週刊少年ジャンプで連載中のマンガ『ONE PIECE』(ワンピース)連載25周年記念タイトルとして、2022年発売が予定されているプレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、PC(Steam)向けRPG『ONE PIECE ODYSSEY』(ワンピース オデッセイ)。

 本日2022年9月15日~18日にかけて千葉県・幕張メッセで開催中の東京ゲームショウ2022(TGS2022)への試遊出展にあわせて、本作のプロデューサーである都築克明氏にお話をうかがった。

都築克明(つづきかつあき)

バンダイナムコエンターテインメント所属。『ONE PIECE ODYSSEY』でプロデューサーを務める。過去には『ONE PIECE 海賊無双4』でもプロデューサーを担当。文中では敬称略。

『ワンピース オデッセイ』ゲーム全体のボリュームや時系列などを聞く。RPGというジャンルを選んだのは“麦わらの一味の冒険”を全力で描くため
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“麦わらの一味の冒険”を全力で描くためのRPG

――まずは本作の開発経緯をお聞かせください。

都築『ONE PIECE』連載25周年記念タイトルとして発表した本作ですが、原作・アニメともに怒涛の展開で盛り上がるなか、ゲームとしても1本しっかりしたものを出したいと考えたのが企画の始まりです。

 過去にはアクションゲームや無双シリーズなど、いろいろなジャンルの『ONE PIECE』ゲームが出ましたが、25周年という節目にふさわしいタイトルは何かと悩んだ末に、本作が浮かび上がりました。かなり力を入れて開発した結果、長い開発期間となりましたが、ようやく皆さんに試遊していただける地点に到達しました。

――本作のジャンルはRPGですよね。その中でもターン制コマンドバトルを選択した理由をお教えください。

都築ターン制コマンドバトルを選択した理由をご説明するためには、なぜ今回RPGゲームを開発することにしたのか、このジャンルで何を実現したかったのかをお話しする必要がありますね。

 以前公開したインタビュー動画の“Dev diary”でも少し触れさせていただいたこともあるのですが、『ONE PIECE』の魅力は冒険、バトル、ギャグ、シリアス、仲間との友情など本当に数えきれないくらいバラエティに富んだ要素を楽しめることだと思っています。

 そんななか、25周年タイトルとしてどんな作品なら喜ばれるかと考え、僕自身が『ONE PIECE』読者として、ルフィたちの新しい島での冒険やドラマにワクワクしていたのを思い出しました。

『ワンピース オデッセイ』ゲーム全体のボリュームや時系列などを聞く。RPGというジャンルを選んだのは“麦わらの一味の冒険”を全力で描くため

 そして、過去『ONE PIECE』ゲームを出した際、ユーザーさんからも「ルフィたちの冒険を楽しんでみたい」という声が多かったこともあり、そこから今回は『ONE PIECE』の、そして麦わらの一味の冒険譚を楽しめるゲームにしよう、という方向性が決まりました。

 じゃあ、『ONE PIECE』の冒険を体験できるジャンルは何かと考えたら、やっぱりRPGかなと。いままで“麦わらの一味の冒険”に注力した作品はなかったと思うので、連載が続くなかで仲間たちのキズナも深まっているいまなら、ゲームでもプレイヤーの皆さんに満足していただけるものができるのではないかと考えました。

 ゲームジャンルに関しては、『ONE PIECE』というとアクション要素を中心としたゲームがこれまで多かったのですが、アクションの場合はどちらかというと1キャラクターの個性やカッコよさを見せるのに優れています。一方で本作では麦わらの一味の冒険、つまりは複数キャラクターたちが一緒に活躍するところを描きたかったので、その意味でもRPGを選択しました。

『ワンピース オデッセイ』ゲーム全体のボリュームや時系列などを聞く。RPGというジャンルを選んだのは“麦わらの一味の冒険”を全力で描くため

 このようにコンセプトを固めたことにより、バトルも多くのプレイヤーが幅広く楽しめて、かつ麦わらの一味の戦いを描けると感じたターン制コマンドバトルを選択することにしました。

 ただ、開発を進める中で、単なるターン制のコマンドバトルだと『ONE PIECE』らしさ、麦わらの一味のバトル体験を感じにくいという課題も出てきたんです。

 例えば、敵も味方も4人ずつ綺麗に並んで戦うような一般的なコマンドバトルだと、とっつきやすさはあるかもしれませんが、『ONE PIECE』らしいかと言われるとちょっと違うのかなと……。ルフィとゾロとウソップが行儀よく一列に並んで戦う様子はあまり本作のコンセプトに合わなかったんです。

 バトルシステムは“麦わらの一味で戦う”ことをちゃんと体験できるものにしたい、そこで生まれたのが今回採用しているスクランブルエリアバトルです

――スクランブルエリアバトルは、システム的になかなか複雑なことをしているイメージがありますが……?

都築パッと見だと複雑そうに見えますが、実はそんなことはないんです。

 本作のバトルエリアは4つに分かれていますが、これは船長のルフィの元で、ひとつの目的のためにゾロはゾロの責任、サンジはサンジの責任を果たすという、『ONE PIECE』のマンガやアニメでも数多く描かれているような“麦わらの一味の戦い”を体験していただくことを意図したものになっています。

『ワンピース オデッセイ』ゲーム全体のボリュームや時系列などを聞く。RPGというジャンルを選んだのは“麦わらの一味の冒険”を全力で描くため

 そのようなエリアごとでの役割分担があった上で、近距離タイプのキャラクターは、そのエリアでしか攻撃できないのに対し、例えばウソップなどはエリア移動しなくても遠距離攻撃でフォローできる技を複数持っているような特徴を持たせています。

 その意味で、高い攻撃力でいち早くエリアを制圧してほかの助けに入るもよし、ずっと同じエリアに留まって遠距離攻撃をするもよいという、状況に合わせて一味の特徴を活かしながら攻略していくバトルができ上がっています。

 そして、その特徴をストレス無く体験してほしいという意図もあって、本作ではキャラクターの入れ替え時にターン消費しないようにしています。

 ベースとなるのは三すくみのシステムで理解しやすいものになっていますので、まずは敵との相性を考えつつ、状況によって麦わらの一味のそれぞれの活躍のさせ方を変えていくという、『ONE PIECE』ならではのバトル体験になっていると思います。

――本作にはレベルが存在していますが、レベルが上がるごとに使用できるスキルなども増えていくのでしょうか。

 レベルを上げることで強くなってはいきますが、スキルなどの要素については別のシステムを用意しております。詳細はまだお伝えできませんが、スキルやキャラクターのカスタマイズについても、かなり麦わらの一味の特徴を活かす形になっているので、続報を楽しみにしていただければと思います。

――なるほど。本作ではタイトルに“オデッセイ”というワードが入っていますが、こちらはどのような理由で選んだのでしょうか?

都築オデッセイは “偉大な冒険”という意味合いを込めさせていただきました。本作の規模感やドラマに込めたテーマとしても、このタイトルがいちばんしっくりくると思ったからです。

 ほかにもいくつか意味が隠されているのですが、それはゲームを遊んでいただく中で皆さん自身に体験していただけるとうれしいです。

『ワンピース オデッセイ』ゲーム全体のボリュームや時系列などを聞く。RPGというジャンルを選んだのは“麦わらの一味の冒険”を全力で描くため

――ちなみに、本作の物語は原作の時系列のどのあたりに位置するのでしょうか?

都築時系列としては、ホールケーキアイランドの途中あたりの出来事という位置づけ をしています。本作を開発するうえで尾田栄一郎先生にキャラクターデザインをお願いしたのが3年ほど前で、シナリオに着手したのは5年近く前になります。『ONE PIECE ODYSSEY』はこのタイミングに合わせた、キャラクターや物語設定とさせていただいています。

――TGS2022で体験できる試遊版は、あくまでゲームのベースのみ抜き出しているのでしょうか?

都築はい。今回の試遊版では、まずは本作の特徴的な部分を分かりやすい形でプレイヤーの方々に触れていただく必要があると思いましたので、まずは本作の冒頭のチュートリアルにあたる部分を切り取らせていただきました。ただ、試遊版では出していない要素がまだたくさんありますので、今後も楽しみにしていていただけるとうれしいです。

――製品版はだいたいどれくらいのボリューム感なのでしょうか?

都築プレイヤーの皆さんのプレイスピードにもよる部分は多分にありますが、本作のメインストーリーだけをひたすら一直線に進んでもだいたい30~40時間くらいはかかるかなと思います。

 ただ、今回は“『ONE PIECE』の世界に触れる、麦わらの一味の冒険譚”というコンセプトの通りに、その一味の冒険に没入できるような各種要素を豊富に用意してありますので、ゲーム全体に触れてもらえば50~60時間くらいは遊べるボリュームとなっています。

『ワンピース オデッセイ』ゲーム全体のボリュームや時系列などを聞く。RPGというジャンルを選んだのは“麦わらの一味の冒険”を全力で描くため

キャラクターの表情にも探索にも『ONE PIECE』らしさを盛り込む

――Dev diaryではキャラクターの3Dモデルをかなりこだわったとありましたが、およそ1体どれくらいの期間で作り上げたのでしょうか?

都築一概には言うのは難しいですね……。『ONE PIECE』のキャラクターは本当にバラエティに富んでいて、キャラクターによってモデリングに掛かる時間はバラバラです。

 本作では、キャラクターのベースとなる素体を作ってから、さらに表情ひとつとっても細かく作り込んでいます。過去に公開させていただいたトレーラーのなかでもナミの怒り顔やウソップの驚く顔などを見ていただけると思いますが、あのように『ONE PIECE』ファンが見たことあるような一味の表情を多く制作して、本当に様々なシーンに盛り込みました。

『ワンピース オデッセイ』ゲーム全体のボリュームや時系列などを聞く。RPGというジャンルを選んだのは“麦わらの一味の冒険”を全力で描くため

――オリジナルキャラクターのアディオとリムも気になるポイントですね。

都築アディオは腕のタトゥー、リムはひょうたんのようなガラスの器など、目を引く要素がいろいろあると思います。どちらもシナリオに絡む重要キャラクターですので、ぜひ注目してください!

――舞台となる“ワフルド”には不思議な遺跡(ダンジョン)もあるとのことですが、遺跡ではバトル以外に謎解きのような要素もあるのでしょうか?

都築もちろんありますよ! RPGで冒険するなら、やっぱりダンジョンで謎解きは欲しいですよね。ダンジョン自体のギミックに加え、キャラクターを切り替えてフィールドアクションで謎解きをしていくという冒険も楽しめます。

――本作はシンボルエンカウント式なので、フィールド上でモンスターの生態を眺められるのがおもしろいですね。

都築シンボルエンカウントにすることで、『ONE PIECE』の世界をエネミー含めて作り込むことができたと思います。あとは、RPGだと強い敵と戦って経験値を稼ぐという行為がよくあると思いますが、本作ではシンボルエンカウントと合わせてそこに覇気を絡めた遊びを用意しています。

『ワンピース オデッセイ』ゲーム全体のボリュームや時系列などを聞く。RPGというジャンルを選んだのは“麦わらの一味の冒険”を全力で描くため

 RPGでは何度も同じ敵と戦ってレベル上げをしなくてはいけないと思うんですが、ルフィのフィールドアクション“見聞色の覇気”では強い敵を判別することができるので、経験値を多く持っている敵と狙ってバトルができます。

――なるほど。正直、レベル上げは大変なこともあるので、いいことを聞きました! 試遊では素材らしきアイテムも手に入りましたが、これらの使い道というのは?

都築フランキーのクラフトやサンジの料理、ウソップのカラクリ制作などで使用することになります。

 サンジの料理は普通のアイテムより効果が優れているので、物語後半のバトルになるほど役立つようになっています。その意味で、麦わらの一味の特徴を活かして冒険をしていけばいくほど、冒険の中盤から後半の攻略に影響してくるようなバランスになっていますね。

――ついに開催されたTGS2022ですが、試遊版でユーザーにとくに体験してほしいポイントは?

都築まずは試遊でゲームの雰囲気を味わってもらいたいです。麦わらの一味を切り替えながら戦うバトルや、冒険全体の雰囲気を感じてもらえたらうれしいですね。

――最後に、発売を待つユーザーに向けてメッセージをお願いします。

都築『ONE PIECE』連載25周年記念作品として、本当に力を入れて作っています。ゲームで“麦わらの一味の冒険”をしっかり表現した作品になっていますので、発売まで楽しみにお待ちください!