ファミ通.comの編集者&ライターがおすすめゲームを語る企画。今回紹介するゲームは、『Refund Me If You Can』です。

【こういう人におすすめ】

  • 気軽にシンプルなホラーゲームを楽しみたい方
  • スピードランや早解きに挑戦するのが好きな方

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Refund Me If You Can

  • プラットフォーム:PC(Steam)
  • 発売日:2022年7月22日
  • 発売元:Sungame Studio
  • 価格:520円[税込]

Refund Me If You Can - Official Trailer 2

 本作はクリーチャーがうごめく迷宮からの脱出を目指す……といったもので、ホラーゲームとしてはオーソドックスで没個性なタイトルに思えます。しかし、本作の大きな特徴は“返金RTA”要素にあるのです。

 Steamでは購入から2週間以内で、なおかつプレイ時間が2時間以内のゲームならば返金が可能です。この規約を利用し、2時間以内にゲームをクリアーして返金することを目的としたゲームなのです。ちなみに価格は520円。

 タイトルである『Refund Me If You Can』の和訳は「できるもんなら返金してみろ」となっており、購入者を煽るようなものとなっているほか、ストアページにも「あなたが臆病者ではないなら、払い戻し申請の前にクリアすることに同意してください」という表記があり、さらには2時間が経過すると実績もロックされてしまいます。

『Refund Me If You Can』(Steam)

巨大迷路は2色のフレアが命綱

返金RTA!?『Refund Me If You Can』レビュー。2時間以内のクリアを目指すホラーゲームは緊張感MAX
ゲームを起動すると、メニュー画面から右上でタイムの計測がスタート。オプション画面や、チュートリアル中でも無情にもタイマーはカウントされます。焦る…。

 筆者も購入して、2時間クリアーに挑戦してみました。プレイヤーは主人公“サラ”となって、薄暗い地下道のような迷宮を探索し、正しいルートを見つけて脱出するのが目的のゲームです。迷宮にはクリーチャーが徘徊し、罠が設置されているので、これらを避けながら正しい扉を見つけなければいけません。

返金RTA!?『Refund Me If You Can』レビュー。2時間以内のクリアを目指すホラーゲームは緊張感MAX
薄暗い迷宮は100以上の道があり、正しいルートはひとつだけ。残りの道は行き止まりです。
返金RTA!?『Refund Me If You Can』レビュー。2時間以内のクリアを目指すホラーゲームは緊張感MAX
ごみの壁を乗り越えつつ、先に進む必要がある場所も。

 迷宮は先がまったく見えないほど暗く、懐中電灯片手に進んでいくことになります。しかし懐中電灯を使用するとどんどんバッテリーが減るので多用は禁物です。代わりに、本作ではフレアを目印に置きマーキングできます。

 攻略のカギはこのフレアです。フレアは緑と赤の2色があり、どちらも無限に使えます。使いかたも自由なので、すでに通った道に緑のフレアを、行き止まりへ続く道や罠のある場所に赤のフレアを置くなど、自分なりの法則を作っておくといいでしょう。正解の道を通ると効果音が鳴るので、それを基準にフレアを配置すると効率的です。

返金RTA!?『Refund Me If You Can』レビュー。2時間以内のクリアを目指すホラーゲームは緊張感MAX
2色のフレアの使い分けをどうするかが1秒でも早い攻略のカギです。
返金RTA!?『Refund Me If You Can』レビュー。2時間以内のクリアを目指すホラーゲームは緊張感MAX
一度通った道にフレアを配置しておけば、つぎに来た時に照らしてくれます。

 ゲームオーバーになるとスタート地点に戻されますが、フレアはそのままなので、2週目以降はフレアの光を頼りに進めます。フレアの配置をミスったと思ったらゲームを再起動すればすべてリセットされますが、逆に休憩しようと思ってゲームを閉じると振り出しに戻ってしまうので注意が必要です(経験談)。

迷宮に潜むクリーチャーの一撃必殺!

返金RTA!?『Refund Me If You Can』レビュー。2時間以内のクリアを目指すホラーゲームは緊張感MAX
迷宮に出現するクリーチャー。長い爪で攻撃されると一撃でゲームオーバーに。

 迷宮には長い爪を持ったクリーチャーが徘徊しており、こちらを見つけると追いかけてきます。近くにいると心拍音が鳴りますが、突然出現することもあり驚かされます。慣れてくれば意外と簡単に横をすり抜けることができ、逃げるのは難しくない印象でした。しかし、まだフレアを配置していない暗がりに出てくると逃げ先が分からないので対処にこまります。また、本作はジャンプの挙動が独特で、敵に追われている最中は段差が死因になることもありました。

返金RTA!?『Refund Me If You Can』レビュー。2時間以内のクリアを目指すホラーゲームは緊張感MAX
迷宮には罠も配置されており、ぶつかると即死。移動する罠もあり、暗がりだと見えずに当たりがちです。
返金RTA!?『Refund Me If You Can』レビュー。2時間以内のクリアを目指すホラーゲームは緊張感MAX
休憩しようと思ってゲームを閉じてしまった筆者の図。フレアがない! 約1時間30分の苦労がすべて吹き飛ぶ絶望の暗闇……。

 筆者は方向音痴のため、なかなかマップを覚えられずかなり苦戦し、さらにゲームを再起動したことで頼みの綱のフレアがリセットされてしまい絶望的な状態に……。記憶を頼りにクリアーを目指しますが、結局2時間以内でのゲームクリアーは達成できませんでした……。Steamレビューを見る限り、それなりの数のプレイヤーがこの返金RTAをクリアーしているようなので、皆さんも挑戦してみてはいかがでしょうか?

楽しめたのなら返金しないという選択肢も

 総評として、本作は短時間で終わるので気軽にプレイできるゲームです。冒頭で述べた通り、オーソドックスなインディーホラーゲームといった印象ですが、2時間以内に終わらせなきゃというプレッシャーからスピードランになり、緊張感のあるゲーム体験になります。

 なお、Steamの返金システムは、購入者にとってはPCスペックが足りずにプレイできなかったゲームを払い戻しできる。といったメリットがある一方で、短時間でクリアーできる小規模ゲームの開発者からは否定的な意見もあります。中には“非常に好評”レビューをもらいながらも返金されすぎてしまい、今後のゲーム開発が困難になったという例も存在しています。そういう事情もあるので、もし本作がおもしろかったら、返金しないという選択肢も考えてみてください!(もちろん、返金するかどうかは個人の自由です)。