異なる作品の主人公や悪役たちが一堂に会し、一夜限りの特別なバトルをくり広げる光景。こうしたいわゆる“オールスター”モノのコンテンツは、誰しも見ていて興奮するものだろう。

 近年だと映画『アベンジャーズ』シリーズが知名度的にも代表例だと思われるが、まさに『アベンジャーズ』のような豪華なオールスターゲームが2008年に誕生している。そう、『ディシディア ファイナルファンタジー』(以下、『ディシディアFF』)だ。

 本稿では、『ディシディアFF』にどっぷり浸かったゲーム人生を送ってきた筆者が、同作のPVを取り上げつつ思い出を語っていく。

※本稿は、ざっくばらんな物言いとどうでもいい話が9割で構成されており、主観的でしかない内容を多分に含んでいる。閲覧の際は、コーネリア平原のように広い心をご用意のうえ、どうぞお楽しみを。

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こんなPV見たらワクワクするしかない!!

 『ディシディアFF』を知らない方もいるかもしれないので、まずは簡単な説明を。本作は、2008年12月18日にPSPで発売されたアクションRPG。『FF』シリーズ20周年記念作品であり、初代『ファイナルファンタジー』と同じ日に発売されている。ちなみに、ディシディア(dissidia)とはラテン語で“異説”を意味する。シャレてるね。

『ディシディアFF』ドット絵のキャラがリアル頭身でボイス付きになったときの感動。今でもプレイのモチベが絶えない【ゲーム動画で懐かし語り】

 14年も前というと、筆者はゲームライターになるべく専門学校で学びの徒となっていたころ。教室にあった共有PCで、当時公開された『ディシディアFF』のPVを何度も見直していたのが思い出される。

DISSIDIA FINAL FANTASY TRAILER

 PSPの作品なので、現代機のゲームに比べるとさすがにグラフィックは見劣りするものの、当時映像を見たときの衝撃はすさまじかった。

 PSPタイトルの中ではキャラクターの3Dモデルのクオリティが素晴らしく、「これが携帯機で遊べるのか!?」とワクワクしていたのも印象に残っている。

 なによりも、『FF』シリーズの歴代キャラクターがリアル頭身のモデルで登場したことに感動した。『FFX』以降のキャラクターはともかく、ドット絵やPSのポリゴンで表現されていた人物の生まれ変わりっぷりたるや……。バッツやジタンなどの主人公勢はもちろん、皇帝や暗闇の雲といった敵キャラクターの姿にも目が釘付けだった。

『ディシディアFF』ドット絵のキャラがリアル頭身でボイス付きになったときの感動。今でもプレイのモチベが絶えない【ゲーム動画で懐かし語り】
『ディシディアFF』ドット絵のキャラがリアル頭身でボイス付きになったときの感動。今でもプレイのモチベが絶えない【ゲーム動画で懐かし語り】

 さらに注目したいのが、本作でさまざまな『FF』キャラクターにボイスがついたこと。いまではボイス実装は当たり前のことのようだが、あのころはまだ『FFX』や『FFXII』のキャラクターがしゃべるくらいで、大半の『FF』キャラクター=ボイスなしという認識だった。

 『ディシディアFF』でリアルなモデルとボイスが与えられたことで、これまで以上に感情移入しやすくなり、キャラクターの魅力が増したのは言うまでもない。

 なお、クラウドやスコールに関しては『キングダム ハーツ』や『FFVII アドベントチルドレン』などですでにボイスを味わっていたので、ほかのキャラクターほどの初見インパクトはなかった。

 ……もしも『ディシディアFF』でこの2名のボイスも初出しだったら、興奮しすぎておかしくなっていたかもしれない。

『ディシディアFF』ドット絵のキャラがリアル頭身でボイス付きになったときの感動。今でもプレイのモチベが絶えない【ゲーム動画で懐かし語り】
『ディシディアFF』ドット絵のキャラがリアル頭身でボイス付きになったときの感動。今でもプレイのモチベが絶えない【ゲーム動画で懐かし語り】

 当時の筆者はゲームやアニメの声優にまだ関心が薄く、名前を挙げられる声優といえば『ドラえもん』の大山のぶ代さんくらいだった。なので、『ディシディアFF』のPVで声優を見てもいまいちピンとこなかったのだが、改めて見直すとあまりの豪華さに震えてしまう……。

 よくよく思い返せば、このころから声優の名前を意識するようになったし、好きな声優の活躍を追いかけるようにもなった気がする。自分の中に眠っていた“声オタ”の種を芽吹かせてくれたのも、『ディシディアFF』だったようだ。

対戦ゲームゆえにモチベーションが長く続く

 『ディシディアFF』は1作で終わりではなく、2009年には北米版をベースに追加要素を盛り込んだ『ディシディアFF ユニバーサルチューニング』、2011年には新作の『ディシディア デュオデシム FF』がそれぞれPSPで発売されている。

 この『ディシディア デュオデシム FF』は、おそらく筆者の人生のなかで一番プレイ時間が長い(数千時間に及ぶ)ゲームだ。ちなみに、デュオデシム(duodecim)とはラテン語で“12”を意味する。やっぱりシャレてるね。

DISSIDIA 012[duodecim] FINAL FANTASY JF2011 Trailer

 新たにライトニングやティファ、ユウナなど人気キャラクターが参戦した『ディシディア デュオデシム FF』。『FFXII』のヴァンも登場し、『FF』~『FFXIII』までの主人公格は勢ぞろいとなった。

『ディシディアFF』ドット絵のキャラがリアル頭身でボイス付きになったときの感動。今でもプレイのモチベが絶えない【ゲーム動画で懐かし語り】
『ディシディアFF』ドット絵のキャラがリアル頭身でボイス付きになったときの感動。今でもプレイのモチベが絶えない【ゲーム動画で懐かし語り】

 映像を改めて見ると、スクウェア・エニックスのPV作りの巧みさが感じられる。数分間の映像の中でカットシーンをどう織り込み、いかにストーリーやキャラクターを魅力的に映し出すか。視聴者の感情のフックとなるポイントを、よく心得ている印象だ。

 このころの筆者はスクウェア・エニックスの新作タイトルのPVに夢中で、東京ゲームショウやジャンプフェスタに出展されると聞けば、よく足を運んでいた。スクウェア・エニックスブースの“クローズドメガシアター”は整理券が一瞬でなくなるほど大人気だったため、始発電車で幕張メッセを目指し、開場いちばんでスクエニブースに駆け込んだものだ。

『ディシディアFF』ドット絵のキャラがリアル頭身でボイス付きになったときの感動。今でもプレイのモチベが絶えない【ゲーム動画で懐かし語り】

 『ディシディアFF』はストーリーを進めるRPGパートのほかに、1対1の通信対戦を楽しめるモードもあり、『ディシディア デュオデシム FF』のプレイ時間の大半はこれに費やした。実際に会ってPSPを持ち寄らなくても、PS3の“アドホック・パーティー”を利用すれば遠隔で対戦できたのも大きな要因だった。

 歴代の『FF』キャラクターを自分の手で操作し、派手な対戦アクションをくり広げられる――。これがおもしろくないわけがなく、また通信対戦なら相手が生身の人間なので、1試合ごとに展開が異なり飽きがこない。誇張抜きで相手さえいれば一生遊べるゲームであり、『ディシディア デュオデシム FF』は数年にわたってプレイし続けられた。

『ディシディアFF』ドット絵のキャラがリアル頭身でボイス付きになったときの感動。今でもプレイのモチベが絶えない【ゲーム動画で懐かし語り】

戦いの舞台は全国のゲームセンターへと移った

 そして、2015年。『ディシディアFF』はアーケードへと舞台を移し、全国のゲームセンターで光の戦士たちが日々熱い対戦を交わすようになった。

【DISSIDIA FINAL FANTASY】11.26 稼働告知 TRAILER

 PS4ベースで開発が行われていることもあって、PSPとは比べ物にならないほど見た目は進化。このアーケード版『ディシディアFF』は、仕事でもプライベートでもたいへんお世話になった作品なので思い出深い。

 それまでアーケードといえばUFOキャッチャーかゾンビを撃つシューティングくらいしか頭になかった筆者に、ゲームセンターで生のプレイヤーと交流する醍醐味を教えてくれた作品だ。

『ディシディアFF』ドット絵のキャラがリアル頭身でボイス付きになったときの感動。今でもプレイのモチベが絶えない【ゲーム動画で懐かし語り】

 残念ながらアーケード版は2021年でサービス終了したが、ほぼ同じ内容をPS4で満喫できる『ディシディアFF NT』が発売されている。こちらは現在進行形で遊んでおり、『ディシディア デュオデシム FF』のように対戦相手さえいれば無限に付き合えるだろう。

 大半のゲームは一度クリアーしたら終わりというパターンが多いが、ほかのプレイヤーとの対戦がメインである『ディシディアFF』はプレイモチベーションを長く続けられる。いつの日かつぎの新作が出るその瞬間まで、いまは『ディシディアFF NT』を堪能しようと思う。

『ディシディアFF』ドット絵のキャラがリアル頭身でボイス付きになったときの感動。今でもプレイのモチベが絶えない【ゲーム動画で懐かし語り】
当時購入した『ディシディアFF』モデルのPSPと、何かのイベントでもらったUMDポーチ。筆者の思い出の品だ。

 余談だが、この原稿を書いていて久々にPSP版を起動してみたくなったが、PSPがうんともすんとも言わなかった。それもそのはず、数年前に話題となったPSPのバッテリー膨張のニュースを聞いて、本体からバッテリーを外して処分してしまっていたのだ……。

 昔の作品のHDリマスター化が流行っているし、ここはひとつPSPの『ディシディアFF』も……。というか、何かしら展開があるのなら、なんでも大歓迎である。

※画像は動画からキャプチャーしたものを含む。

次回は『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-』をお届け

 第4回では、『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-』に関するお話をお届けする予定だ。お楽しみに。

これまでの“ゲーム動画で懐かし語り”

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