2023年にNEOWIZが発売を予定している、ソウルライクのアクションRPG『Lies of P』。2019年の初報以来、多くの期待を集める本作が、2022年11月16日~20日に韓国で開催中のゲーム展示会“G-STAR 2022”にてアジア初のプレイアブルデモを出展。貴重な試遊のチャンスを逃さないために現地へと飛び、その全貌を確認してきた!

『Lies of P』試遊レビュー。残酷なピノキオ世界でのソウルライク体験。義手と武器カスタムで死地を切り抜けた先に見える、美しさと不気味さに期待大

美しさと不気味さに魅了されたプレイアブルデモ

 さて、目玉となるプレイアブルデモに関しては、チャプター2と3の2種類から遊ぶほうを選べた。あわせるとクリアータイムは2時間ほどのボリュームになるとのこと。本作のプレイ時間を予想させる貴重な情報である。

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 「はるばる日本から来たのだから、その2時間をたっぷり堪能!」……と、いけばベストだったが、多くのメディアも試遊をする関係上、15分という極々わずかな時間しか時間を得られなかった。ソウルライクという難度の髙いゲームであることもあり、その鱗片に触れる程度の試遊しかできなかったのは無念である。

 それでも、ゲームの魅力とおもしろさは十分に感じることのできる有意義な時間には違いなかった。

 とくに、本作は有名な童話“ピノッキオの冒険”を原作とした世界観が大きなポイント。コンセプトアートなどで確認こそしていたが、実際に動く映像で、人形である主人公・Pの美しい姿と人間らしからぬ仕草を見たり、敵となる人形たちから受ける印象は、ホラーのような不気味さと、すてきな芸術作品を見たときの感覚が同居。限られたプレイ時間とはわかりつつも、ジロジロとデザインを確認してしまった。

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 マップや背景に広がる光景は、パリがもっとも繁栄したとされる19世紀後半から20世紀初頭“ベルエポック時代”が舞台。“オペラ座が作られた時代”と説明すれば、美しい建造物や華やかな時代背景を想像できる人も多いだろう。

 そんな時代だからこそ、明るく、煌びやかな雰囲気で描かれがちな時代でもあるが、本作では真逆にフルスロットル。つねに薄暗く、工場から排出されたであろうスモッグで空気は重く、道には壊れた人形や瓦礫が散乱する、ダークな雰囲気で満ち満ちている。

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 そんな空間で、静かに、どっしりとした存在感で立ち並ぶ美しい建造物や、産業革命を象徴するような機械仕掛けのギミックなどがマップを彩る光景は圧巻だ。絶対に近づいてはいけないのはわかっているのに、誘われるように迷い込んでしまうようなエモさに目と心を奪われ、つぎにプレイする際には、じっくりと街並みを探索してみようと決めた。

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 ゲームの仕様やボスとの戦闘なども、同じく日本を代表して韓国を訪れた複数のゲームメディアと協力しながら情報を集めたり、公式提供の動画から確認できた。

 まずは基本のシステムに関して。公式にソウルライクと言い切るだけあり、同ジャンルのゲームをプレイしたことのあるプレイヤーならば、ゲームの進め方やUIにいたるまで、全体的にとても馴染みのあるものにまとまっている。

 油断すれば即死が待つスリリングなマップ探索や、敵の攻撃をバックステップやローリング、タイミングよくガードをすることで防ぎ、隙を見て攻撃する戦闘。経験値やアイテムを回収し、中間地点を解放しながら攻略を進めて、ボスの討伐を目指していくというのが基本の流れなどなど。筆者もソウルライクは経験者だったため、説明を受けずとも、違和感なくプレイできた。

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 反面、やはり慣れていないプレイヤーにとってはスムーズに遊べるようになるまでに時間がかかるジャンルだ。試遊したメディアメンバーからも、阿鼻叫喚の声も上がる。

 道中の何でもない敵に倒され、攻略したと思ったらより強力な敵が登場してリスポーン。それをくり返しながら少しずつマップを進み、また叫ぶ……というのを横目で見て、いっしょにハラハラするのもお馴染みの感覚である。プレイする本人が「自分が少しずつ強くなっているのを感じる!」と言いながら熱中する光景を見ているだけでも楽しい。

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 『Lies of P』ならではの部分としては、義手(Legion Arm:リージョンアーム)を使った特殊なアクションが目を引いた。主人公・Pの左腕は義手になっており、これを替えることでさまざまなスタイリッシュなアクション攻撃が可能となる。これが、とてもかっこいい。

 今回確認できただけでも、ワイヤーを発射する“Puppet String”で遠くの敵を引き寄せて切り刻んだり、電撃を発射する“Fulminis”で複数の敵にダメージを与えながら感電させたりなど、状況に応じた対応が可能だった。

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 攻撃アクションに変化をもたらす要素としては武器の変更もある。これは、ほかのソウルライクのゲームにもある要素ではあるが、『Lies of P』では剣、刀、両手の槍、盾の剣、ハンマー、斧などなど、30種以上もの武器を選ぶことができるという。しかも、独自のシステムとして武器の刃と柄の部分を組み合わせる“武器合成システム(Weapon Combination)”が存在し、組み合わせると武器種は100を超えるというので驚きだ。

 武器にはフェーブルアーツ(現場では必殺技と呼ばれていた)も設定されているようで、ゲージを消費することで強力な攻撃を使うことも可能。武器と義手。それぞれの特徴を活かし、シナジーを発揮できる戦術を考えるのは、とても楽しい体験となるだろう。

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 ほかにも、スキルツリーのようなものが存在したり、アイテムは攻撃に使ったり、武器に直接属性を付与するものなどが多数あったりと、まだまだ奥深い要素がたくさん。実際にプレイしたことでわかったのは、試遊だけではまったく時間が足りないことであった。

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 なかでも、物語の部分に関しては現地でもほぼ情報が解禁されず、まだベールに包まれている。原作“ピノッキオの冒険”の物語を“成人残酷劇に脚色した”シナリオに、主人公・Pはもちろん、ゼペットじいさんを始めとするキャラクターの登場などが判明しており、彼らがどんな物語を展開するのか。“NPCに嘘をつくと人間性を獲得する“という、ゲームシステム。そして、3つ用意されているマルチエンディングなど、本作の中核を担う要素なだけに、実際に遊べる日が待ち遠しくて仕方がない。

 なお、試遊用PCのスペックは以下の通り。本作のためにPCを新調しようと考えている人は参考にしてみてほしい。

  • CPU:AMD RAIZEN7-4世代5800X(バーミア)
  • クーラー:20 MasterLiquid ML360 イリュージョン (ブラック) CPU
  • マザーボード:ギガバイト B550M DS3H 2
  • メモリ:TeamGroup T-Force DDR4 32G PC4-28800 CL18 デルタ RGB (16Gx2)
  • VGA:ASRock ファントム ゲーミング D 22 RX 6800 XT OC D6 16GB
  • SSD:A 980 M.2 NVMe 1TB

試遊台50機の超特大ブースに興奮

 さて、ここでイベント自体の説明もしておこう。今回訪れたG-STARは、韓国・釜山の国際コンベンションセンターで開催される韓国最大のゲーム展示会。オンラインゲーム、モバイルゲーム、VRゲームなど、ゲーム産業のすべてを網羅する総合イベントだ。

 去年は新型コロナウイルス感染症への厳格な防疫規則の中にも関わらず、4日間で約2万8000人の来場者を記録。並行して配信された、5日間のオンライン配信“G-STAR TV”は約96万人もの視聴者を観覧するなど、アジアで開催されるゲームイベントの中でも、非常に規模と注目度の髙いイベントである。

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 今年はコロナ対策の緩和もあり、現地の盛り上がりはご覧の通り。韓国といえばオンラインゲームのメッカ。ゲーム愛する韓国の人々や、我々のような海外メディアを含む多くの関係者が一挙に集まり盛り上がる光景に、「あの日々が帰ってきた!」と心が震えた。

 そんなワクワクを抑えつつ、今回の目的であるNEOWIZブースへと足を運ぶと、さらなる驚きが待っていた。

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 この規模感である。今回、NEOWIZのブースはすべて『Lies of P』の専用エリアとして展開し、なんと一般参加者向けの試遊機(PC)を50台用意。中央にはゲームの世界観を象徴するようなモニュメントが設置されているほか、背景は全面がモニターで、凝った演出も楽しめる。

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 武器を持って記念撮影のできるフォトエリアや、アートワークや作中のアイテムなどを展示するエリアが野外にも設けられ、ゲームを遊びに来たユーザーが楽しめる要素がてんこもり。NEOWIZが本作に向ける熱意を感じ取れる超特大ブースとなっていた。

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 ちなみに、プレス向けには特別に専用試遊エリアが設けられ、ちょっとリッチな気分に浸らせていただいた。

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 “G-STAR 2022”では、引き続き『Lies of P』開発者へのインタビューやカンファレンスが行われ、まだ未公開の部分に関してもお話をうかがえる。より深い部分までお話をうかがってくるので、そちらの掲載も楽しみにしていてほしい。