Supermassive Games開発による最新作『クアリー ~悪夢のサマーキャンプ』(以下、『クアリー』)が、2022年6月10日(金)にプレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC向けに2Kより発売される。本作は、プレイ中のあらゆる選択がストーリーに影響を与え、多数の登場人物の運命を左右していく『Until Dawn -惨劇の山荘-』と同様のシステムが使われた最新のティーンホラーアドベンチャーだ。

 『クアリー』の舞台は、若者たちがサマーキャンプカウンセラーを務めるハケット採石場。友情や男女関係に悩み、心に秘密を秘めた9人のキャンプカウンセラーたちが、ハケット採石場で起こる奇妙で恐ろしい事件に巻き込まれていく。

 本記事では、そんな『クアリー』のプレイレビューをお届けしていこう。なお、記事内ではチャプター3までに起こる大筋の出来事にも触れていく。核心的なネタバレはないが、気になる人は注意してほしい。

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ますます磨きがかかったSupermassive Gamesならではのゲーム体験

 『クアリー』を手掛けるSupermassive Gamesは、『Until Dawn』や『THE DARK PICTURES』シリーズなどさまざまなホラーゲームを開発してきた実績がある開発会社。いずれもプレイヤーの選択が物語の結末を変える、ホラー映画に自身が介入できるような作りが魅力だったが、それは『クアリー』でも健在。

 実際にプレイしてみると、キャラクターの挙動などはより精密になっているように感じられた。視線の動かしかた、身振り手振り、そして怯えたときの動作が、絶妙な人間らしさがあり、リアル感が増している。

結末を自分で選択する『クアリー ~悪夢のサマーキャンプ』プレイレビュー。俳優たちの名演技や多彩な演出が味わい深い夏にピッタリの極上ホラーアドベンチャー

 『クアリー』で登場するキャラクターたちは、ハリウッドで活躍するプロの俳優陣が務めており、その演技力については折り紙つき。セリフはもちろんのこと、細かな表情の変化までゲーム内で丁寧に描写されており、キャラクターの動作やセリフでストーリーに惹き込まれていく。

 ゲームではあるが、上質なホラー映画としても楽しめるクオリティーだ。自分で操作することなくムービーモードで映像だけを見る機能もあるため、ふだんゲームを遊ばない人でもホラー映画が好きなら楽しめるだろう。

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 物語の舞台となるハケット採石場も、非常によくできたロケーション。まさにホラー作品にはうってつけの場所だ。自然豊かな環境で、イノシシなどの危険な生物も生息。森や湖など見どころには事欠かず、通信は圏外で外部との連絡手段もナシと、惨劇が起こるための土台作りは完璧だ。

 序盤に美しいキャンプ場の姿を目に焼き付けることになるため、一層中盤以降の悲劇的な展開が心に来る。プレイのほとんどは闇夜で過ごすことになるが、序盤に各所を見て回るシーンではその美しい景色に目を奪われてしまった。キャラクターのグラフィックだけでなく、出番の少ないキャンプ場の各施設まで作り込む気合の入れ具合には感服する。

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 ストーリーはホラー映画でお決まりの展開に加え、ゲームならではの選択が加わることでおもしろみを増している。

 プロローグは、ハケット採石場に一日早く向かうことになった、ローラとマックスが森の中で道に迷うところからスタート。夜道をクルマで走る中、彼らは突然目の前に飛び出してきた“何か”を避けようとして、森の中に突っ込んでしまう。

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 ローラは森の中で奇妙な声を聞き、早くここを出ようと怯えながら提案するのだが、そこに現れるのが保安官のトラビス。口数が少なく、じっとローラたちを見つめる仕草が不気味な人物で、序盤からヤバい奴感が強く滲み出ている。

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 トラビスは「ハケット採石場には行くな」と詳しい理由も告げずに命令するのだが、それを無視してしまうのがホラー映画のお決まり。

 ほかのキャンプカウンセラーより一日早くハケット採石場を訪れたふたりは、そこである悲劇に見舞われることに……。序盤から恐ろしいものがいくつも垣間見え、今後の展開を期待させてくれる作りだ。ちなみに、彼らの安否はゲーム本編をプレイして確かめてみてほしい。

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 プロローグを終えると、本格的にメインキャラクターたちのストーリーが始まっていく。

 キャンプ最終日、後はクルマで帰るだけというタイミングで、キャンプカウンセラーたちはさまざまな思いを抱いている。その中でも物語を作るキッカケを引き起こすのが、エマにフラれて失恋中のジェイコブだ。

 彼はあろうことか、クルマを故障させてもう一日滞在し、エマと過ごすチャンスを作ろうと画策する。後のことを考えると断固阻止したいのだが、こればかりは止めることができないイベントだ。

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 ジェイコブの狙い通り、クルマは故障して帰る術を失う一行。そんな状況を見て、ハケット採石場のオーナーであるクリス・ハケットはなぜか怯えた様子で慌てふためく。何かに追われるように自身のクルマに乗り、残った全員にロッジから出るなと忠告してそのままハケットは去ってしまう。

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 着実に惨劇のお膳立てがされる中、陽気にパーティーの開催を発表するジェイコブ。こうして外部との連絡手段も、逃げる移動手段も失い、若者だけが残ったハケット採石場で物語が幕を開ける。

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 彼らを遠くから眺める、見るからにヤバそうなハンターたちが登場したりと、序盤の平和な雰囲気の中にも緊張感が漂う。

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顔に血らしきものを塗りたくり、若者たちを睨みつける怪しい人物。敵か味方かはわからないが、どう見ても仲よくなれそうにはない。

 ハケットがいなくなり、パーティーの準備を進める中、怪しい部屋を見つけたり、銃を手に入れて持ち出したりとキャンプカウンセラーたちはやりたい放題。その最中に各キャラクターの性格や、おおよその人間関係も見えてくる。

 複雑な恋愛感情や三角関係まで、後々追いつめられた際どのような人間関係に着地するのか、楽しみになる設定が満載だ。

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 そうして平和に夜を過ごしていた一行だが、“真実か挑戦か(Truth or Dare)”ゲームをキッカケにバラバラになり、狙っていたとばかりに孤立したメンバーに惨劇が襲い掛かる。

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 森で襲撃してくる奇妙な存在。それを追うかのように銃を撃ち、ときにはプレイヤーを攻撃してくるハンター。謎の存在、ハンター、キャンプカウンセラーたちの三つ巴の関係が絶妙な緊張感を生み、敵の正体も目的もわからないまま奔走することになる。

 お互い好意を抱いていた相手は、生死に繋がる場面でも助け合えるのか。それとも見捨てて自分の命を優先するのか。プレイヤーの数々の選択で誰が生き残り、誰が死ぬかが決まるストーリーを作り出していける。やりかた次第では全員生存、あるいは全員死亡のルートもあるので、何度もチャレンジして毎回違う展開になるのも本作の醍醐味だ。

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数多の選択肢とQTEが結末を変えるストーリー

 ゲームはおもにムービー中の選択や突発的なQTE、そして探索をくり返すことで進行。場面ごとに操作するキャラクターが変わり、そこでのプレイヤーの行動が後々の結末に大きく影響をもたらしていく。

 探索中は自由にキャラクターを動かし、周囲を見てアイテムを発見したり、ほかのキャラクターに話しかけられる。細かな場所まで探すと、生存に直結しそうな、あるいは死につながる物を発見することも。

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 手に入るアイテムは、物語の核心に繋がる証拠となるものや、悲劇を避けるヒントになることもある。タロットカードが手に入ると、チャプターの終わりで謎の老婆にヒントをもらえるので必ず発見しておきたい。

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 ストーリーで頻繁に起こるキャラクターの決断も、本作で欠かせない要素のひとつ。

 選択は会話の内容を決めるものや、どちらの道を選ぶのか、どの道具を使うのかなど多種多様だが、そのいずれも油断はできない。何気ない選択でキャラクターどうしの仲がこじれると、後で助けてもらえなくなってしまうかもしれないからだ。

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 選択の中でもプレイヤーを心理的に追い込んでくるのが、分岐確定。これはプレイヤーの選択によって、明確に後の展開が変わる場合に発生するようで、画面にノイズが走り“分岐確定”の文字が出る。

 このシステムが非常に恐ろしく、よかれと思ってやったタイミングで分岐確定の演出が出ると、「取り返しのつかないことをしたのでは?」と後から後悔が襲ってくるのだ。必ずしも悪い結末に繋がるわけではなさそうだが、ノイズ演出も相まって背中を強制的に押されているような感覚が拭えない。

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 もうひとつ、物語の展開に直結しやすいのがムービー中に発生するQTEだ。こちらはプレイヤーの選択とは違い、時間的猶予がなく突発的に発生する。

 飛び出そうとする味方を制止したり、木の枝を避けたりとQTEのタイミングはいくつかあるが、失敗した結果大惨事を生むことも。とくに敵から追われている場面では、絶対に失敗は避けたいところだ。

結末を自分で選択する『クアリー ~悪夢のサマーキャンプ』プレイレビュー。俳優たちの名演技や多彩な演出が味わい深い夏にピッタリの極上ホラーアドベンチャー

 時間制限のある選択はQTE以外にもいくつかあり、時間内に相手に対して行動を起こすか決めたり、銃を撃つか撃たないかを決めることもある。もちろんこれらは、どちらが正解かはわからない。

 銃を撃たなかったがために悲劇が起こることもあれば、その逆もしかり。時間制限もあるため、咄嗟に決断を迫られることになり思わぬ決断をしてしまうこともある。とくに、銃を撃つときは慎重になるべきだろう。本作の性質上、味方どうしで殺し合う展開もありえそうだ。

結末を自分で選択する『クアリー ~悪夢のサマーキャンプ』プレイレビュー。俳優たちの名演技や多彩な演出が味わい深い夏にピッタリの極上ホラーアドベンチャー
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 そのほかにも、敵に追われている最中に息を止めて、タイミングを見計らい逃げ出すシステムなど、臨場感を生む演出が多彩に盛り込まれている。キャラクターの演技も相まって、非常に没入感の高いホラー体験が楽しめるので、Supermassive Gamesのファンはもちろん、ホラー映画好きにも体験してもらいたいクオリティーだ。

 ウィットに富んだ会話をしていた序盤が嘘のように、余裕がなくなり本性をあらわにするキャンプカウンセラーたちの結末を、ぜひ見届けてほしい。

結末を自分で選択する『クアリー ~悪夢のサマーキャンプ』プレイレビュー。俳優たちの名演技や多彩な演出が味わい深い夏にピッタリの極上ホラーアドベンチャー

※今回のレビューは、メディア用デモ(PC)でプレイしたものです。日本発売の家庭用ゲーム機版には、一部の暴力表現などに規制がかかっています。詳しくは公式FAQでご確認ください。

クアリー ~悪夢のサマーキャンプ

  • 発売日:2022年6月10日発売
  • プラットフォーム:プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC
  • 発売元:2K
  • 開発元:Supermassive Games
  • ジャンル:アドベンチャー
  • 価格:
    通常版/プレイステーション5、Xbox Series X|S版は8800円[税込]
    通常版/プレイステーション4、X Box One、PC版は7700円[税込]
    デラックス エディション/プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One版は9900円[税込]
    デラックス エディション/PC版は8800円[税込]
  • CERO:18歳以上のみ対象
  • 備考:プレイステーション5、プレイステーション4の通常版はパッケージ版/ダウンロード版の販売 Xbox Series X|S、Xbox One、PC版はダウンロード専売 デラックス エディションはダウンロード販売のみ