元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長であり、編集部時代から現在に至るまでゲームプレイ日記やエッセイを執筆している大塚角満によるプレイ日記。Nintendo Switch、PC用ソフト『モンスターハンターライズ:サンブレイク』のプレイ日記。その第22回をお届けします。
パッキャン! パッキャン!
この世には、“叩いて気持ちいいモンスター”というものが存在する。
……いやもちろん、
「あいつ、腹立つから叩いてやろうぜ。SNSとか使ってさあ!!」
という、炎上系の“叩く”ってヤツではない(あたりめーだ)。
そうではなく、もっと物理的に……!
ハンマーだろうが片手剣だろうが武器を問わず、その身体をぶっ叩いたときに得られる感触が、
「あ、あふぅ……!!! ききき、きンもちいぃぃいいい!!!><」
と、なんとも言えないカタルシスに満ちているモンスターがいますよ……という意味だ。
じつはこの“叩いて気持ちいいモンスター”の存在に気が付いたのは、『モンハンライズ:サンブレイク』から登場した“ある新モンスター”を相手にしているときに、
「パッキャンww パッキャン!www」
無意識のうちに、ヨダレを垂らしながらモンスターを突っついている自分に気付いたから……w 我ながらこのときは、
「おっさん、キモいなぁ!!((゚Д゚;))」
と戦慄したけどね。
この新モンスターが何かと言うと、答えはもちろん“ルナガロン”。
“王域三公”に数えられる、『サンブレイク』を象徴するモンスターの一角だ。『銀英伝』で例えたら、“帝国の双璧”の一翼であるロイエンタールってところだろうか。
ルナガロンは氷を統べるモンスターで、怒るとそのしなやかな身体に凍てついたヨロイを纏う。
全身が刃のように鋭利になり、いかにも、
「あんちゃん、俺に触れたらあかん。血ぃ出るで……! わしはいま、北の大地の出刃包丁と化しているからなぁ……!」
と威圧してきそうな雰囲気すらある。とはいえ、それに気圧されて攻撃しないと狩りにならないので、始めはおずおずと、
「え、えい。えい」
とジャブの突きを……。でもまもなく、ルナガロンの身体を覆う氷のヨロイの“ある特徴”に気付き、
「パキャン……w ……パッキャン!w」
が始まるのだ。そして最終的には、
「パッキャンパッキャンッ!!!www うひょひょ!!! きンもちいぃぃいいい!!!www」
となり、その後のルナガロンはいっさいビビられることのない“氷のスパーリングパートナー”と化すのである。
なぜこんなことになるのかと言えば、理由は単純にして明確。
ルナガロンが纏う氷のヨロイが、武器で叩くとじつに気持ちいい音とエフェクトを出し、得も言われぬ快感をハンターにもたらしてくれるから。
王域三公に認定されるくらいだからルナガロンは相当な猛者のはずなんだけど、俺にはステキな音を奏でてくれる“動く打楽器”というイメージが強い。
パッキャンw
パッキャンwww
ガンランスで突くたびに、美しいエフェクトとともに氷が弾けて軽妙な音を奏でる……! この効果音を作った方、人類が覚える快感のツボを熟知しているとしか思えない……!
この、全身打楽器にフルバレットファイアをブチかました日には……!
「ぱぱぱぱぱ、パッキャーーーーん……!!(恍惚)」
指揮者のシメのポーズに合わせてピタリと演奏を終えられたときの感覚よろしく、俺の前身を快感が貫く。気持ち良すぎて、頭頂部の薄毛ポイントから毛が生えてきそうだわ……!
もちろん、氷を纏うモンスターはルナガロンだけではなく、たとえば『モンハンライズ』で初登場を果たしたゴシャハギなんかもかなりの才能を持っていると思う。
彼も、両腕に氷の剣を装備したときにここを叩けば、ルナガロンと同様な気持ちいいエフェクトを発生してくれる。しかし、ゴシャハギの場合はあくまでも両腕だけなので、全身コレ打楽器となっているルナガロンとは、やはり比べるべくもない。同様に、ベテランモンスターのクシャルダオラも氷属性だけど、ヤツの場合は氷よりも“風”にうつつを抜かしているので、叩いてもまったく気持ちよくない。むしろ、風にふっ飛ばされて気持ち悪いまであるので、やはり“気持ち良さ”においてはルナガロンの足元にも及ばないのだ。
そんなルナガロンとは真逆のところに、
“叩いても一向に気持ちよくないモンスター”
というものも存在する。
俺が考える最右翼は圧倒的に“グラビモス”なんだけど、『モンハンライズ:サンブレイク』にはいまのところ登場しないようなので、今日も安心してルナガロンを叩きに行ってこようと思うww
パッキャンw パッキャン!!ww
ってな。
続く。
大塚角満(おおつか かどまん)
元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。2017年に独立。編集部時代から現在に至るまでゲームエッセイを精力的に執筆し、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』、『折れてたまるか!』など、多数の著作がある。