最新大型アップデートとなるパッチ6.2"禁断の記憶"の公開を2022年8月23日に控えている、スクウェア・エニックスのオンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』(以下、FFXIV)。先月には日本と欧州地域のデータセンターを拡張し、“データセンタートラベル”が解禁されるなど、さらなる盛り上がりを見せている。

 そして『ファイナルファンタジー』シリーズの生みの親である坂口博信氏も、『FFXIV』に昨年からドハマり中の“光の戦士”のひとりだ。今回はそんな坂口氏と、『FFXIV』の有名プレイヤーとの対談企画が実現! Twitterなどで話題の“24アカウントを同時運用するプレイヤー”ウィン氏のお宅を坂口氏が訪問した模様をリポートする。

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【FF14】坂口博信氏が24アカウントプレイヤー・ウィン氏を訪問!! それぞれの『FF14』の楽しみ方を聞く対談インタビュー
【FF14】坂口博信氏が24アカウントプレイヤー・ウィン氏を訪問!! それぞれの『FF14』の楽しみ方を聞く対談インタビュー

 まずは“24アカウントのキャラクターを同時に操作する”という驚きのプレイスタイルの模様とともに、実際にそのプレイを目の当たりにした坂口氏のリアクションをお届け。後半では対談インタビューとして、お互いに聞いてみたいことや、それぞれの『FFXIV』への想いを語ってもらった。

【FF14】坂口博信氏が24アカウントプレイヤー・ウィン氏を訪問!! それぞれの『FF14』の楽しみ方を聞く対談インタビュー
坂口博信氏(左)とウィン氏(右)

坂口博信(さかぐち ひろのぶ)

ミストウォーカーCEO。『ファイナルファンタジー』シリーズの産みの親。(坂口博信Twitter:@auuo)

24垢使いウィン

『ファイナルファンタジーXIV』の有名プレイヤー。24アカウントを同時運用するという凄技でTwitterなどで話題に。(24垢使いウィンTwitter:@winx045)

24人プレイ用にカスタマイズされたプレイを余すことなく坂口氏に披露!

 まずはインタビューの前に、実際に24アカウントでのプレイをどのように行っているのか、坂口氏とともにウィン氏のお部屋を訪問。部屋に入るとまず目に入ってくるのは、ベッドを中心に円形状に配置されたPCモニター群。すでにTwitterなどで部屋の模様を知っている坂口氏も、まるでコクピットのような雰囲気に圧倒されていた。

 そしてなにより目についたのは、モニターの前にズラリと並べられたコントローラー(PS5用のDualSense)。「このコントローラーの使い方が、よくわからないんだよね」と坂口さんがつぶやくと、ウィン氏が実際に24アカウントプレイを披露してくれる流れに。

 ウィン氏によると、24キャラクターで遊ぶときはメインキャラクターを中心にした8人パーティのほか、セカンドパーティ、サードパーティをそれぞれ8人ずつで組み、それぞれがメインキャラクターのパーティを追従していくというスタイルでプレイしているとのこと。その際に活用しているのが、Tellを送ってきた相手をターゲットするマクロのようだ。

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ベッドを取り囲むモニターの数は13枚(うち1枚はゲーム外で使用)! それぞれに2アカウントずつ表示され、基本はメインモニターを見ながらプレイをしている。

 ちなみに、1画面に2アカウントを同期させてプレイできるのは、オプションで“アプリケーションが非アクティブでもゲームパッドを有効にする”という項目をオンにしているからだそう。それを聞いた坂口氏は「そんな設定があったんだ。まったく知らなかった」と驚きつつも、「もはやこうやって遊ぶことも想定して作られているような感じがするよね(笑)」と笑っていた。

 基本的にどのジョブ&クラスで遊ぶときも、コントローラーのスティックを押し込むL3ボタン、R3ボタンにマクロを設定して、それを発動させることでまとめて行動するように設計されているとのこと。機械的な仕掛けやツールは何も使っておらず、すべてアナログで動かすその様子はまさに職人芸だ。

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以前はコントローラーがなく、マウスのサイドボタンなどを使いプレイしていたらしいが、個別にターゲットをする必要があり大変だったと振り返るウィン氏。PS5のコントローラーを使用している理由は、購入タイミングと発売タイミングがちょうど重なったとのことだ。

 それを見た坂口氏は「最初に話を聞いたとき、僕は12個のコントローラーを板などの上に配置して、1ヵ所動かせばグイって物理的に順番に動くような装置を作ったのかなと思っていた」と告げ、それに対してウィン氏は「じつは最初は靴ベラとか定規を買い、滑り止めなどを付けて試してはみたんです。でもいずれかのキャラクターが動かないなど、ちょっと難しかった」と、現在に至るまでの試行錯誤を語っていた。

 そして実際の操作として、クラフター24人でのアイテム製作から見せてくれることになったのだが、一斉にキャラクターたちが製作を進める様を見た坂口氏は「壮観だな。これは祭りだ。やばい(笑)」と声を上げ、「こうやって24人で製作しているのを見ていると、“働いている”って感じがするね」と、24キャラクターを器用に操作するウィン氏に感心していた。

 また、その流れでギル稼ぎの話題になると、24人でのおもなギル稼ぎはF.A.T.E.でバイカラージェムを集め、それをバイカラージェム納品証と交換してマーケットで売却する手法であると語るウィン氏。そしてその稼ぎ額は、「がんばれば24時間で約1億ギル」とのこと!! そのケタ違いの金額に、坂口氏&取材メンバーは思わずテンションが上がってしまうほどだった。

 なお、ギル稼ぎと合わせて各キャラクターのジョブレベル上げも同時に進行しているとのことで、現在のレベル上げの状況を伺うと「基本的にナイトとガンブレイカーは全員レベル90で、あとは“このキャラクターは白魔道士”といったように分けて育てています。最初にストーリーを進める際は、ひとりずつ違うジョブがカンストすることを目標にレベル上げをしていました」と語っていた。

 そんなプレイスタイルに関連して坂口氏が興味を持ったのが、単にレベルを上げているだけなのか、最新の装備をしっかり整えているのかという点。それに対してウィン氏が見せてくれたのが、24人がどのような装備状況で、今後なにをそろえるべきかをまとめたチェックシートだ。徹底的に管理されたチェックシートからも、ウィン氏のマメさが伝わってきた。

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シートを見ると、それぞれのキャラが零式装備や天文RE装備などをそろえているのがわかる。

 そしてなんと、現在は14人ぶんの“絶竜詩戦争”武器がそろっているとのこと。なお、アラガントームストーンの収集はモブハントを活用しており、その際は移動時間や準備に手間取らないように、24人ではなく8人ずつにわけて参加しているらしい。ちなみに“絶竜詩戦争”に関しては、さすがに複数アカウントでのプレイでは難しく、固定のメンバーに協力してもらってひとりずつ挑戦しているとのことだ。

 その後は嘆きの海のF.A.T.E.で24人同時の戦闘を見せてくれる流れに。編成としては全員がナイトで参加し、3つの8人パーティでアライアンスを組む形で移動するのだが、一斉にテレポをして移動する様子を見て、坂口氏も「おお、きたきたきたきた。8人ずつ来た! 不思議な光景だ!」と興奮。

 その後は24人がそれぞれマウントに乗って移動。ちなみに、全員がカーバンクル・アクアマリンのマウント(オンラインストアで購入可能)を活用していたが、これはウィン氏によると「ほかのマウントだと24人が集合した際に見栄えが悪くなりますが、これだとキレイな青い光の固まりになるんです」とのこと。坂口氏も思わず「こだわっているな~」と感心していた。

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 そして実際に戦闘がスタートすると、24キャラが一斉に範囲攻撃を展開。ウィン氏によると、アクションは範囲攻撃のマクロと回復魔法のマクロを交互に使っているとのこと。ジョブはナイトなので一発くらいダメージを受けても死なず、自己回復もできるので安定して戦えるようだ。

 また「最近はアップデートで、アクション実行時に自動で攻撃対象をターゲットできるようになったので、マクロさえ発動すれば戦闘が継続できてラクになりました」とも語り、坂口氏も「あれはうれしかったよね。自動で一番近い敵をターゲットするし」と同意しつつ、「ある意味『FFXIV』の仕様に合わせてプレイスタイルも進化しているわけだ」と感心していた。

 実際に24アカウント同時プレイの戦闘を目の当たりにした坂口氏は、あらためて部屋を見渡しつつ、興味は電気代の話に。「ブレーカーが落ちるのでは?」という問いかけに、ウィン氏は「落ちます(笑)。ですから、ひとつのコンセントにつなげるPCは3台まで、といったことを決めています」と、気を配りながらプレイしていることを明かした。

【FF14】坂口博信氏が24アカウントプレイヤー・ウィン氏を訪問!! それぞれの『FF14』の楽しみ方を聞く対談インタビュー
モニターの背後にはPCが横積みされており、この絵面だけでもかなりのインパクトが!

 以前はベッドの周りまでPCがあり、部屋に入るのも苦労する感じだったため、いまは整理したとのこと。ちなみに衣食住はベッドの上で済ませており、ウィン氏は「これだと寝て起きたらすぐプレイできるので」と笑っていた。

 というわけで、ここまではウィン氏による実際のプレイの模様をお届けしたが、ここからは坂口氏とウィン氏による対談がスタート。『FFXIV』に情熱を注ぐふたりの“光の戦士”の対話にぜひ注目してほしい。

総キャラクター数は200! 気づいたら24アカウントに増えていた驚きのプレイスタイルとは?

――今回、最初に坂口さんからウィンさんにコンタクトを取られたというお話でしたが、そもそものきっかけは何だったのでしょうか?

坂口24アカウントでプレイしている人がいるとTwitterで知って、最初は「なんだこの人は?」と興味がわいたんです。そこでうちのフリーカンパニー(以下、FC)である“スクウェア開発室”に来てもらったのがきっかけかな。

ウィンそうですね。そのときは2キャラで坂口さんのFCハウスを訪問させていただいて、そのあと“輝ける神域 アグライア”をご一緒させてもらいました。

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――そして、実際に坂口さんがウィンさんのお宅訪問をすることになり、それをファミ通ドットコムで取材させていただくことになったわけですが、そもそも複数アカウントでのプレイはいつくらいから始められたのですか?

ウィン最初は1アカウントで始めてすぐに2に増えて、『新生エオルゼア』の時点で4アカウントになりました。その後は『蒼天のイシュガルド』で8、『紅蓮のリベレーター』で16、『漆黒のヴィランズ』で20、『暁月のフィナーレ』で24アカウントになりました。『FFXIV』では拡張パッケージに合わせてジョブが増えていくので、どうせなら全ジョブをズラリと並べ、ジョブ専用装備を着せて記念写真を撮りたかったんです。

坂口なるほど。それがモチベーションのひとつだったんだ。

ウィンいまは20ジョブですが、今後もジョブが増えることを見越して24アカウントかなと。

――きっと、つぎの拡張パッケージまでは大丈夫ですね(笑)。

ウィンあとはF.A.T.E.で活動する場合、パーティに8人いたほうが貢献度を稼ぎやすいのです。20人だと、3つめのパーティが4人なってしまうので。

――トレジャーハントの宝物庫もひとりで挑戦できそうです。

ウィンできますね。ひとりで行って8人ぶんのお金が入るのでけっこうな儲けになります。

坂口でも24人ぶんのストーリーを進めるのは大変じゃない?

ウィンこの人数ですから、けっこうたいへんですね。とくに『暁月のフィナーレ』で採用された“見つかると失敗になる”タイプのクエストは、ひとりずつ確実にクリアーしないといけないのでたいへんでした。そのほかの戦闘系のクエストは4人くらいでそれぞれ突入して、戦闘不能後に難易度をベリーイージーにして進めたりしています。

――24人ぶんはかなりたいへんだと思いますが、「全ジョブを並べたい」という思いのほかにも、複数アカウントのキャラを育成するきっかけはあったのでしょうか。

ウィン“零式などでの装備の入手に週制限があったから”、というのも大きいですね。例えばひとりのキャラクターで全ジョブの零式装備を入手するとなると非常に時間がかかりますが、別のアカウントのキャラクターを同時に育成すれば並行して装備を入手できるのではと思い、気が付いたらアカウントが増えていたという感じです(笑)。

――ちなみに、先ほどの24人は種族をヴィエラ男性にそろえているようでしたが、それもこだわりのひとつでしょうか。

ウィン基本は種族をそろえて統一感を持たせています。『紅蓮のリベレーター』まではバラバラでしたが、いまはヴィエラだけ、ララフェルだけといった形で24人そろうようにしています。

坂口FCに2キャラクターで遊びに来てくれた時も、どちらのキャラクターに話しかけていいのかわからなかったよ(笑)。

ウィンあとは衣装についても、新選組風にそろえたり、神殿騎士団風にしたりといった感じにまとめています。

【FF14】坂口博信氏が24アカウントプレイヤー・ウィン氏を訪問!! それぞれの『FF14』の楽しみ方を聞く対談インタビュー

坂口新選組風の衣装(風雅衣装セット)などは有料アイテムだよね。全員ぶんでいくらかかっているのか気になるな……。

ウィンそれほどでもないです。24人ぶんで4万くらいでしょうか。

――けっこうな金額ですよ(笑)。

ウィンでも、いわゆるソーシャルゲームの課金よりは安いかなと(笑)。

坂口電気代もけっこうかかるんじゃない?

ウィンそこまで高くはないですが、いまの時期(夏)だとちょっと増えますね。高いときはひと月2万円くらいで、冬だと1万円ちょっとです。

坂口思っていたほどでもないのか……。うちのスタッフは「いやー、月20万円は確実にかかっていますよ」と言っていたので(笑)。

ウィンただ電気代のほかに、ブレーカーについてはもともと20Aだったものを、さすがに30Aに増やしました。

――ちなみに機材などを含めて、全体でどれくらい投資したかは把握されていますか?

ウィンけっこうかかっていると思いますが……たぶん一千万円くらいでしょうか?

坂口おおー! まあPCの買い直しとかもあるからね。

ウィンはい。やはり数も多いですし、どんどん壊れていってしまうので……。

――2アカウントを同時に立ち上げるには、それなりの性能のPCが必要ですからね。ちなみに24アカウント合計で、育てているキャラクターは何人くらいになりますか?

ウィン最終的には200人くらいですかね。実際にレベルが上がっているのは72人だと思います。

坂口72! すごいな(笑)。

――その中に、“ララフェルだけで24人”といったキャラクターもいるのですね。同じキャラクターがそろっていると、何かのイベントかと思っちゃいそうです(笑)。

ウィンリムサ・ロミンサなどで放置していると「何かの祭りですか?」と言われることはあります。そんなときは「いえ、ただの24アカです」と答えています(笑)。『紅蓮のリベレーター』ではガイアDCの16人とマナDCの16人の計32人で、“禁断の地エウレカ”を遊んだりもしていましたね。ちなみに、歴代の『FF』のキャラクターになぞらえた衣装でそろえたキャラクターもいます。

坂口おお! それはすごいね。

【FF14】坂口博信氏が24アカウントプレイヤー・ウィン氏を訪問!! それぞれの『FF14』の楽しみ方を聞く対談インタビュー
【FF14】坂口博信氏が24アカウントプレイヤー・ウィン氏を訪問!! それぞれの『FF14』の楽しみ方を聞く対談インタビュー
後日、坂口氏のFCハウス前に、歴代の『FF』シリーズ衣装のキャラクターが集合した模様がこちら。まさに圧巻!

――しかし、これだけ人数がいると、メンテなどで再ログインする際のパスワード入力なども大変そうです。

ウィンブレイカーが落ちたときは最悪です……。

坂口あー、それはヤバいね(笑)。

――さて今回、そんな24アカウントでのプレイを間近に見られた、坂口さんの率直な感想をお聞かせください。

坂口「もうちょっとあわただしく操作しているのかな」と思っていたので、実際の操作の様子は意外でした。もちろん、現在に至るまでがたいへんだったと思いますが、いまはだいぶスマートに見えますね。

ウィンそれでも、ひとりでノーマルレイドなど挑戦したときは大変でした。

坂口でも、そこで「無理だ」と思わないのがさすがだね(笑)。感想としてはとにかく「すごい」と思いました。ただ、マネをしようとは全然思わない(笑)。

一同(笑)

――ウィンさんとしては、実際にこのプレイスタイルで遊んで一番おもしろいと感じている部分はどんなところですか?

ウィンやっぱり、ほかの人に驚いてもらえることですかね。

坂口そうだよね。僕も最初は驚くというか、信じなかったもの。「24人って、なんか数え方を間違っているんじゃない?」と思っていたくらいで。

――操作できてもギリギリ8人くらいかなと思っちゃいますよね。

坂口あと、ウィンさんで一番おもしろいのはツイートだ、とも思っているんですよ。

ウィンTwitterではいろいろなポーズでSSを撮影して公開していますからね。じつは実際にプレイしている画面はそれほど見栄えがよくないんです。

坂口そうだよね。戦闘中はキャラクターが重なってしまうし、エフェクトで何が起きているのかわかりにくいし。そうなるとさっき見せてもらった、うちのFC前にズラリと並んでいた写真も撮るのは大変だったでしょう?

ウィンそうですね。ひとりずつ微調整しながら並べていました。

24アカウントといえど、アライアンスレイドはやはり厳しい!?

――ウィンさんはもともと『FF』シリーズが好きだったのでしょうか?

ウィンじつは僕、シリーズで初めてプレイしたのが『FFXIV』なんです。そこから興味を持ってシリーズをさかのぼり、『FFIV』などをプレイしました。『FFXIV』に時間を取られてなかなか全作品を遊べてはいないですが……。

――まだお若いですよね?

ウィン今年で30歳です。

坂口『FFXIV』の前は何を遊んでいたの?

ウィン『FFXIV』の前はFPSをよくプレイしていましたね。RPG自体はあまりプレイしていませんでした。

坂口そっちも複数アカウントで?

ウィンいえ、さすがに1アカウントです(笑)。

――ちなみに『FFXIV』のプレイは『新生エオルゼア』からとのことですが、何がきっかけで始めたのでしょうか?

ウィン別のゲームの友だちに誘われたからですね。

――基本は日中にお仕事をされて、帰宅後の時間をプレイに充てていと思いますが、睡眠時間は?

ウィン4~5時間くらいです。

坂口あ、それなりに取れているんだね。プレイヤーの中には「3時間」という人もいるから。「朝から仕事です」って午前5時くらいに言っている人もいるし(笑)。

一同(笑)。

――ふだんはひとりでのプレイに加えて、友人ともプレイしている感じですか?

ウィンそうですね。いまは“絶竜詩戦争”などをみんなで遊んでいます。

――普通に友人とのプレイも楽しみつつ、24アカウントでのプレイもされていると、時間がいくらあってもたりないですよね。ちなみに24人のキャラは、ひとつのFCに入っているのでしょうか。

ウィン24人が同じFCに入っていますね。以前はFCの同時ログイン数によって、カンパニークレジットのもらえる数が減る仕様だったので、ひとりずつFCを分けていました。いまはそれが撤廃されているので、同じFCにしています。

坂口人数に関係するシステムにすごく詳しいよね。僕らはあまり知らなかったりするけど(笑)。

ウィンそうですね。人数制限で言えば、スクリーンショットを撮るときに同期できる人数も42人くらいだと思います。その際はマウントも1キャラぶんとして数えられますね。

――これまで24人で挑んだコンテンツで、一番難しかったのは何ですか?

ウィン24人でプレイするのは、さすがにF.A.T.E.やモブハントくらいまでで、8人なら宝物庫やノーマルレイドはクリアーしています。24人で“クリスタルタワー:古代の民の迷宮”にチャレンジしたこともあるのですが、やっぱり難しいですね……。

【FF14】坂口博信氏が24アカウントプレイヤー・ウィン氏を訪問!! それぞれの『FF14』の楽しみ方を聞く対談インタビュー

坂口なんとなく“古代の民の迷宮”ならいけそうだけどね。

ウィン制限解除でしたら余裕なのですが、解除なしですと1ボスのボーンドラゴンでザコの骨がスゴく沸いてしまい……(苦笑)。

坂口あー!(笑)。

――あそこはヒールが厚くないと厳しいですね。

ウィンふつうのIDならば4人なので、それくらいならば大丈夫です。

坂口まあ、24人に比べたらド楽勝ですよね。

一同(笑)。

――いろいろお話を伺っていると、ご自身の性格的にもこういうマメな作業がお好きなんですね。

ウィンそうですね。こういう遊び方は好きです。「攻撃はどの順番にすれば一番攻撃力が高くて効率的か」などを自分で考えてマクロを作るのも楽しいですね。

坂口24人プレイのためのマクロって普通はないからね。ひとり用のマクロならネットにあるものをコピーしたりできるけど。僕も最初のころはマクロを自分で必死になって考えていたら、「坂口さん、いまマクロを送りましたのでコピペしてください」って言われて、「あ、そういうものなの!?」と驚きました。

ウィン僕の場合は24人用のマクロなんてそもそもないので、自分で作るしかないんですね。

坂口だから今日は、それを実際に見たかったんだよね。ちなみにほかにも、『FFXIV』内で活動している有名な踊り子ユニットの方々がいて、こちらもどのようなマクロなどでダンスしているのか、今度取材してみたいなと思っています。

――取材といえば、逆にこれを機にウィンさんから坂口さんに聞いてみたいことはあります?

ウィン先日“絶竜詩戦争”に挑まれていたと思いますが、今後も継続して挑戦されるのですか?

坂口いや、あれは見学で、周りに止められています(笑)。“零式”がクリアーできるギリギリかな……。ちなみに“絶”コンテンツって何が一番難しい?

ウィン20分間ずっと、零式のようなギミックを絶え間なくこなしていくところですかね。

坂口長時間なのがつらいんだ。ギミック自体は“零式”と変わらない?

ウィン大きくは変わらないですが、“ワンミスしたらそこで終わり”というのが厳しいです。2ヵ月間くらいずっと練習してやっとクリアーできるレベルなので……。

――それで自分のミスで進めないとなるとけっこうつらいですよね。

坂口そういう意味では人間関係も重要だよね。

【FF14】坂口博信氏が24アカウントプレイヤー・ウィン氏を訪問!! それぞれの『FF14』の楽しみ方を聞く対談インタビュー

ウィンですね。8人全員違う考えを持っていますから。ずっと一緒にプレイしてきた仲のいいメンバーならば意思疎通しやすいですが、コンテンツ攻略のために初めて集まったメンバーだと、ギミックの対処法を含め、いろいろすり合わせが必要だと思います。ちなみに坂口さんはどのような形で零式を攻略されていたのですか?

坂口僕の場合、攻略のために仲間と時間を申し合わせるのが、日本時間の夜11時くらいでしたね。するとアメリカは朝7時くらいで、ハワイだと5時くらいのため、時間を合わせやすいんです。だから朝にパッと起きてプレイするスタイルになりました。ただ、起きたばかりのときは完全に寝ぼけていて、最初の2戦くらいはもうまったくダメ(笑)。

――朝方のプレイスタイルだったのですね。

坂口そう。だから日本に帰ってきても、ほとんど朝にプレイしているんですよ。夜は仕事が入ることがあるし、お酒飲んで酔っぱらったら無理だし(笑)。

一同(笑)。

坂口だから日本でも、朝6時くらいに「いまから自分がクラフトしたものを売ります」といったツイートをして、7時にくらい人が集まって、そのあと「じゃあどっか行こうよ」とコンテンツに挑むことがあります。ギリギリまでログインしつつ「いや、さすがに出勤しないと……」と抜ける方もいますが、中には「抜けるわけにはいかないから午前中、休みにしました」って言ってくれる人もいて。そんな感じでみんなの社会活動の妨げをしながらプレイしています(笑)。そういえば今日は主婦の方たちと一緒にプレイしていて、お子さんのいる方が多く「最近の給食はすごい」という話を延々2時間くらいしていました。

――いまはデータセンターの垣根を越えて自由に各ワールドを訪問できるようになり、日本データセンターのプレイヤーなら、会おうと思えばだれとでも会えますからね。

坂口さらに、たまに英語圏の人もコミュニケーションを取ってきてくれますね。

ウィンもうひとつ質問を。先日、吉田さん(『FFXIV』プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏)と食事をされた模様をツイートされていましたが、どのような話をされていたのですか?

坂口ちょっとだけ真面目な話をして、あとはひたすら『FFXIV』の話を(笑)。あの写真については、ふたりで写真を撮るときにせっかくだからなんとなくラッパー的に写真を撮ろうと思ってサングラス取り出したのですが、吉Pも「あ、僕も用意してあります」と取り出したんです。「あんたも用意しているんかい!」って(笑)。それであの写真になりました。さすが吉P、用意周到だったね。

――吉田さんもウィンさんの部屋を見たらビックリされるんじゃないですかね。

坂口そうだよね。リアルワールドの“吉P散歩”とかやってほしいね。

坂口氏の熱望ジョブは風水士!? 語り尽くせない“光の戦士”たちの『FFXIV』愛!

――ここからは、お二人が『FFXIV』にハマっている理由をうかがえればと思います。まずウィンさんはいかがですか?

ウィン繰り返しになりますが、やはり“人の反応があること”ですかね。こちらの行動について相手が驚いてくれたり、いろいろな反応をもらえたりすることがやはり楽しいです。

坂口そうだよね。うちのFCハウスに来てくれた際、2キャラだけでも「ウィンさん、キター!」ってなったし。でも、まさかそのとき、外に22人がいたとは思わなかったですが(笑)。

ウィンすみません、勝手にお邪魔して(苦笑)。

坂口いえいえ。またぜひ来てください。じつは僕が『FFXIV』のプレイを開始してから、もうすぐ1周年になるんですよ。ぜひそのときもFCにいらしてください。

ウィンぜひ!

――坂口さんが、この1年でここまで『FFXIV』にハマった理由はなんでしょう?

坂口じつは、“ハマった”という感じではなくて“『FFXIV』が日常になった”という感じでしょうか。いまはちょうど仕事がひと区切りしているタイミングで、女房から「そろそろ働きたいでしょ?」と言われているのですが、それに対して真剣に返しましたよ。「できたら『FFXIV』プレイヤーのままで生きていきたい」って(笑)。

一同(笑)

ウィンでもたしかに『FFXIV』は“生活の一部”になりますね。やっぱりホームというか、ほかのゲームをプレイしていても、“帰る場所は『FFXIV』”といった感じです。

坂口そこがすごいよね。ほかのMMORPGには手を出したりはしなかったの?

ウィンほかのゲームでも14アカウントでプレイをしたことがありましたが、やっぱり『FFXIV』のほうがマクロなども充実していて遊びやすく、結局ここに戻りました。

坂口たしかに『FFXIV』はコンフィグ周りも充実しているよね。「こんなに!?」というくらい項目が用意されているし。

ウィン『新生エオルゼア』からアップデートされ続けていて、本当にいまは痒い所に手が届く感じです。

――ウィンさんは、いま以上にアカウントを増やしたり、プレイスタイルを変えたりする可能性はありませんか?

ウィンいえ、これ以上はないと思います。とは言いつつ、以前もこれ以上は増やさないと思いながら、8アカウント→16アカウント→24アカウントに増やしていますが……。

坂口“32キャラで同時に実行すると威力が増幅されます”、なんてアクションが追加されたら増やしそうだよね(笑)。

ウィンそうなると家を引っ越さないと増やせないですね。物理的なスペースもブレーカーも限界かなと(笑)。

坂口サブモニターをあまり見ないなら、別のアパートの部屋にモニターを置いて、そこを監視カメラで確認しながらプレイするなんてやり方もあるかも。

――それはすごいことになりそうです。ちなみにこの部屋に友人を呼ぶことはあるのですか?

ウィンいや、まったくないですね。呼ぶに呼べないかなと(苦笑)。かわりに『FFXIV』で会ったフレンドとオフ会で温泉旅行に行くことはあります。

【FF14】坂口博信氏が24アカウントプレイヤー・ウィン氏を訪問!! それぞれの『FF14』の楽しみ方を聞く対談インタビュー

坂口いいですね。それも“冒険”ですよ。『FFXIV』の外で仲間と見知らぬ土地に行くのも“冒険”ですし、「やっぱりリアルはおもしろいな」と感じます。でもその一方で、旅行が終わって『FFXIV』に帰ってくると、自分のキャラクターに対してすごく申し訳ない気持ちになるんですよ。「ごめんな、お前のこと置いていって」って(笑)。

――なんとなくわかります(笑)。

坂口この前もパリに行っているあいだにログインできなくて、最近ようやく入れたら「あれをやらなきゃ、これもやらなきゃ、ああ大変」となりました。

――それでは今回の対談の最後に、“これからの『FFXIV』に期待したいこと”をそれぞれお願いします。

ウィン自分は、フィールドを使ったコンテンツをもう少し増やしてほしいと思いますね。

坂口いまは街に比べてフィールドには人があまりいないからね。

ウィンその点がちょっともったいない気がします。

――たとえば“禁断の地 エウレカ”や“南方ボズヤ戦線”のような突発型のイベントが、F.A.T.E.とは違った形でフィールドでも展開するとおもしろいかもしれませんね。

坂口時間を区切ってもいいかもね。「この時間だけはちょっと“南方ボズヤ戦線”みたいになる」とか。

ウィンより“見知らぬ人と一緒にプレイする”感覚が楽しめますしね。

坂口しかもフィールドならば、ウィンさんの24アカウントが生きるし、24人で戦っている姿があちこちで見られそう(笑)。

――坂口さんが『FFXIV』に期待することはなんですか?

坂口もし作り手の立場で見た場合は、つい個々の仕様に注文をつけたくなるかもしれませんが、いまは本当にプレイヤーとして『FFXIV』を楽しませていただいているので、細かい注文はありませんね。強いていうなら、今後グラフィックをアップデートするという発表があったじゃないですか。自分はいまくらいのララフェルや着ぐるみの質感が好きなので、それをなるべく維持した形で進化させてほしいですね。例えばカエルの着ぐるみは、あの半分死んだ目の雰囲気だからこそいいわけで(笑)。

ウィン今後出してほしいジョブなどはありますか?

坂口ひと通りのジョブはもう出ているので、つぎは何でしょうね。自分の周りのみんなはなぜか「ハイパーモンクが欲しい」って言っています(笑)。

――青魔道士のようなリミテッドジョブとして、獣使いを望む声もありますね。

坂口ならば風水士もおもしろそうだよね。さっき言っていたフィールドでの遊びにもつながるし。「雨が降って、さらに海の近くだったら風水士が超強い!」とかね。僕の希望としてぜひ吉Pには検討してほしいですね(笑)。

――本日はありがとうございました!

【FF14】坂口博信氏が24アカウントプレイヤー・ウィン氏を訪問!! それぞれの『FF14』の楽しみ方を聞く対談インタビュー
最後にサインを求められて快く応じる坂口氏。レジェンドのサインが入った『FFI』のマウスパッドは、一生の宝物になりそうだ。

 なお、冒頭にも掲載しているが、取材後に坂口氏のFCハウスをウィン氏の24キャラクターが訪問。その様子を収めたスクリーンショットをいただいたのでここに掲載させていただく。フライングマウントでのスクリーンショットは、鳳凰に乗っているのが坂口氏で、それに続くキャラクターがウィン氏の操作する24人だ。このようなスクリーンショットを自在に撮影できることも、24アカウント操作の醍醐味と言えるかもしれない。

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