傑作サバイバルホラーが、PS VR2でさらにスゴいことに……!

 2022年9月7日、PlayStation VR2(以下、PS VR2)のメディア体験会が実施された。本稿では、体験会で試遊したPS VR2専用『バイオハザード ヴィレッジ』のプレイリポートをお届けしよう。

 なお、PS VR2全体の所感についてまとめた記事と、『Horizon Call of the Mountain』のプレイリポート記事も別途公開しているので、興味のある方はそちらもぜひご覧いただければ幸いだ。

 今回試遊できたのは、東京ゲームショウ2022のカプコンブースにて試遊出展されるものと同じバージョンだ。これから体験するのを楽しみにしている人もいることと思うが、ここからのリポートには内容のネタバレを含む部分があるため、初見の楽しさを損ねたくないという方は、読むのを控えていただいたほうがいいだろう。

PSVR2『バイオハザード ヴィレッジ』試遊リポート
PSVR2『バイオハザード ヴィレッジ』試遊リポート
今回の試遊は立った状態でのプレイとなった。画像は怖くて先に進むのを嫌がっている記者。

鑑賞するだけでも楽しめる!? ハイレベルなグラフィック

 今回の試遊版は、『バイオハザード ヴィレッジ』では序盤の、ドミトレスク城内を舞台にしたパートの一部分だ。最初に城内に入ったところから、城内の探索や敵との戦闘を行いながら、いくつかのイベントを体験することができる。アイテムや敵の配置などは体験版用に大幅に変更されているが、イベントなどは『バイオハザード ヴィレッジ』本編におけるドミトレスク城冒頭部分とほぼ同様だ。

 ゲームを始めると、まず映像の精細さに驚かされた。前作『バイオハザード7 レジデントイービル』も全編がPS VRでプレイ可能で、その完成度の高さに驚かされたものだが、やはりPS VRの性能上の制約からか、『7』VR版のグラフィックはテクスチャなどの軽量化が図られていることがわかるレベルのものだった。

 しかしPS VR2版『バイオハザード ヴィレッジ』のグラフィックは、非常に高精細で美しい。城に入る手前の道には雪が降り積もっているが、雪らしい独特の軽い質感までがしっかり見て取れるほどだ。

PSVR2『バイオハザード ヴィレッジ』試遊リポート

 城に入ってからも、思わず豪奢な家具や内装に目を奪われる。壁にかかっている絵などは、表面が油絵らしく塗り重ねられてデコボコしていることもはっきりわかったりして、いちいち細かく見て回りたくなってしまった。

 また、『7』は全編にわたって暗いシーンが続き、はっきりと見えない部分が多かったため、それが怖さを演出していた一方で、おそらくは描画負荷を抑えることができていた面があっただろう。しかしPSVR2版『バイオハザード ヴィレッジ』の今回体験した範囲では、屋外はもちろん、城内も照明で明るく照らされているため、ごまかしがきかない。それでもこれだけ安定して高精細な映像が楽しめるというのは驚異的だ。

PSVR2『バイオハザード ヴィレッジ』試遊リポート
PSVR2『バイオハザード ヴィレッジ』試遊リポート
いつも何気なく叩き壊していた壺の装飾も、よく見ると非常に凝っていて驚かされる。

視覚・聴覚・触覚が総動員! 恐怖に全包囲されてイーサン涙目

 グラフィックが精細であるということは、そのぶんホラー的な部分についても生々しく描写されるということ。とくに両手の傷の痛々しさは、PS VR2では直視するのがためらわれ、実際にじんわりと痛みを感じてしまうほどだ。体験版の範囲内だけでも、突き刺されたり、切り裂かれたりとさんざん酷い目に遭うことができる(?)ので、体験する方は覚悟しておいたほうがいいだろう。

PSVR2『バイオハザード ヴィレッジ』試遊リポート
イダイイダイイダイ!! 思わず顔をそむけたくなる!?

 またグラフィックだけではなく、PS VR2で新搭載された機能も演出に活かされており、より深い臨場感を味わうことができる。突然背後の至近距離から話しかけられたり、遠くの不審な物音を聞きつけたり、といった音の演出は、Tempest 3Dオーディオ技術の賜で、ホラーとの相性はピッタリだ。

 さらに、PS VR2はヘッドセットに内蔵されたモーターが振動することにより、ゲーム内からのフィードバックを感じることができる。コントローラの振動と比較すると全体に弱めのフィードバックとなっているように感じたが、ヘッドセットの振動が強すぎると快適性に影響がありそうだし、映像もブレてしまう恐れもあるだろうから、いい塩梅の調整と言えるかもしれない。

 今回の試遊では、大量の虫がまとわりついてくるシーンなどで、ヘッドセットからのフィードバックをはっきりと体感することができたが、これはかなり効果的に感じた。ただでさえ背筋がゾワッとするシーンだが、苦手な人なら思わずヘッドセットをかなぐり捨てたくなるかもしれない……?

PSVR2『バイオハザード ヴィレッジ』試遊リポート
ムシムシムシ~!! こちらは顔をそむけても音と振動がまとわりついてくる。鳥肌注意!

両手で自在に武器を操る“なりきり感”はVRならでは!

 操作面は、PS VR2専用Senseコントローラーでの操作に最適化されている。とくに、グリップ部にあるR1ボタンを押すと、文字通り手を握って掴む動作となるが、多くのアクションがこれを前提とした操作となる。

 たとえば、左腕に装着されているナイフを右手でつかんで振り回したり、右腰あたりに装着されているハンドガンを右手でつかんで構えたり(右利き設定の場合)。右手に持っている銃を左手に持ち替えて(ふつうに左手でつかんで、右手を離して持ち替える)、空いた右手にナイフを持てば、ナイフで牽制しながら銃を撃つ、なんてこともできる。

 また、ハンドガンのリロードは、まず○ボタンでマガジンを外し、左腰あたりにある新しいマガジンを左手でつかんで銃に挿入し、さらに銃上部のスライドを手でつかみ、引いて準備完了となる。

PSVR2『バイオハザード ヴィレッジ』試遊リポート
まず空になったマガジンを落としてから……
PSVR2『バイオハザード ヴィレッジ』試遊リポート
新しいマガジンをグリップ部分にセット。
PSVR2『バイオハザード ヴィレッジ』試遊リポート
マガジンをセットしただけではまだ発射できない。銃上部のスライドを引いてリロード完了だ。

 そのほか、両手を上に掲げてガードしたり、両開きのドアを両手で掴んで開いたり、といった動作も感覚的に行える。

 こうした体感的な操作システムは、Meta Quest2版『バイオハザード4』でも一部で同様の仕様が採用されていたが、PS VR2版『バイオハザード ヴィレッジ』では、細かい調整がさらに洗練されたためか、掴みそこねたりといったこともほとんどなく、より思い通りに操作できるようになっている印象だ。ただし記者の場合、ナイフを投げて敵に当てるという動作だけは、指を離すタイミングがシビアで、なかなか思った通りにコントロールすることができなかった。このあたりは、さらなる調整に期待したいところ。

PSVR2『バイオハザード ヴィレッジ』試遊リポート
両手を上げてガード。本作において重要なアクションのひとつだ。
PSVR2『バイオハザード ヴィレッジ』試遊リポート
ナイフを投げつけて壺を破壊することもできる。投げたナイフは拾い直す必要はなく、左腕の収納位置に自動で戻る仕様だった。
PSVR2『バイオハザード ヴィレッジ』試遊リポート
接近してくる敵に右手のナイフで抵抗するのに必死で、左手にハンドガンを持っていることを忘れている記者の様子。
PSVR2『バイオハザード ヴィレッジ』試遊リポート
こちらはカプコンが公表した画像。今回の試遊範囲で使用できた武器は、ハンドガンとナイフのみだったが、本編ではこうした二丁持ちもできる?

快適で濃密なプレイ体験、もっともっと遊びたくなること必至!

  気になるVR酔い対策などについては、すでに『バイオハザード7 レジデントイービル』のVR版の時点で非常に完成度の高い酔い対策がなされていたが、そこはPS VR2版『バイオハザード ヴィレッジ』でも万全だ。公式スペック上のリフレッシュレートは同等だが、PS4とPS5の性能差が大きいこともあってか、快適性は増しているように思える。視野角が10度広くなったことも(PS VRは100度、PS VR2は110度)、快適性に大きく寄与しているのかもしれない。

 体験版のプレイ時間はゆっくり探索や鑑賞をしながらでも20分ほどで決して長くはなかったが、その中でも見どころが満載だった。とくにドミトレスク夫人の圧倒的豊満さは、VRでおそばに近寄ってこそ始めて理解できると言っても過言ではない。また三姉妹は、VRで見るとより凄惨で、より美しくも感じられたように思う。

 イベント中のカメラの自由度はVR版のほうが遥かに上なので、非VR版で体験済みのイベントでも、くまなく見回すことで新たな気づきを得られることもあるだろう。全編をプレイできる日が1日でも早く訪れることを楽しみに待ちたいところだ。

 なお、体験会の後に、本作開発陣への質疑応答の時間が設けられた。その内容については後日別記事でお届けするので、楽しみにしてほしい。

PSVR2『バイオハザード ヴィレッジ』試遊リポート
ぜひVRで体感してほしい。本当にすごかった……。
PSVR2『バイオハザード ヴィレッジ』試遊リポート
怖いけど魅了されてしまう。