唐突だが、不意に昔発売されたゲームのプロモーションビデオ(PV)やオープニング(OP)とか、小さな頃に放送されたアニメのオープニング・エンディングが見たくなることはないだろうか?
……そうそう、あるは……え、ない? それはそれで申し訳ない気持ちでいっぱいなのだが、誰しも少しずつ年齢を重ねると、昔を懐かしんで振り返りたくなることがあるもの(強制進行)。
そこで本稿では、筆者と同じく懐かしのゲームの動画が衝動的に見たくなった人へ向けたゆるい記事を展開。改めてPVやOPを見て、思い出したことなどをお届けしていく。
慣れが出てきて危ないことを書いてしまいそうな第2回で取り上げるのは、『キラ☆キラ Rock'n'Roll Show』のOPムービーだ。
※本稿は、ざっくばらんな物言いとどうでもいい話9割で構成されており、主観的でしかない内容を多分に含んでいる。閲覧の際は、海のように広い心をご用意のうえ、どうぞお楽しみを。
『キラ☆キラ Rock'n'Roll Show』OPムービーを紹介
OPムービーの前にかんたんな作品紹介をさせてほしい。
本作は2007年にOVERDRIVE(※1)より発売されたPC用ソフト『キラ☆キラ』の移植版である。ジャンルは、青春恋愛ロックンロールノベル。
その名の通り、本作の中では青春・恋愛・ロックが色濃く描かれていく。
OPムービーでは、小気味いいギターリフから始まる『Go-Go-Adventure!』に載せて、各シーンや登場キャラクターたちが描写される。
じつは移植元のPC版から楽曲が一新されていたり、追加要素があったりと、もともとのファンも楽しめる作りになっていた。
OPムービーとジャンルからもわかる通り、いわゆる“バンド”が作品の中心要素として重要な役割を果たしている。
※1:2022年3月31日に活動を終了した成人向けPCゲームブランド。ファン(オバイバーとかオバイブ紳士とか)からは、オバイブの名称で親しまれた。OVERDRIVEを詳しく説明すると、それだけで記事が書けそうなくらい長くなるので、割愛。
『キラ☆キラ Rock'n'Roll Show』オープニングムービー【HD】
安っぽく言えば人生を変えた作品
どうでもいいことかもしれないが、皆さんは母校の校歌を覚えているだろうか。不安定な少年期に学び舎で友人たちと歌ったアレのことである。
筆者の場合、広い講堂だか体育館だかで意味があるのか、ないのかもわからない集会の前によく歌わされていたような記憶はぼんやりと残っているが、実際の曲調や歌詞はまったく覚えていない。
何故、覚えていないのだ。薄情者! という声も聞こえてきそうな気もするが、仕方がない。とにもかくにも、それほど印象に残る何かがあったわけではないから、覚えていないのだろう。
そういう意味では自分にとって、未だに口ずさめるのは本作に登場する欧美学園の校歌しかない。自らが過ごしてきた学校の校歌よりも、ゲームに登場する校歌のほうが思い出深い。ただそれだけなのである。
……ああ、思い出す。どこぞの益荒男たちとライブ会場で燃やす欧美の心。
さて、そんな欧美学園が登場する本作との出会いと、筆者に与えた変化をつらつらと語っていきたい。
本稿で扱っているPS2版の発売よりも前の2007年にPC版は発売された。こちらは成人向けのタイトルとして展開。当時の筆者はまだ18歳になっておらず、手に入れることは叶わなかったが、『キラ☆キラ』の楽曲はよく聴いていた。
それから約2年後の2009年2月26日にPS2版が発売。待っていましたと、すぐにアルバイト代をぶっこんで購入したのを覚えている。ちなみに、アルバイト禁止の学校だったが、そこらへんはノーフューチャーの精神である。
ノーフューチャーの精神とは、『キラ☆キラ』に登場するパンクロッカーになるための大切な条件のひとつ。“その日から本物のパンクロッカーになるために必用な二つの条件”は、以下の通り。
- パンクロッカーは何事にも従ってはいけない(アナーキーの精神)
- パンクロッカーは自分の行動に保険をかけてはいけない(ノーフューチャーの精神)
筆者の人生もおおよそ、この条件にそったものである。
そんな人生における大切なことを教えてくれた本作に、何故興味を持ったのか。それはバンドをやりたかったからである。いや、もうそれは単純に。決してモテたかったわけではない。
何から始めたらわからなかったので、ゲームで勉強することにしたのだ。でも、いざ手に取ってみたら、自分のことなんてどうでもよくて、作品の世界にのめり込んだのを覚えている。
作中の第二文芸部バンド(d2b)の曲をコピーして指がボロボロになったり、リアルライブに行ってみたり、アパレルや靴(※2)を買ってみたりとゲームだけでは終わらず、現実でもいろいろな体験をくれた作品なのだ。
※2:OVERDRIVEでは夏・冬にオバコレ(通称)というグッズやアパレル販売を実施していた。もちろん、筆者も愛用。
なお、前述した欧美学園の校歌をライブ前に全力で斉唱するのがファンの嗜み。
バンドの楽しい部分や辛い部分の両方が、これでもかと詰め込まれていたけど、やっぱりバンドをやるんだという気持ちが大きくなったのは本作のおかげだなと思う。
本当だったら千絵姉(※3)みたいな人とバンドを組みたかったけど、実際はむさ苦しい男だらけのバンドを組んだ。
※3:本作に登場する石動千絵のこと。主人公の前島鹿之助からは「千絵姉」と呼ばれている。
実際にクリアーした後に始めたバンド活動は5年くらい続いた。何かひとつのことを5年も続けられたのは、このときが初めてだった。やめた理由はくだらないことだった気がするが、このときにできた思い出や友人は、いまの自分を生かす大切なもののひとつだ。
もし本作にも出会わず、バンドもやっていなかったら、どんな人生だったんだろうと少し怖くなるくらいに、筆者が生きてきたうえで影響を与えられた作品だ。いまでも何かあったときは、d2bの曲を聴いて乗り切ることが多い。
余談だが、本作が発売された少し後の2009年4月はテレビアニメ『けいおん!』の放送時期でもあり、ちょっとしたバンドブームが起きていた。
その時期に楽器屋の店員に言われた「お客さんも『けいおん!』っすかぁ?w」に「『キラ☆キラ』ですよ! FAX!」と反論するパンクロック精神もなく、黙って機材の説明を受けた後悔が、いまも微妙に心に残る。でも紬ちゃんが、かわいいから仕方がなかった(視聴はしていた)。
最後に、いまから本作をプレイするのは難しいが(PS2版ということもあり)、じつはiOS/Android対応のアプリ版が販売されている。バンド経験者やバンドに興味がある人には、プレイしてまったく損はないと言い切りたい。
同じくOVERDRIVE発のバンドを題材にしている『DEARDROPS』(ディアドロップス)もアプリ版が販売中だ。そして2022年3月24日にPS4、Nintendo Switch版が発売された『MUSICUS!』(ムジクス)という、くそったれで最高な作品もぜひ遊んでほしい。
※画像の一部は動画をキャプチャしたもの。
次回は『ディシディア ファイナルファンタジー』をお届け
第3回では、『ディシディア ファイナルファンタジー』に関するお話をお届けする予定だ。お楽しみに。