ゲーム開発での成功を夢見る2人の物語を描くアドベンチャーゲーム『Goodbye World』のPC版デモがSteamで配信開始された。デモでは、全13章で構成される物語のうち冒頭の3エピソードがプレイ可能となっている。

ゲーム開発の成功を夢見るふたりの物語と、ゲーム内ゲームのサンドイッチ構成

 今回ひと足先にデモ版をプレイしたので、その内容をご紹介しよう。

 ゲーム内容はちょっとトリッキーな構造になっていて、バイトなどを続けながら自分たちのゲームを開発している“熊手”と“蟹井”の物語が語られていくストーリーパートと、その中で蟹井が遊んでいる(ゲームボーイ風の)ゲーム内ゲームパートで構成される。

 実際どんな感じかというと、物語はふたりが出会った4年前の専門学校時代にはじまり、やがてゲーム内ゲームパートがスタート。そのステージをクリアーするとストーリーパートに復帰して話が進み(※)、次のエピソードへ……という形で進んでいくのだ。(※残機内にクリアーできなければそれはそれで特にペナルティなしで話は進むので、苦手な人がストーリーだけ追うのも可能)

GOODBYE WORLD
蟹井が遊んでいるゲームを媒介に話が進行する。
GOODBYE WORLD
ゲーム内ゲーム『BLOCKS』。ゴールにたどり着くとストーリーパートに戻って話が再開する。

 ちなみに、登場するゲーム内ゲーム『BLOCKS』はパズルプラットフォームアクションゲーム的な作りで、ブロックを再配置する機能を利用して足場などを作り、鍵を入手してゴールに辿り着くまでの道を切り拓いていく。

 一方のストーリーパートは完全にお話に徹していて、(少なくともデモで遊べる範囲では)キャラクターの移動や選択肢などはなく、カットシーンのように登場人物たちのドラマが自動進行していくスタイル。

 ……なんだけども、両者を重ね合わせる演出が予想以上にいい。多分これは別々に考えずに、ふたつのパート1セットでひとつのストーリー体験を作っているアドベンチャーゲームと考えるのがいいんだろう。

GOODBYE WORLD
なんか言い返すセリフの選択肢があったりはしない。怒られる時はひたすら怒られます。きっつ

 というのも、話は次第に夢と情熱だけではなかなかうまくいかない、リアルなモノづくりのもどかしさが満点のササクレだった展開になっていくのだが、それに連れて最初は超簡単だったゲーム内ゲームも途端にレベルが上がったりする。

 そこで昔の携帯ゲーム機の音量を小さめに絞った時(風)の微妙に薄い音をバックにちょいミスりながら難ステージをプレイしていると、悶々としながら完全に没入するでもなくプレイし続ける蟹井の感情がなんとなく伝わってくる。

 そしてグラフィック的には、淡い色のかわいいドット絵にずっとノイズが乗っていて、ひたすらおしゃれで不穏。なのにタイトル画面に帰ってくると爽やかさと切なさ全開のサーフロック風のBGMが迎えてくれるという仕上がりぶりだ。

 というわけで、ドット絵だけ見て甘い感傷を期待してプレイすると平手打ちされた気分になるかもしれないが、刺さる人にはメチャクソ刺さるだろう作り。ハイスペックPCもいらないし、そう時間もかからないので、気になった人はこの機会にぜひプレイしてみて欲しい。

GOODBYE WORLD
1-2まではかなり簡単なのだが、3面になると……。
GOODBYE WORLD
淡い色の細かめのドット絵にノイズが乗っているという、やたらと心にしみまくる絵作り。