2022年8月6日、7日、日本最大規模のインディーゲームの祭典BitSummit X-Roads(ビットサミット クロスロード)が京都市勧業館 みやこめっせにて開催。開幕を飾るステージプログラムとして、任天堂プログラムによる“世界へ羽ばたくゲームをサポートするコミュニティーasobuの紹介と『ElecHead』のサポート事例”が行われた。
asobu(あそぶ)というのは、インディーゲーム開発者のためのコミュニティースペース。国内・国外の人脈作りやクリエイター支援などを目的に、2019年に設立された。マネージャーを務めるのは、2016年に日本のインディーゲームシーンを中心としたドキュメンタリー『Branching Paths』などを制作したことで知られるアン・フェレロ氏。設立以降、ほどなくしてコロナ禍となってしまったために、いまはオンラインにフォーカスしているが、先日も“asobu INDIE SHOWCASE 2022”を開催するなど、積極的に活動をしている。
今回の講演は、Nintendo Switch版が6月23日にリリースされたNamaTakahashi(生高橋)氏によるパズルアクション『ElecHead』(エレキヘッド)が、いかにasobuのサポートを受けたか、を紹介するものだ。
漏電した小さなロボット“Elec(エレキ)”が、闇に包まれた世界で、光を取り戻すべくとある施設を冒険していく2Dパズルアクションとなる『ElecHead』は、NamaTakahashiが学生時代に開発して、2016年の日本ゲーム大賞アマチュア部門で優秀賞に輝いたタイトルをブラッシュアップした一作。
GDC Award 2022新人賞で選外佳作に選出されたり、海外版Indie Worldに参加したり、数々の海外の大手レビューサイトに掲載されるなど、海外でも華々しい実績を誇るが、「海外のレビューサイトは何が有名なのかわかりませんでしたし、どうアピールしていいかわかりませんでした」と生高橋氏。それをasobuが教えてくれたのだという。
レビューサイトの平均点を紹介するMetascoreでも84点という高得点を獲得する『ElecHead』だが、そもそもMetascoreも、提携しているレビューサイトの4つ以上で点数が出ないと取り上げられないとのこと。もちろんMetascoreの点数が必ずしも売上に直結するわけではないが、ユーザーがソフトを購入する際のひとつの参考とはなる(ちなみに『ElecHead』は、Steamレビューは97%好評とのこと)。
また『ElecHead』は、リリースにあたってのサポートとしては、ストアページや海外とのメールのやり取り、紹介Twittetなどの英語の翻訳をしてもらったと紹介。生高橋氏のところにも、海外からの掲載などの問い合わせのメールが来たらしいが、その人が怪しくないかどうか、チェックもしてもらっていたという。
インディーゲーム業界での英語の大切さを語るソニー・インタラクティブエンタテインメント インディーズ イニシアチブ代表の吉田修平氏が、生高橋氏が英語でのやり取りしていることがすばらしいとコメントしていたそうだが、実際は自分は英語がしゃべれないと生高橋氏。ただ、英語で発信することで、英語で連絡が来るようになったし、英語でのTweetが海外でのPRにつながったという。
そして、生高橋氏が「強くアピールしたいところ」というのがテストプレイ会。コロナ禍のいまではなかなかできていないが、asobuでは最初のほうには、クリエイターの人たちが集まってテストプレイをする機会があったという。プロの方々に遊んでもらって、そこから意見をもらうことが貴重だったという。「作り手目線のアドバイスをもらえた」という。その過程で、「ゲームをメデイアなどで取り上げてもらえるのは、ゲームの売りがあるから」という気づきもあったのだという。
そのうえで生高橋氏は、「ゲームイベントはたくさんありますが、ゲームのクオリティーを上げるイベントが増えるといいのではないかと思います。考えている人がいたらよろしくお願いします」と語った。
講演の締めくくりとして、アン・フェレロ氏は、“Nintendo Switchなどでゲームをリリースするときのアドバイス”を紹介。これは、アン・フェレロ氏は当たり前のことだと認識していたらしいが、周囲の人に「当たり前ではない」と言われたことで、ここで紹介することにしたらしい。貴重なノウハウということで、以下にご紹介する。Nintendo Switchなどでゲームのリリースを検討している方は参考にしてみてください。記者も「へー」と興味深かった。いずれにせよ、こういったノウハウが共有されていくことで、日本のインディーゲームシーンも成熟していくのだろう。asobuのインディーゲーム支援の取り組みは、これからも続く。
Nintendo Switchなどにリリースするときのアドバイス
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トレーラー
トレーラーは自分で得意でないなら注文(数万円) -
動画サイト用の英文
YouTubeにトレーラーを出したら、英語の説明とタイトルを入れること -
ストアページのテキスト
ゲームの紹介ページのテキストは大事なので、自分で得意でないならフリーライターに注文してもいい -
E-shopまたはストアページの翻訳
E-shopのページをちゃんとさまざまな言語で翻訳すること(文字数が少ないので、各言語に数千円しかかかりません) -
プレスキットをちゃんと準備する
当たり前ですが、必ずサイト、プレスキットと連絡先を準備 -
英語でもツイートする
自動翻訳などを使って、英語でツイートしたり、インディーゲーム関連のハッシュタグを使うこと -
Nintendoのゲーム専用サイト
海外のNintendo Switch系のニュースサイトはつねにネタをほしがっています! なるべく送りましょう!例:Nintenderos、Nintendo Life…… -
日本のゲーム専用サイト
日本のゲーム専用サイトGematsuなどにもなるべく送ってください -
インディーゲーム紹介チャンネル
トレーラーができたら、インディーゲームのトレーラーを紹介するYouTubeのBest Indie Gamesなどに応募する