2022年5月29日(日)をもって、エヌシージャパンのMMORPG『リネージュM』は日本でのサービスインから3周年を迎えた。3周年を記念として、新キャラを多大な経験値ボーナスで育成して他サーバーへと移行させられる期間限定の“グンター”サーバーの開設やそれと同時開催のイベントをはじめ、さまざまなキャンペーンが打ち出されている。

『リネージュM』公式サイト 3周年記念特設ページ

 その一環として、実装される新クラス(仮名・死神)の日本名の公募も実施。先日この新クラスの名前が“デスサイザー”(死鎌士)に決定した。

 デスサイザーは鎌使い。一見するとファンタジーRPGではありがちな近接クラスのようだ。だが、『リネージュM』日本サービスチームに詳細を訊いてみると、とんでもない事実が判明した。

「衝突無視の“亡霊化”状態を伴うスキルを使うと、他キャラがいるセルをすり抜けられるんです」

『リネージュM』インタビュー。鎌使い“デスサイザー”はすり抜けスキルで戦いを変える高火力クラス。3周年以降の目標は「インターサーバーに興味ない私が参加したくなる企画を作る。豪華な報酬くらいじゃダメ」
『リネージュM』インタビュー。鎌使い“デスサイザー”はすり抜けスキルで戦いを変える高火力クラス。3周年以降の目標は「インターサーバーに興味ない私が参加したくなる企画を作る。豪華な報酬くらいじゃダメ」
本作ではプレイヤーキャラが“人の壁”を作ることで、他プレイヤーの通過を妨害するのがPvPなどでの定石。当たり前のルールをぶち壊す、恐ろしいクラスが誕生した。

 ほかにもデスサイザーは『リネージュM』の常識外にある魅力を持っているという。加えて、3周年記念のイベントや新エリアの詳細、これからの『リネージュM』が目指すものについインタビューを実施。日本サービスチームのおふたりから興味深いお話が伺えた。

川南巌

『リネージュM』日本サービスチーム プロデューサー。文中では川南。

鈴木一

『リネージュM』日本サービスチーム チームリーダー。文中では鈴木。

本作の常識を打ち破る“死鎌士(デスサイザー)”

――5月29日に3周年を迎えるとのことで、おめでとうございます。まずは感想をお願いします。

鈴木『リネージュM』はMMORPGですので、プレイヤーの皆さんがいなければ成り立ちません。現在プレイしていただいている方にはもちろんのこと、いままで『リネージュM』をプレイしてくださったすべての方に感謝の言葉を申し上げたいです。

 ただ、私たちサービスチームは、この3年という地点を終点として目指してきたわけではありません。これからもアップデートを行なって、この先も楽しんでいただけるように尽力して参ります。

川南競争が激しいアプリの世界で3周年を迎えられたのは、本当に喜ばしいことです。とくにプレイヤーの皆さんには感謝をお伝えしたいです。

 鈴木からもありましたが、『リネージュM』はMMORPGです。我々がもっともプレイヤーの皆さんに貢献できるのは、サービスを長く継続すること。PC版『リネージュ』のように、今後も末永くサービスを続けたいと思っています。

――ではさっそく、3周年のアップデートについてお聞きしていきたいと思います。職業名が公募によって“デスサイザー”に決定しました。応募件数はどれくらいだったんでしょうか。

鈴木応募件数は534件です。応募期間は1週間未満だったのですが、予想以上の応募数にびっくりしました。

――その短期間で500以上とは……ユーザーの情報感度がすごい。

鈴木単に名前だけではなく、コンセプトも含めて募集したんです。短期間で作り込むのは難しいかなとは思ったのですが、それでもこれだけの件数の応募をいただけました。本当にありがたいです。それらのコンセプトも含め、協議して決まったのが“デスサイザー”でした。

――ほかに印象的な名前の案はありましたか。

鈴木たとえば……“冥界騎士”という響きが印象に残っています。ただ、キャラクター的に騎士ではないのでは、冥界ではないのではなど、響きだけでなく意図についても考慮していきました。

川南もともとご応募いただいていた案はカタカナ表記の“デスサイザー”でした。漢字表記の“死鎌士(しれんし)”については、僭越ながら補足としてこちらで付けさせていただきました。デスはともかく“サイザー”はパッと見ではわからない人もいらっしゃると思いまして。

鈴木つまり、一部でカッコ悪いと言われている漢字表記については、応募者ではなく僕らの案となります。すみません!

――死と鎌で、どんな職業かは一発でわかるようにしたかったと。

川南決定案以外だと、私のイチオシは“逢魔”でした。“逢魔時”(おうまがとき。夕方の薄暗い時間のこと。黄昏どき)の、魔に逢(あ)うって書く表記ですね。

 最初にデスサイザーになったタリアンという人物は、故郷エルモアを魔族に攻められてどうしても力が足りないときに、グリムリーパーという死神そのものの存在に出会いました。その力を得てでもエルモアを守りたいと決意するんです。

――なるほど。まさに魔と出逢ったわけですか。

川南その悲壮な決意と魔との出逢いという、シンボリックな要素が凝縮された案だと思ったんです。

鈴木そうしたバックストーリーをしっかりと反映させた理由があったりと、送っていただいた案はどれもすばらしかったです。

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結果としては、見た目と名前の両面で特徴がわかりやすい職業となった。ゲームにとってわかりやすさは重要ということだろう。

――デスサイザーの性能を教えてください。ほかの近接職とは何が違うのでしょうか。

鈴木人の多い狩り場において、3セル射程の攻撃が大きな利点です。敵をスピーディーに確保できて、ほかの近接職よりも狩りにおいて有利になるかと思います。

 それと、英雄級以上のスキルの多くが対人に特化している印象はありますね。相手を倒す”という勢いはトップクラスだと思います。

川南シンプルなダメージディーラーというよりは、絡め手でデバフ(弱体化)漬けにして完封する、といったイメージですね。そもそも専用武器の“サイズ”は基礎の打撃値が高め。一発の威力が高くて、強化スキルも複数持っています。スキルでスタンやホールドなど、相手の行動を阻害する手段も充実。使っていて気持ちいいキャラだと思います。範囲攻撃もありますし、レベリングもしやすいかと。

鈴木反面、防御は弱めですので、単純に強いというわけではないですね。カウンタースキルこそ持ってはいますが、防御に特化した近接用のスキルはないんです。その辺は狂戦士などとは違うところです。

――すると、3セルの射程があっても一方的に殴り続けられるわけではないんですね。

鈴木距離を保つというより、3セル攻撃のメリットを自ら活かしていくキャラになるかと思います。たとえばPvPの集団戦では、前衛職の固い人たちが最初に突っ込んで乱戦になった後に、タイミングをずらしてなだれ込んでいく役割になるのでは。

――それはなかなかいやらしい。ほかに注目しているスキルや能力などはありますか。

川南(資料を見ながら)一部のスキル説明に“衝突無視”という単語がありますよね。『リネージュM』では基本的に、1セルのマスにキャラがいた場合、ほかのキャラは通れないんです。衝突判定というやつですね。

――ふむ、まぁ本作ではずっと常識だったことですね。

川南ところが、衝突無視の“亡霊化”状態を伴うスキルの場合、それを無視して相手を呼び寄せたり、自分が移動したりできるんです。

――奥のほうにいる相手側の後衛キャラを挑発したら、乱戦中の前衛をすり抜けてこっちに来たりするわけですか。

川南亡霊化は初登場のステータスなので大きなウリになるかと思います。“ゴーストボディ”や“デスブレイカー”といったレアスキルに付随していて、かなりおもしろいことができるはずです。

――考えかたが変わりますね。前衛のやたら固い神聖騎士なども、すーっと無視して通り抜けられるとか。

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衝突の概念があるため、人の壁を作って他プレイヤーを通せんぼ、この定石がついに崩れる。

川南ゴーストボディはスタン中にも使えて、スタンをキャンセルすることもできます。複数人に囲まれてスタンしたらふつうはそこで終了ですが、そこから亡霊化して抜け出せる可能性もありますね。

鈴木亡霊化状態ですとターゲットできなくなりますから、それがまたいろいろと悪さに使えそうです。

――相手を呼び寄せるデスブレイカーは神話級スキルで、入手がとてつもなく困難そうですけど、そのぶんおもしろそう。敵は何が起きたかわからないまま倒れることになりそう。

鈴木セル単位の衝突判定を無視したキャラが、透明マントのような手段を持って殴るだけ殴って去っていく。プレイヤーの皆さんがどう動かすのか、ぜひ実際に見てみたいですね。

川南PvPだけではなくボス戦でも、近接職で3セルという射程はかなり革命的なんですよ。『リネージュM』ではボスの周囲1セルと2セルをそれぞれの射程を持つ近接職が囲むのが基本なんですが、ボス周辺のセルの数には限りがあります。

――ここでも衝突の話が出てくるわけですね。固くて後衛職よりも攻撃力が高い近接クラスでも、ボスに貼り付ける人数には限りがある。

川南そこからさらに離れた位置には後衛職。3セルの射程を持つデスサイザーは、この中間に陣取れるわけです。しかも高火力ですから、いままで火力が足りなくて敬遠されていたボスの討伐難度が大きく下がったり、このことを見越して今後のレイドの難易度が上がったりする可能性も出てきます。

――手下が出てくるボス戦でも対処しやすそうですね。ただ数値的に強いだけではないキャラが、新たなルールのうえで強さを発揮できるというのは、MMORPGとしては理想的な展開。しかもかっこいいなんて最高ですよ。

『リネージュM』インタビュー。鎌使い“デスサイザー”はすり抜けスキルで戦いを変える高火力クラス。3周年以降の目標は「インターサーバーに興味ない私が参加したくなる企画を作る。豪華な報酬くらいじゃダメ」
いろいろ踏まえてかっこいい、これが最重要。ルール無用のアウトサイダーとしての活躍に期待が持てる。

川南こうした特異性から、直前の新クラスだった狂戦士とは対局になるかと思います。狂戦士は自分が突っ込むキャラでしたから。最前線で攻撃を集中されても倒れないという。

――使ったときの気持ちよさの方向性が、狂戦士とはまったく異なるわけですね。あと、資料ではHP吸収能力もあるようでしたが。

川南暗黒騎士も似たようなスキルを持っていて、ダメージ量ではなく相手を倒したときに吸収するようになっています。ですので、狩りのポーション収支などに大きく影響はしないかと思います。PvPの場合は確率でHPが100%回復します。

――タイミングよく発動したらとんでもないことになるのでは。やたらピーキーな職業ですね。

川南韓国での実装時にはめちゃくちゃ強いという評価でした。単純に強いというよりは、いろいろ考えるのが楽しいとクラスです。

鈴木3セルの索敵能力で狩り効率がよくなりますが、ほかの近接職と比べて防御力が低いため、高難度の狩り場にこもるのは危険だったりもします。

――最初は初心者向けかもですが、途中から装備強化の大事さなどを学べるキャラになりそうです。

川南基礎的なスキルはすべて血盟商人や魔法商人といったNPCからの購入で揃えられるので、そういう面は初心者向けですね。レアなスキルを覚えていくことで、PvP向けに強化されるイメージです。攻撃力も高いので、一定の強さまでは初心者の方でもすぐにたどり着けると思います。

『リネージュM』インタビュー。鎌使い“デスサイザー”はすり抜けスキルで戦いを変える高火力クラス。3周年以降の目標は「インターサーバーに興味ない私が参加したくなる企画を作る。豪華な報酬くらいじゃダメ」
『リネージュM』インタビュー。鎌使い“デスサイザー”はすり抜けスキルで戦いを変える高火力クラス。3周年以降の目標は「インターサーバーに興味ない私が参加したくなる企画を作る。豪華な報酬くらいじゃダメ」
レアスキルの入手は難しいが、大きなゲーム内での目標としてモチベーションの一助になってくれそうだ。

――資料でとくに気になったのが、“デスレコード”という専用のコンテンツなのですが。

鈴木相手を倒すと、その職業や相手とのレベル差などから“魂”を最大10個まで吸収し、その累積値に応じて能力値へのバフ(強化)が付与されるシステムです。回避力やMR(魔法防御)といった能力が上がります。

川南ステータスアップは永続ではなく、72時間経過するとノートから魂が消えてしまいます。どの能力値が上がるかは、討伐した相手のクラスによって近距離、遠距離、魔法と分かれる感じですね。エルフをたくさん倒せば遠距離についての回避力が上がっていくと。

――すると、倒す相手というのは、モンスターじゃなくてほかのプレイヤーのことなんですか。

鈴木プレイヤーです。これに手をつけると修羅の道が待っているかもしれませんね。

『リネージュM』インタビュー。鎌使い“デスサイザー”はすり抜けスキルで戦いを変える高火力クラス。3周年以降の目標は「インターサーバーに興味ない私が参加したくなる企画を作る。豪華な報酬くらいじゃダメ」
10個までの魂を狩り集めて自分の力にできる。魂には2種類あり、より手ごわいプレイヤーを倒して得た魂のほうが能力アップのボーナスは大きいようだ。

――近距離の能力を高めたいから狂戦士や神聖騎士を狩ってくるわ、みたいなことになるわけですか。最大10個という制限もありますから、できるだけ強いプレイヤーの魂を揃える必要もあると。

鈴木『リネージュM』では回避能力の上昇が大きく影響しますので、PvPシーンがどうなっていくのかはちょっと予想がつきませんね。

――エルモアを守るために立ち上がったデスサイザーが、とんでもない闇落ちしちゃってるじゃないですか。

鈴木私の勝手な予想なんですが、守るべきエルモアの民以外については犠牲もいとわないのかもしれませんね。

新領地“エルモア”にはどんな楽しみが待つのか

――続いて、新領地“エルモア”について。ここはどういったエリアなのでしょうか。

川南これまでのダンジョンなどとは雰囲気が異なります。もともとはほかの国。その国ならではの文化が存在していたエリアで、そこで暮らしていた兵士っぽいものや元市民、元貴族がアンデッドになって徘徊しています。市街地のようなマップもありますし、人々の営みの跡が感じられる場所です。

『リネージュM』インタビュー。鎌使い“デスサイザー”はすり抜けスキルで戦いを変える高火力クラス。3周年以降の目標は「インターサーバーに興味ない私が参加したくなる企画を作る。豪華な報酬くらいじゃダメ」
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アデンからエルモアへの入り口となる“悲嘆の洞窟”から“栄光の峡谷”や“沈黙の平原”といったフィールドを経て、エスカロスという城(城下町)にたどり着く。

――エスカロスの城塞を中心に、そのまえに広がる城下町といった感じなんですかね。

川南荒野を進んでいくとしだいに滅ぼされた街が広がっていくなど、やや陰鬱な雰囲気も漂うエリアです。ただしここがエルモア全体というわけではなく、アデンとエルモアの国境にある一地方といったところです。

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城門や城下町のフィールドも広がっているが、全体として暗いイメージが漂う。

――エスカロス自体はワールドコンテンツになっているようですが、同じワールドコンテンツの“ラスタバド”や“テーベラス”などとはどういった違いがあるのでしょうか。

川南テーベラスやティカル寺院よりは、ラスタバドに近いコンテンツですね。わりと長時間滞在できて、時間になったらボスが出てきてそれを倒したら終わり、という感じではないです。

――エスカロスならではのおいしいポイントなどもあるのでしょうか。

川南手前のエリアから奥のエリアへと段階的に難度が上がっていくので、自分に合った狩り場が見つけやすいかと思います。

鈴木週に何時間かぶん、行ける狩り場が増えた感覚で通っていただけるかと。それと、毎週決まった時間に開催される“タッチダウンタイム”という特殊なイベントが発生します。

川南毎週決まった時間に、エスカロス内に点在する特定のオブジェクトのところへよーいドンで向かっていって、先着で目標に到達すると報酬が得られるという要素です。先着なので、直行するのか妨害し合うのか、プレイヤーの皆さんの動向を見守りたいところです。

――入り口で通せんぼしたり、タッチダウンする血盟を協定で決めたりなどの動きも出てくるかもしれませんね。

川南出現するボスは人間型が多めです。エンシェントガーディアンのように、明らかにでかくて強そうなボスとは異なる感じです。

鈴木プレイヤーの皆さんも、これまで難攻不落だったボス(血盟レイド“水竜パブリオン”など)を倒せるくらい強くなってきていますから、さすがに倒せないということにはならないとは思っています。

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エスカロスの“沈黙の平原”のボス、ウェリンとドュペリオン。
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エスカロス城内第1区域のボス、ヨプニール。完全な人型だが、異質さも強く感じる。
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エスカロス城内第2区域のボス、サラッフ。人型ながら、完全なアンデッドモンスターに見える。
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エスカロス城内第3区域のボス、グラディウム。ドレスを着た美女というこれまでにないタイプのボスだが、その強さはいかなるものか。

――特設サイトでは“爵位システム”というものが公開されていました。どういうシステムなのでしょうか。

鈴木エルモアでのクエストや寄付などで“貢献度”を高めて、能力ボーナスを得られるシステムです。レア掘りやレベリングなどと並行して、ここに通う理由となるコンテンツですね。

――ワールドコンテンツだからほかのサーバーのプレイヤーとも多く邂逅することになります。

鈴木エリアの広さやタッチダウンシステムの仕様もあって、プレイヤーの皆さんがいろいろと考え、大手血盟が動く地域になるかと思います。

――『リネージュM』らしく、人の動きが楽しみな場所になりそうですね。タッチダウンを巡る攻防にデスサイザーまで関わってくるとなると、さらに楽しいことになりそうです。

鈴木いままでのように(防衛)ラインを引いていても、そこを亡霊化したデスサイザーが突破してタッチダウンしたり。そういう展開もありえるかもしれません。

川南純粋な力のぶつかり合いではなく、先着ですからね。大手血盟だけではなく、ふつうのプレイヤーの皆さんでも横から取れる可能性もあると思います。

3周年記念キャンペーンで、人の動きはどうなる?

――3周年のキャンペーン各種についてもお聞きしていきます。まずは“事前登録キャンペーン”について教えてください。

川南こちらは事前キャンペーンなのですでに終了してるのですが、サイトで登録してもらったクーポンアイテムをアップデート以降に使うことでデスサイザーの装備がもらえるというものです。どのクラスでもOKなんですが、もらえる装備の都合上、デスサイザーがいちばんお得だとは思います。

――もらえる装備はどれくらいの強さなんでしょうか。

川南全身希少級(青レア)の装備ですね。グンターサーバーでの上限となる75レベルまで十分に使える装備になっています。終盤に力不足を感じる人もいるかもしれませんが。

鈴木70レベルか、人によっては80レベルくらいまで使ってもおかしくない装備ですね。オーバーエンチャント(※)済みなので、ふつうに狩りや血盟レイドに行くくらいなら十分な性能かと思います。

――ヘタに未強化の高レア装備に変えたら弱くなってしまいますね。

※オーバーエンチャント:装備が壊れる可能性がある値まで強化すること。強化値は一定以上になると強化時に装備が確率で失われるという高いリスクがある。オーバーエンチャントに成功した装備はかなり強力。

――キャラの強化と言えば、“真・グンターのブートキャンプ”というイベントも開催されるようですが。

川南初心者用のサーバーを期間限定でオープンするイベントです。同様のイベントを過去に何回か開催していまして、今回の報酬はこれまでにない豪華さ。経験値ブーストアイテムも用意されています。

鈴木今回は復帰者の皆さんもキャンペーン対象に含まれています。レベル20~30などで装備が弱くてクエストが進められないといったような場合に備えて、装備強化の巻物も配布します。

――『リネージュM』は装備強化も重要ですから、チュートリアル的なイベントとも言えますね。

鈴木育成用のグンターサーバーから通常のサーバーへとキャラを移行する際には装備などは持っていけませんが、レベルを75まで上げてくだされば、移行時に強化済みの“スナッパーのリング”や“ルームティスのイヤリング”、“ルーン変換石”といった豪華な装備やアイテムが獲得できるようになっています。

――卒業祝いまでもらえるとは、いいですねぇ。3周年イベントでは配信者のオロナインさんとハイビスさんがグンターサーバーに血盟を作るとのことで、さらに人が集まりそうです。

『リネージュM』インタビュー。鎌使い“デスサイザー”はすり抜けスキルで戦いを変える高火力クラス。3周年以降の目標は「インターサーバーに興味ない私が参加したくなる企画を作る。豪華な報酬くらいじゃダメ」
本作のプレイヤーである“オロナイン”氏と“ハイビス”氏がグンターサーバーで新規血盟を結成。この血盟の参加者が増えてレベルが一定に達すると、グンターサーバーのプレイヤー全員に報酬が配布される。

鈴木血盟の方向性についてはおふたりにお任せしていますが、ここでも人の動きがどうなるかはちょっと予想がつきませんね。

川南一応グンターサーバーでもPvP要素はありますし、インターサーバーではおふたりに敵対する血盟も存在します。ふだんはあまりPvPに積極的ではないかと思いますが、おふたりがどんな血盟を作り上げるか予想しきれません。

――キャンペーンに乗っておふたりの血盟に参加する人だけではなく、ヒール(悪役)的な立場で楽しみ盛り上げるために敵対血盟を作りに来る人もいそうです。

鈴木配信者のおふたりの血盟レベルに応じて(グンターサーバーの)プレイヤー全員への報酬が決まりますから、敵対するとそれを阻害することになります。プレイヤー全体を敵に回す可能性もありますね。とはいえ、そんなのは関係なく敵対関係を楽しむ人が出てくるのが『リネージュM』ですからね。

――本当に人の動きが読めないタイトルですからね。グンターサーバーをきっかけに『リネージュM』を始めるプレイヤーさんに対して、グンター卒業後にどのように本作を楽しんでいけばいいのか、アドバイスをお願いできませんか。

川南グンターにいるうちに知り合いを作るのがオススメです。期間終了後は通常サーバーに移行するんですけど、いま初心者が遊びやすいサーバーがあったとしても将来はどうなるかわかりません(サーバー移動によって情勢が変わるので)。ですので、「初心者にはこのサーバーがオススメ!」とは言いにくいんですよね。知り合いと相談していっしょに移動するのがベターだと思います。

 既存のサーバーから血盟員の勧誘に来る方もいらっしゃるので、そうした声に応えるのもアリかと思います。ただ、今回に関してはコラボ血盟に入って知り合いを作る→卒業後に連れだってサーバー移動という流れが、人の集まり的にもいちばん乗りやすいかと。

鈴木あとはオロナインさんやハイビスさんのいるサーバーに行ったり、あるいは平和を求めるならデポロジュー03に行ったりとかですかね。いま現在はまったりしている印象ですので。

――平和な世界が戦火に包まれる点もまた『リネージュM』だと、学んでいただくことになるかもしれませんが……。グンターサーバーのキャンペーン以降、PvP関連の大きな動きありそうですか?

川南以前のグンターサーバーを踏まえると、グンター経由で変わるということはほとんどないと思います。一線級ですでに活躍している血盟に、グンター発の勢力だけでは追いつけないかと。ただし、軍師として知略を持つ人がワンチャン出てくる可能性はあるかと思っています。

――野に隠れていた、新しい孔明や徐庶が出てくる可能性があると。それもまた熱いですね。人柄がよくて求心力がある、劉備みたいな人も出てきたらおもしろそうです。

鈴木そういう新たな人たちはぜひ登場してほしいと思っています。勝ち負けに変化はあれど、いまは限られた同じ顔同士でPvPの勢力図が固まってしまっている印象もありますので。そこに新たな血盟などが関わって、いままでとは違う動きが生まれることで、歴史がまた刻まれていくとうれしいですね。

3周年は通過点。今後の『リネージュM』の課題は

――3周年からさらに先はどのような展開を考えていらっしゃいますか?

鈴木PC版『リネージュ』でプレイヤーに親しまれていた“パインワンド”というアイテムを日本オリジナルコンテンツとして実装しておりますが、その改良版となるシーズン2が追加予定です。

 パインワンドはランダムでモンスターを召喚するアイテム。それを倒してアイテムを獲得するんですけど、中にはボスモンスターも含まれています。シーズン2ではドロップ率の上昇に加え、取引可能な英雄級の変身カードなどがドロップアイテムに追加予定です。

――取引可能となると、ぜひ狙いたくなりますね。

川南ふつうのレアアイテムだと相場の変化が心配されますが、変身カードはシステムの都合上いくらあっても困らないので、相場も大きくは変わらないかと。

鈴木あと、パインワンドの作成フローにも変更が入るようです。現状ですと多額のアデナなどコストがかかり、封印などの手間もありますが、もう少し作りやすく。また、ボスモンスターの出現確率にも変更が入るとのことです。

――話は変わりますが、近年多く取り組まれているクラスケアについてはどうでしょうか。

鈴木韓国で2021年11月~12月に行われた全クラス対象クラスケアとなる“OASIS”(韓国名称)アップデートを2022年秋頃に実施予定です。これを1回のアップデートで行なうのか韓国のように2回に分けるのかは、まだ未決定です。OASISの後に入ったほかの修正も盛り込む可能性もあります。

川南6月以降には、自分の別アカウントのキャラがサポートしてくれるという“リンクシステム”を実装予定です。チェックを進めているところです。

『リネージュM』インタビュー。鎌使い“デスサイザー”はすり抜けスキルで戦いを変える高火力クラス。3周年以降の目標は「インターサーバーに興味ない私が参加したくなる企画を作る。豪華な報酬くらいじゃダメ」
この3周年もあくまで通過点に過ぎない。『リネージュM』の進化はまだまだ続く。

――日本サービスチームとして、直近取り組んでいきたいと考えている課題はありますか。

鈴木細々としたものはまだまだありますが、お客様に対してはインターサーバーを盛り上げていけるコンテンツを考え続けています。「(全サーバーのプレイヤーが集まる)インターサーバーは怖い」というイメージを持たれた方も多いと思うんですよね。

――ほかのサーバーのPvPプレイヤーがうろうろしているというイメージはどうしても付いて回ります。

鈴木もう少し皆さんが参加しやすくなる方法や狩りがしやすくなる方法を、開発チームにも伝えて改善案を模索していきたいと考えています。

川南私自身がインターサーバーに参加したくない勢なので、企画が上がってきたときに「これなら自分も行ける!」と思えるかどうかを重視しています。

鈴木ちなみに、僕はインターサーバーにすでに参加しているので一生懸命に活動されている内容については把握しております。

――完璧な体制じゃないですか。両方の気持ちがわかるわけですね。

鈴木両方のラインを満たすのは簡単ではないとは思いますが、少しずつでも変えていきたいですね。大幅に変えてしまうと、ゲーム自体が変わってしまいますので。

川南いまのところ僕はインターサーバーに興味ないですし、こんな自分でも暇なときに行きたいなぁと思える企画ができれば、みんな行きたいと思ってくれるのではと。行ったらアイテムがもらえる、なんて程度ではダメです。

――めちゃくちゃ線引きが厳しいですけど、具体的な話は……?

川南まだですね。それでも、やらなくてはならないと考えています。

鈴木巻物を制作できるイベントなどもやってきましたが、参加者こそ増えても行きづらかった人は行きづらいままなんですよ。

川南“いつもやっていることがよりよくなる”というアイデアは思いつきやすいんですが、完全に方向性を変えるのは難しい。でも、そうでもしないと『リネージュM』が窮屈なものになってしまうんですよ。

――実際、行けるエリアが限られてしまいますしね。

川南アップデートで新たに追加されていくコンテンツはだいたいがワールドコンテンツです。もともと『リネージュM』はそういう作りになっているゲームなわけで、避けて通れなくなっている以上は、楽しんでいただけるようにするしかないわけです。

――そのコンテンツをやりたくないと思っている人に楽しんでもらうようにするというのは、すべてのMMORPGが抱える課題にも思えます。

川南『リネージュ』というタイトル自体の根底には“PvPを楽しむこと”があるので、PvPはおもしろいものと感じてもらえるかが大事です。

鈴木勝ち負けに捉われすぎず、報酬がもらえるという結果も超えた、対戦自体が楽しいと提案できるコンテンツが必要なんだと思います。ただ、仕様面を大きく変えることは、このタイトルが『リネージュM』ではなくなる可能性にもつながります。

――ゲームの根底から否定してしまうのは、たしかにやりすぎですね。

川南その根底を否定してしまうくらいなら、『リネージュM』ではない新しいゲームを作ったほうが早いですよね。このゲームをサービスしていく以上、PvPが根底にあるという点は絶対に否定できない事実。PvPがおもしろい、対戦が楽しい。だから『リネージュM』を遊ぶ。そう思っていただけるようにしていくのが我々の課題です。

鈴木そうして楽しんでいただけるようになれば、プレイヤーの皆さんの楽しみの幅も格段に広がると思います。装備を集める楽しみや、血盟員としゃべるといった楽しみに加えて、血盟員といっしょに勝利をつかむとか、血盟間でより人脈が広がり友達が増えるといった楽しみも得られるかと。

――PvP血盟も怖いイメージを持たれがちですけど、入ってみると案外、鬼のような人はいませんから。

川南この部分は方向性もいろいろと考えられるところだと思っています。真面目にがんばるプレイスタイルとカジュアルに楽しむというプレイスタイルでは、また話が違ってくるじゃないですか。どちらにしろ“楽しんでもらう”という部分が最重要ですから、より熟考していきたいです。

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