会話やBGMなどの音だけでストーリーが進行していく“インタラクティブサウンドドラマ”
1997年(平成9年)7月18日は、セガサターン用ソフト『リアルサウンド ~風のリグレット~』が発売された日。今年で25周年を迎えました。
本作はゲーム画面に映像はなく、会話やBGMなどの音だけでストーリーが進行していく作品。ラジオドラマに近いですが、選択肢によって物語が変化するマルチエンディング形式で、正式ジャンルはインタラクティブサウンドドラマになります。また、1999年3月11日はドリームキャスト版が発売。こちらは振動機能やビジュアルが追加されています。
本作を制作したのは42歳という若さで高血圧性心不全で死去したゲームクリエイター・飯野賢治さん。
映像の美しさと映画的演出が魅力の『Dの食卓』やシビアなバランス話題となった『エネミー・ゼロ』などを手がけた人物で、ゲーム界の風雲児、時代の寵児とも呼ばれていた人物です。
そんな飯野さんが手がけた『リアルサウンド ~風のリグレット~』は、小学生のころ、転校することになった女の子と“駆け落ち”の約束をするものの、失敗した野々村博司が主人公。大学生になった彼は、あのとき駆け落ちしようと思っていた女の子と再会して付き合うことになる……というストーリーです。
物語の中にはトリックがあり、そのトリックに気づくためには音に集中する必要があります。いろいろな音に伏線が仕込まれていて、2周目をプレイしたときは驚きました。
ゲームの選択肢に関しては、選択の場所になるとアラートで教えてくれます。方向ボタンを押すと対応したボイスが流れるので、そこでボタンを押せば選択が確定されるという仕組みでした。
ボイスは柏原崇さん、菅野美穂さん、篠原涼子さんといった有名俳優が演じており、エンディングテーマは矢野顕子さんの『ひとつだけ』。こちらはとてもいい曲でした。
“音だけのゲーム”という言葉では簡単には語れない『リアルサウンド ~風のリグレット~』は、ゲームの歴史を語るうえで外せないタイトルの1本と言えるでしょう。