もう待てない! PS VR2がいますぐ買いたくなった体験会リポート
2022年9月7日、メディア向けのPlayStation VR2(以下、PS VR2)の体験会が実施された。本稿では、この体験会でわかったことを詳しくお伝えしていく。
PS VR2については、デザインや機能、スペックなどの情報が少しずつ公開されてきており、発売時期も2023年初頭となることも発表されているが、実物にお目にかかれるのは今回が初のこと。もちろん、試遊も始めてのこととなる。
さっそく試遊会の流れに沿って詳しくリポートしていくが、「実際どうなの? 買いなの!?」と結論を知りたい方も多いことだろう。詳しくは結論部でまとめているが、最初に、先代のPS VRとMeta Quest2を所有して遊びまくった経験があり、ある程度VRには慣れている記者から見ても、心の底から「いますぐにでも欲しい! 早く売ってくれ!!」と感じたということはお伝えしておこう。
今回の体験会では、まずソニー・インタラクティブエンタテインメントの案内役の方から、PS VR2の装着から各種キャリブレーション(調整)のやりかたをレクチャーされた後、実際にPS VR2用の2タイトル(『バイオハザード ヴィレッジ』、『Horizon Call of the Mountain』)を試遊することができた。
それぞれのタイトルの試遊リポートについては、別記事をご覧いただきたい。
本稿では、PS VR2の基本機能や装着方法など、実際に使用してみてわかったハードウェアに関するリポートをお届けしていく。
ヘッドセットの構造は先代PS VRを踏襲
PS VR2のヘッドセットの構造は、ほぼPS VRを踏襲したものとなっている。外見的な部分での大きな違いは、PS VRではぶっといケーブルでつながれていたのに対して、PS VR2ではUSBケーブル1本で接続できるようになったことが挙げられる。これにより、取り回しがかなり楽になった印象だ。
基本的な構造はPS VRと同様なため、装着の手順もPS VRとほぼ同様だ。
◆後部についているヘッドバンドリリースボタンを押しながらヘッドセットの前部分を引き出して頭にかぶる
◆ヘッドバンドリリースボタン部分にある調整ダイアルを回して、動かないように固定
◆前面スコープについているリリースボタンを押しながら、顔とのあいだに隙間ができないようにスコープの位置を調整
と、ここまでの流れはPS VRを使ったことがある人ならご存知の通り。そしてVRヘッドセット共通の問題として、ヘッドセット内のレンズと目の位置・距離が正しく調整されていないと、映像がぼやけたり、崩れたりしてしまうため、スコープ部を上下左右に動かして、映像がクッキリと見える位置に調整する必要がある。
先代のPS VRではこの調整に慣れが必要で、少々たいへんなところがあったが、PS VR2ではさまざまな面で進化を遂げており、装着や調整がスムーズに行えるようになっている。
具体的には、PS VR2を使用中は、PS5のコントロールセンター(コントローラのPSボタンを短押しすると表示されるメニュー)からPS VR2のカード(メニュー)が選択可能になり、そこで各種キャリブレーション(調整)が行えるのだ。
“映像の見え方を調整”というメニューを選ぶと、使用者の目の位置とスコープの位置をリアルタイムで表現したイラストが表示され、それを参考にスコープを上下左右に動かすことで最適な位置に合わせることができる。
レンズ幅の調整は飛躍的に簡便に
さらに大きなポイントとして、“レンズ調整ダイヤル”を回して、瞳孔間距離(目の幅)に合わせて左右のレンズ間の幅を適切なポジションに調整することもできる。
“映像の見え方を調整”メニュー内であれば、前述の通りレンズの幅と目の位置を確認しながら調整することができるし、またこのメニュー内からでなく、ゲーム内などであっても、見えかたを確認しながらダイアルを動かして調整するのもカンタンだ。
VRで映像を正しく表示させるためには、瞳孔間距離に合わせて正しくレンズ幅を調整することは重要なポイントのひとつだが、先代PS VRでは調整にかなり手間を要する仕様になっていた。PS VR2では、映像で確認しながら、いつでも調整できるようになったのは、かなりうれしい進化と言える。
視線トラッキング調整もカンタン
また、“視線トラッキング”というメニューでは、PS VR2で搭載された視線トラッキング、つまりプレイヤーの視線の動きを検出する技術が正しく機能するように、プレイヤーの視線に合わせて調整することができる。これは、画面上に表示される点を視線で追いかけていくだけでカンタンに調整可能だ。
視線トラッキングは、視線を向けるだけでメニューを選択したり、目の動きを感知してキャラクターが反応を返したり、といったゲーム的な用途だけではなく、“フォービエイテッドレンダリング”(Foveated Rendering。視線が向いている中心部分を精密に描写し、視線から離れた部分ほど解像度を抑えることでパフォーマンスを上げる技術)の恩恵を正しく活用するためにも重要だ。それだけに、カンタンに調整できるようになっているのはうれしいポイントだ。
プレイエリア調整もゲーム感覚
さらに、PS VR2では、プレイエリアの設定・カスタマイズも行える。これは、プレイする部屋の中で、障害物などがなく安全にプレイできるエリアを設定しておくことで、そこからはみ出そうな場合に警告が出るようにするものだ。
基本的に座った状態でのプレイが推奨されていた先代PS VRでは、おおむね周囲の手の届く範囲程度を注意しておけばよかったが、PS VR2ではある程度動き回りながらの使用も想定される、いわゆるルームスケールタイプのVRなので、うっかり障害物にぶつかったりつまずいたりしないよう、しっかり設定しておく必要がある。
このプレイエリアの設定は、現行のその他のVR機器では、手に持ったコントローラでエリア境界を描いて設定するやりかたを採用しているものが多い。しかしPS VR2の場合、ヘッドセットを被って周囲を見回していくだけで、障害物はもちろん床の段差まで詳細に検出し、自動的にエリアを設定してくれる。そこから、コントローラを使ってエリアを任意に広げたり、削ったりも自由自在。いかにもプレイステーションらしい遊び心あふれるUXになっていたのが印象的だった。
インサイドアウト方式の恩恵(1):シースルービューが便利すぎる
先代PS VRとの違いを見ていく中で、とくにPS VR2の取り回しにおいて大きいのは、インサイドアウト方式、つまりヘッドセット側についたカメラによってVRヘッドセットの位置や動きを検出する方式に変わったことだ。
これによる恩恵はいくつかあるが、まず“シースルービュー”の存在が挙げられる。これは、ヘッドセットについたカメラからの映像を表示することにより、ヘッドセットを装着したままで現実側の周囲を確認できる機能のこと。スコープ下部に、シースルービューとVR映像を切り替えるボタンがついており、このボタンを押せば瞬時に映像を切り替えることができる。
インサイドアウト方式のVR機器で、外部の様子を確認できる機能を搭載しているものはほかにもあるが、PS VR2のシースルービューの映像は、白黒ながらかなり精細で、テレビ画面や手元の書類なども問題なく見ることができるほど。これは本当に便利で、体験してみてとても気に入った機能のひとつだ。
インサイドアウト方式の恩恵(2):さらば“プレイエリアの外です”
また、PS VRではしばしばプレイヤーを悩ませた、“プレイエリアの外です”問題とも無縁だ。PS VRでは、正面に設置されたPlayStation Cameraによってヘッドセットの位置を感知していたため、PlayStation Cameraの死角に出てしまうと、ヘッドセットが感知できず、“プレイエリアの外です”というシステム的な警告が表示される仕組みがあった。オブジェクトの裏側を覗き込んだり、ときには何らかの理由で下からのアングルでプレイしたくとも、その多くは“プレイエリアの外です”によって阻まれることとなった。
PS VR2では原理的にカメラの死角は存在しないため、そのような制限はなくなるはずだ(とはいえ開発者側が何か隠したいものがある場合には、ソフトウェア側での制限がかかり、“どうしても見たい何か”が隠される可能性はあるが……)。これは、没入感をより高めるという点で重要なポイントと言えるだろう。
Senseコントローラーは予想通りの使いやすさ
PS VR2専用の“Senseコントローラー”については、正直に言ってしまえば、想像を大きく超えるものではなかった。少なくとも今回の試遊において使用した範囲では、現行のほかのVR機器で採用されているハンドコントローラと大きな差異は感じられなかった。ただし逆に言えば、理にかなった使いやすい形状であるとも言える。ボタンやトリガーなどは、きちんと押しやすい位置に配置されており、過不足のないよくできたコントローラという印象を受けた。
また、DualSenseワイヤレスコントローラーと同様のハプティックフィードバックやアダプティブトリガーといった高度なフィードバック機能も搭載されていることから、これらを最大限活用したゲームであれば、本機の強みをさらに深く体験できそうだ。
実際に使ってみて:記者の本音
映像
まず映像について。PS VR2の解像度は4000×2040ピクセル(片眼あたり2000×2040ピクセル)で、これは先代PSVRの約4倍にあたる。PS VRとの比較で言えば飛躍的に向上しているわけだが、一方で現行のVR機器の中では、とりわけ突出して高精細というわけでもない。しかし実際にゲームをプレイしてみると、PS5の性能によるものか、はたまた有機ELパネルの特性によるものかはわからないが、驚くほど高精細で、美しい映像だと感じた。
使用感
取り回しについては、やはりケーブルレスでスタンドアローンタイプのヘッドセットには及ばないとは言え、USBケーブル1本だけで接続できる簡便性は魅力。ヘッドセットをかぶったままプレイエリア内を歩いたり、振り向いたりしても、ケーブルの存在をさほど意識させられることはなかった。気軽にシースルービューに切り替えられるのも非常に便利だ。VR映像が正しく見えるようにするための調整もやりやすく、レンズ間の幅をいつでもカンタンに調整できるのはじつにうれしい!
着け心地
ヘッドセットのつけ心地については、先代PS VRと大きな差はないかな、というのが率直な印象だ。ヘッドセットの軽さや、ダイヤルで締めて固定したときの装着感などはPS VR譲りで、重さが負担だったり、窮屈だったりという感覚はなかった。
スコープ部の奥行きにも余裕があり、眼鏡を着けたままでも問題なく装着できる点や、外部からの光をしっかり遮断するように眼の周りがゴムで覆われる形状(で、汗をかくと眼鏡が曇る……)も、先代PS VRと同様だ。
ちなみに記者の場合、先代のPS VRでも5、6時間くらいは余裕で連続プレイできる程度にはVR向きな体質であるためあまり参考にならないかもしれないが、今回のPS VR2試遊会でも、さほど休憩もとらずに合計90分ほど夢中でプレイしても、まったく疲れなどを感じることはなかった。
総評
より詳しい使用感などは、各タイトルのプレイレビュー記事でも詳しくお伝えしているが、個人的には非常に魅力的な機器である、と自信を持って断言できる。PS VR2自体の進化もさることながら、PS5が非常に高性能であることも相まって、先代のPS4+PS VRを遥かに上回る、リッチで快適なVR体験が楽しむことができた。
とはいえ、いくら言葉を尽くしたところで、VRの真価は体験してみないと実感できないだろう。おそらくは、今後体験できる機会は増えていくことと思うので、チャンスがあったら、ぜひ実際に体験してみてほしい。