2022年8月24日~28日(現地時間)に、ドイツ・ケルンのケルンメッセにて開催のヨーロッパ最大規模のゲームイベントgamescom 2022。同イベントの前夜祭的な位置づけとして、8月23日に実施された“gamescom Opening Night Live 2022”のトリを飾るタイトルとして発表され、ひと際大きな注目を集めたのが、Deep Silverの『DEAD ISLAND 2』(デッドアイランド2)だ。
1作目『デッドアイランド』は、2011年にプレイステーション3、Xbox 360、PC向けに発売されるや世界中で大人気を博した、Techland開発による一人称視点のオープンワールドホラーアクション。その注目度の高さに応える形で、2014年には続編となる『デッドアイランド2』が発表されたものの、あまり続報が聞かれず、ファンをやきもきさせていたところが、このたび2023年2月3日に発売されることが突然発表された。対応プラットフォームはプレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PCに加えて、Alexa Game Control、Stadiaとなる。開発を手掛けるのはイギリスにオフィスを構えるDeep Silver傘下のDambuster Studios。
※以下映像には、非常に過激なシーンが含まれています。視聴には十分にご注意ください。
前作の舞台が架空の南国だったのに対して、本作の舞台となるのはアメリカ・ロサンゼルス。アメリカ・ロサンゼルス。Hell(地獄)とLAを掛け合わせた“HELL-A”と名付けられた地にて、ゾンビとのバトルがくり広げられる。3年ぶりのリアル開催となったgamescom 2022の会場では、プレスを対象に発売日がアナウンスされたばかりの『デッドアイランド2』が試遊可能だった。
遊べたのは、夜の遊園地に侵入していくという、いかにもアメリカ西海岸らしいシチュエーション。とはいえ、もちろん施設内にはゾンビがうようよと跋扈しており、主人公はそんなゾンビたちをなぎ倒しながら先に進んでいくことになる。
近接攻撃が魅力と言われる『デッドアイランド』だが、その楽しさは『デッドアイランド2』でも健在のよう。“gamescom Opening Night Live 2022”で大々的にフィーチャーされていた日本刀を筆頭に、バラエティーに富んだ武器が確認できた。登場するゾンビの特徴によって、それぞれ有効な武器がある。また、遠方から電撃を放ってくるゾンビに対しては銃で対応しておいて、近くのゾンビは近接攻撃で……といった具合に、状況に応じた攻撃が不可欠となりそう。バラエティーに富んだゾンビも、楽しみどころのひとつと言えそう。
本作ではいずれ劣らぬ6人の中からプレイヤーキャラクターを選べる。各キャラクターは、それぞれ異なる能力を持っており、新たなスキルシステムも。スキルは複数あり、組み合わせも自由なようで、「組み合わせ次第では、とんでもない威力を発揮することもあります。その組み合わせを探すのも楽しみのひとつですね」とは、試遊をサポートしてくれた開発者の方のお話。
少し触っただけでも、しっかりと丁寧に作り込んでいることがうかがえる『デッドアイランド2』。試遊のあとで、同作のクリエイターにインタビューすることができたので、その模様を以下にお届けしよう。対応してくれたのは、ゲームディレクターのデビッド・ステントン氏と、リードナラティブデザイナーのアイシャ・カーン氏のおふたり。
ちなみに、インタビューをお届けする前にお伝えしておくと、『デッドアイランド2』の日本での発売はまだ正式には決定していない。どうやら、ゾンビの破損表現などがネックになっているようで……。吉報を待ちたいところです。
何よりコンバットに注力した
デビッド・ステントン氏(写真・右)
Dambuster Studios ゲームディレクター
アイシャ・カーン氏(写真・左)
Dambuster Studios リードナラティブデザイナー
――本作が発表されたのが2014年で、それから今年で8年になりますが、これだけ時間がかかった理由を教えてください。
デビッド2014年に続編制作が発表されましたが、私たちは2018年からこのプロジェクトに取り組んでいます。設定がとても気に入って、ロサンゼルスという場所もよかったのですが、このゲームに自分たちのビジョンを取り入れたかったので、コンバットを柱として、パラダイスが地獄になるゲームをいちから作り直しました。2018年から情熱を持って取り組んできました。
アイシャ私たちDambuster Studiosが、本作の開発に着手してから4年経ちますが、これは一般的な開発期間と言えるかと思います。
――本作でこだわったポイント、注力したところを教えていただけますか?
アイシャ何よりもフォーカスしたのはコンバットです。1作目『デッドアイランド』のコンバットはとても楽しいものでしたので、フランチャイズの柱として、よりどころにしたかったのです。残忍で直感的な近接攻撃で、プレイヤーの皆さんが遊びたいだけ、ファイトできるようにしたいと思いました。
そのため、ロサンゼルスのストリートのレイアウトを使って、できるだけストリートファイトができるようにしています。コンバットにも変化をつけておもしろくしていて、スキルや武器を即時に変えられるようにしているんです。実験的でおもしろいコンバットになっていますよ。
デビッドアイシャがお話しした通り、『デッドアイランド2』では、とにかくコンバットにフォーカスしています。
デモ版のプレゼンでご覧いただいたように、本作では、独自の流血テクノロジーである“フレッシュ(肉体)システム”を構築しており、“イビサレーション(内臓吐出)システム”によって、ゾンビを“薄切りにする”、“角切りにする”、“切り刻む”、“溶かす”といったことがグラフィックで表現されます。これはコンバットの戦術にもつながっています。本作では、コンバットのサンドボックスに燃料、酸、水、電気などさまざまなファクターを取り入れていて、こうした要素を使ったコンバットが可能です。そういう意味では、直感的で残忍なコンバットを強化していると言えます。
――アイシャさんはナラティブ担当とのことですが、ナラティブで注目してほしいポイントを教えてください。
アイシャナラティブデザイナーとして、もっとも興味深い課題は、ストーリーは簡潔でありながら6人のプレイアブルキャラクターがそれぞれ独自のパーソナリティーを持っているということでした。彼らは同じものに対しても異なる反応をするので、それがうまくいくようにする必要がありました。
クレイジーなキャラクターやおもしろいクエストなどは楽しいですが、各キャラクターを際立たせるのはたいへんでした。同じものに対してもあるキャラクターはよい反応をしますが、そうでないキャラクターもいて、そのシーンがうまく整合が取れるようにするのはチャレンジでした。シナリオもたくさん書きましたし、レコーディングもしました。ボイスオーバーもたくさん使ったので、収録には何ヵ月もかかりました。
――6人のキャラクターを描き分けるのはたいへんでしたか?
アイシャその通りです。背景 もパーソナリティーもまったく違い、プレイスタイルも違います。あるキャラクターはその背景のせいで何かに強く反応するかもしれませんが、ほかのキャラクターはまったく気にしないということもあります。
デビッドナラティブチームはこの6人を見事に描き分けてくれました。この中のひとりとして新しいゲームをスタートするのは純粋に楽しいですよ。いろいろな状況で反応の違いを楽しめます。興味深いキャラクターたちなので、選ぶのが難しいです。
アイシャひとつのストーリーで6人をうまく動かすのは難しかったです。協力プレイがあるのでさらに難しいわけです。ひとりが枝分かれしてAに行き、別の人は枝分かれしてBに行くのでは、(協力プレイで)いっしょにプレイできません。いつでもいっしょにプレイできるようにする必要がありました。しかも、それぞれ異なるキャラクターとして違う反応をしなくてはならないのです。
――舞台をロサンゼルスにした理由を教えてください。
アイシャ『デッドアイランド』シリーズのテーマのひとつは、“パラダイスが地獄になる”というものです。1作目『デッドアイランド』の舞台は架空のアイランドリゾートでしたが、それは多くの人にとってパラダイスでした。しかし現代版ではロサンゼルスのような場所がパラダイスであり、ハリウッドはゴールなのです。ビーチも太陽もあり美しい。ハリウッドのインフルエンサーやロックスター、俳優、セレブになりたいと思う人も多いことでしょう。パラダイスのモダンバージョンというわけです。そして『デッドアイランド2』では、それをめちゃくちゃにします(笑)。
デビッド『デッドアイランド2』では、プレイヤーの皆さんを絵ハガキで見るようなロケーションにお連れします。ベニスビーチ、サンタモニカ、ベルエアーの大邸宅、ビバリーヒルズ、興味深いビルディングも出てきて、探索することができます。大邸宅に以前住んでいた人たちの話も聞けますよ。
――ちなみにオフィスはロサンゼルスにあるわけではないですよね?
デビッドオフィスは、イギリス中心部のノッティンガムにあります。コロナ禍でロックダウン中に開発していましたが、チームががんばって素晴らしいロサンゼルスを構築してくれました。絵ハガキのようなロサンゼルスです。現地に住んでいる人ならこうしたロケーションはすぐに認識できますし、そこにいるように感じると思います。コンバット、探索、ゲームプレイのいずれをとってもしっくりきますよ。
――試遊させてもらって感じたのですが、ゾンビを倒す際の残虐表現の多彩さにも相当力を入れていそうですね。
アイシャおっしゃる通りです。社内で最先端の流血テクノロジーである、“フレッシュシステム”を開発しました。さらには、ヒューマノイド(人間そっくり)用の身体全体をカバーする、“イビサレーションシステム”です。すべてのゾンビは骨から全部作られているということです。各臓器は筋肉、皮膚の層の奥に正しく配置されているので、プレイヤーがどの部分をどのように破壊しても正確に描かれます。ドラマチックで激しい流血が伴いますが……。プリレコやあらかじめのレンダリングではなくて、完全にプロシージャル生成なんです。
デビッド『デッドアイランド』では、ゾンビはまさに中心的な存在です。目玉が飛び出し、顎が垂れ下がり、腸が飛び出すモンスターのようなクリチャーです。切り刻むこともできますが、クールなのはゾンビを溶かすことです。まず服が溶け、皮膚が溶け、骨になるまでのテクノロジーがよくわかりますよ。
――本作のマルチプレイはどのようなものになるのですか?
デビッド3人キャンペーン協力プレイということ以外は、まだお話ししていません。続報に期待してください!
――最後に、本作を楽しみにしている日本のファンにメッセージをお願いします。
アイシャ 『デッドアイランド2』は、大混乱が大好きな方には太陽の下での楽しみになるでしょう(笑)。皆さんがどのようにプレイしたいかを見つけるための実験です。正しい遊びかた、正しい武器、正しいスキルの組み合わせなどというのはありません。皆さんがやりたいようにプレイすればよいのです。
開発チームの中でも遊びかたはまったく違います。しょっちゅうドロップキックをする人、地面に叩きつける人、早い武器、遅い武器、好みはさまざまですが、どれもうまくいきます。ひとつのよい遊びかたがあるわけではないのです。いろいろ実験してみてほしいです。スキルも途中で変更できます。とても楽しいですよ!
デビッドアイシャが言い尽くしてくれたので、そのほかに何が言えるかなあ……(笑)。至近距離でのコンバットゲームが好きで、ゾンビを心ゆくまで倒したい方のために『デッドアイランド2』は限界に挑みました。とにかく楽しいゲームです。コンバットサンドボックスでは爆発が起き、水溜りで感電するなど、コンバットの振り付けには力を入れました。そんな本作にご期待ください。