集を掲載。1年目の振り返りやプロデューサーアンケートなども掲載しているので、こちらも要チェック!

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