2022年5月7日、東京ガーデンシアターでタクティカルシューター『VALORANT』のオフラインイベント“RAGE VALORANT 2022 Spring”のDay1が開催された。本稿では、人気ストリーマーたちが出演したイベントの模様をお届けする。

DAY2のリポート記事はこちら

“RAGE VALORANT 2022 Spring”公式サイト

人気ストリーマーたちが集結したDAY1

 『VALORANT』としては日本国内初の有観客での開催となった“RAGE VALORANT 2022 Spring”。DAY1の“STREAMER ALLSTAR”では10人のストリーマー、DAY2の“VCT ALLSTAR”ではファン投票で選ばれた日本在住の15人の選手が登場し、エキシビションマッチやファンミーティングなどを行うイベントだ。

 両日あわせて12000人を超える規模となった本イベントだが、ストリーマーや選手のプレイを間近で見れるだけに、先着順で行われたチケット販売は1時間で即完売となっていた。

 そして、5月7日に開催されたDAY1。この日はk4sen、SHAKA、Jasper、StylishNoob、SPYGEA、SurugaMonkey、ボドカ、MOTHER3、YamatoN、RobiNの人気ストリーマー10名が登場。キャスターとして岸大河、yue、yukishiroの3人がイベントの進行と解説を担当した。

『RAGE VALORANT』DAY1リポート。スタヌ「楽しいー!!」MOTHER3「生きててよかったー!!」と大興奮。SurugaMonkeyとRobiNは6000人超の観客に「ネット上だけの盛り上がりじゃないと実感」

 当日はYouTubeとTwitchにてイベントの模様を楽しむことができた。とはいえ、配信には映らなかった会場の様子が気になる人も多いはず。まずはそちらを紹介しよう。

 ロビーではストリーマーたちの写真が並んだ特大パネルやネオンのパネルが来場者をお出迎え。さらに、RAGE公式グッズの販売スペースやレッドブルの特設ブース、GALLERIAの推奨PCを体験できるアイ・オー・データ機器のブースも用意されていた。記念撮影やレッドブルでのエナジー補給など、来場者たちは思い思いに過ごしていた印象だ。

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 メインのホール内に足を踏み入れると、そこにはかっこいいネオンカラーに彩られたステージが。左右のスクリーンに加えて、ステージ上部には特大モニターも設置されており、どこの席からでも思う存分に試合を楽しめるステージセットになっていた。

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声援は控えめにしつつ、バルーンスティックを使ってストリーマーを応援。コロナ対策も万全だ。

会場中に響き渡ったStylishNoobの「『VALORANT』楽しいーー!!!!!!」

 開始時間になると、まずはおなじみのキャスター陣がステージに上がり、その後にストリーマーたちがスモークの中からポーズを決めて登場。イベントへの期待や来場者&視聴者への感謝のメッセージとともに、ついにイベントが始まった。DAY1では行われた企画はレプリケーションマッチ、来場者参加型ミックスマッチ、オールスターエキシビションの3つだ。

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 最初の企画では、ゲーム内の“レプリケーション”モードを使用してストリーマーたちが対決。各チームごとにひとりのエージェントをピックして戦う特殊ルールだ。1マップ目の初っ端から、いきなりヨルのデコイを駆使した攻めを見せたりスカイのスキルを重ねて4匹の狼で索敵をしたりと、ストリーマーたちの奇想天外なプレイが飛び交う。

 レプリケーションらしいカオスな展開が続いた試合は大盛り上がり。1マップ目のエージェントピックでは、ファンの期待を裏切らずk4senたちのチームがヨルを選んだこともあり、会場の熱が一気に上がった。

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 会場が温まってきたところで、つぎは抽選で選ばれた来場者とストリーマーによるミックスマッチが行われた。

 1試合目では、MOTHER3チームとk4sen/ボドカ/StylishNoobチームが対決。試合前のインタビューからは参加者の緊張が伝わってきたが、いざ試合が始まると、両チームとも即席とは思えない連携をたびたび見せ白熱した試合に。なお、この試合でもっとも輝いていたのはMOTHER3。30キル以上を奪った圧倒的なプレイに、会場は大きくどよめいた。

 SPYGEA/YamatoN/SurugaMonkeyチームとSHAKA/Jasper/RobiNチームが対決した2試合目では、それぞれの撃ち合いの技術が光る好プレイが連発。SurugaMonkeyとJasperがお互いにACE(相手チーム全員をキル)を取り合い、スーパープレイで会場を盛り上げると、18ラウンド目ではなんと一般参加者のCXXKYさんもACEを獲得。これには会場中が驚き、スティックバルーンで祝福を送っていた。

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 そして、最後はメインイベントであるオールスターエキシビション。チーム分けは会場にて行われたのだが……なんと、レディアント(ランク最上位)経験者のJasperとSurugaMonkey、MOTHER3が同じチームになってしまった。まさかの結果に、SHAKAもボドカも思わずステージ上でうなだれてしまう。一度はチームを決め直そうという声も上がったが、ステージとサイド選択権を渡すというハンデのもと、このまま試合が行われることに。

【チームRED】

  • ボドカ
  • RobiN
  • SHAKA
  • YamatoN
  • k4sen

【チームBLUE】

  • Jasper
  • StylishNoob
  • SPYGEA
  • SurugaMonkey
  • MOTHER3
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すごい勢いで抽選を引くk4sen。
そしてこの趣深い表情。
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写真がぶれるほどのチームBLUEのはしゃぎようたるや。

 1試合目のマップはスプリット。最強チームを相手にチームREDは気合十分といった感じだったが、やはり力の差が大きく、レディアント3人衆を筆頭にチームBLUEが圧倒する展開となった(当然である)。4ラウンド目では、気持ちよくなったStylishNoobが「『VALORANT』楽しいーー!!!!!!」と思わず絶叫。会場は笑いに包まれた。

 11‐1の大差で折り返し、攻撃側となったチームREDが維持を見せて4ラウンド連続で取るもここまで。1試合目はチームBLUEが勝利を飾った。試合の途中ではお互いにタイムアウトを取るシーンもあり、作戦会議の様子すらもひとつにコンテンツに。ふだんの配信で見せるようなストリーマーたちの絡みを生で見られて、ファンたちも満足げな様子だった。

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 1試合目が終わると、SHAKAたちから「もう少しハンデがほしい」とお願いされるチームBLUE。話し合いの末、“レディアントの3人はマーシャル、シャリフまで”という武器ハンデを設け、2試合目のフラクチャーで対決することになった。

 2試合目は序盤の2ラウンドをチームBLUEが取るも、新エージェント“フェイド”を使ったSHAKAの動きやチームREDの連携プレイが刺さり、お互いに譲らない試合運びとなる。

 前半を6‐6で折り返し、チームREDの攻撃で後半戦へと突入。チームREDがスパイクを置き忘れるという珍プレイが飛び出すも、拮抗した試合展開が続く。しかし、MOTHER3のジェットのアルティメットでの4キルや、SurugaMonkeyとStylishNoobの華麗なコンビプレイなど着実にラウンドを取り、ハンデを跳ねのけてBLUEチームが勝利した。

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 すべての企画が終了し、最後にストリーマーたちが挨拶。ここ数年はオフラインのイベントに参加する機会がなく、久々にファンと喜びや悔しさを共有しながら楽しめたことに、全員が嬉しさを感じているようだった。そして、MOTHER3の「生きててよかった!!」の気持ちのいいひと言で、DAY1は幕を閉じる。

 イベント終了後にはストリーマーが来場者を見送るサプライズも。ひとりひとりの声にしっかり答えているストリーマーを見て、ファンたちは目を輝かせていた。

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 今回のイベントの模様はRAGEの公式YouTubeチャンネルと、Twitchアカウントのアーカイブから楽しめる。当日参加した人はもう一度、当日見逃してしまった人もチェックしてほしい。

RAGE Twitchチャンネル(esports_rage)

冬の時代を知るふたりの目に映るeスポーツの進化

 イベント終了後、DETONATORのSurugaMonkey氏とRobiN氏に話を伺った。ふたりは『Overwatch』や『Alliance of Valiant Arms』(AVA)などのオンラインFPSで長く活躍。2016年頃には海外競技シーンにも挑戦していた。

 一線を退いたいまはストリーマーとして活動。選手時代からふたりとも明るい性格で知られており、SurugaMonkey氏は『AVA』で世界一のポイントマン(機動力に優れた兵種)に選出されたこともある実力者。今回のイベントでもその鉄腕をいかんなく発揮していた。

 eスポーツに春が来る前を知る彼らは、RAGEの大きなステージで何を感じたのだろうか。

『RAGE VALORANT』DAY1リポート。スタヌ「楽しいー!!」MOTHER3「生きててよかったー!!」と大興奮。SurugaMonkeyとRobiNは6000人超の観客に「ネット上だけの盛り上がりじゃないと実感」
DETONATOR所属のストリーマー・SurugaMonkey氏(左)とRobiN氏(右)。

SurugaMonkey(するがもんきー)

プロゲーミングチーム・DETONATOR所属のストリーマー。文中では敬称略。

RobiN(ろびん)

プロゲーミングチーム・DETONATOR所属のストリーマー。文中では敬称略。

──長時間のイベント出演おつかれさまでした。まずは感想を聞かせてください。

RobiNコロナ禍という状況が始まって約2年半。そんな中での久しぶりのオフラインイベントでした。お客さんの声だとか、僕たちがいいパフォーマンスができるようにスタッフさんが一生懸命がんばって動いてくださったりとか、そういうのを肌で感じられるのがいちばんうれしかったです。

 ひとつひとつのプレイに歓声が上がるのがほんとにうれしくて。ふだん配信でコメントはいただけるんですけど、ほんとに人はいるのかな、みたいに不安になることはあるんです。

──物理的に姿が見えませんからね。SurugaMonkeyさんのACE(ひとりで敵チーム5人にとどめをさすこと)のときの歓声なんてすごかった。

SurugaMonkey聞こえてましたよ、イヤホンとヘッドホン越しでも。岸さんも言ってましたけど、僕らが現役選手の頃はお客さんは多くて100人~200人くらい。何千人という規模の人前でゲームするなんてなかったので。その熱量というかeスポーツの発展というか、感慨深いですよね。

RobiN(SurugaMonkeyさんに向かって)前列1ブロックだけがオフイベじゃん。おれたちにとって。

SurugaMonkeyそうそうそう。50人くらい。

RobiNそれが何列あるのよ、って感じで。

SurugaMonkey1階、2階、3階、4階席! あんなに熱狂的に。ほんとにスポーツ観戦に近いっていうのはこういう感覚なのかもしれないですね。こんなところで初めてプレイさせてもらって……この言いかたあってるのかな。進化したなーって。

RobiN盛り上がってるのはネット上だけなんじゃないかって不安はあったんです。オフライン会場に来るまでの熱量って果たしてプレイヤーとか視聴者の皆さんにはあるのかなと。でも、今日のイベントではっきりわかりました。

──おふたりが競技シーンにいたときといまの盛り上がりは、何年か時期がずれていますよね。それに対して悔しいとかうらやましいとか、そういう気持ちはありますか?

RobiNいや、まったく。

SurugaMonkeyはい。そう……ですね。何て言うんだろ。

RobiN悔しかったらいまも選手やってると思うんです。僕たちが(先人としていまの状況を)作ったとも思わないですし、これを作り上げたのはいま日本でPCゲームを遊んでいる人だったり観戦者の方。そこに悔しいと思うのは筋違いかなという感じはします。

SurugaMonkeyそれこそ夢のある仕事と言いますか、若い子にも胸を張れようになったという気持ちはありますね。流れはいいと思うんです。ちょっと前まで「ゲームの仕事で東京行ってくるわー」って言ったら「何それ?」って感じでしたからね。いまは「知ってる知ってる。テレビとかでよくやってるよね」みたいな。

RobiNうらやましいとか悔しいとかより、よかったなーって。

SurugaMonkeyいい業界になってきてますよ。

──そんなに大人な考え!?(インタビュアーは選手時代からふたりを知っています)

RobiNいやー、歳とりましたからねえ。僕は30。

SurugaMonkey今年29です。

RobiN僕たちがやってた頃って、まだまだ地盤が固まってなかったと思うんです。でも、ここ1~2年で固まった気がする。その結果がいま出てきているだけなのでよかったなと。“インターネット上の盛り上がり”だけじゃなくてよかった。

SurugaMonkeyちゃんと人気なんやなって実感しました。人気なのは知ってるんですよ。つい最近は世界大会もあって日本が3位に。(大勢の来場者を見て)ああ、そういう数字だけじゃないんやなって。

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──少し意地の悪い質問をさせてください。『Overwatch』などで同じチームにいた仲間のSHAKAさんが、いまは日本どころか世界でも上位の配信者になっています(※)。仮にふたりの立場だとしたらSHAKAさんに嫉妬する人もいると思います。悔しさなどはありませんか?

※配信プラットフォームのデータを収集する“Stream Charts”の2022年4月20日の発表によると、Twitchでの2021年度第1四半期の総視聴時間で、SHAKA氏は世界10位。

RobiNないですねー。もともと友だちというのもありますけど。

SurugaMonkeySHAKAさんは元チームメイトですけど先輩ですしね。人気になればなるほどたいへんじゃないですか。たいへんさを天秤にかけたら、がんばってるなーすごいなーとしか。尊敬できるとか、そういうレベルじゃないですよ。

RobiNあいつだけ人気出て、みたいな考えははなからないんですよ。

SurugaMonkeyたしかに。

RobiNなんで自分は人気がないの? と考えたとき、それは「おれはがんばってないから」ってだけ。そうとしか言えないんじゃないかなあ。“RobiNという化けの皮をかぶって配信をいかに見せようか”と考えて動けば、(人気は)ついてくる可能性はあると思うんです。

──それはどんな人にでも当てはまるかもしれませんね。SHAKAさんはそういう努力(本人は努力と思っていないかもしれないが)、そういうことを当たり前にできているからすごくて、だからこそ結果が出ている、と。

RobiNそう。たぶんそうなんですけど、僕は自分のやりたいことをやりたい。それで人気が出ないのは仕方ないですよ。

──たしかに。シンプルな話です。

RobiN一気に伸ばすのではなくて末永くやりたい。そういう考えなんです。

SurugaMonkeySHAKAさんの配信時間は日本トップなわけです。同じことできんなーって素直に思いますよ。

──配信ですごい人ってだいたいそうなんですよね。配信時間がすごいとか、アップしている動画の本数がすごいとか。クオリティの高さは当然として。

SurugaMonkey僕らが競技的にやってたとき、SHAKAさんくらいじゃないですか。(チーム内で日常的に)配信やってたのって。それをずーっと続けてますもん。

RobiNUstreamからやってますしね。でも、どうなんだろ。いまはいろんな若い配信者の方が出てきて、ポンって人気になったりするじゃないですか。だからたぶん配信歴って関係ない。「よりおもしろいものを見せよう」と思っている人が人気になる時代ですから。

──考えることができて、しかも時代にハマっていることが重要ということでしょうか。配信時間が長ければ、それだけ見てもらうきっかけも増えます。

SurugaMonkeyきっかけは大事ですね。めちゃくちゃおもしろい人がいても見てもらえなかったら意味ないですから。

──SurugaMonkeyさんはどうですか?

SurugaMonkey僕も好きなことしかやってないです。たまたま自分の好きなことが数字につながってるのがありがたい。でも、一応ベースはFPSのプレイヤーなので、FPSだけは下手になりたくなくて、ずっと遊んでます。これから歳をとっても一般の人より上でいたい。変なプライドかもしれないですけど。

──FPSが下手になったおふたりは見たくないかも。

SurugaMonkey「目が追いつかない」とか「エイムが落ちた」とか言いたくないですもん。そう言わんように日々練習してます。あとは競馬と筋トレ。まだゲーム=不健康ってイメージはあるので、少しずつでも変えていきたいというのはあります。

RobiN変わってきているとは思いますけどね。

SurugaMonkey今日もイベント出る前に小学校のときの友だちとか従妹からも「がんばれよ」ってLINE来ました。5~6年前なんてこんなのなかったですよ。

RobiNうちの家族LINEにおれの入場シーン貼られました。気まず。まあ後ろめたさはなくなりましたね。選手のときは少しありました、正直。

──ふたりが選手の頃は過渡期ではありましたよね。これからいい感じになる直前くらい。

SurugaMonkeyバトルロイヤル系ゲームが流行った頃から動きが大きくなった気がします。で、『VALORANT』でこうなった。すごい。この規模の会場なのに、チケット一瞬で売り切れたんですよね。

RobiNしゅごい。しゅごいよ。

『RAGE VALORANT』DAY1リポート。スタヌ「楽しいー!!」MOTHER3「生きててよかったー!!」と大興奮。SurugaMonkeyとRobiNは6000人超の観客に「ネット上だけの盛り上がりじゃないと実感」

──いまの状況を踏まえて、今後はどういうことをしていきたいですか?

SurugaMonkey……好きなことで生きていく?

RobiNYouTuberだ。

SurugaMonkeyいや、それができるようになってきてるんですよ。前よりも難しいことではなくなっていると言うか。

RobiNなんだろう。僕たちを知ってほしいが50%。せっかく競技シーンがアツいんだからチームと選手を応援してほしい気持ちが50%。DETONATORの『VALORANT』部門もがんばってますから。

SurugaMonkey競技のほうはもっとスポットライトを浴びてほしいです。

RobiNまたね。競技シーンが強いDETONATORに。

SurugaMonkey僕らじゃなくてチームのことじゃないですか。

──それはまた別の機会に取材をさせてください。本日はありがとうございました!

DAY2のリポート記事はこちら