2022年5月7日、8日、タクティカルシューター『VALORANT』のオフラインイベント“RAGE VALORANT 2022 Spring”が、東京ガーデンシアターで開催された。イベント2日目にはファン投票によって選ばれたプロ選手たちが出演。ファンたちの歓声に包まれた会場の模様をお届けする。
DAY1のリポート記事はこちら
ZETA DIVISIONの選手をはじめ、国内のトッププレイヤーが一同に会したDAY2
『VALORANT』として日本国内初の有観客開催となった“RAGE VALORANT 2022 Spring”。DAY1の“STREAMER ALLSTAR”では10人のストリーマー、DAY2の“VCT ALLSTAR”ではファン投票で選ばれた日本在住の選手が登場し、エキシビションマッチやファンミーティングなどを行ったイベントだ。
DAY2でステージに上がったのは、世界大会“VCT2022 Masters1”で快進撃を見せたZETA DIVISIONの5人や、日本予選“VCT Challengers1”でファンを魅了した人気選手たち。イベントの進行と解説は岸大河氏、yue氏、河野海樹氏が担当した。
【出演したプロ選手】
- crow選手(ZETA DIVISION)
- SugerZ3ro選手(ZETA DIVISION)
- TENN選手(ZETA DIVISION)
- Dep選手(ZETA DIVISION)
- Laz選手(ZETA DIVISION)
- neth選手(Crazy Raccoon)
- popogachi選手(Crazy Raccoon)
- Meiy選手(Crazy Raccoon)
- bazz選手(FAV gaming)
- Fisker選手(FAV gaming)
- Minty選手(FAV gaming)
- Zepher選手(RREJECT)
- takej選手(REJECT)
- Reita選手(REJECT)
- oitaN選手(IGZIST)
ロビー内には、ZETA DIVISION、Crazy Raccoon、REIGNITE、FAV gaming、IGZIST、REJECTのブースがずらり。グッズの販売はもちろん、ステージの合間には所属選手たちが直接ブースに立ち、ファンとの交流を楽しんでいた。
ここでしか見れないドリームチームに大興奮!
Day2のステージイベントはZETA DIVISIONのメンバーによるトークセッションからスタートした。ステージに登壇したのは、crow選手、SugerZ3ro選手、TENN選手、Dep選手、Laz選手、XQQコーチ、JUNiORコーチの7名。
“VCTで一番思い出に残っている試合”について聞かれると、SugerZ3ro選手はプレイオフ進出をかけた“Ninjas in Pyjamas”戦を挙げた。3マップ目“フラクチャー”の大逆転劇はかなり印象に残っているとのこと。
「長期滞在で困ったことは?」という質問に対して、TEN選手は「ご飯です」と即答。これはcrow選手以外のメンバーとコーチ陣も同じ思いだった様子。また、Laz選手に「“NICE”が大会の演出に使われたのはどんな気持ちか(※)」という質問が投げかけられると、「世界中でミームにもなり、ありがたいことです」と素直に答えていた。
※NICE:選手たちが発する「NICE!」の掛け声が話題となり、ついには公式サイドがその声をサンプリングした楽曲を公開した。
LOL. NICE. @lazvell
#VALORANTMasters | https://t.co/MDpRTZqCFp https://t.co/JO7QiELIsz
— VALORANT Champions Tour KR (@valesports_kr)
2022-04-17 01:34:07
そのほかにも、大会の裏側や新エージェント“フェイド”についてなど、キャスター陣からの質問に回答。最後は「みなさんの応援が力になりました」とファンに感謝を伝えた。
つぎに行われたのは来場者参加型ミックスマッチ。抽選で選ばれた来場者と選手たちが4チームに分かれて対決した。
参加者たちは憧れの選手を前に、やはり緊張している様子。しかし、プロ選手たちから声をかけてもらっているうちに緊張がほぐれ、どんどん表情はにこやかになっていく。好プレイをグータッチで祝福する場面もあったりなど、温かな空気の中、選手も来場者も楽しんでいるようだった。
Day2は、ストリーマーたちも会場へと足を運んでいたようで裏配信が行われたいた。イベントの途中では、鈴木ノリアキやk4sen、SHAKA、Jasper、MOTHER3らが壇上に上がるサプライズもあり、来場者たちは大喜びしていた。
最後は、メインイベントのオールスターエキシビション。Day1と同様に、チーム分け抽選はステージ上で行われた。その結果、Zepher選手とFisker選手の元Crazy Raccoon組、takej選手とReita選手、crow選手のZETA DIVISION組など、元チームメンバーどうしの組み合わせも発生。以下の3チームによる総当たり戦が行われた。
チームRED:neth選手、Laz選手、Dep選手、bazz選手、Minty選手
チームBLUE:Zepher選手、Fisker選手、popogachi選手、SugerZ3ro選手、oitaN選手
チームYELLOW:takej選手、Reita選手、Meiy選手、crow選手、TENN選手
カジュアルな雰囲気になるかと思いきや、試合では選手たちの負けず嫌いが前面に表れた即席とは思えない連携プレイや大会のようなゴリゴリの撃ち合いに、会場からは歓声や驚きの声が漏れる。とは言え、あくまでエキシビションマッチ。3試合目ではZepher選手がtakej選手にACE(チーム5人キル)を取らせまいと全力で逃げるシーンもあり、時折笑いに包まれていた。
試合では、新エージェント“フェイド“とソーヴァを組み合わせたチームプレイを披露する場面もあった。
筆者も『VALORANT』プレイヤーであり、“イニシエーター”のエージェントをよく使っているのだが、取材途中ながら「このスキルの合わせ方は参考になる!」とついつい関心するプレイが頻発。当該のcrow選手とReita選手は強そうだからという理由で即席で使ったらしく、その強さにふたりともびっくりしたようだ。
全コーナーを終えると、イベントに出演した選手たちから挨拶。別チームの選手とプレイでき、またオフラインでファンと触れ合うことができて、本当に楽しかったと口にしていた。
熱気冷めやらぬ中、さらに観客の胸を熱くする映像が公開された。“2022 VCT Stage2 Challengers Japan”のティーザームービーだ。SugerZ3ro選手が“Absolute”と書かれたパネル(※)を掲げるというエモすぎる演出もあり、eスポーツを長年見てきた人は涙ぐんでしまったのではないだろうか。
※Absolute:絶対や完全無欠などの意味を持つ言葉。同時に、ZETA DIVISION『VALORANT』部門の前身の名前でもある。これまでの歴史を背負って戦うという意思の表れなのかもしれない。
さらに、 “RAGE“総合プロデューサーの大友真吾氏が登壇。なにかサプライズがあるのかと会場中が注目する中、“RAGE VALORANT”の第2回を2022年秋に開催することが発表された。初のオフラインイベントながら、非常に熱量の高いものとなった“RAGE VALORANT”。その熱狂をまた味わえる! と、喜んだ人も多いだろう。『VALORANT』の展開から目が離せない。
ライバルであり盟友のふたりが語る、チームの垣根を超えた密な関係性
イベント終了後、ZETA DIVISION(以下、ZETA)のLaz選手とCrazy Raccoon(以下、CR)のneth選手にインタビューを行った。
Laz選手とneth選手は『Counter-Strike: Global Offensive』(『CS:GO』)選手の時代からしのぎを削ってきたライバル。それは『VAROLANT』に主戦場を移しても変わらず、“VCT”の日本予選ではいくども熱戦をくり広げてきた。そんな日本の競技シーンを代表するふたりだが、じつはプライベートで遊ぶほど仲がよかったりする。
話によると、『VALORANT』は選手同士の距離が近いとのこと。大勢のファンの前で盟友たちとプレイし、何を感じたのだろうか。
Laz選手(らず)
プロゲーミングチーム・ZETA DIVISION VALORANT部門所属。文中では敬称略。
neth選手(ねす)
プロゲーミングチーム・Crazy Raccoon VALORANT部門所属。文中では敬称略。
――長時間のイベント出演お疲れ様でした。まずはイベントの感想を聞かせてください。
neth声援があまり出せない代わりにスティックバルーンで応援していただきましたよね。こういう経験は『VALORANT』だと初めてのこと。あの光景を見れたのはZETAのおかげでもあると思いますし、それを体験できてよかったです。ステージに立ったみんなもそう思っているはずです。
Lazやっぱりオフラインの観客が入るイベントは別格です。つぎはいつになるのか待ちきれないくらい楽しいですし、一度味わったら抜け出せないです。今日はエキシビションマッチでしたが、これが競技大会だったらもっとおもしろいだろうなって。
――“VCT Stage1”は、自分もPCの前から応援していました。それがオフラインで見れたら本当に楽しいだろうなって思います!
Lazコロナも落ち着いて声が出せるようになったら最高ですよね。
――会場で直接ファンの声援を受けられるのは、配信イベントとは違った何か格別なものがあるのですか?
Lazそうですね。見ている側からしても、これはおもしろいだろうなって感じてもらっているはずです。
――“RAGE VALORANT”の第2回も決まり、“2022 VCT Stage2”も始まります。2023年の『VALORANT』の計画としてインターナショナルリーグなどが発表されましたし、やる気に満ち溢れているのではないですか?
nethモチベーションが上がることがいっぱいですし、こんなに応援されているんだと今回のイベントで再認識しました。
Laz(試合が増えるのは)めちゃくちゃありがたいです!
――話は変わりますが、おふたりはメイド喫茶にいっしょに行かれるくらい仲がいいとお聞きしています。プライベートでよく交流されているのですか?
neth時間が合ったときに遊びに行く感じですね。(※)
※会話の流れから「よくメイド喫茶に行く」とも読み取れますが、そういう意味ではありません。おそらく。
――そのときはやはり『VALORANT』の話を?
neth大会のことなんかも話しますけど、どちらかと言うとゲーム以外のことが多いです。なんでも話していますね。
――選手どうしでの交流は盛んなのでしょうか?
neth違うチームに所属してるけど仲がいい人はけっこう多いです。
Lazほかのゲームよりも、わりとみんな仲がいいと思います。もともといっしょにやっていて別のチームに移籍したような人もいますけど、そのつながりはまだ残っていますからね。ここまで仲よくやっているのも珍しいなと思います。
――イベントや配信を見ていると、選手どうしのつながりに密なものを感じます。
neth自分たちの中では当たり前のことなんです。(コミュニケーションが活発なのは)ゲーム内にボイスチャットがあるのも強いですね。そこから人となりもわかりますし、(自分の)配信も見てくれている人も多くて、だから絡みやすいのかなと。
――ライバルであり友人であるneth選手から見て、“VCT Stage1 Masters”でのZETAやLaz選手の姿はどう映りましたか?
nethうらやましいのとうれしいの半々ですね。日本チームがいい結果を残して、国内にいい環境を循環していけるなら、僕のうらやましさなんてちっぽけなものですから。
Laz僕もCRが世界大会に出ているときは同じ感覚でした。やっぱり自分たちが出られないのは悔しいんですよ。でも、日本のチームにがんばってほしい。めちゃくちゃ応援したい気持ちでいっぱいでした。
――お互いに同じことを思っていると。
nethたぶん、そうだと思います。
Lazあんまりこういうこと話さないよね。
nethお互いにプライドが高いので(笑)。“VCT Stage1”の日本予選で負けはしましたが、日本は(国際的な大会で)いままであまりいい結果が出せていなかったので、今回も難しい試合になると思っていました。
――複雑な心境なんだろうなと思います。世界大会で勝つことはやはり難しいんですよね。
neth国内で勝ち抜くのと世界大会はまた違うよね?
Laz見られている人の数も違うしね。
neth全然違った感覚があります。ですが、初戦のDRX戦以降のZETAは国内でやっていたときよりも勢いがありましたし、世界大会でどんどん成長していて。何と言うか、感心しました。ZETAはスタッフ陣が優秀なのかな(笑)。
――と言いますと?
neth(単純にいまのCRは)去年munさんが抜けて人員が少ないんですよ。いまZETA(のコーチやスタッフ)はgya9さんとJUNiORさんとXQQさんだよね?
Lazあとは最近だとVorzさんも助けてくれてます。
nethそういうところで対応力があるのかなって思います。支えてくれる人が多いのはやっぱり重要ですよ。
Lazたしかにそうですね。あと、日本人5人でめちゃめちゃモチベーションの高いメンバーが集まってるのは大きいと思いますよ。ずっとメンバー内で話し合いをしてますから。
――なるほど。チーム単位のマンパワーも勝敗を左右する要素であると。詳しく聞きたいところではありますが、そろそろお時間ということで、最後に“2022 VCT Stage2”への意気込みをお聞かせください。
nethティザームービーでは“打倒ZETA”を掲げていたように、優勝するにはZETAを倒さないといけないと僕は思っています。もちろん優勝は目指しますが、今大会はZETAを倒すことを第一に据えて望みます。
Laz“VCT Stage1”は国内1位で抜けられて、世界大会でも善戦できてよかったところですが、少しでも気を抜くと平気で負けるくらい、小さな差しかないと思っています。気を抜かずにがんばります!
――ありがとうございました。おふたりのご活躍楽しみにしてます!
おまけの写真集
こうして2日間のイベントの幕が閉じた。最後に、Day1、Day2の写真をまとめて掲載。余韻に浸ってほしい。
DAY1のリポート記事はこちら
【2022/05/20 12時41分】一部表現を調整いたしました。