吉本興業は、カヤックと共同開発によるNintendo Switch用パーティゲーム『スーパー野田ゲーWORLD』を、本日(2022年7月28日)発売した。本作は、お笑いコンビ・マヂカルラブリーの野田クリスタルさんが総監督を務める『野田ゲー』の第2弾となるタイトル。本作では、“世界進出”をテーマに、オンライン対戦機能が新たに追加されている。

 そんな『スーパー野田ゲーWORLD』の発売記念記者会見が、東京・渋谷のヨシモト∞ホールにて開催。会見には、総監督の野田クリスタルさんのほか、ゲストとして、マヂカルラブリー・村上さん、囲碁将棋(文田大介さん、根建太一さん)、すゑひろがりず(南條庄助さん、三島達矢さん)、ガーリィレコード(高井佳佑さん、フェニックスさん)、よしもとゲーミング所属のプロゲーマー・ふぇぐ選手、きょうま選手、keisuke3選手、司会進行として、フリーアナウンサーの田口尚平さんが登壇。本稿では、その模様をお届けする。

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『スーパー野田ゲーWORLD』ニンテンドーeショップサイト

最大20人のオンライン対戦に対応した『みんなのつり革』や『シャドウバース』のパロディー作品『邪道バース』など収録作の魅力をアピール

 会見がスタートすると、まずは野田さんが「責任者です」と自己紹介をしながら登壇。「ビックリするぐらい、てんわやんわで作らせていただきました。発売できて、本当によかったです」と、発売を迎えた現在の率直な心境を吐露。

 また本作では、開発のためにクラウドファンディングが行われたが、野田さんは、約5000人からの出資があったと説明。そして、サイゲームスやAKRacingといった企業からも出資があり、それがプレッシャーにもなっていたと回想。「中途半端なゲームは作れないぞと。前作の『おたけさいこっちょーゲーム』レベルのゲームを作ると、さすがに怒られる」と思ったそう。それゆえ、気合いが入りすぎてしまって、6月の時点で、発売が11月になりそうな見通しになっていたそうだが、なんとか今日の発売を迎えることができたと、リリースまでの苦労を振り返りつつ、喜びを語った。

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司会進行を務める、田口尚平フリーアナウンサー。
本作の総監督・野田クリスタルさん。

 ここで、司会の田口さんの呼び込みのもと、マヂカルラブリー・村上さん、囲碁将棋、すゑひろがりず、ガーリィレコードが登壇。ゲストを迎えたところで、本作に収録されている『みんなのつり革』、『将棋III』、『The 連射』、『やせちゃうよ?』、『邪道バース』のゲームプレイが実施された。

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上段左より、南條庄助さん(すゑひろがりず)、三島達矢さん(すゑひろがりず)、フェニックスさん(ガーリィレコード)、高井佳佑さん(ガーリィレコード)。
下段左より、村上さん(マヂカルラブリー)、文田大介さん(囲碁将棋)、根建太一さん(囲碁将棋)。

 『みんなのつり革』は、前作『スーパー野田ゲーPARTY』にも収録されていたもので、M-1グランプリでマヂカルラブリーが披露したネタ“つり革”がモチーフ。激しく揺れる電車の中で、つり革に捕まらずに、キャラクターを左右に動かしてバランスを取り、画面から飛び出さないように耐え続けるゲームだ。本作ではオンライン対戦に対応し、最大20人でどれだけ耐え続けられるかを競い合えるようになっているとのこと。会見では、野田さんがTwitterで参加者を募集し、実際に20人での対戦プレイが披露された。

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本作では、国内外の約40路線からステージを選択できるようになっているとのこと。
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最大20人で競い合うため、ゲーム画面はかなり賑やか。ほぼ満員電車という状況の中で、乗客たちが体を左右に動かしながら四苦八苦している様子がおもしろく、その光景を見ているだけでも楽しめるゲームだと感じた。ちなみに、本ゲームにはランクマッチも実装されている。

 『将棋III』は、駒を置くとその駒の動きに応じたマスが爆発するという“何とかマン”に似たシステムのもと、爆発に巻き込まれないように生き残ることが目的の4人対戦のアクションゲームとなっている。

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こちらのゲームもオンライン対戦に対応。「ゲームを通じて、将棋の駒の軌道も覚えられます」と、野田さん。それを聞いた周囲の芸人さんから「覚えられるわけねーだろ!」と、ツッコミが飛んでいた。

 『The 連射』は、制限時間内にどれだけ連射できるかを競うシンプルなゲーム。また本ゲームは、高橋名人とコラボ。高橋名人(COM)と対戦できるほか、制限時間内の合計連射数から、1秒間にどれだけ連射できたかが表示されるようになっており、1秒間16連射を誇る高橋名人の凄さを再確認できるゲームとなっている。

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野田さんとゲストによる対戦の結果は、すゑひろがりず・南條さんが勝利。なお野田さんによれば、本ゲームを始め、収録されているほぼすべてのゲームに世界ランキングが搭載されており、世界中のプレイヤーと腕を競い合えるようになっているとのこと。

 『やせちゃうよ?』は、放っておくとどんどん痩せていく村上さんの口に食べ物を運び、村上さんが痩せないように太らせるゲーム。食べ物ではないアイテムも登場し、こちらを食べさせると痩せてしまうので、出現するアイテムが食べ物かどうかを迅速に判断して、村上さんの口に運ぶことがカギとなる。

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対戦モードでは、食べ物ではないアイテムを、ほかのプレイヤーの村上さんの口に運んで痩せさせて、邪魔をすることもできる。

 『邪道バース』は、サイゲームスの出資によって実現した、『シャドウバース』のパロディータイトルで、邪道(イカサマ)ができるカードゲームとなっている。“カードをこっそり2枚引く”、“相手の体力を奪う”など、手を操作しながらバレずにイカサマを行いながら、勝利を目指す。なお、イカサマが相手プレイヤーに指摘されるとペナルティとなり、3回ペナルティを受けると強制的に敗北となる。本タイトルのゲームプレイは、『シャドウバース』の大会で活躍するプロゲーマー・ふぇぐ選手、きょうま選手、keisuke3選手を迎えて行われた。

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左より、keisuke3選手、きょうま選手、ふぇぐ選手。
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keisuke3選手ときょうま選手との対決では、keisuke3選手が果敢にイカサマを行いゲームを有利に進めるも、きょうま選手がkeisuke3選手のイカサマを2回指摘する場面もあり、白熱(?)した戦いとなっていた。
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野田さんとふぇぐ選手の対決も。会見の前に『邪道バース』をプレイしてきたというふぇぐ選手は、野田さんがイカサマをしないか目を光らせながら慎重にゲームを進めていた。なお、会場の回線の乱れにより、決着は付かなかった。

 ひと通りゲームプレイが終了したところで、最後に野田さんが「これからどんどんいろいろなバグが見つかるかと思いますが、ホームページにBBSがあり、そこにご報告いただくと、つぎのアップデートで修正します。ですので、いまはバグもいっしょに楽しんでください!」とアピールしたところで、会見は終了となった。

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野田クリスタルさんへの質疑応答で、千鳥・ノブさん出資によるゲーム『信 ~NOBU~』開発秘話も明らかに

 会見終了後には、野田クリスタルさんによる質疑応答の場が設けられた。ここでは、その模様をご紹介する。

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――改めて、本作の発売を迎えての率直なご感想をお聞かせください。

野田いろいろなドタバタがあった中で、今日発売できたことが、本当にうれしいです。本作には、ひとりで黙々とやり込めるゲームもありますし、みんなで盛り上がれるパーティーゲームもあります。すごいボリュームになっています。お値段は1600円[税込]ですが、(20本収録されているので)1本80円になっています。ぜひダウンロードしてください!

――千鳥・ノブさんのゲーム『信 ~NOBU~』が収録されていますが、開発の経緯を教えてください。

野田ノブさんのお子さんが『野田ゲー』が好きだということで、ノブさんに直談判して「(開発の)お金を出してくれないか」と言ったら、高確率で出してくれるだろうと思って、お願いしに行きました。その際、すゑひろがりずが前作で100万円出していたことを伝えたら、ノブさんが「100万円出すよ」と言ってくれました。

 ゲームのほうは今日お見せできていないのですが、3DのOPなど、すごく凝っています。内容としては、死にゲーと呼ばれるジャンルとなっていて、何度も何度も敗北をくり返しながらも、敵やギミックを突破して、クリアーを目指すものになっています。すごくおもしろいゲームになっています!

――本作の開発でたくさんの苦労がありつつ、無事発売を迎えられたと思いますが、ゲームを作るモチベーションはどういったところにありましたか?

野田本作では、昔やったことがある気がするゲームや、懐かしいゲームが多いですが、そういったものを作りたかったんです。小、中学校のときの夢が叶っている状態でした。僕の中では、コント集のような作品ですね。松本(人志)さんの『VISUALBUM』のような。僕の『VISUALBUM』です。

 もちろん、クラウドファンディングの出資者の期待に応えたいというのも、モチベーションのひとつでした。出資者の方々の想いが込められた、日本一(大勢の)人が関わったゲームだと思います。まじで、出資者の方、ありがとうございます!

――現時点で見つかっているバグは、どのようなものがありますか?

野田数えきれないですね。ゲームが止まる、動かない、というような、深刻なものは修正しましたが、細かなものはまだ……。ノブさんのアクションゲーム『信 ~NOBU~』では、剣を振ってから2秒ほど経過しても敵を倒せてしまうという現象が発生しています。

 後は、バグではないですが、『将棋III』の制限時間を入れるのを忘れていて、終わらないです。自分で空気を読んで負けるしかない。もちろん、見つかっているバグは、アップデートで修正予定です。

――本作の開発で、とくに苦労した点を教えてください。

野田うーん、数えきれないほどあります。そもそも、発売日に間に合わないかもしれない、ということもありましたし……。ただ、本作ではオンライン対戦がありますが、20人で対戦するゲームのテストプレイをする際、人を集めるのに苦労したことはよく覚えています。

 それと、出資者からの素材が3000個ほど集まったこともあり、すべての素材を取り扱うのが大変でした。出資者の手料理のお写真も募集したのですが、100件以上集まって。「どこで使おう?」と考えるのに苦労しましたね。

――たくさん苦労した点はありつつも、いまはしっかりと作れた、という感覚がある?

野田そうですね。納得のいくものが作れました。一方で、オマージュもとに許可をいただく際は、とてもドキドキしました。とくに、ノブさんのゲームは完全に『魔界村』なんじゃないかということだったのですが、カプコンさんに確認したら「いいよ」って言ってくださって。カプコンさんのように、いろいろな企業さんが優しくて、大変ありがたかったです。そのおかげで、(本作が)できあがりました。ですので、皆さんに楽しんでいただけたらうれしいです!