2022年6月17日よりNintendo SwitchおよびPCで発売されるアクションゲーム『Neon White』を紹介しよう。なお本作は日本語にも対応している(ボイスは英語)。

“天国に残れる権利”をめぐってファンキーな面々とともにデーモン退治競争!

 本作の主人公は、どうやら死んで生前の記憶をなくしたらしき男。あの世で強制的にゴーマンな天使どもの説明を受けさせられ、天国の悪魔掃除人“ネオン”のひとりとして“天国に残れる権利”を賭けた10日間のデーモン退治コンテストに参加させられるハメに。

 各参加者は色にまつわるコードネームとマスクを持つのだが、主人公に与えられた名は“ホワイト”。陽気な脳筋ダチ公風の“イエロー”、危険な小娘風の“バイオレット”、お色気たっぷりの“レッド”など、どうもこっちのことを覚えているらしい思わせぶりな面々と交流しつつ、なし崩し的に最速デーモン退治を目指すこととなる。

Neon White
罠じゃねーか。
Neon White
記憶がないのをいいことに弄ばれるホワイト君その1。本人はハードボイルドなつもりなのに周囲がアレすぎて弄ばれまくるというパターンです。
Neon White
記憶がないのをいいことに「銃の使い方わからないんですけど教えてよー!」と弄ばれるホワイト君その2。

スピードラン系一人称視点アクションパート+ADVパートの二本立て

 さて気になるゲーム内容は、悪魔を退治しながら各ステージのゴールを目指すメインのアクションパートと、1セットのステージをクリアーした後で次の任務までの間に楽しめるアドベンチャーゲームパートの二本立て。

 その上で、前者での出来がちょっと後者の掘り下げに関わってくるという関係性になっている。

アクションパート: FPS+移動アクション+“ソウルカード”の使い分けでゴールを目指せ

 アクションパートの各ステージは、ステージ内にいるデーモンを全部倒してからゴールに飛び込めば一応クリアーだ。しかし、そのコースは通常のジャンプだけでは踏破できなかったりする。

 そこでポイントとなるのが、コース内に置かれている“ソウルカード”。これは武器として使うこともできるが、あえて“破棄”アクションを選択することで、二段ジャンプやエアーダッシュなどそれぞれ固有の能力を発揮する。

Neon White
たとえばここは通常のジャンプでは届かないが、ピストル(黄色)を破棄して二段ジャンプすることで先に行ける。

 ソウルカードの武器と対応する能力の例は以下。うまいタイミングでこれらの能力を発動させることで効率的に敵を倒せたり、これまで行けなかったルートを通って踏破が可能になるというわけだ。

  • ピストル: 二段ジャンプ
  • アサルトライフル: ボム
    • 壁などに貼り付けて爆風でジャンプすることもできる
  • セミオートライフル: エアーダッシュ
    • エアーダッシュの経路上の敵や赤い障害壁も破壊できる
  • サブマシンガン: 急降下攻撃
    • 通常の落下より遥かに速い降下速度で落ちる
    • 着地時の衝撃波で周囲の敵や赤い障害壁を破壊する

 勘違いしやすいが、カードの配置はステージごとに固定で(敵を倒すと手に入るものも同様)、そのコースの設計の重要な一部。「どういうルートでコースを走って、入手したカードをどこで使うか」の最適解を見つけていくゲームであり、カードデッキとかローグライク的なランダム要素はない。

Neon White
上の画像の遠景の窓をくぐった先。2体のスナイプしてくる敵と通常攻撃では壊せない赤い壁があるのだが、アサルトライフル(紫)を破棄してボムを放てば着地までに全部壊せてゴールに飛び込める。

 無事にソウルカードの使い所を掴んでゴールに飛び込んだら、今度はタイムが重要になってくる。クリアータイムによるランク(エース、ゴールド、シルバー、ブロンズ)があり、当然上位ランクだとメリットが多いので、何度かプレイして最速タイムを狙うのが基本だ。

 エースかゴールド獲得で先の任務への関門になっている“ネオンランク”がひとつあがるようになっているほか、プレゼントをゲットするとADVパートの楽しみが増えるので、できれば全コースゴールド以上+プレゼントゲットを狙っていきたいところ。

  • エース: インサイトレベル4(グローバルランキング)解禁
    • 自分の最速データをランキングに載せられる
  • ゴールド: インサイトレベル3(レベルヒント)解禁、ネオンランク上昇
    • エース級を狙うのに欠かせないルートへのヒントアイコンが出現する
  • シルバー: インサイトレベル2(ゴーストリプレイ)解禁
    • 自分の最速データのゴーストを表示できる
  • ブロンズ: インサイトレベル1(プレゼント)解禁
    • プレゼントはコース内の特定の場所に出現し、ゲットするとADVパートで仲間との追加イベント等をアンロックするのに使える
  • ※タイム更新できなくてもゴールにたどり着けばインサイトが少量入るので、それによってレベルアップさせることもできる
Neon White
再プレイ時のスタート画面。これまでのタイムや、どのランクをゲットしたか、どの機能をアンロックしているか、そのステージのプレゼントはゲットしたかなどが示される。

きちんと段階を踏んでくれる“優しいカジュアルなスピードラン”

 というわけでスピードランなどのタイムアタック系の内容なのだが、「RTAとかを見るのは好きだけど自分でやるのはちょっと無理」って人もいるかもしれない。それはめちゃくちゃわかる。

 しかし本作かなり丁寧な作りになっていて、精密に最速操作をしなくともスピードランしやすい設計になっているだけでなく、段階を追っていけばゴールドまでは大体たどり着けるようになっている。プレイ感としては、むしろ正解手順を見つけ出すパズルアクションゲームなどの方が近い。

  • 【ブロンズ狙い】手間取ってもいいので、倒すべき敵の位置とソウルカードの破棄の使い所を把握する
  • 【シルバー狙い】ブロンズでわかった基本ルートで、手順を間違わなければ大体オーケー
  • 【ゴールド狙い】シルバーでアンロックしたゴーストを参考に、さらにルート取りを最適化する
  • 【エース狙い】ゴールドでアンロックしたショートカットヒントを参考に手順を調整していく
  • ジャンプ後の落下速度はかなりスローなので、軌道修正などの猶予時間があり、落下しながら撃つのも割とやりやすい
  • 各ソウルカードの武器としての弾数は余裕があるし、当たりさえすればヘッドショットなどは狙わなくていい
    • 弾丸は即着系なので照準が合った時に撃てば当たる。さらに動く敵もあまりいない
  • 特殊なアクションはソウルカードに集約されていて入手場所も決まっているので、何をすればいいか把握しやすい
  • 1コースあたり数十秒、早ければ十数秒で終わるし、再スタートも一瞬でできるのでリトライしやすい
  • プレゼントはそもそも攻略ルートと別の場所にあることが多く、取ったらそのままリザルト画面に行く合理的な作り。プレゼントを取った後の“帰り”の事は考えなくていいし、タイムアタックと両立しなくていい
Neon White
段階的にアンロックされるお助け機能を使って最適化を進めていくと、意外と超絶操作なんかしなくてもゴールドは取れるんですよね。
Neon White
プレゼントは見つけるまでがひと手間。場所がわかったら、どういうルートでどのソウルカードを使えば行けるか探っていく感じになる。

ADVパート:奇人 変人だらけのパラダイス

 10コース1セットの“任務”が終わると、天国でのアドベンチャーゲームパートに戻ってくる。任務の合間にカットシーン的に会話が入ることもあるのだが、『ダンガンロンパ』と『ノーモア★ヒーローズ』と『ペルソナ』シリーズがミックスされたような、めちゃくちゃ日本のゲームっぽいピーキーな奇人変人たちのイベントシーンはベタだが楽しい。

Neon White
天国のフィールドマップ。
Neon White
レッドにほっぺぷにぷにされて困ってるバイオレットを助けるためにホワイトがひとこと。お前、もうちょっとなんか言葉のチョイスがあるだろう……。絶妙に変人ばっか。

 そして、そんな奇人変人だらけのネオンたちのストーリーをさらに盛り上げてくれるのが、各ステージでゲットしてきたプレゼント。天国のADVパートでプレゼントを仲間たちにあげることで、彼らと過ごすイベントシーンが展開したり、高難度のサイドクエスト面に挑めるようになり、やがて過去にまつわる彼らの“記憶”にも迫っていけるようになる。

Neon White
プレゼントをあげるごとに好感度が上がっていき、それに連れてさまざまなイベントが発生する。

 ストーリー面が気に入った人は読み進めるためにプレゼントゲットまでは頑張るだろうし、アクション面が気に入った人はサイドクエストもフォローしてプレゼント回収していく内にストーリーを掘り下げていくことになるし、見事な両輪具合でなかなかうまい。

Neon White
バイオレットの考える“カワイイもの”の基準。うーん、最後がちょっとおかしいな?
Neon White
サイドクエストのコースは極端な作りのものばかり。でも逆にクリアー方法が限られるので、わかってしまえば意外と楽だったりする。

“PS2レトロ”感なサウンドとビジュアルも仕上がりまくり

 また演出の点では、プレイステーション2あたりのパキッとしたローポリ3Dグラフィックや、Machine Girlによる2000年前後のゲームを思い起こさせるドラムンベース/ジャングル/デジタルハードコア系のサウンドも非常に質が高い(ついでに言うと、スタイリッシュな絵作りに日本語フォント周りをきちんと合わせているローカライズも素晴らしい)。

 ちなみに本作のディレクターを務めたのは、“穴”にさまざまなモノを飲み込んでいくというユニークなコンセプトのゲーム『Donut Country』のベン・エスポジート氏で、シナリオはアニメ『OK K.O.! めざせヒーロー』などのライアン・シャノン氏。なんとも変でスタイリッシュで、タイムアタックが続くプレッシャーをスッと抜いてくれる絶妙なバランスの世界を作り出している。

 強いて言えばここまでキてるなら日本語吹き替えを望む人もいるんじゃないかと思うが、まぁそれは予算の問題があると思うので致し方なしといったところ。こういうピーキーな世界が好きな人にはかなり刺さると思うので、ぜひチェックしてみて欲しい。