ファミ通.comの編集者&ライターがゴールデンウィークのおすすめゲームを語る連載企画。今回紹介する作品は、『リーガルダンジョン』です。
【こういう人におすすめ】
- サクッとゲームをクリアーしたい
- 何周にもわたってプレイしたい
- じっくり考えるゲームが好き
カナダ長田のおすすめゲーム
『リーガルダンジョン』
- プラットフォーム:Nintendo Switch、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC、iOS、Android
- 配信元:Nintendo Switch版、プレイステーション4版、Xbox Series X|S版、Xbox One版/PLAYISM、PC版/Somi、iOS版、Android版/Zero Rock Entertainment
- 開発元:Somi
-配信日:Nintendo Switch版/2021年2月25日配信、プレイステーション4版、Xbox Series X|S版、Xbox One版/2022年4月5日配信、PC版/2019年5月7日配信、iOS版、Android版/2022年3月4日配信
- 価格:Nintendo Switch版、プレイステーション4版、Xbox Series X|S版、Xbox One版/980円[税込]、PC版/720円[税込]、iOS版、Android版/860円[税込]
- 備考:ダウンロード専売
『リーガルダンジョン』ニンテンドーeショップサイト
『リーガルダンジョン』PS Storeサイト
『リーガルダンジョン』Microsoft Storeサイト
『リーガルダンジョン』Steamサイト
警察官になってダンジョンで被疑者と戦闘
『リーガルダンジョン』は、2019年にPC版が配信され話題となり、2021年にはNintendo Switch版が配信。さらにこの4月にはプレイステーション4版、 Xbox Series X|S版、Xbox One版がリリースされ、現在、あらゆるプラットフォームにてリーズナブルな価格でプレイできるアドベンチャーゲームです。
本作でプレイヤーは本作で警察官となり、犯人を逮捕……するのではなく、事件に関する意見書を作成。供述書や捜査報告書などの資料から事件の内容を読み解き、被疑者が有罪か無罪か、どの罪で起訴すべきかなどの意見をまとめて、検察へ提出します。簡単に言うと書類仕事です。
そのため、一見すると地味で小難しそうに見えますが、そこはゲームとしてわかりやすく、おもしろく作られており、難しい単語などは素早く検索が可能。事件の捜査や法律に詳しくない筆者でも理解できるように解説がされており、迷ったときはアシスタントの“あおい”がナビゲートしてくれます。そして、意見書作成の最後には“ダンジョンに入る”という文言が浮かび上がり、なんと被疑者との戦闘がスタート。書類仕事でRPGのような戦闘が楽しめるとは……まさかの展開にワクワクさせられます。
書類作成中のため実際に被疑者と対面しているわけではありませんが、面と向かって話していることを想定しての議論合戦が行われます。
戦闘では、手元の資料や意見書作成中に調べた内容をもとに、状況証拠などを相手に提示。被疑者は罪を逃れようとさまざまな反論をくり出してくるので、有罪だと思う場合は、言い逃れできない情報を資料から探し出して提示(攻撃)。逆に無罪だと思う場合は、被疑者の発言が本当だと裏付ける情報を示すことで相手を守り、HPを0にする(論破する)、または守り切ることで意見書の作成が完了します。
資料から該当する情報をドラッグで引っ張って来るだけで攻撃ができるので、議論合戦といってもやることはシンプル。ただし、的外れな内容を提示すると、相手から反撃を受けてしまいます。
書類から事件を把握するという、ひと味違った推理が楽しめる本作ですが、さらにダンジョンでの戦闘という意外な要素も絶妙なアクセントになっており、地味な書類仕事のはずが、気付けば筆者のようにゲームに熱中していることでしょう。また、ストーリーが進むほど事件の内容は複雑化していき、自首してきた被疑者を起訴すべきかといった奇妙な事件に当たることも。意見書作成の合間にくり広げられる会話など、意外なところに有罪、無罪を証拠づけるヒントが転がっていることもあるため、プレイするほど集中してのめり込むこと間違いなしです。推理ゲームが好きな人はもちろん、じっくりと考えながらプレイするのが得意な人にもオススメです。
戦闘では制限時間が設けられることも。「30分以内なんて余裕!」と意気込んでいた筆者でしたが、25分を過ぎても被疑者の発言の矛盾点を見つけられず、追い詰められていました。
成果を重視すべきか、正義を重んじるべきか
戦闘を通して被疑者が有罪か無罪かの意見を書類にまとめる本作ですが、意見書はあくまで意見書。仮に有罪であるという意見書を提出しても、検察が起訴に踏み切るとは限りません。ただ、だからといって気軽に自分の意見を書けばいいかと言えば、そうはいかないのが本作のおもしろいところ。
もしプレイヤーと検察の見解が一致しても、法廷で意見書とは逆の判決になることもあります。
プレイヤーが所属することになる警察組織は成果主義の傾向が強く、犯罪者を捕まえるほど、そしてその犯罪者が凶悪犯であるほど、自身や所轄の評価が上がる仕組みになっています。そのため、多くの警察官が犯罪者を検挙するため躍起になっており、捜査報告書の中には罪に問うべきか疑わしい内容のものも。
酔っぱらいを介抱するフリをして金銭を盗む“介抱ドロ”を捕まえるために、野外で泥酔している人を保護せず放置。本作の警察組織では、このような点数稼ぎが横行しているようです。
本来なら、良心に従い無罪の意見書を提出するべきですが、そうすると、今度は出世や保身を考える同僚や上司、被疑者を起訴したい検察との関係が悪くなり、所轄の評価も下がるばかり。本作のストーリーは複数のルート、エンディングで構成されており、正義を貫いたばかりに望まない最後を迎えることもあるので、なかなか思い通りの意見書を提出することができません。
あるチャプターでは、明らかに有罪だと思われるサイコパスな被疑者に関する意見書を作成。しかし、被疑者の親族は町の有力者なので、本当に有罪で提出して問題ないのかと葛藤を強いられます。
成果を重視すべきか、良心に従うべきか……。この2択は、意見書を書くたびに突き付けられ、ときには事件の推理以上にプレイヤーを悩ませるはずです。
ゲーム開始時に見られる、殺人の隠蔽をにおわせる会話。ゲームを進めていくと、この会話に隠された衝撃の事実を知ることに。意見書作成はもちろん、「本当にその選択で後悔しないか?」とつねに問われているようなストーリーも最後まで見逃せません。
そんな本作ですが、ストーリーは早ければ1日、2日でクリアーが可能。「ゴールデンウィークはいろんなゲームをプレイしてみたい!」という方にはうってつけのゲームです。一方で、先述したように複数のルート、エンディングも用意されているので、ひとつの作品をじっくりとプレイしたいという方も十分楽しめる内容となっています。筆者がプレイしたのはNintendo Switch版ですが、遊べる機種の幅も広いので、興味を持った方はぜひプレイしてみてください!