ファミ通.comの編集者&ライターがゴールデンウィークのおすすめゲームをひたすら紹介する連載企画。ライターのタワラがおすすめするタイトルは『COGEN: 大鳥こはくと刻の剣』です。
【こういう人におすすめ】
- 横スクロールアクションが好き
- 敵の攻撃を跳ね返す剣戟が得意
- 自分で攻略方法を開拓するのが好きな人
タワラのおすすめゲーム
『コーゲン: 大鳥こはくと刻の剣』
- プラットフォーム:Nintendo Switch、PlayStation 4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Steam)
- 発売日:2022年1月27日発売
- 発売元:ジェムドロップ
- 価格:通常版/3960円[税込]、ダウンロード版/2860円[税込]、限定版/7700円[税込]
- 備考:Xbox Series X|S版とXbox One版、PC版はダウンロード専売
時間逆行で無茶を押し通す剣戟アクション
『COGEN: 大鳥こはくと刻の剣』は、多彩なギミックや敵が待ち受けるステージを攻略していく横スクロールアクションだ。プレイヤーは主人公である大鳥こはくを操作し、エグゼブレイカーという剣を振るって敵をなぎ倒していく。
二段ジャンプ、壁キック、空中ダッシュでの横移動や地上での回避行動(バックローリング)など、多彩なアクションも存在している。
横スクアクションだとブラスターを使用するイメージが強いが、本作の場合はほぼ接近戦オンリー。地上での三段斬り、空中での二段斬り、ダッシュ攻撃などを利用して敵を倒していくことになる。
ダッシュ攻撃は多段攻撃でブロックの破壊がしやすい、地上攻撃の三回目の斬撃がもっとも威力が高いなど、アクションごとに威力や効果が異なるのもポイントだ。ボス戦では、いかに威力が高い攻撃をヒットさせるかも重要になってくる。
攻撃はただ敵を切り裂くだけでなく、剣戟によって敵が撃つ弾を跳ね返せるのが本作の魅力。一部の攻撃を除き、敵が撃ってくる弾はタイミングよく剣で弾けば相手に向かって跳ね返っていく。この剣戟がうまくいくと絶妙な気持ちよさを味わえるのだ。
この剣戟を利用したアクションが非常に効果的かつ、それを求められる場面も豊富に用意されている。アクションゲームでジャストガードやパリィといった操作が好きな人なら、本作の剣戟はとくに魅力的に映るだろう。
相手の弾を跳ね返す技量が求められる本作では、当然失敗して被弾することもあるが、敵から一回でもダメージを受けたら即死する設定だ。攻撃以外にも、ただ敵に触れただけでもアウト。ライフというものが存在していないため、かすり傷でも致命傷だ。
しかし、いわゆる死に覚えゲーではなく、ライフの代わりとして“時間逆行(ウロボロスシステム)”というものが存在している。時間逆行は、即死した瞬間から最大3秒前まで時間を巻き戻せるというもので、本作のおもしろさを格段に上げてくれている要素のひとつ。
画面左上には3本のゲージがあり、1本あたり1秒まで時間を巻き戻せる。これを利用して防げなかった弾を弾いたり、回避行動をやり直せるというわけだ。また、ダメージを受けなくても任意のタイミングで時間を巻き戻せるため、失敗したと思ったらすぐにやり直すのもアリ。
時間を巻き戻すゲージは時間経過や中間ポイントなどで回復するため、中盤までは頻繁に使用できるのもありがたい。敵が大量に出現したり、不意打ちを喰らうような場面でもリカバリーが効くため、ストレスフリーで楽しめる。
正直なところ、本作の体験版が出る前はこの時間逆行のシステムがテンポを悪くするのでは? と考えていた。ただ時間を巻き戻すだけなら、それはリトライ機能に近い。しかし実際にプレイしてみると、時間逆行は単なる巻き戻しではなく、アクションの幅を大きく広げてくれる仕掛けになっていた。
やり直しの機能であれば、うまいプレイヤーは使わない。そう思われがちな時間逆行だが、じつは使用するたびにアクション後の硬直などの行動制限がリセットされるという恩恵がある。プレイ中は巻き戻す機能よりも、一瞬だけ時間を止めて使うことのほうが圧倒的に多かった。
たとえば敵の攻撃を上段斬りで弾いた場合、攻撃後に少しの硬直が発生するためそのあいだは追撃ができない。しかし、時間逆行を発動すれば硬直がキャンセルされるため、すかさずもう1アクション起こせるようになるのだ。
時間逆行の強みは、硬直キャンセルややり直しだけに留まらない。ジャンプやダッシュの回数も、時間逆行を使うたびに回復する。この機能を利用すれば、空中ジャンプ⇒時間逆行⇒空中ジャンプ⇒時間逆行⇒空中ジャンプと、とんでもない動きも可能になってしまう。
この機能のおかげで、横スクアクションで定番の小さな足場を渡っていく場面や、ベルトコンベアを進むステージでは正規ルートと思われる道は大抵通らない。5段ジャンプ&空中ダッシュであらゆる障害を無視して突破する、ゴリ押しアクションで押し通せてしまう。
もちろんすべてがそれで解決するわけではないが、時間逆行を利用して自分なりにルートを開拓できるのも本作の魅力だと感じている。工夫次第でさまざまなアクションが可能になるため、新たなルートを発見するのも楽しみかたのひとつになるだろう。
ある程度進めていくと時間逆行を利用するギミックも登場するため、さらに攻略の幅が広がっていく。代表的なギミックは、時間を戻すたびに出現・消滅をくり返すブロック。足場として利用しようとしたら消してしまうハプニングも起こり、攻略難度を上げる要因でもあるのだがちょうどいい刺激になってくれる。
ほかにも、跳ね返した弾を防ぐシールドを張る敵など、中盤以降になるほど厄介な敵、ギミックも増えて難度は増していく。逃げ場がない波状攻撃を仕掛けてくる敵に対し、時間逆行を利用してどう対抗していくのか。難度は高いのだが、そのぶんうまく突破できたときは痛快だ。
とくに後半のボス戦などは回避と剣戟、時間逆行を利用したアクションをフル活用することになるため、横スクアクションが好きな人にはとくにオススメしたい。
プレイヤーの鍛えた技量が試される後半戦
ここまで時間逆行でアクションの幅が広がるという紹介をしてきたが、じつは本作が後半に差し掛かるとこの機能に制限がかかる。時間逆行をしてもゲージが回復しなくなり、前半戦のゴリ押しが通用しなくなるのだ。
もちろん1ステージで3回しか使えない、とまでシビアではない。途中でゲージの回復アイテムが落ちていたり、中間セーブポイントに触れればフルチャージもされる。とはいえ、好き放題に使えた前半と同じようにはいかなくなってしまう。
ストーリー後半では、前半に攻略してきたステージをもう一度プレイすることになるのだが、敵は強化されている上、時間逆行も制限が付く。事実上のハードモードだ。
回数の限られた時間逆行をどのタイミングで使うのか。これまで培ってきた技術、そして前半を攻略して得た敵の攻略法などの知識をフル活用して突破していくことになる。
とはいえ、ゲージを回復できるタイミングも多々あるため、前半同様プレイヤーの工夫次第で攻略ルートを開拓していくという方針はさほど変わらない。むしろ前半戦で得た知識をフル活用できる分、遊び応えが増していると個人的には感じられた。
そして、時間逆行の制限という抑圧に耐えた後には、とあるご褒美も用意されている。アクションを好き放題楽しめる前半、制限がかかる中で工夫しながら突破する後半、そして最後に待つ極上の体験。横スクアクションに求めているものを最高の形でプレイヤーに与えてくれるので、がんばって最後まで進めてみてほしい。
ちなみに、発売当初はなかった機能としてアップデートでカジュアルモードが追加されている。
カジュアルモードでは3段ジャンプ、3回攻撃無効化のバリア、ゲージ回復の高速化など、手厚いサポートがつく。発売当時に後半戦を攻略できず諦めてしまった人や、アクションが苦手な人も安心してプレイしてほしい。
このサポートは後半戦になっても継続され、ゲージが回復しないという制限もなくなる。難易度自体はいつでも変更できるため、攻略が難しいと感じたらカジュアルモードを利用してみよう。
アクションのおもしろさだけでなく、フルボイスで展開されるストーリーも本作の見どころのひとつ。一部作品の影響か、多くのSF系世界観の横スクアクションは、薄暗く、主人公が報われない物語が展開されるとの印象が強いのだが、本作は明るく痛快なストーリーとなっている。
内容は、見知らぬ工場で目を覚ました主人公の大鳥こはくが、意思を持った剣エグゼブレイカーの指示に従い、とある目的地を目指すというもの。その道中、機械や謎の人物の襲撃を受けながら、世界の謎に迫っていくことになる。
背景にある世界設定や戦う理由自体は壮大なのだが、こはくがひたむきに明るく、愉快に話が進んでいくので重い雰囲気を感じさせないのがストーリーの魅力。エグゼブレイカーを始めとする、キャラクターどうしの掛け合いもユニークでどのキャラも好きになってくる。
後味の悪い結末にならず、キレイに完結してスッキリと終われるので、キャラビジュアルに惹かれた人はカジュアルモードでストーリーをサクッと読み進めるのもアリだ。
時間逆行を利用した幅広いアクション、手応えのあるステージ、最後まで楽しく読み進めるストーリー。おおよそ5時間程度でクリアーできるボリュームだが、満足度の高いゲームとなっている。アクションゲームが好きな人にはぜひ一度触れてみてほしい。体験版も配信されているので、まずはアクションのおもしろさを実際に触れて確かめてみよう。
ちなみに本作、登場キャラクターのアーカーシャや大鳥ゆうじを操作できるDLCも販売されている。こはくとはまた違ったアクションが楽しめるので、気になる人はストーリークリアー後にDLCにも触れてみてほしい。
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