元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長であり、編集部時代から現在に至るまでゲームプレイ日記やエッセイを執筆している大塚角満によるプレイ日記。Nintendo Switch、PC用ソフト『モンスターハンターライズ:サンブレイク』のプレイ日記。その第33回をお届けします。
さあ、真剣勝負!
アルロー教官最後の(?)お願い、
「塔に現れたナルガクルガ希少種を、なんとかしてくれ!!」
という申し出に対し、
(……いや俺ひとりに行かせず、盟勇クエストがあるんだから、アルロー教官もいっしょに来りゃいいのにブツブツブツ)
心の奥底でブツクサと文句を言いつつも、まだ見ぬモンスターと対峙できる恍惚と不安に背中を押されて、取るモノもとりあえず塔の秘境に向かいました……と前回の記事で書いた。
そこで待っていたのが……まるで月明りを閉じ込めたかのような色をした、神秘的なこちらのモンスター!!
ナルガクルガ希少種デタァァァアアア!!!www
……いやこいつを討伐に来たんだから、そりゃいるだろって話なんだけどな^^;
前回の日記でも書いたけど、『モンハンライズ』のナルガクルガは同僚のたっちーが素材を欲しがったがために、一時期毎日のように狩りまくっていた。
その変幻自在な忍者のような動きは、初登場となった『モンハンポータブル 2nd G』のときと変わらず……というか、さらに磨きがかかった神出鬼没ぷりで、我々を翻弄しまくった。とはいえ、やはりナルガはナルガで、
「この、ナルガ狩猟のときにだけ沸き起こる高揚感……!! これは初めて対峙したころからいささかも色褪せていない!!!」
と強く思ったんだよねぇ……。それは、おなじみのナルガクルガのテーマソングの疾走感に駆り立てられる……という要素も多分にあると思うんだけど、フィールドをいっぱいまで使って駆けるその様は“ナルガにだけ出せる味”であり、狩らねばならぬ相手とはわかりつつも、ついつい見惚れてしまうのである。
そんな、ナルガクルガとの初対面の模様を綴ったコラムが拙著『本日も逆鱗日和』に収録されている。Vジャンプレイで書いていた“逆鱗ぶいっ!”でもちょっとだけ引用したんだけど、今回はお気に入りの箇所を思いっきり抜粋して紹介させてもらおうと思います。
数ある『逆鱗日和』のコラムの中でも、トップクラスに好きな“そのとき、樹海に黒い風が吹いた”より。
◆◆◆
(前略)
そして始まったナルガクルガとの生存競争。まず、ナルガのナワバリに足を踏み入れてしまったときに流れるデモ映像に度肝を抜かれる。なんだこいつの動き……。空気の中を泳いでるのか……? ここで、いつもの俺だったら大いにビビるところだが、なんだか無性にワクワクが止まらなくなっていた。
「この風と、戯れてみたい!」
そんなくさいセリフを、心の中で叫んでいた。
ナルガクルガは、まさに“風”だった。
この動きとスピード……。こいつは紛れもなく、木々の間を抜ける一陣の黒き疾風だ。警戒度をマックスにした猫のように唸り声を上げて、突然の闖入者に牙を剥き出して襲い掛からんとするナルガクルガ。しかし正面からは向かって来ず、風のように俺の横にまわりこんだと思ったら、完全な死角から強烈なアタック! どんな攻撃をされたのかもわからず、俺はただただ人形のように草むらを転げまくる。な、何が起こったんだいま……。
どんな攻撃をされるのかわからないことって、こんなに怖かったんだ……。俺の脳裏に、初めて対峙したときのリオレウス、クシャルダオラ、ティガレックス、そしてラージャンの顔が閃く。
そうだった……。あいつらもみんな、そうだった。その後“好敵手”となるモンスターたちは、みんなそうだったんだよな。恐怖と歓喜に貫かれながら、相手の一挙手一投足を見逃すまいと全神経を集中して、とにかく“生きること”に全力を傾けた。そんなライバルたちとの激闘の日々が、唸るナルガクルガの攻撃を必死になってガードする俺の思考の中を駆け巡った。こいつはとんでもねえヤツだ。あまたの好敵手たちに匹敵する、強さと魅力を併せ持ったモンスターだ!!
◆◆◆
そして続くコラム、“そのとき、樹海に黒い風が吹いた(その2)”において、俺はつぎのように結ぶのである。
◆◆◆
それでも、俺は楽しかった。
ナルガクルガの攻撃を受けながら、俺は「こいつは完全に格闘マンガの世界だ!」と思ったのだ。
疾風のように回り込んだ死角からの攻撃を読みきり、見えない方向に向かってガード。しっかりと受け止めたところでナルガクルガにガード突きを見舞い、これを嫌がって距離を取られても、決して油断せずに武器は出したまま。刹那の逡巡もなく再び風になって侵略してくる黒い怒気のカタマリを受け止め、懐に潜り込んで砲撃を1発。相手が怯んでも深追いはせず、再びガード姿勢……。オノレを守り続けることのおもしろさと快感に身を委ねながら、拮抗した力と技のぶつかり合いに心を奮わせた。そして、相手が長きにわたるライバルになるとわかっていながらも、
「最高だおまえは!」
とナルガクルガを賞賛した。
◆◆◆
どんだけナルガが好きなんだ!!ww って感じだけどね。
はたして目の前にいるナルガクルガ希少種は、このときと同じような感動を俺に与えてくれるのだろうか……? とはいえ、まずは慎重に距離を取りつつの……!
「ホンギャァァァアアアア!!!www」
あ。なんかいきなり怒られたんだけど……!
な、なんだあれ……。な、ナルガ、屁こいた……?? だとすると、かなり体調悪そうな色だけど……((゚Д゚;))
なんて、茫然と行動を眺めていた……その刹那!!!
!?!?!?! 俺、ナニされたんだ!!?
いままさに天に昇ろうとしている俺の身体を、ネコ回復と思われる優しい緑の光が包んでいるけど……逆にこれが哀愁を誘うw この、狭い塔のてっぺんというフィールドは、変幻自在且つ消える(!)という特技を持つナルガクルガ希少種には打ってつけの場所で、マジで気合を入れてやらないとアッと言う間にクエスト終了に追い込まれてしまいそうだぞ……。
てなわけで、仕切り直し。
「俺はナルガのすべてを知り尽くしている」
なんていう薄弱な自信は捨て去って、まったく新しいモンスターと対峙するつもりで挑み直そうではないか!
続く!
大塚角満(おおつか かどまん)
元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。2017年に独立。編集部時代から現在に至るまでゲームエッセイを精力的に執筆し、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』、『折れてたまるか!』など、多数の著作がある。