Devolver Digitalが、アドベンチャーゲーム『Card Shark』のNintendo Switch版を配信開始した。PC版は日本時間の3日午前2時ごろ配信予定となっている。

 本作はトランプの“イカサマ”をテーマにしたゲーム。あの手この手のイカサマを駆使して、上流階級の紳士淑女の皆様からお金を頂戴しつつ、18世紀フランスの世を渡り歩くのだ。今回本誌ではレビュー版をプレイする機会を得たので、その内容をご紹介しよう。

1. 伝説の“サンジェルマン伯爵”のオヒキ(相方)になる

 本作の主人公は、物言えぬ青年。とある酒場でこき使われる毎日だったが、そこに訪れた怪紳士“サンジェルマン伯爵”に持ちかけられたイカサマに協力したことを発端に、彼が率いる詐欺師一味の一員に加わることになる。

 伯爵はとある謎の真相を追う計画を進めており、ターゲットから情報と金を集めるためのカード賭博を専門とする。新メンバーであるプレイヤーは、伯爵のイカサマの相棒としてその腕を磨きながらフランス全土を旅していく。

 なお、謎多き人物としてさまざまな伝説が残るサンジェルマン伯爵以外にも、18世紀フランスの歴史上の人物たちが登場。ゲームが進むに連れて、話は思わぬ大きな展開を見せていく。

Card Shark
女装して身分を偽る者など、一味は怪しい面々ばかり。

2. イカサマ部分にほぼ完全特化。ポーカーなどの知識はあまりなくても大丈夫

 ゲームの流れは、“その回のお題になっているイカサマの練習”→“本番で実行”→“何ラウンドか勝ってクリアーすると話が進む”→“次の目的地を選ぶ”という感じ。

 ここでポイントとなるのが、基本的にカード勝負部分は実際にプレイしないイカサマ部分に特化した作りになっていること。賭け金を決めて挑み、イカサマ手口を再現した一連のミニゲームに成功しさえすればそのターンは自動的に勝ちになる。なのでカードゲームというより、カード勝負をモチーフにしたイカサマシム兼アドベンチャーゲームととらえるのがいいだろう。

 また、クラブ/ダイヤ/ハート/スペードの4スートの存在や、J(ジャック)/Q(クイーン)/K(キング)/A(エース)が強いことなどトランプの基本的な要素がわかっていれば、あとはポーカーなどのゲームの知識はなくとも練習成果を活かせば大丈夫(練習時より人数が増えていたりするせいでアレンジは多少必要になる)。

Card Shark
たとえば積み込みイカサマの場合、ポーカーの最善手になるように拾う必要はない。指定された条件をクリアーすれば自動で勝利になる。

3. まぁよく考えるわ! あの手この手でイカサマ三昧

 というわけで本作には、カードの積み込み、すり替え、マーキング(目印付け)、覗き見、不正シャッフル、通し(相手の強カードの通知)……と、ありとあらゆるイカサマテクが登場する。

 これらは単体で機能するわけではなく、“お付きの人間としてワインを注ぐついでに相手の手を覗き見→通しで知らせる”とか、“強カードを積み込み→2種類の不正シャッフルでごまかす”といったようにコンボで使う。このそれぞれがミニゲームになっているのだ。

Card Shark
鏡の反射を利用して相手に配るカードをチェック。スティック操作で手を動かして、バレないようにスピーディーにチェックしていこう。
Card Shark
配ったカードを全部盗み見たら、今度は一番強いカードがなんだったのか、自分のカードの捨て方で伯爵に情報を伝える。

 しかもこれらそれぞれに複数の方法があって、たとえば“カードを盗み見てから通しで伝える”という流れなら、“ワインを注ぐフリをして後ろから覗き、テーブルを拭く際の仕草で知らせる”というやり方もあれば、“カードを配る際に鏡面仕上げになっているモノを通じて相手のカードを盗み見て、自分のカードの捨て方で知らせる”という組み合わせも出てくるという塩梅。

 手口は毎回、伯爵が移動中の馬車の中などで説明してくれるのだが、悪いことだとわかっていながら妙に知識欲が満たされて「うわーこんなのあるんだ」と楽しくなってしまう。ちなみに「今回は前にやったアレを使うぞ」と言われた手口を忘れていても、ちゃんと復習できるようになっている。

Card Shark
カード情報を得る手のひとつ。バカな従者のフリをして、ゆっくりワインを注ぎながら覗き込もう。
Card Shark
こちらは積み込む前段階として、前もって後で積み込みに使いたいカードを微妙に折り曲げておくマーキング。不正シャッフルの際の目印にしたりもする。
Card Shark
不正シャッフルのひとつ。両方同時にシャッフルしているように見せて、右側を早く終わらせ、積み込んだ左側がまとめて上に来るようにするというテク。

4. イカサマの失敗は死とイコール。だが死神すらも欺ければ……。

 しかし、本作の舞台は現代と比べるとまだワイルドな時代だけに、積み込みをミスってぐしゃぐしゃになっても負けて賭け金を失うぐらいで済むが、イカサマが発覚したら死というのが定め。

 カードの勝負中は画面下部に猜疑心メーターが表示されており、時間とともにゆっくり上昇。偽シャッフルの手順をミスったりしてもリセットできるが、手間取ればそれだけ「お前らイカサマやってんだろ!」とキレられる危険性が上がっていく寸法だ。

Card Shark
下が猜疑心メーター。時間で進行していくだけでなく、掛け金が上がる時などもグイッと上がる。クリアーが難しそうになってきたら、次のラウンドに挑む前に伯爵と一度撤退するのも手だ。

 幸い、次のラウンドに進む前に一時撤退することもできるので、決着がつく前に相手のメーターが爆発しそうなら出直すのも手。そして……しくじって死んでしまってもまだ手はある。

 賭けやイベントでしくじって死亡すると死神の所に行くことになり、金を払って戻るか、死神に勝負を挑んでイカサマで欺くかというふたつの手を選べる。記者は簡単に倒せる相手で稼ぎ直せばいいやと思ったので前者を選んだが、あの世に行ってなおギャンブラーの業に生きる(死ぬ)というのもいいだろう……。

Card Shark
金を払って戻るか、それとも自分の復活を賭けて死神に勝負を仕掛けるか……。

5. イカサマ以外の芸が身を助けることも

 伯爵一味を追っている人物がいたり、待ち伏せをされていたり、道中では危ない目に合うことも多いのだが、そういった時に、賭け事用のイカサマ以外のスキルが身を助けることもある。

 カードを飛ばす技術で「失敬な、そういうお前がイカサマをやってるんじゃないか」と話をごまかしたり、剣の決闘をうまい具合にやり過ごしたり。ちょっとした機転で事態を切り抜けられることもあるので、キナ臭くなってきたタイミングで普段は選べないような選択肢が存在する場合は「それをすると何が起こり得るか」も考えてみるといいだろう。

 というわけで本作、充実したイカサマ手口が面白いし、歴史上の人物を使ったストーリー、さらに優美なサウンドやビジュアルもいい感じだ。Switch/PCの双方で体験版が出ているので、購入前に試したい人はそちらもチェックすべし。

Card Shark
カードを飛ばす芸でカードを一枚、怒れる紳士の椅子の上に滑り込ませる……。
Card Shark
決闘に対処しなければいけないことも。相手の上中下段攻撃の順番を覚えて、同じ順番でボタンを押して返していくという方式。